世田谷一家殺害事件 メディアの功罪

未だ容疑者の特定にも至ってない世田谷一家殺害事件は、今年で20年という節目でもあり、各メディアが記事を掲載しています
それらの記事では、捜査本部が指紋に執着したため聞き込みなど犯人の足取りを追う捜査が疎かになった、とする警察関係者の告白が軸になっており、いずれも似通った内容です
記事の元ネタは成城警察署長で退職した人物で、各メディアに自分の私見を売り込んだ結果(慣用句としての表現です。ネタを提供して報酬を得たという意味ではありません)なのでしょう
捜査の指揮にあたる者が入れ替わるたび、捜査方針が揺れ動いたとの指摘はもっともらしく聞こえます。が、この人物の私見が事実であるかどうか、各社が裏取りをしているかどうか、怪しい気もします
20年前の事件に再び光を当て、容疑者につながる目撃証言などを呼び起こすという意味ではメディアの果たす役割は大きいわけですが、裏付けのないまま一警察関係者の私見を、事実であるがごとく報道するのはどうか、と思ったので書いています
確かにこの元成城警察署長の話には重要な内容が含まれています
それは遺伝子情報をどこまで捜査に利用するか、という部分です
個人情報保護法制定にあたり、遺伝子情報の取り扱いに関するガイドラインはあるものの、刑事事件の捜査や裁判で遺伝子情報の扱いがどうなるかは未だ明確になっていないところがあります。遺伝子情報の収集はどこまで許されるのか、どのような収集は違法になるのか、どこまで証拠能力が認められるのか、これらの運用は個々の裁判による判例の積み重ねによるべきなのか、あるいは刑事訴訟法を改正して明記すべきなのか…
今回はそこへ踏み込まずにおきます
さて、今回取り上げるのは週刊文春、月刊文藝春秋の元編集長だった木俣正剛の書いた記事です。省略した前段部分では、世田谷事件の容疑者の遺伝子情報について書かれていますので、関心のある方はそちらも目を通してください。自分は後段の、事件を扱ったドキュメンタリー本の方を取り上げます


世田谷一家殺害事件から20年、真実にここまで肉薄していた捜査の全貌
(前略)
一方、世田谷一家殺人事件では、極めて危険な誤報も発生しました。韓国人犯人説、中国人犯人説など、当時増加していた国内で働くアジア人系の犯人グループがいるという報道が盛り上がったのです。草思社が出版した『世田谷一家殺人』は韓国人などアジア系の住民の犯罪という説を断定的に書いて、ベストセラーになりました。
それ以前にも、文春以外の週刊誌が同じようなことを書き、文春の読者やテレビの情報番組も注目。公安関係者とか、警察庁関係者といった匿名の情報源を根拠にして書かれている本なので、我々も検証のしようがありません。「なぜ、文春はアジア系外国人犯人説を書かないのか」と周囲からは何度も聞かれる状態でしたが、森下記者からは「絶対そのような捜査結果は上がっていない」という報告がありました。
そしてとうとう、警視庁捜査一課長がこの本を名指しで全否定し、ようやくこの説は下火になりました。人は本当の事実より、信じたい事実を読みたがる。フエイクニュースの恐ろしさを思い知りました。
週刊誌発の雑誌やノンフィクションの匿名のニュースソースによる報道は、記者との信頼関係なくしては成立しません。ある週刊誌で、亡くなった人物の追悼記事を書いていたアンカー(注)が、あるデータ原稿が面白かったので、もっと取材しようとそのデータ原稿のネタもとに直接電話をしたところ、証言したはずのその人物はすでに亡くなっていた……というのです。
つまり、そのデータ原稿を持ってきた記者は、匿名の関係者をデッチあげ、読者が読みたい事実を取材情報としてあげていたということになります。匿名だと、その証言が正しいかどうかの検証のしようがありません。
(以下、略)


