少年院出の15歳が殺人 保護処分が刑事処分か

今年8月末、福岡市中央区の商業施設で女性を刺し殺した容疑で逮捕されていた15歳の少年は、鑑定留置として身柄を拘束した上で精神鑑定が実施されていました。福岡地検は鑑定結果を受け、責任能力に問題はないと判断し福岡家庭裁判所に送致しています
福岡家庭裁判所は少年を保護処分とするか(少年院送致)、刑事処分とするか(検察官に逆送した上で刑事処分を問う=刑務所行き)を審判することになります。少年の身柄は福岡少年鑑別所に収容されたはずです
西日本新聞がこの少年の家庭事情について取材し、記事にしていますので取り上げます


少年が生まれ育った鹿児島県内の小さな集落。ここに住む祖父の一軒家の玄関には、少年が図工の授業で作った人形が飾られていた。かわいがっていた祖母(故人)と風呂に入り、大きな声で数字を数える練習をした。祖父母と畑に出掛けて一緒に弁当を食べ、「楽しいね」とはしゃいだこともあった。祖父は「明るくてよく甘えてくる、かわいい孫だった」と目を赤くした。
幼少期から他者との意思疎通が苦手な一面があり、発達障害と診断されていた。強い口調で叱られたときなどは、かんしゃくを起こして手が付けられなくなったという。
「優しく受け止めるように心掛けていたが、自分に向かってきたときには厳しく叱りつけたこともある。障害の特性について勉強はしたが、分からないことも多かった」と明かした。
少年が通った小学校の関係者によると、包丁を振り回す騒ぎを起こしたこともあったという。高学年からは家族の元を離れ、児童自立支援施設や少年院など数カ所の施設で過ごした。
最後に言葉を交わしたのは、数年前に施設からかかってきた電話だった。「じいちゃん元気? 僕も元気に頑張っているよ」。しかしその後、暴力問題を起こし、さらに別の施設に移された。
「またここに戻って来ると思っていた」。祖父は涙声で漏らした。
「暴力傾向」居所なく
小学校高学年から暴力問題を起こすたびに、施設を何度も移ることになった少年(15)。接見を重ねてきた弁護士は「家庭でも施設でも、特性に合った教育や支援が受けられないまま、他人に対して暴力で存在感を示そうとする言動を身に付けてしまったのではないか」と推し量る。
祖父によると、少年は小学3年の頃、「何もしてないのに怒られる。学校に行きたくない」と話し、不登校がちになった。当時の学校関係者は「保護者は学校の指導に問題があると受け止めているようだった。過疎地の学校でもきちんとした教育が受けられるようにと努力したのだが…」と振り返った。
その後、両親が離婚。児童養護施設で生活することになったが、他の入所児童らへの暴力が目立ち、児童自立支援施設へ移されることになった。
「近年は、発達障害や虐待の影響を受けた子の入所が増えている」
児童自立支援施設は都道府県などが運営し、非行少年らの立ち直りを支援する場。施設幹部は取材に「個別の事実関係は話せない」とした上で「近年は、発達障害や虐待の影響を受けた子の入所が増えている」と実情を説明した。「信頼関係を築けるような指導を心掛けているが、施設を出た後に苦労している子が多いのも事実だ」
少年は暴力的な傾向が改善せず、鍵のかかった部屋での隔離が可能な施設に移った後、少年院に入った。
(以下、略)


この記事だけでは少年の境遇が理解し辛いと思われます
まず、小学校時代に不登校となり、登校しても学校で暴力沙汰を起こすなど、問題があったようです。その後、両親が離婚したため養護施設に預けられたのですが、そこでも暴力沙汰があったようで、県の児童自立支援施設(旧教護院)に入れたのでしょう。が、暴力をふるう行動が改善しないため国立武蔵野学院(厚生労働省が所管する国立の教護院で、居室の扉を施錠する強制措置がとれる)に送られたのですが、やはり暴力事件を起こして少年院送致になったと考えられます
先にこの事件を取り上げた際には福岡少年院に収容されたのだろうと推測しましたが、その後の情報によれば中津少年学院に収容されていたようです。発達障害など、精神的に未熟な少年を収容する施設です
ただ、そこでの処遇がどうであったのか、検討・検証される必要があります
仮退院した直後の殺人ですから、仮退院させたのが適切な判断であったのか、どうか。もっと時間をかけ、教育する必要があったのではないのか、という思いが残るわけです。少年院の収容期間は弾力的に運用されますので、収容期間を延長させたいのならしかるべき手続きを経て可能です。そうしなかった理由、事情があったとは考えられないのですが、どうでしょうか?
今回の事件に関しては、刑事処分にして懲役15年とか言い渡す選択もあります。ただ、それは15年刑務所に入れておくというだけであり、発達障害の彼に相応しい教育的措置が取られるわけではないのであり、30歳で刑務所を出た彼はまた犯罪に走る危険があります。ならば、少年院で6年、7年かけ、教育を試みるのも1つの選択ではないかという気もします

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