和歌山小5刺殺事件を考える10 控訴審で精神鑑定

中村桜洲被告と言えば、逮捕時にメディアが報じたふくれっ面が思い浮かびます。頬を一杯に膨らませ、憤懣やるかたないとの表情でした
小学生からからかわれ、嘲りの言葉を繰り返し受けたことに激怒し、鉈のような刃物で体を複数斬りつけ、頭蓋骨が砕けるほどの殴打を加え殺害した凶行は、その怒りの凄まじさとともに、行動や感情の抑制が効かない発達障害者独自の振る舞いのように映りました
さて、大阪高等裁判所の控訴審では裁判官の判断によって再度、精神鑑定が実施されることになりました(中村被告、検察とも一審判決を不服として控訴)
その結果、一審での判断(統合失調症の影響か、あるいは被害妄想による心神耗弱状態にあった)とは異なり、軽度の自閉スペクトラム症により行動に支障があったとする鑑定医の意見が出たと報じられています


和歌山県紀の川市で2015年、小学5年の森田都史君=当時(11)=を刺殺したとして殺人罪などに問われた中村桜洲被告(26)が大阪高裁での再精神鑑定で、発達障害の一種で軽度の自閉スペクトラム症と診断されたことが18日、関係者への取材で分かった。一審が認定した病名と異なり、高裁の責任能力の程度や量刑の判断に影響する可能性がある。
一審和歌山地裁は17年3月、起訴前の鑑定に基づき被告が統合失調症か、被害妄想による心神耗弱状態で責任能力は限定的だったとし、懲役25年の求刑に対し懲役16年の判決を言い渡した。検察側は量刑不当で控訴した。
(共同通信の記事から引用)


この鑑定結果をどう扱うのか、控訴審の展開に注目しましょう
額面通り受け止めれば、一審和歌山地裁が求刑である懲役25年を割り引いて16年とした判断が誤りで、懲役20年くらいの量刑が妥当と控訴審は判断するのかもしれません(自閉スペクトラム症の影響は無視できないので、幾らか割引きします)
ただ、発達障害を抱えていた中村被告の言い分(彼は言語能力に問題があり、自身の気持ちを表現できないと推測されます)も裁判に反映させるべきであり、精神鑑定とは別に心理鑑定を行い、犯行前の心情や犯行に至った気持ちの変化など引き出す必要があると感じます
まあ、頭がコチコチの裁判官に柔軟な判断を求めても無駄なのでしょうが
殺害された小学生とその兄から、中村被告は執拗な嫌がらせを受けたと主張しているのですから、それを無視したまま罪を裁くのは間違いです
ちなみに被害者の父親は中村被告相手に損害賠償請求の民事訴訟を起こし、4000万円の支払いを命じる判決が下されています
つまり中村被告の両親は損害賠償請求に応じなかったのでしょう。成人した息子の殺人事件なので、親は無関係だと
しかし、中村被告が幼少の頃から発達障害を抱え、生きにくさに苦しみながら成長していたのなら、親として責任を感じる必要があるのでは?
両親は息子の抱えていた障害を理解せず、「ダメな奴」と突き放していたように思えてなりません

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