記事で指摘している草思社の本は「世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白 」(齊藤 寅著)だと思われます
こうした類の犯罪ドキュメンタリー本、実録物は世に多く出回っているのですが、どこまでが事実か疑わしいものが少なくありません
と、書いている自分もこうした本は好きであり、読みます。が、あくまで読み物として接するのが基本であり、すべてを真に受けたりせぬよう用心しています
この「侵入者たちの告白」について警視庁の捜査一課長は、内容は全般にわたり根本的に事実と異なると批判し、被害者宅への侵入から殺害方法、犯人が自ら行った治療行為、パソコン操作、逃走方法、被害者の行動、遺留品、指紋など、重要部分がことごとく事実と異なり、誤解を生じさせ今後の捜査にも悪影響を与える懸念があると、コメントしています
本の中には被害者の母親のコメントも登場するのですが、母親は斉藤の取材には応じていないと明かしており、完全なでっちあげだと露見しています
アジア系犯罪組織による犯行、というのは1つの可能性ではあるのでしょう
ただ、その仮設を売り込みたいがため、あれこれでっちあげて読者をミスリードするのは大間違いです
事件を忘れないため、世間の関心を呼び覚ますためメディアの果たす役割は大きいだけに、こうしたでっちあげの本が出回るのは残念です

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世田谷一家殺害事件 未解決のまま20年

年末になると新聞や雑誌が一年を振り返り、衝撃的な事件や未解決事件を取り上げます。未解決事件として毎年のように取り上げられるのが、2000年12月に起きた世田谷一家殺害事件で、今年はあれから20年目となります
例年、警察の担当者による事件解決への決意が記事として配信されるのですが、どうにも虚しく感じられていまいます
もちろん、現場の捜査員は熱意をもって取り組んでおられるのでしょうが


東京都世田谷区で宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が殺害された事件は30日で、未解決のまま発生から20年。犯人につながる多くの証拠が得られながら捜査は難航している。指紋にとらわれた初動、絞りきれない動機、拡大する犯人像…。捜査は一体どこで滑ったのか。捜査員は風化とも闘いながら今も捜査を続けている。
「ホシ(犯人)の指紋と血がある。それが一致すれば、必ず挙がる(解決する)」。ある捜査員は、こんな会話が脳裏に刻まれている。事件直後、捜査幹部は遠からず犯人を検挙できると確信していた。指紋に加えDNA型が検出できる血液。現場からは直接犯人につながる決定的証拠が採取されていた。
だが事件は未解決のまま時間だけが過ぎた。「指紋にとらわれすぎて、初動で重要な基礎捜査がおろそかになった」。当時の捜査幹部は振り返る。現場周辺の聞き込みを行う「地取り」、被害者の顔見知りを調べる「鑑取り」。物証の多さが油断を招き、基本的な捜査が不十分だった可能性があるという。
犯人が現場に残した足跡から靴は韓国製ブランド「スラセンジャー」で、サイズは日本で販売していないものと判明。遺留品からは外国製洗剤とみられる成分や、外国の砂と酷似した砂も検出された。
捜査本部は昨年、凶器の包丁の柄を包んだとみられるハンカチをめぐり、フィリピン北部で同様の包み方をするとの情報を得たと発表。国内のフィリピン人に聞き込みを続け、フィリピン警察にも協力要請した。
なぜ一家が狙われたのか動機も判然としない。犯人は犯行後も長時間現場に居座った可能性があり、冷蔵庫にあったカップアイスをスプーンを使わずにかじり、みきおさんのパソコンを操作したことが判明。行動の異様さが際立つが、意図は不明だ。外国人やスケートボーダーなど数々の犯人像も浮かび、一点集約されるはずだった捜査はむしろ、無限に広がっていくようだった。
「現在なら3日もあれば絶対に捕まえられる」。捜査幹部は無念そうに語る。多くの捜査関係者が同じ意見だ。科学捜査が飛躍的に進歩し、防犯カメラも普及した。警視庁では過去8年間、特別捜査本部が設置された重要事件で未解決事件はない。捜査本部は、最新の科学技術を駆使した鑑定に期待を寄せている。
一方で、周辺の聞き込みや証拠品の徹底した洗い直しも続けられている。元捜査幹部は悔しさをあらわにこう訴える。「警視庁は、日本最強の捜査能力があると自負してきた。警視庁が解決できなければ日本警察の敗北。必ず検挙しなければならない」
事件を担当する捜査1課の鶴我能史(つるが・よしふみ)管理官(51)は「犯人を逮捕し、被害者の無念を晴らすのがわれわれの使命。あらゆる可能性を視野に入れて捜査し、犯人を絶対に逃さない」と力を込める。刑事警察の威信をかけた執念の捜査が続けられている。
(産経新聞の記事から引用)


