切り裂きジャックの正体判明という報道
未解決の連続殺人事件として有名なのが、19世紀末のロンドンで女性を次々と手にかけた「切り裂きジャック」事件です
これまでにもさまざまな容疑者の名前が浮かび、論争が繰り広げられてきました。しかし、19世紀末の事件で物的な証拠が乏しいため、犯人特定には至っていません
週刊誌「女性自身」の配信記事に、「切り裂きジャックの正体が判明した」との内容がありましたので、取り上げます
1888年、英国ロンドンを恐怖のどん底に陥れた連続殺人犯“切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)”。今日に至るまで犯人はわかっておらず、世界で最も有名な未解決事件として知られていたが、DNAの解析によりついに犯人の正体が明らかとなった。
Journal of Forensic Sciencesに掲載された法医学調査報告書によると、切り裂きジャックは当時23歳だったポーランド人理髪師アーロン・コスミンスキーであることがわかったという。
切り裂きジャックはロンドンのホワイトチャペル地区で1888年8月から11月までの間に、少なくとも5人の売春婦を惨殺したとされる。
犯罪歴、精神病歴があり、ひどく売春婦を憎んでいたコスミンスキーは100年以上前に容疑者として浮上。しかし決定的な証拠に欠け、1919年に強制入院先の精神病院で死亡している。2014年に切り裂きジャック研究者のラッセル・エドワーズが真犯人の本命として名指ししたが、当時は確証がなかったため断言はできなかった。
1888年9月30日、無残に切り刻まれた4人目の犠牲者、キャサリン・エドウッズがシティ・オブ・ロンドンで発見された。今回、犯人割り出しの決め手となったのは、このエドウッズのショールだった。遺体のそばに落ちていたショールに付着した血液と精液を採取し、最新の技術による遺伝子検査を実施。その結果、最も有力とされながらも、あくまで容疑者の一人であったコスミンスキーのデータと合致したのだ。
この調査では犯人の外見の分析も行われ、茶色の髪と茶色の瞳であることがわかった。これは、事件当時、唯一信頼された目撃者の証言とも一致している。
このショールは2007年、前述の切り裂きジャック研究家ラッセル・エドワーズがオークションで入手。これを薬学、生体分子科学者のジャリ・ルーヘリアン博士、リーズ大学で遺伝学を研究するデヴィッド・ミラー博士が譲り受け、今回の調査を行った。
(女性自身の記事から引用)
と、いかにも信憑性のありそうな内容になっています
この記事の中身は決して最新のものではなく、2014年にイギリスのデイリーメールに掲載された内容の要約というか、受け売りです
「女性自身」の記者が取材して書いたのではなく、外部のライターが書いた記事をそのまま掲載したのかもしれません
しかし、この遺伝子鑑定結果については批判が寄せられ、イギリスの新聞「ザ・インディペンデント」は、遺伝子鑑定専門家の見解を紹介しています
それによると上記の鑑定では「採取サンプルとして被害者の子孫のmtDNAを調べ、29万人に1人の珍しい突然変異"314.1C"があった」と報告し、ショールの血痕が4番目の被害者キャサリン・エドウッズのものと特定できたとしています
が、専門家によれば「この突然変異の表記は"315.1C"と書かれるべきもので、報告を読む限り、それはヨーロッパの人の99%が持つありふれたDNA変異」であるから、被害者の子孫と血痕の主が血縁関係にあるとは断定できない、というのです
さらに生活苦にあった売春婦のキャサリン・エドウッズが高価なショールを所持していたはずがない、との指摘もあります(事件前、靴を質屋に入れるほど困窮していた)
遺伝子鑑定を巡っては現在の刑事裁判でも、その鑑定結果や鑑定方法を巡って論争があり、必ずしも絶対的な証拠能力があると決めつけるわけにはいかないのが現状です
詳細は2014年のデイリーメール記事を紹介したカラパイアのサイトをご覧ください
126年の時を経て英国犯罪史上最大の連続殺人鬼、切り裂きジャックの正体がDNA鑑定で明らかに
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