「ひきこもりを問題視するマスコミの異常」の異常

古谷経衡はメディアにしばしば登場する評論家めいた人で、世論(一般論)とは真逆の意見を吐き、常識にとらわれた人の虚をつくこともしばしばです
その古谷がプレジデントオンラインで、川崎市で起きたカリタス小学校児童襲撃事件を扱うマスコミの異常を指摘する意見を掲載していますので、取り上げます
長文の記事なので一部のみ引用します。全文を読みたい方はプレジデントオンラインにアクセス願います


"ひきこもり"を問題視するマスコミの異常
この事件を巡って異様な報道が続いている。
(中略)
テレビでは精神科医が岩崎容疑者の精神状態をプロファイリング。どこの世界に直接患者を問診せずに精神状態を分析できる精神科医がいるのか。
岩崎容疑者の自死で、犯行動機が判然としない中、容疑者の生前のおぼろげな生活実態から「ひきこもり」の傾向にあり、社会的孤立・孤独状態であったことが明らかになりつつある。
なんとしてでも「絵」を求める各社はこれに飛びつき、大量殺戮の背景には「ひきこもり」や「社会的孤立」があるというニュアンスの報道が大量に出た。
繰り返すが、岩崎容疑者は自死し、犯行動機を書いた遺書などもなく、動機の解明は困難を極める。しかし大量殺戮と「ひきこもり」「社会的孤立」を紐づけた報道が続き、いよいよ「中高年のひきこもり問題」という問題が捏造される。この風潮に「ひきこもりUX会議」は「ひきこもりと殺傷事件を臆測や先入観で関連づけることを強く危惧する」との声明を出した。
「ひきこもり」と大量殺戮には相関性はなく、同時に「社会的孤立・孤独」と大量殺戮にも因果関係がないことは、社会学的に立証されている。が、これを延長していくとそもそも「ひきこもり」は悪なのか、という問いにぶち当たる。それは「社会的孤立・孤独」は悪なのか、という問いと同義である。
(中略)
「地域力」という概念がある。地域が一体になって共同体をつくり、挨拶、声がけ、対話などをしていくことによって、地域の諸問題を共同で解決するというような概念だ。
この「地域力」こそ、封建的な因習とよそ者への疎外、偏見をうむ日本型ムラ社会の温床であり、前近代的「人間の密着」を嫌う人々がいたからこそ、人々はムラから他者に拘泥するストレスの少ない大都市に移動した。それが一周回って「地域の力」とか「地域の知恵」みたいな「人間は地域共同体に所属し、外交的に他者と会話することが善人で、犯罪を抑止する」という旧態依然とした、安易な観念につながっていく。
「地域力」は、ゴミ出しのマナーを改善するかもしれないが、大量殺戮を抑止する力を持ちえない。
(中略)
「地域力」とは監視と密告社会の復活であり、それこそ社会の空気を窮屈にする。同調圧力の中に内包されるぐらいなら、筆者は喜んで「ひきこもり」や「社会的孤立・孤独」を選ぶ。それは不幸でも絶望でもなく自由の謳歌だ。
岩崎容疑者はモンスターだ。大量殺戮はどのような理屈をもってしても肯定できない。
しかしテロと「ひきこもり」「社会的孤立・孤独」は無関係で、その図式でしか語れない報道の貧困さ、想像力の不足を憂えてならない。



指摘するまでもなく、「ひきこもり」問題を主眼にした意見ではなく、マスコミの取り上げ方を問題視した意見なので、ひきこもる側を「自由の謳歌」であるから干渉するなと片づけてしまっている部分は不問にします
古谷はマスコミの論調が「想像力を欠いている」と呆れているわけですが、どうなのでしょうか?
古谷は「ムラ社会」を敵視するがゆえ、マスコミの論調が気に入らないのだろうと推測できます
どのチャンネルを見ても同じ論調、というのはその通りであるものの、そこまで異常であるとは思えません。概ね、世間一般の受け止め方に沿った反応でしょう
文末で、テロと「ひきこもり」と「社会的孤立・孤独」は無関係だと小谷は書いています、相関関係はないのだ、と
しかし、今回の事件はテロと「ひきこもり」と「社会的孤立」の要素が揃ってしまったケースであり、マスコミの論調は大外れではないと考えます
「ひきこもり」の解消や解決に地域力が有効かどうかはともかく、異常者や不審者に目を光らせるという意味では地域力を無視するべきではないと思います(相互監視社会と批判されようとも、です)

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