「トロッコ問題」授業で児童が不安を訴える 岩国

岩国市の小中学校でスクールカウンセラーが「心理教育プログラム」の1つとして、トロッコ問題を授業で取り上げ、これを受けた児童が不安を訴えたため、学校側に説明を求める事態になった、と報道されています
なぜ、スクールカウンセラーはトロッコ問題などというものを授業の題材にしたのでしょうか?
「心理教育プログラム」が児童・生徒に不安を与えるなど本末転倒であり、スクールカウンセラーの独善と映ります
トロッコ問題とは別名、路面電車問題とも呼ばれ「人間が道徳心から生まれるジレンマにどう対処するのか」を見るための倫理学の思考実験として発案され、さまざまなアレンジを加えながら大学の授業や企業研修といった場で使われています。基本は、線路上を走るトロッコが制御不能になり、そのまま進むと5人の作業員が確実に死ぬ、5人を救うためにポイント(分岐点)を切り替えると1人の作業員が確実に死ぬという状況下で、線路の分岐点に立つ人物(自分)はどう行動すべきか、との設問になっています
当ブログで過去に取り上げた、「ハーバード大学白熱教室」で政治哲学者のマイケル・サンデルもこのトロッコ問題を題材にしていました


山口県岩国市立東小と東中で、「多数の犠牲を防ぐためには1人が死んでもいいのか」を問う思考実験「トロッコ問題」を資料にした授業があり、児童の保護者から「授業に不安を感じている」との指摘を受けて、両校の校長が授業内容を確認していなかったとして、児童・生徒の保護者に文書で謝罪した。
市教委青少年課によると、授業は5月に東中の2、3年生徒、東小5、6年児童の計331人を対象に「学級活動」の時間(小学校45分、中学校50分)であった。同じスクールカウンセラーが担当し、トロッコ問題が記されたプリントを配布して授業した。
プリントは、トロッコが進む線路の先が左右に分岐し、一方の線路には5人、もう一方には1人が縛られて横たわり、分岐点にレバーを握る人物の姿が描かれたイラスト入り。「このまま進めば5人が線路上に横たわっている。あなたがレバーを引けば1人が横たわっているだけの道になる。トロッコにブレーキはついていない。あなたはレバーを引きますか、そのままにしますか」との質問があり「何もせずに5人が死ぬ運命」と「自分でレバーを引いて1人が死ぬ運命」の選択肢が書かれていた。
授業は、選択に困ったり、不安を感じたりした場合に、周りに助けを求めることの大切さを知ってもらうのが狙いで、トロッコ問題で回答は求めなかったという。しかし、児童の保護者が6月、「授業で不安を感じている」と東小と市教委に説明を求めた。両校で児童・生徒に緊急アンケートをしたところ、東小で数人の児童が不安を訴えた。
市教委によると、授業は、県が今年度始めた心理教育プログラムの一環。スクールカウンセラーによる授業については資料や内容を学校側と協議して、学校側も確認してから授業するとされていたが協議、確認していなかった。
東小の折出美保子校長は「心の専門家による授業なので任せて、確認を怠った」と確認不足を認めた。
(毎日新聞の記事から引用)


学校の授業とは教師が思いつきで行うものではなく、学習指導要領などによって教える内容が規定され、何を目的とし、どのように習得させるか計画の上に成り立っています。しかし、このスクールカウンセラーは事前に授業の目的や計画、習得させる内容など学校側と協議しておらず、勝手にトロッコ問題を取り上げた…との経緯です
学校側の怠慢もありますが、スクールカウンセラーの独善も咎められてしかるべきでしょう
しかも、トロッコ問題についての答えは求めず、「周りに助けを求めることの大切さを教えたかった」と意味不明な説明をしているのですから
ならばトロッコ問題でなくてもよかったのであり(いじめを苦に自殺した中学生、とか身近な題材はいくらでもあります)、ただトロッコ問題を引き合いに出して自身の教養をひけらかしたかっただけなのではないか、と言いたくなります
ビジネスの分野などでは、このトロッコ問題をさまざまにアレンジし、社員の意識改革やらリーダーシップ育成やらに使っているのだとか
最近の話題としては、トロッコのポイントを切り替えずに中立にし、どちらの分岐戦へも侵入させなければトロッコそのものが脱線し誰も犠牲にならない、とのアイディアが最適解だと宣伝されています。二者択一を迫るような問題がいかにばかばかしいものであるか、教えてくれます
このような二者択一を迫る、いわゆる「イエスかノーか」、「賛成か反対か」を問う二元論的思考は袋小路にはまる危険がありますし、視野狭窄に陥って失敗を招く可能性大です
トロッコ問題をアレンジし自動運転の車が暴走したと仮定すれば、今日風の問題になります。この場合、道幅は広いが交通量も多い幹線道路へ車を誘導するか、交通量は少ないものの歩行者がいる間道へ車を誘導すべきかを問う形式にするのでしょうか?
しかし、最適解は自動運転の車を強制的に停車させるシステムをあらかじめ採用しておく、になるのでは