毎日新聞にも、当時の捜査が指紋照合に頼りすぎたと元捜査員が自省する記事が掲載されています
そして上記の記事の文末にはお約束の、「犯人を逮捕する」という管理官の決意が記されているわけですが…
警察のメンツなどどうでもよいのであり、容疑者を特定できるか否か、が重要です
被害者との接点が見当たらないのであれば、通り魔的犯行と解釈してもよいのではないでしょうか?
強盗目的でもなく、個人的な怨恨でもなく、一戸建ての家に住む面識のない家族を狙い惨殺することこそが目的だったと
強いて憶測するなら、父親が日本人か韓国人でフィリピン人の母親との間に生まれた私生児(認知はされていない)で、幸せそうに暮らしている家族を報復のため殺し、国外へ逃亡した…といったストーリーが思い浮かびます。ですが、その線で捜査を進めるなど困難でしょうし、憶測でしかないストーリーに拘泥するのも誤りです
遺体の状況からして残虐な手口であり、となれば殺人は今回が初めてだったとは考えにくいところです。また、精神異常者であるとも考えられません。現場の住宅はかなり入り組んだ道の奥にあり、精神異常者が行って帰れる場所とは思えません。殺しの経験があり、しかも人を殺しても平気でいられるメンタリティの持ち主、でしょう(家の中は血まみれ状態でしたが、犯人はそこにとどまり返り血を浴びた衣類を着替え、朝の10時近くになって退去したと考えられています)
犯人がどこから来て、どこへ去ったのか、足取りをしっかりと掴む必要があったわけですが、上記のように指紋や数々の遺留品に目を奪われそこが疎かになっていたのかもしれません

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実写化「岸辺露伴は動かない」成功した理由

漫画やアニメのヒット作を実写映画やテレビドラマにしようという企ては以前からあるのですが、成功した例は決して多くありません
実写化の報道が出た時点で、原作至上主義者が不満を述べ始め、さらに出演者が決まると「イメージに合わない」と俳優をこき下ろし、批判の大合唱となります
それでも知名度の高い作品を実写化すれば興行収入が得られる、視聴率が稼げると業界人は考えているのか、実写化は繰り返されます
今回はNHKがドラマ化した「岸辺露伴は動かない」を取り上げます。ドラマの評判は上々であり、昨今の失敗作だらけの実写化作品にあって異彩を放っています
なぜ、NHKは成功したのかを考えてみようと思います


