電車で女子中学生に体液 教頭は懲戒免職

おそらく日本中の、こどもを持つ親が呆れたであろう伊勢原市立桜台小学校教頭武井雅典の犯行は、本人が考えるより重大な結果を招いたといえます
神奈川県教育委員会は武井容疑者を懲戒免職処分にすると発表しました。今月9日の逮捕から2週間での懲戒処分決定です。どこかの教育委員会とは比べものにならない迅速な措置で、自分も驚きました
もっとチンタラ時間をかけた上に、ヌルい処分でお茶を濁すのではないかと思っていました。さすがに今回の武井容疑者の犯行は擁護できず、果断な措置を取らざるを得なかったのか。教育委員会に抗議の電話もたくさんかかってきたのでしょうし
まあ、この迅速な対応も「やればできるじゃないか」と言いたくなるところですが


神奈川県教委は24日、電車内で女子中学生の手首に体液をかけたとして逮捕された、伊勢原市立桜台小学校教頭の武井雅典容疑者(59)を懲戒免職処分にした。
武井容疑者が逮捕されたのは11月9日。暴行容疑で、9月16日午後5時ごろ、小田急線下北沢―登戸駅間を走行中の下り電車内で、ドア付近に立っていた中学1年の女子生徒の右手首付近に自らの股間を押しつけて体液をかけたとしている。
県教委の聞き取りに対し「快感を得るためにやった」と行為については認める一方、「体液が出たのは間違いないが、短パンだったのでかかってしまったかもしれない」と述べ、故意ではなかったという趣旨の説明をしているという。
県教委の桐谷次郎教育長は「教職員に範を示すべき管理職である教頭が、あるまじき行為に及んだことは、児童・生徒や保護者をはじめ、社会に与える影響は計り知れない。心からおわび申し上げる」とコメントした。
(毎日新聞の記事から引用)


公務員の懲戒処分の流れというのは、経験したことのない人には理解し難いのかもしれません。民間企業なら「お前はクビだ」と言い渡すだけで済ませているところも、まだあるのでしょう
公務員の場合、懲戒制度の説明と根拠となる法律、地方公務員の場合は懲戒規定を定めた条例の説明から始まり、事実関係の確認も必要ですし、本人に釈明の機会も与え、きちんと記録を残す必要があります。逮捕されて警察が取り調べをすすめている間は、警察署に面会に出向いてもなかなか会わせてもらえず、やっと面会できたとしても10分間だけ、などと制限されてしまい、懲戒手続きを行うだけの時間を確保できなかったりというのが実態です
なので、最低でも1時間程度は勾留中の容疑者と面会する時間を確保できないと、懲戒手続きを完了させるのは難しいと思います(これでもよほど要領よくすすめないと、無理です)
容疑者が犯罪行為についてあいまいな説明に終始したり、黙秘したならそこで懲戒手続きは止まってしまいます。となれば、別の方法で懲戒に値する行為があったかどうか、確認する必要に迫られます。「新聞記事に書いてあったから」では通用しません
さて、武井容疑者の刑事処分はこれからですが、どうなるやら
精液を女子中学生の手にかけるつもりはなかった、との主張に執着するのであれば当然、起訴された上で公判が開かれます
有罪判決が下されたとしても、「既に社会的制裁(懲戒免職処分)を受けている」として、執行猶予付き判決になるかもしれません。余罪があれば別ですが

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劇場版「機動警察パトレイバー2 the Movie」を語る

最初は「研究」と記事のタイトルにはつけましたが、それほどの用意はなく、探究心にあふれているわけでもありません
自分の気に入った作品について、何かまとまった記事を1つ書き残しておきたいと思い立っただけなので、変更しました
押井守監督の劇場版「機動警察パトレイバー2 the Movie」は1993年に公開された作品で、興行収入は1億8千万円ほど。同年公開された映画では「ジェラシックパーク」が大ヒットとなり興行収入は83億円です。劇場版アニメーションとしては、前年1992年公開の「紅の豚」が28億円、1994年公開の「平成狸合戦ぽんぽこ」が26億円といった具合です
なので、「機動警察パトレイバー2 the Movie」は興行としてはまったく成功しなかった作品といえます
ですが、作画にしろ、ストーリーにしろ、演出にしろ、実に見るべきもの、語るべきものの多い作品であり、傑作の1つに挙げてしかるべきと自分は思っています
今回は「ひたすら映画を観まくるブログ」さんの記事を引用させてもらいます。丹念に情報を拾い、まとめた質の高い記事を書いておられる方です

