実写化「岸辺露伴は動かない」成功した理由

漫画やアニメのヒット作を実写映画やテレビドラマにしようという企ては以前からあるのですが、成功した例は決して多くありません
実写化の報道が出た時点で、原作至上主義者が不満を述べ始め、さらに出演者が決まると「イメージに合わない」と俳優をこき下ろし、批判の大合唱となります
それでも知名度の高い作品を実写化すれば興行収入が得られる、視聴率が稼げると業界人は考えているのか、実写化は繰り返されます
今回はNHKがドラマ化した「岸辺露伴は動かない」を取り上げます。ドラマの評判は上々であり、昨今の失敗作だらけの実写化作品にあって異彩を放っています
なぜ、NHKは成功したのかを考えてみようと思います


ジョジョ実写ドラマ『岸辺露伴』字幕が話題 「ッ」など原作理解度の高さに絶賛「愛感じる」
『岸辺露伴は動かない』は、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのキャラクター・岸辺露伴を主人公とした物語で、同名漫画が原作。露伴は、『ジョジョ』シリーズ第4部『ダイヤモンドは砕けない』に登場する漫画家で、対象(相手)を本にして記憶を“読む”能力を持つスタンド使いで、『岸辺露伴は動かない』では、露伴が漫画執筆のために訪れた取材先で見聞きした奇妙な体験を描いたスピンオフ作品となっている。
28日に放送されたのは、原作漫画でもある『富豪村』で、露伴が漫画編集者の泉京香と打ち合わせをしている際、山奥の別荘を買う話を漫画にしないかと提案される物語。露伴は反対したが、実際に別荘を買うのは泉であり、好奇心と興味に背中を押されて、彼女の付き添いという名目で同行取材して、マナーをテーマにした“奇妙な”出来事に巻き込まれる…。
ドラマが放送されると、原作同様の奇妙な雰囲気の物語、露伴の特殊能力(スタンド能力)で指示を書き込むこともできる「ヘブンズ・ドアー」をうまく再現しており、ネット上では「高橋一生さんと岸辺露伴のシンクロ率えげつねぇな」「役者さん達のはまり具合が見事でしたッ!」「完璧な実写ドラマ化過ぎ」「『原作のビジュアルに似せる』のではなく、『原作の雰囲気に似せる』という選択が実写における最適解だという事をよく理解しているし、ジョジョの実写化の理想形を体現したという感じが凄い」などと絶賛。
高橋の演技にも「岸辺露伴は原作からしてもガキ相手に大人気なく本気を出して、勝ったらメチャクチャに喜ぶような男なので、マナー違反指摘ボーイがマジで悔しがる様を見た時のあの高橋一生の表情、全ての岸辺露伴ポイントの条件が揃ってて最高なんだよな」とハマり役の声が出ている。
また、『ジョジョ』シリーズでは、「ディオォォオオーッ! 君がッ! 泣くまで! 殴るのをやめないッ!」「俺は人間をやめるぞ! ジョジョーッ!!」などと、「ッ」(小さい“ツ”)を使ったセリフが度々登場する。そんな中でドラマの字幕では「非常にッ」「生半可な作法で侵入していい場所じゃあないッ」と「ッ」を使った露伴のせりふが流れていた。
字幕を表示して見ていた視聴者からは「スゴクいい! いい字幕だ! ジョジョのリスペクトといい理解度といい こういう真摯な実写の字幕が出せるんなら岸辺露伴は動かないは『良好』だ!」「露伴先生のセリフの字幕がジョジョだw」「ちゃんと字幕も「ッ!」なのね」「岸辺露伴は動かない、字幕までこだわっててすごい。他にも普通なら『』つけないような単語にバンバン付けてるし愛を感じる」などと、制作のこだわりを感じた声があがった。なお、放送終了後はツイッターで「#岸辺露伴は動かない」がトレンド1位になり、大いに盛り上がっていた。(※28日午後11時半ごろ)。


岸辺露伴は動かない 原作:荒木飛呂彦×主演:高橋一生


作り手であるNHKが周到に準備をし、企画したのが成功の原因と考えます
ドラマの脚本はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」の脚本を手掛けてきた小林靖子が担当しており、ドラマ化にあたって妙な色を付けたりせず、きちんと話を作っているところが重要です。小林はインタビューでドラマ化をどう考え、脚本にしたかを語っています

「岸辺露伴は動かない」脚本・小林靖子が語る!!

小林は「ジョジョ立ちといったポーズ、セリフをネタとして面白がっているファンも多いのですが、そのまま実写で表現しても違和感がありますし、そうした一部を切り取るのではなく、常に動いている映像作品なりの荒木先生の世界を出せれば」と考えて取り組んだことを述べています
記号論の立場から言えば、アニメーションや漫画の人気キャラクターというのは、それだけで一個の記号(さまざまな色付け、意味を加えられた)であり、演じる俳優がさらに「ジョジョ立ち」などの色付けを重ねると、過剰すぎて食傷気味になってしまいます
似ていようと似ていまいと、高橋一生が岸辺露伴役ならばそれで十分に意味付けされているのであり、余計な演出や演技は不要です
しかし、実写化に携わる人間は過剰なまでに意味を重ね書きし、より本物らしく見せようとして失敗するのでしょう
唯一不満なのは、泉京香役である飯島まりえの演技だけは妙に漫画チックで、せっかくの作品のクオリティを下げてしまっており駄目だと感じたところです。漫画が原作のドラマだからといって、役者が漫画チックに演じる必要などありません

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