新潟女児殺害事件13 死刑を求刑

被害者が1人の場合、死刑判決を下さないというのが刑事裁判における暗黙の了解です
ただし、被害者が1人でも死刑判決が下された例は幾つかあり、特に残虐な方法で殺害したり殺人以外の複数の犯罪行為が絡むケースは例外とされています
本件、新潟での女児殺害事件を考える上で参考にすべきは、奈良県で女児を誘拐、殺害して上で遺棄した小林薫死刑囚の事件です
小林死刑囚の場合、女児を殺害しただけでなくその遺体の写真を家族宛てに送りつけ、被害児の妹をも殺してやると恫喝しています。検察が起訴状で「女児を浴槽の水に押し付けて殺害した」と立件したことに小林死刑囚は反発し、女児が勝手に溺れたのであって殺害はしていないと主張したのも、反省がないとして心証を悪くしました。加えて、小林死刑囚は女児に対する強制わいせつを繰り返し、服役していた経緯もあり、矯正困難と判断されたのは当然でしょう
さて、小林遼被告に対する論告求刑の様子を伝えるNHKの報道から、以下、引用します


22日、新潟地方裁判所で開かれた裁判で、検察は「被告は捜査段階で5分以上首を絞めたことを認めていて救命措置も取っていない。車を背後から衝突させるなど、それ自体で死亡させる危険のある行為をちゅうちょなく選択できる被告が、あえて死亡させないように首を絞めたとは、とうてい考えられない。『殺意はなかった』という弁解は自己保身のためで、全く信用できない」と指摘しました。
そのうえで「みずからの犯行に正面から向き合おうとする態度は一切なく、更生の可能性はないと言ってもいい。まれにみる非道な犯行で、結果は重大であり生命軽視の度合いは甚だしい」として死刑を求刑しました。
一方、弁護側は「被告は人の首を絞めると気絶するということを過去に経験していて、人が死ぬ危険な行為という認識はなかった。女の子を気絶させる目的で殺害は意図しておらず、犯行はずさんで計画性はなかった」などと述べ、殺人罪ではなく傷害致死罪にあたると主張し、長くても懲役10年の刑が相当だとしました。
(中略)
そして検察は、「下校時間をねらって女の子を物色し、1人でいた被害者を襲って遺体を電車にひかせた凄惨(せいさん)の極みの犯行だ。やめる、引き返すという判断ができたにもかかわらず、あえて犯行を選択し、一貫して被害者を物としか見ていない生命軽視の姿勢は極めて顕著だ」と述べました。
そのうえで「裁判でも『覚えていない』『記憶がはっきりしない』と繰り返すなど、自分に不利な事柄については、あいまいな供述に終始し反省の態度はない。自分の犯行に正面から向き合おうとする態度は一切なく、更生の可能性はないと言ってもいい」と指摘しました。
そして最後に「まれに見る悪逆非道な犯行で、結果は重大であり生命軽視の度合いは甚だしい。慎重に死刑がやむをえないかを判断した結果、回避すべき事情はない」として死刑を求刑しました。
(中略)
弁護人は動機について「女の子を偶然見かけて連れ去ることを決意し、車をぶつけることをとっさに考えついた。線路への遺体の遺棄などについても『手っとり早いと思ったから』と法廷で述べたが、被告自身も、なぜこういう気持ちになったか、はっきりした動機が分かっていない」としたうえで、「連れ去るための道具を準備していないなど計画性はなく、周辺の防犯カメラにも写っているなど、犯行は場当たり的でずさんだ」と述べました。
そして「急に物事に無関心になるなどの、犯行に影響した精神的な障害について治療を受ける意思があり、両親が支援を約束している。被告には刑罰ではなく、むしろ治療が必要だ」と指摘し、前科がないことや謝罪のことばを述べていること、事件当時23歳と若く更生の可能性が高いことなどを挙げ、長くても懲役10年の刑が相当とする意見を述べました。
(NHKニュースの記事から引用)


前科がないと弁護人は主張していますが、小林被告は本件の前に女子中学生を連れ回した事件で送検されており、まだ刑事処分が下されていない状態、というだけです。確かに刑事処分を受けたという意味での前科はないにしても、犯罪歴がないとするのは間違いでしょう
そして本件のように殺害後、死姦にまで及んでいる事態を考慮すれば更生可能性を云々するレベルの話ではなく、人間としての一線を越えた異常犯罪者と判断するのが相当です
社会に出してはいけない凶悪な性犯罪者である小林被告を、両親が将来に渡って監督できるとは思えません
弁護人が主張する傷害致死で懲役10年が相当、などという主張に納得する裁判官、裁判員はいないでしょう
最後に書き添えると、公判でのやりとりが詳細に報じられてはいませんので、自分には小林被告がなぜ強烈な衝動に駆られ小学生を襲うに至ったのか、動機の根幹部分がどうにも不明確な気がします。報じられた部分から憶測したり、仮説を組み立てるのは可能としても、死姦にまで至る強烈な性的衝動がどこから生じたのか、解明されないのは不満です。仮に解離性同一性障害だとしても、それだけでは説明になりません

(関連記事)
新潟女児殺害事件14 無期懲役判決
https://05448081.at.webry.info/201912/article_6.html
新潟女児殺害事件12 凶悪事件に共通点はあるのか?
新潟女児殺害事件11 解離性障害だと主張
新潟女児殺害事件10 死姦への異常な執着
新潟女児殺害事件9 初公判で殺意を否認
新潟女児殺害事件8 公判前に事件報道を考える
新潟女児殺害事件7 わいせつ致死で起訴か
新潟女児殺害事件6 ロリコンと決めつける報道
新潟女児殺害事件5 車をわざとぶつけて
新潟女児殺害事件4 女子中学生連れ回しも
新潟女児殺害事件3 20代男性が重要参考人
新潟女児殺害事件2 黒い服の男に追われた
新潟女児殺害事件1 轢死に見せるため線路に放置
学習塾殺人事件を考える3 こどもとの接し方
学習塾殺人事件を考える2 アスペルガー障害と殺人の関係
名古屋大女学生殺人を考える7 無期懲役求刑
名古屋大女学生殺人を考える6 初公判で無罪を主張
名古屋大女学生殺人を考える1 殺人願望
神戸連続児童殺傷事件から20年 「心の闇」を読む
神戸事件元少年Aは「絶歌」で何をしたかったのか?
酒鬼薔薇は「命の大切さを知らない」とする誤解
文藝春秋が神戸連続児童殺傷事件家裁決定を全文掲載
「酒鬼薔薇聖斗こと少年Aは広汎性発達障害」と主張する草薙厚子
草薙厚子と「ゲーム脳」
女児誘拐殺人犯小林薫 死刑執行