今市女児殺害事件 最高裁で無期懲役確定

栃木県今市市で小学1年生の吉田有希ちゃんが行方不明となり、その後惨殺された状態で発見されたのが、2005年12月に起きた今市事件です。その後、2014年になって古物商の勝又拓哉被告(偽ブランド品販売等の容疑で逮捕)が犯行をほのめかす供述をしたとして逮捕、起訴され、1審の宇都宮地裁で無期懲役の判決を受けました
弁護側は冤罪を主張し、争ってきたのですが、最高裁第2小法廷は上告を棄却する決定を下し、勝又被告の無期懲役が確定となります


平成17年に栃木県今市(いまいち)市(現日光市)の小1女児を殺害したとして、殺人罪などに問われた勝又(かつまた)拓哉被告(37)について、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は被告側の上告を棄却する決定をした。無期懲役とした1審宇都宮地裁の裁判員裁判判決を破棄し、改めて無期懲役とした2審東京高裁判決が確定する。4日付。4裁判官全員一致の結論。
平成30年8月の2審判決は、供述の信用性を判断する補助証拠に過ぎない取り調べ録音・録画(可視化)映像で犯罪事実を直接認定したのは違法として1審判決を破棄。その上で、別事件で逮捕後に母親にあてた「自分で引き起こした事件、お母さんや、みんなに、めいわくをかけてしまい、本当にごめんなさい」とする手紙について「被告が殺害の犯人でないとすれば合理的に説明することは困難」と判断。手紙を有罪認定の根拠とし、状況証拠から被告が殺害の犯人と認められるとして再び無期懲役を言い渡した。
2審では、当初の起訴内容から殺害の日時・場所の範囲を大幅に広げた予備的訴因を追加。弁護側は、予備的訴因の追加は裁判員が判断しておらず、手紙の評価も重大な法令違反があるなどとして上告したが、第2小法廷は決定で、上告理由に当たらないとした。
勝又被告は捜査段階で殺害を認めていたが、公判では否認。無罪を訴えていた。弁護側は「取調官に迎合して虚偽の自白をした」と主張。物証が乏しく、2審では自白の信用性や録画を証拠として用いることの是非が争点となっていた。
勝又被告の弁護人は6日午後、東京都内で記者会見し、午前中に接見した勝又被告が「直接的な証拠はないはずなのに、有罪を是認したことは承服できない。再審請求など自分自身の無罪を示すために戦っていきたい」と話したことを明らかにした。
弁護人よると、勝又被告の健康状態はよく、社会復帰に向けた強い意志を持っているという。
(産経新聞の記事から引用)


弁護側は第三者による犯行の疑いを否定できない、と主張してきたのですが、最高裁は2審の判断のみを取り上げ、弁護側の挙げる上告理由(事実認定に重大な誤りがある)をことごとく「上告理由に当たらない」と判断しています
冤罪を主張する弁護側にとっては納得できない最高裁の態度なのでしょう。再審請求を見据えて活動すると述べています
1審判決にしろ、2審判決にしろ、殺害場所や殺害方法、使用した凶器等について有耶無耶な部分があるのは確かです。これは勝又被告の供述のみを頼りに、警察や検察が推論を加えて組み立て立件した(使用されたとする凶器は発見されないままです)結果でしょう
ただ、勝又被告以外に犯人がいた可能性は限りなく低いのであり、犯行の詳細な模様を勝又被告が黙して語らないのであれば、誰もそれを明かすことはできません
自白に執着し、自白さえさせれば立件できると思い込んでいた警察の不手際も指摘されて当然です
長時間に渡って詰問を繰り返し、恫喝し、締め上げれば自白するはず、という昭和のような取調べに依存しているから、このような結果を招くのであり、警察関係者は猛省すべきです(と言ったところで反省などしませんし、相変わらず自白偏重の捜査をするのですが)
状況証拠だけでは有罪にできない、と憤る弁護側ですが、状況を考えるなら勝又被告の犯行との見立ては成立するのであり、十分な動機があったものと考えられます。詳細は当ブログでこれまでにも言及してきました
有罪との推定をひっくり返すだけの新たな証拠、証人を見いだせないと再審請求しても通用しないのではないでしょうか?

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