『機動警察パトレイバー2 the Movie』はこうして生まれた

映画公開前後に監督やスタッフが取材を受け、作品について多くを語るのが常です。しかし、こうした発言を自分はあまり信用しません
表に出てくるのは、表に出せるエピソードだったり、当たり障りのないよう脚色した話であると推測するからです
よく宮崎駿の制作現場にカメラが密着、などというテレビ番組がありましたが、あれもテレビで紹介できる場面だけを切り取って編集されたものです。映画の公開日が近づくにつれ制作現場(ジブリ)は修羅場と化し、宮崎駿がスタッフを「なぜこんなミスを見逃すんだ?」とか、「何度説明したら判るんだ?」などと怒鳴りつけるのが日常ではなかったか、と想像します
それを表に出すとスタジオジブリのイメージ、宮崎駿の「自然大好きなトトロのやさしいおじさん」というイメージが壊れますので、編集でカットしているのだろう、と
さて、「機動警察パトレイバー2 the Movie」でも同じであり、制作にかかわった創作集団「ヘッドギア」(ゆうきまさみ、出渕裕、押井守、伊藤和典)の間でも、さまざまな葛藤、対立があったものと想像されます。が、作品ができあがってしまえば制作時のいざこざを蒸し返すのは野暮というものでしょう
ただ、制作過程での役割分担というのは、作品を読み解く上での手がかりになるため、「ひたすら映画を観まくるブログ」さんの記事からいくつか引用させていただきます

『パト2』に関して言えば、設定なんかも含めて、ほぼ押井さんが決めてましたね。押井さんがあらかじめかなり詳細なプロットを用意していたので、脚本家の自分はただそれになぞって書くだけでした。後藤と荒川が川下りしながら長台詞の会話をするシーンなんかも、押井さんから「ちょっと語りたいことがあるから、場面だけ用意しておいて」ってオーダーがあったので、僕はただその場面を脚本内に配置しただけですから。実際のセリフも全部押井さんが書いたものです。
 (「機動警察パトレイバー 泉野明×ぴあ」より)

『パトレイバー2』の制作は最初から波乱含みでしたね。お互いに牽制し合って、誰が主導権を握るんだ?って感じで。ただそれは、ハッキリ言って最初から勝負はついていた。つまり、伊藤くんと僕が組んだ時点で「戦争ものをやろう」って。バンダイの方も、最初のOVAでやったクーデター話(5話・6話)がお気に召していたみたいだから、一応の内諾は取れてたんです。あとは、伊藤くんと早々に共同戦線を張って、泣こうが喚こうがストーリーの大枠を決めちゃって、これでもう勝つ構図はできていたわけですよ。
まあ、こんなことばかりやっていてもしょうがないんだけど、映画を成立させるためには政治力というか力関係というか、戦略が大事なわけ。早い段階で勝負を決めておかないと、スタートしてからケンカを始めると、お互いに消耗戦になった挙句に損はするしボロボロになってしまう。問答無用で抜きざまに一閃しないと。相手がもんどりうってるうちに、ことを進めちゃわないとダメなわけですよ(笑)。まあ、そういった意味では作戦勝ちでもあったし、ヒドいことをやったなとは思うんだけど、今回は全く聞く耳を持たなかったというか、何を言ってきても受け付けなかった。 
(「押井守全集 THE SEVEN DOGS' WAR」より)