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俳優新井浩文第2回公判 「暴力行為、脅迫行為はしていない」

強制性交罪で起訴されている俳優、新井浩文被告の第2回目公判がありました
「死んだ魚の目の演技ができる俳優」と評された新井被告ですが、裁判の場では質問責めを受けて言葉に詰まる場面も多く、キレのある受け答えはできない様子が伝わってきます(もっと吹っ切れた、突き抜けた発言で質問をぶった切るかと思っていたのですが)
産経新聞の公判の模様を伝える記事の中から引用します


(前略)
検察官「以前にも甲店(被害者の女性が勤務していた店)を利用したことはありますか」
新井被告「あります」
検察官「どういう店だと思っていますか」
新井被告「健全な、グレーゾーンではあるけれど、マッサージ店だと思っています」
検察官「利用同意書は書きましたか」
新井被告「書きました」
検察官「どういう内容だと思っていましたか」
新井被告「性的サービスがないとかだと思っていました」
検察官「禁止行為だと思っていたということですか」
新井被告「はい」
(中略)
検察官「風俗も利用していましたか」
新井被告「していました」
検察官「どういうものですか」
新井被告「デリバリーヘルスです」
検察官「そういう店でも基本的に性行為をしてはいけないのでは?」
新井被告「だと思います」
検察官「禁止行為を結構やってしまうんですか」
新井被告「結果、そうなっています」
検察官「禁止なのになぜやるんですか」
《ここで数秒の間があった》
新井被告「分かりません」
検察官「自分のことなのに分からないんですか」
新井被告「女性から誘われたときに断ったことはたぶんないと思いますし、自分で誘ったとき…もう1回質問をお願いできませんか」
検察官「禁止なのになぜやるんですか」
新井被告「すみません、わかりません」
検察官「オイルマッサージのセラピストと性行為をしたことがあるということですが、相手は同意していたんですか」
新井被告「と思っています」
検察官「なぜですか」
《ここで再び間があいた》
新井被告「態度、行為、両方です」


性的なサービスは行わない店だと知りつつ、金さえ払えば何でもできると新井被告が決めてかかっており、最初からセックス目当てに派遣マッサージを利用したのでしょう(新井本人は頑なにアロママッサージを受けるのが目的で、性行為目当てに利用したのではないと繰り返し述べていますが)
ただ、犯行後、帰ろうとする被害者に紙幣を押し付けて渡したものの、被害届を出されて公にされるのではないかと心配になり、マッサージ店へ何度も電話し、被害者とコンタクトを取ろうとしていた経緯も語られています
結果、新井被告は示談金として1千万円を払うと申し出ていますが拒否され、最終的には2千万円の支払いで示談しようと試みた旨を供述しています
新井被告としては誠意を示したつもりなのかもしれません


弁護人「いくらで、その理由は?」
新井被告「1千万円提示しました。理由はAさんに謝罪の意味も込めていて、あとは起訴されたくなかったからです」
弁護人「1千万円はなぜですか」
新井被告「当時の自分の残高と、払える限度額が1千万円だったからです」
弁護人「提示してどうなりましたか」
新井被告「断られました」
弁護人「最終的には?」
新井被告「2千万円です」
弁護人「どうやって準備する予定だったんですか」
新井被告「当時の事務所が肩代わりしてくれるということでした」
弁護人「今後、示談は?」
《この質問に対し、考え込むような沈黙があった》
新井被告「Aさんと私は意見が違うところがあります。同意があったと誤信しているのは認めています。なので、Aさんに対しては謝罪も込めて誠意を持って対応したいと思っています」
《一言一句、言葉を選ぶように慎重に、ゆっくりと話す新井被告》
弁護人「誤信を認めているというのは」
新井被告「当時合意があったと思っていましたが、今回の裁判でもそうですが、Aさんの意見を聞き…」
《ここで数秒、新井被告は口を閉じ、弁護人もしくは自身に向けてか、「ごめんなさい、もうちょっと分かりやすく」などと言葉を挟んで続けた》
新井被告「性行為をしてしまったことは私が悪いと思っています。暴力行為、脅迫行為は一切やっておりません」


あくまで強制性交罪には当たらないと、弁護士と打ち合わせ済みの主張を展開しています。なおかつ、(同意があったと誤解した上で性交に及んでいたのであり)被害者に対して謝罪の意思もあり、賠償する意思もあると強調したいのでしょう
最近は強制性交罪の裁判で、「明確な拒絶の意思を示さなかった」との理由で無罪を言い渡す事案が目につきます
これはむしろ、「明確な同意の意思があったかどうか」を問うべきでしょう。明確な同意の意思が示されない限り有罪、と判断すべきでは?
新井被告の裁判は次回の公判で結審する予定となっており、判決でどのような判断が示されるか注目しましょう

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