ジョジョ実写ドラマ『岸辺露伴』字幕が話題 「ッ」など原作理解度の高さに絶賛「愛感じる」
『岸辺露伴は動かない』は、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのキャラクター・岸辺露伴を主人公とした物語で、同名漫画が原作。露伴は、『ジョジョ』シリーズ第4部『ダイヤモンドは砕けない』に登場する漫画家で、対象(相手)を本にして記憶を“読む”能力を持つスタンド使いで、『岸辺露伴は動かない』では、露伴が漫画執筆のために訪れた取材先で見聞きした奇妙な体験を描いたスピンオフ作品となっている。
28日に放送されたのは、原作漫画でもある『富豪村』で、露伴が漫画編集者の泉京香と打ち合わせをしている際、山奥の別荘を買う話を漫画にしないかと提案される物語。露伴は反対したが、実際に別荘を買うのは泉であり、好奇心と興味に背中を押されて、彼女の付き添いという名目で同行取材して、マナーをテーマにした“奇妙な”出来事に巻き込まれる…。
ドラマが放送されると、原作同様の奇妙な雰囲気の物語、露伴の特殊能力(スタンド能力)で指示を書き込むこともできる「ヘブンズ・ドアー」をうまく再現しており、ネット上では「高橋一生さんと岸辺露伴のシンクロ率えげつねぇな」「役者さん達のはまり具合が見事でしたッ!」「完璧な実写ドラマ化過ぎ」「『原作のビジュアルに似せる』のではなく、『原作の雰囲気に似せる』という選択が実写における最適解だという事をよく理解しているし、ジョジョの実写化の理想形を体現したという感じが凄い」などと絶賛。
高橋の演技にも「岸辺露伴は原作からしてもガキ相手に大人気なく本気を出して、勝ったらメチャクチャに喜ぶような男なので、マナー違反指摘ボーイがマジで悔しがる様を見た時のあの高橋一生の表情、全ての岸辺露伴ポイントの条件が揃ってて最高なんだよな」とハマり役の声が出ている。
また、『ジョジョ』シリーズでは、「ディオォォオオーッ! 君がッ! 泣くまで! 殴るのをやめないッ!」「俺は人間をやめるぞ! ジョジョーッ!!」などと、「ッ」(小さい“ツ”)を使ったセリフが度々登場する。そんな中でドラマの字幕では「非常にッ」「生半可な作法で侵入していい場所じゃあないッ」と「ッ」を使った露伴のせりふが流れていた。
字幕を表示して見ていた視聴者からは「スゴクいい! いい字幕だ! ジョジョのリスペクトといい理解度といい こういう真摯な実写の字幕が出せるんなら岸辺露伴は動かないは『良好』だ!」「露伴先生のセリフの字幕がジョジョだw」「ちゃんと字幕も「ッ!」なのね」「岸辺露伴は動かない、字幕までこだわっててすごい。他にも普通なら『』つけないような単語にバンバン付けてるし愛を感じる」などと、制作のこだわりを感じた声があがった。なお、放送終了後はツイッターで「#岸辺露伴は動かない」がトレンド1位になり、大いに盛り上がっていた。(※28日午後11時半ごろ)。


岸辺露伴は動かない 原作:荒木飛呂彦×主演:高橋一生


作り手であるNHKが周到に準備をし、企画したのが成功の原因と考えます
ドラマの脚本はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」の脚本を手掛けてきた小林靖子が担当しており、ドラマ化にあたって妙な色を付けたりせず、きちんと話を作っているところが重要です。小林はインタビューでドラマ化をどう考え、脚本にしたかを語っています

「岸辺露伴は動かない」脚本・小林靖子が語る!!

小林は「ジョジョ立ちといったポーズ、セリフをネタとして面白がっているファンも多いのですが、そのまま実写で表現しても違和感がありますし、そうした一部を切り取るのではなく、常に動いている映像作品なりの荒木先生の世界を出せれば」と考えて取り組んだことを述べています
記号論の立場から言えば、アニメーションや漫画の人気キャラクターというのは、それだけで一個の記号(さまざまな色付け、意味を加えられた)であり、演じる俳優がさらに「ジョジョ立ち」などの色付けを重ねると、過剰すぎて食傷気味になってしまいます
似ていようと似ていまいと、高橋一生が岸辺露伴役ならばそれで十分に意味付けされているのであり、余計な演出や演技は不要です
しかし、実写化に携わる人間は過剰なまでに意味を重ね書きし、より本物らしく見せようとして失敗するのでしょう
唯一不満なのは、泉京香役である飯島まりえの演技だけは妙に漫画チックで、せっかくの作品のクオリティを下げてしまっており駄目だと感じたところです。漫画が原作のドラマだからといって、役者が漫画チックに演じる必要などありません

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県営住宅放火殺人3 ブラジル人姉妹殺人容疑で逮捕

2015年の県営住宅放火殺人事件で、当時容疑者と目されていたペルー人、ラ・ロサ・ビテ・エドガルド・アントニー容疑者が放火容疑で逮捕され、さらに殺人容疑でも再逮捕されるに至りました。随分と時間がかかったものの、立件に至ったのですから、警察の努力を評価するべきなのでしょう
まずは12月8日の放火容疑での逮捕を報じる記事と、今回の殺人容疑で逮捕を報じる記事を順番に貼ります