語りたいものを全面に出すとほぼセリフだけの展開になりますから、そこにどのような絵を当てはめて、語りのバックボーンや世界観を表現するかが重要になります。上記の後藤と荒川が川下りをしながら会話をする場面は、沿岸の工業地帯や倉庫群を観客に観せて日本の経済的反映を印象付ける演出になっています
この後藤と荒川の会話が事件の伏線であり、事件の真相を裏付けるものですから、重要な場面です。が、如何せん長い
したがって、押井守としては絶対に譲れない、譲りたくない場面だったのであり、セリフのカットにも応じたくなかったと推測します
荒川役の声優に竹中直人を起用したのも当たりで、2人の会話がより印象深いものになったのも竹中の深みのある声による功績でしょう

1作目はアクション性を全面に押し出した娯楽映画だったけど、2作目は全然違う種類の映画で、ある種の”ポリティカル・フィクション”を目指したんですよ。登場人物と観客との間に常に一定の距離を保ちつつ、緊迫感や予兆みたいなもので物語を引っ張っていこうと。アニメでそういうことが可能なのかどうなのかってことも試してみたかった。きっかけは湾岸戦争ですね。僕らの世代は戦争の記憶といえばベトナム戦争なんだけど、今の若い人たちにとっては湾岸戦争だろうと。ちょうど映画の準備をしていた時期に湾岸戦争が勃発して、アニメで戦争を描くにはいい機会だと思ったんです。
ベトナム戦争と湾岸戦争の大きな違いは何かっていうと、「モニターの向こうにしか戦争がない」ってことなんですね。いま世界中で戦争が行われているのに、日本だけが敢えてそういう現実から目を逸らそうとしている。あくまでもモニターの向こう側の出来事であって自分たちには関係ない…と。そういう人たちに強烈な一撃を食らわせようとする犯人のイメージがまずあって、それが柘植行人という男なんです。 
(「BSアニメギガ とことん押井守」より)

政治色の濃い作品ではありますが、首都圏を目指して飛来する自衛隊機を迎撃しようとする緊迫したやりとりなど、ミリタリー好きにも刺さる場面が盛り込まれていたり、柘植行人と南雲しのぶの大人の恋をさりげなく描くといった場面も含まれており、見せ場が工夫されています
自衛隊の治安出動であるとか、自衛隊基地前に警察が機動隊を展開させて事実上の基地閉鎖に動くといった権力のぶつかり合いを描いて緊迫感を演出する一方、市民が自衛隊の戦車を前に日常の通勤風景を繰り広げる・・・という具合に弛緩した状況も対比として描いているのは出色です
劇場版のアニメーション(長尺もの)はこうやって作るんだよ、というお手本のような作品です
公開から随分と時間が経過し、いまや古典と呼ぶ部類に含まれるのでしょうが、アニメーションを学ぼうという人や若いアニメーションファンには是非、一度観てほしい作品です
最後に、政治と戦争に絡めて書きます。公開されたのが1993年です。それから16年を経て民主党政権が成立し、平和ボケここに極まれりという政治が続きました。その後、安倍内閣では安全保障関連法案が提出され、反対派が国会前に押しかける騒動にはなったものの、安全保障に関する議論が深まったのかと問われれば、首を傾げざるを得ません
つまり「機動警察パトレイバー2 the Movie」の、戦争という状況に国民を直面させ、目覚めさせるという過激な発想がいかに時代の先をいっていたか、という話になります
もちろん、戦争を望んでいるのではなく、戦争を回避する上でも単に「平和主義」だとか「平和国家」とか、「憲法第九条」だとかお題目のように唱えるのではなく、具体的な政策、方針が必要という話です
「日本は世界で唯一の被爆国である」と枕を唱えたなら、世界の国々が日本の主張に耳を傾けてくれる、などという事態にはなりません
野党は安全保障に関する議論をひたすら避け、学術会議だの「桜を見る会」だのの質問を繰り返し、政府与党を追及しているフリをするのに懸命
です。それよりも不測の事態に巻き込まれた際に(北朝鮮から弾道ミサイルが飛んできて日本の都市部に着弾し、人的被害が発生した場合)にどうするか、議論する必要があるのではないでしょうか?
あるいは北朝鮮に弾道ミサイルを発射させないためにどうするか、を議論してもらいたいものです

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