鹿児島5人殺害事件を考える 「病気じゃない」発言

鹿児島県日置市で親族ら5人を殺害して起訴された、岩倉知広被告の公判が続いています
5人を次々と素手で絞殺し、遺体を遺棄するという凶悪な犯行であり、その犯行動機からすると親族への逆恨み、あるいは被害妄想という可能性が浮かび上がってきます。被害妄想が固着し、信念のようになってしまって正常な判断力を失った場合、刑事責任を問えるのかどうか?
岩倉被告の被害妄想がどの程度のものであったのか、精神鑑定の結果も注目されます
11月27日の公判で、岩倉被告は「自分は病気(精神障害)ではない」と発言しています

岩倉被告「自分は病気じゃない」 鹿児島5人殺害事件・第7回公判
鹿児島県日置市の民家で2018年に家族ら男女5人が殺害された事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、岩倉知広被告(41)の裁判員裁判の第7回公判が27日、鹿児島地裁(岩田光生裁判長)であった。裁判では岩倉被告の刑事責任能力の有無が大きな争点になっているが、この日の被告人質問で「自分は病気じゃない」などと述べた。
起訴状によると、岩倉被告は18年3月31日夜~4月1日朝、祖母久子さん(当時89歳)宅で、父正知さん(同68歳)と久子さんの首を絞めて殺害し、遺体を近くの山林に遺棄。同月6日には、久子さん宅に2人の安否確認に来た伯父の妻孝子さん(同69歳)と孝子さんの姉坂口訓子さん(同72歳)、近所の後藤広幸さん(同47歳)も首を絞めて殺害したとされる。
岩倉被告を精神鑑定した医師2人はこれまでの公判で、被告に「妄想性障害」があったと認め、その程度で見解が分かれていた。この日、検察側が、正知さんが以前被告にうつ病に関する本を渡したことについて質問すると、被告は「自分は病気じゃないから読まなかった」と述べ「自分は病気だと思うか」との質問には「いいえ」と答えた。
遺族の意見陳述もあり、親族7人が法廷と書面で意見を述べた。正知さんの妹は法廷で「兄(正知さん)は口数は少ないが優しく、母(久子さん)は女手一つで私を育ててくれた。なぜ自首しなかったのか」と述べた。孝子さんの娘は終始声を詰まらせながら「母たちがどれだけ痛くて怖い思いをしたか。人間がやることではない」などと話した。孝子さんと坂口さんの弟は「姉2人を返せ!」と心情を訴えた。
孝子さんの息子が岩倉被告に「遺族に何か思うことはないか」と問うと、被告は長い沈黙の後「逆に、なぜあんな陰湿なことをしてきたのか」と2回繰り返した。遺族はいずれも死刑を望むと話した。
12月1日の公判で結審し、判決は同月11日の予定
(毎日新聞の記事から引用)

上記の記事では触れていないのですが、法廷では以下のようなやり取りがあったと、別の報道が伝えています

岩倉被告はこれまでの裁判で「水に毒を盛られた」などと思い込みともとれる発言をしていて、精神鑑定をした2人の医師は岩倉被告について「妄想性障害がある」としています。
岩倉被告は鑑定結果を巡り、「妄想ではない、調べてもらったらわかることです」と、自身の発言が思い込みではなく事実であると主張しました。
ただし、「何かを盛られて(精神が)保てなくなっているとは思う」と話し、発言が揺らぐ場面もみられました。
(FNNプライムオンラインの記事から引用)

過去の事件では、向精神薬の服用を拒む患者に対し親族が飲み物の中に薬を混ぜ服用させたところ、「毒を盛られた」と主張して暴れ負傷させたというケースがありました
このように「自分は迫害されている」との被害妄想を抱く患者の場合、薬の服用でさえ「毒を盛られた」と受け止める向きがあり、対応がなかなか困難です
岩倉被告の場合を同じ、と判斷するのは控えます。が、家族間でさまざまな葛藤、いざこざがあったことを含めて考えると、家族がよかれと思って食べ物を差し入れても、岩倉被告は「毒を食べさせるつもりか?」と疑念を募らせ、被害妄想をますます深めたのかもしれません
結果として就労するよう申し向けるのも、励ますのも、すべて精神的な圧迫であり、陰湿な嫌がらせと岩倉被告は受け止めるようになったと考えられます
裁判官の判斷としては、岩倉被告の妄想傷害が動機の一端にはあったものの、刑事責任能力がなかったとはいえないとしてバランスを取り有罪を認定するのではないでしょうか?
検察は死刑を求刑すると思われますので、裁判官は精神障害を考慮して罪一等を減じ無期懲役の判決を下すと予想されます

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