日本に死刑廃止を要求するEU その2

昨年7月、ウェブリブログのシステム改悪により、さまざまな不具合が生じたこともあり、過去の記事を再編集する作業を続けています
引用元にしていたニュース記事が削除されてしまって閲覧できない例もありますし、アニメ関係の動画がYouTubeから削除されていたり、アドレスが変更になって表示されないなど、さまざまな問題があります。それらを解決し、できるだけ読める状態にするのが再編集の狙いです
ただ、過去10年分の記事を1つ1つ直すのでは手間で、ようやく2012年11月まで終わりました。これから2009年3月へと遡るので完了するのは6月か、7月くらいでしょうか
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さて、2012年11月に、「日本に死刑廃止を要求するEU」と題する記事を掲載しました。この時点で、EU主催の死刑廃止シンポジウムの詳細を取り上げた報道を見つけられなかったのですが、その後、シンポジウムの中身を紹介するウェッブサイトを見つけましたので、取り上げます
昨日は障害者施設で19人もの入所者を殺害した植松聖被告に死刑判決が下されたこともあり、いま一度死刑問題を考えてみます

「死刑廃止にむけて」EU代表部のシンポジウムに行ってきました

モンゴルにおける死刑制度廃止の取り組みの説明があったり、元法務大臣の平岡秀夫の基調講演があったようです。上記のサイトで紹介されている基調講演の中から1つ引用します

ミドルセックス大学のウィリアム・シャアバス教授の基調講演
死刑はいずれ世界的に廃止になるだろうと予測される。問題はいつ、それを実行するかということのみだ。執行する国は年々減少しており、おそらくあと15年ですべての国から死刑がなくなると予想する。
ジュネーブで20年ほど前。死刑撤廃の国際会議があったとき、自分はロシアの代表と南アフリカの代表の間に座っていた。南アの代表は自分の国では絶対に無理だといった。わが国の犯罪率は世界一だ、と。でもその後すぐに、南アフリカでは死刑は廃止になった。
ロシアの代表も言った。わが国で死刑廃止は無理だ。なぜならロシア人は死刑は大好きだからだ、と。でもロシアでもすぐに死刑は廃止になった。
死刑は廃止される時は、ものすごく早く展開する可能性が高い。日本でも同じ事はありうる。もう死刑廃止は「いつ」するか、という問題。日本は「中国、アメリカより早いか」という問題になっているということを理解してほしい。
戦後、死刑をする国は多かったが、ゆっくり、そして加速をしながら廃止へと世界は向かっていった。事実上廃止国家、いわゆる十年行われてない国家は、もう死刑制度の復活はない。以前70年代はいったん事実上廃止しておきながら、また執行されるという例が見られたものの、90年代以降、事実上そうなってしまうと、それが撤廃につながるというパターンがすべてとなっている。ここ20年というものの、毎年2、3ケ国が廃止、または事実上廃止となっている。


世界が死刑廃止の方向へ動いているとの指摘はその通りでしょう。しかし、それをいくら強調されたところで、日本国民の8割が死刑制度存続に賛成している現実は変わりません。また、ロシアのように刑法犯に対しての死刑は廃止されても、政敵や政府にとって好ましからざる人物を暗殺する制度は存続している国もあり、そちらの方も問題です
引用はしませんが、平岡元法務大臣の基調講演では民主党政権時代に死刑制度についての勉強会を法務省が中心になって開催したものの、それが死刑制度についての国民的議論へと発展しなかった旨の報告が含まれています。マスコミが勉強会での議論を積極的に報道してくれなかった、との恨み節も混じえて
なので、「死刑廃止に向け、国民的な議論が必要だ」と繰り返し指摘されるものの、議論の場を設けることすら難しい、というのが実情なのでしょう。シンポジウム開催が2012年ですから、国民的な議論についての状況は何ら変わりません
自分は死刑制度存続を支持する立場なので、上記のようなシンポジウムで「世界の趨勢は死刑廃止である。日本は乗り遅れている」と言われても死刑廃止派へ乗り換える気にはなれません。「日本人は死刑の残酷さを知らない」とか「日本の死刑制度は間違っている」などと言われても、考えは変わりません
こうした死刑廃止派による数々の指摘、批判、意見で死刑制度存続を支持する日本人の心情を動かすのは限りなく困難でしょう
このシンポジウムでの質疑応答の場面で、平岡元法務大臣は「有権者と話す機会があるのだけど、日本の国民がこの現状を知らなさすぎるのが恐い。世界の常識を知ることが大事。被害者の応報感情というのもあって、これはとても強いのだけど、それと死刑とはまったく別の問題だと考える。日本ではまた被害者の救済がきちんと行われていないことも問題である」なとと発言しています
平岡元法務大臣といえば、野党時代の民主党の「ネクスト法務大臣」という立場だったとき、民放の番組に出演した際の犯罪被害者を罵倒する発言が有名です
2007年6月に、日本テレビのバラエティ番組「太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中。」に出演した平岡秀夫は、少年2人によって身体障害を抱える息子をリンチ殺人された母親に向かい、「(殺人には)それなりの事情がある」、「あなたは犯人である少年に死の恐怖を味わわせてやりたいのか」と加害少年を擁護する発言をし、世間一般から批判を浴び謝罪に追い込まれています
ただ、平岡秀夫が「刑事裁判における被害者参加制度」の実現(2008年12月から導入)に尽力したのは事実であり、何もしてこなかったわけではありません
話が散漫になってしまいましたが、日本の司法制度を「死刑を存続させているから時代遅れ」だとか、「異常」などと批判するのは勝手でしょうが、死刑制度の存続という1点をもって全否定するのは疑問であり、反論したくなります
そして外国人がどう批判しようと、日本人の多くが死刑制度存続を支持するであろうことは明らかであり、揺るがないと考えます

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