和歌山小5刺殺事件を考える11 中村被告の「妄想」

控訴審が独自に行った精神鑑定の結果について、昨日取り上げました
あらためてこの裁判、この事件についてつらつらと考えていたのですが、思うところをいくつか書いておこうと思います
検察は起訴前に精神鑑定を実施しています。目的は事件前や逮捕後に見られた中村桜洲被告の異常な行動・エピソードが精神障害によるものと疑われていたため、責任能力に問題がないかどうか医師の所見を得るためです
結果、統合失調症の影響か、あるいは被害妄想の影響によって犯行時、心神耗弱状態であった可能性があるというものです。ただし、まったく見当識を失っていたのではなく、犯行に使用した刃物を洗って血液を落とすなど証拠隠滅のための行動をしており、犯罪をなしたとの自覚を欠いていたわけではない…との見解であり、刑事責任を問えるとの所見でした
この結果に飛びついたのが中村被告の弁護人です。中村被告は殺害された被害者、小学5年生の男児と、その兄である中学生からからかわれたり、揶揄されていたとの被害を受け、その報復として犯行に至ったと考えるべきところを、「中村被告の被害妄想」との部分を法廷戦術の核にすえて弁護活動をし、「心神耗弱状態であったため、罪一等を減じるべし」としたのです
当然、中村被告はこの法廷戦術は不本意だったのでしょう。自分の被害を「妄想」と決めつける弁護人は、何も分かっていないと感じたはずです
中村被告の両親が弁護人を選出したとは考えられませんので、国選弁護人が担当したのでしょう
判決後、中村被告は手書きの控訴趣意書を提出しています。弁護人が書いたのではなしに
この行動からしても、弁護人の法廷戦術に不満がありありだった、と推測されます
弁護人の名誉のために付け加えると、量刑を大幅に割り引いた判決(求刑が懲役25年に対し、判決は懲役16年)を手にしたのですから、弁護活動としては成功の部類であり、被告人の利益に資したと言えます
ですが、中村被告の言い分は封じられたまま裁判が進行し、彼が訴えたかった自身に対する誹謗中傷は「妄想」扱いされてしまったわけです
殺害された森田都史君を批判する気はありませんが、彼や中学生の兄が中村被告をからかったりしなければこの事件は起こらなかったのであり、彼が殺害されることもなかったのです。そのことを生き残った兄は重く受け止め、弟の死の意味を考えてもらいたいものです
こどもは無邪気ですが、人を傷つける発言も平気でします。その結果が自分自身に返ってくるのだと、周囲の大人たちは教えてやらなければなりません

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