ひきこもり自立支援施設の闇

「自宅で引きこもっている男女を強制的に連れ出し、自立した生活ができるよう訓練する」と謳うNPO法人や民間企業が各地に存在します
ただし、問題も多く、高額(訓練内容に見合わない)な料金を請求したり、収容したひきこもりの男女に暴力をふるったりとトラブルが報告されています
その1つ、「あけぼのばし自立研修センター」が刑事告発されたと報じられています
ただ、「あけぼのばし自立研修センター」の運営会社は昨年末、経営破綻しています。会社の倒産によって責任の所在がうやむやになってしまうおそれもあります。経営破綻してしまえば、民事で損害賠償請求しても応じるだけの資産がない、という結果になりかねません


ひきこもり支援をうたう業者に自宅から無理やり連れ出され、監禁されたなどとして、神奈川県の30代の男性がこの業者の運営会社の代表者らを暴行と逮捕監禁致傷などの容疑で15日、警視庁牛込署に告訴し、受理された。男性の弁護団が明らかにした。同署は関係者から事情を聴くなどして捜査を進める方針。
ひきこもりの自立支援を掲げる一部の民間施設については「引き出し業者」などと呼ばれ、近年トラブルが相次ぎ、消費者庁はホームページなどで注意を呼びかけている。弁護団によると、2018年夏からこうした業者に対する民事訴訟などに取り組んでいるが、刑事事件に至るケースは初めてとしている。
告訴されたのは「あけぼのばし自立研修センター」の運営会社「クリアアンサー」(東京都新宿区、昨年12月に破産)の代表者や従業員ら9人。告訴状によると、同社の従業員らは18年5月、男性を自宅の部屋から連れ出して車に乗せ、新宿区内の寮に9日間監禁したとされる。
弁護団によると、男性は大学を卒業後、就職せず両親と同居していたが、経済的な自立を求めていた両親がクリア社に相談。男性の就職や社会復帰を支援するといった内容の契約を同社と結び、約700万円を支払ったという。男性は連れ出される際に抵抗するなどしたため寮に監禁されたほか、都内の精神科病院に約50日間入院。退院後、センターの別の寮に約40日間滞在し、ほかの寮生らとともに脱走したとしている。
男性と父親は昨年2月「金額に見あう支援がなく深刻な人権侵害があった」として、損害賠償などを求めてクリア社を提訴。同社側は男性の同意なく車に乗せて移動させたことや、寮から逃げ出さないよう監視していた事実は認めているが「保護行為として必要性、相当性が認められる」などと主張している。今回の告訴についてクリア社の代理人弁護士は「コメントはできない」としている。
(朝日新聞の記事から引用)


他の報道によれば、3か月間の研修で請求された代金が432万円とか、半年の研修で685万円というケースがあったのだとか
もちろん、営利を目的とした会社なので利益を確保するのは重要です。しかし、月に100万円を超える研修費はいかにも高額であり、研修実態に見合ったものであったかどうか疑問です。ひきこもりのこどもを抱えて困っている親を食い物にする行為だ、と告発されるのは頷けるところでしょう
さて、この自立支援施設の経営破綻については、以下のような報道が昨年ありました


ひきこもりの自立支援等をうたう「あけぼのばし自立研修センター」を運営するクリアアンサー株式会社(東京都新宿区、代表取締役 監物啓和)と、「東京自立研修センター」を運営するリアライズ株式会社(東京都中央区、代表取締役 監物啓和)が23日、東京地方裁判所で破産手続きに入ったことが破産管財人への確認でわかった。
ある日突然、居室に入ってきた複数の見知らぬ男女により、集団生活型の自立支援施設に入るよう強引に説得されたのち、従わなければ暴力的な手段で連れ出されたなどといった被害を訴える声が相次いでいる。同様の被害や、適切な支援ではなかったなどと両社に対して起こされている民事訴訟は、明らかになっているものだけでも、クリアアンサー社に対しては4件、リアライズ社に対しては1件ある。クリアアンサー社に関しては今年11月、東京地検に告訴状も提出されていた。
リアライズ社は、クリアアンサー社の100%子会社であることがこれまでの裁判で明らかにされている。使用していた東京都新宿区住吉町界隈や商店街にある施設だけでなく、職員らもほとんど共通していたことから、実質的な営業窓口会社として機能していたとみられる。
・いわれのない誹謗中傷や誤った情報がインターネットやメディアで報道されており、テレビ記者が職員を追いかけ回したこと
・報道に感化された人物が押しかけてセンターへの批判をまくし立てたこと
・脅迫電話や命を危険にさらすメール等が頻繁に届く状態であること
等が挙げられ、「通常サービスどころか生命の安全さえままならない状態となってしまいました」との説明が書かれていた。


会社側の言い分は、「自分たちこそ被害者」というものです
暴力に依存せず、公明正大に事業運営していれば刑事告発などされないのであり、告発されるにはそれだけの理由があるのでは?
かつて戸塚ヨットスクールが不登校児、情緒障害児をヨット訓練によって自立させると報じられた時代には、全国に類似した精神修養施設やら訓練施設が乱立したものです。しかし、中には暴力事件で警察沙汰になった施設もあり、淘汰されました
ここ20年くらいはひきこもりの青少年を無理やり自宅から連れ出し、収容する施設が各地に現れ、さまざまなトラブルが報告されているのが実態です
暴力で自立を命じ、強制するのは何の解決にもなりません。ましてや、上述のように研修内容に見合わない高額な研修費を請求するのは論外でしょう
このような問題が浮上すると、「国が施設を作って対応スべきだ」との意見が出るのですが、国にしても地方自治体にしても対処するためのノウハウはないのが実際です。これから準備を始めても施設として運営できるまでには3年から5年はかかるでしょう
まだ、民間の施設でモデルケースとなる事例を集め、処遇プログラムを整備した方が現実的ではないかと思います
「ひきこもりなんて、軍隊を作ってそこに放り込めば解決する」と、北野武は発言していました。が、軍隊はひきこもりの矯正を目指した組織ではありません。北野武自身、軍隊経験はないのですからこの種の思いつき発言は迷惑なだけです

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