5年前、愛知県半田市でブラジル人の姉妹2人が殺害されたうえ、自宅を放火された事件で警察は8日、妹の内縁の元夫でペルー国籍の男を放火の疑いで逮捕しました。
まっすぐ前を向いて警察署へ入っていく男。ペルー国籍のラ・ロサ・ビテ・エドガルド・アントニー容疑者(34)です。5年前の「未解決事件」の容疑者として8日朝、逮捕されました。
事件があったのは2015年12月。半田市一本木町で県営住宅の一室が全焼し、焼け跡から住人でブラジル国籍のアマリリア・マルヤマ・ミシェリさん(当時29)と、妹のアケミさん(当時27)の2人が遺体で見つかりました。
ミシェリさんは6畳間の床にうつぶせに、アケミさんはベッドの上で仰向けの状態で見つかり、いずれも首を絞められた跡がありました。
さらに、台所にはほぼ空になったガソリンの携行缶も見つかり、警察は殺人・放火事件として捜査していました。
そして8日、逮捕されたのは妹・アケミさんの内縁の元夫でペルー国籍のラ・ロサ・ビテ容疑者(34)。部屋にガソリンをまいて火を付けた、放火の疑いが持たれています。
実は事件当日、ラ・ロサ・ビテ容疑者とみられる男が車で現場から立ち去る様子が、付近の住民に目撃されていました。
現場の近所の住人:
「外国の方が(車に)乗っていく姿というか。10分後くらいには火災が発生していて、もうここの車はなかった」
その後ラ・ロサ・ビテ容疑者は、名古屋市内で車を無免許運転したとして逮捕され、車からは行方不明になっていたアケミさんの娘2人も見つかり、保護されていました。
ラ・ロサ・ビテ容疑者は有罪判決を受けるなどしたあと、別の事件で服役・仮出所し、逮捕前は名古屋入国在留管理局に身柄が移されていました。
警察によりますと、現場周辺の当時の防犯カメラ映像を最新の技術でより鮮明に解析したことなどが、逮捕の決め手になったといいます。
調べに対して黙秘しているラ・ロサ・ビテ容疑者ですが、警察は2人の殺害にも関与した可能性があるとみて、詳しく調べています。
(東海テレビの記事から引用)

この部屋では同日午後2時10分ごろ火災が発生し、全焼。焼け跡から見つかった2人の遺体はのどの骨が折れる圧迫痕があった。首を絞められたか、押さえつけられたとみられる。台所からはガソリン携行缶がほぼ空の状態で見つかった。
県警は2人が殺害された後に放火されたとみて、捜査本部を設置し、捜査を進めてきた。周辺の防犯カメラの映像を最新技術で鮮明にするなどして解析。出火当時、アントニー容疑者が現場周辺にいたとして、事件発生から約5年後の今月8日、現住建造物等放火容疑で逮捕し、名古屋地検は28日、同罪について処分保留とした。調べに黙秘を続けているという。
アントニー容疑者は1991年に来日。09年ごろアケミさんと知り合い、一時同居していたが、事件の数カ月前に別れ、車上生活をしていた。県警は交際関係のもつれが事件の背景にあったとみて調べている。
(朝日新聞の記事から引用)

2人を殺害し、集合住宅に放火をしているのですから死刑もあり得る凶悪な犯罪です。アントニー容疑者が黙秘しようと、否認しようと検察は起訴するでしょう
刑務所を出所した後のアントニー容疑者を、名古屋入国在留管理局が拘束していたお陰で逮捕できたのであり、これも特筆に値します
ペルーに帰国してしまったのでは、身柄の引き渡しが実現するかどうか難しくなり、刑事責任を問えなかったかもしれません
外国人の身柄を入国在留管理局が拘束するのは不当だ、とする主張もありますが、あくまで個々の事情に照らして判断すべきであり、身柄の拘束を一律に不当とするような主張には反対です
外国人犯罪者をやすやすと国外に逃すような、ずさんな対応はしてもらいたくありません

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中国ついに「毛沢東」をアニメ化

ついに、とは書きましたが毛沢東の生涯を描くアニメーション作品が初めて、なのかどうかは不明です
個人崇拝を国是としてきた国ですから、過去にも毛沢東を主人公にしたアニメーション作品が作られていた可能性はあります
調べたところ、2013年に毛沢東生誕120周年を記念し、彼の少年時代を描いたアニメーション作品が作られる予定だ、との記事が見つかりました。が、作品のタイトルは分かりませんし、本当に公開されたのか確認できません。見つけることができたなら、当ブログで取り上げたいと思います
今回作られる作品の詳細は後で書きますが、この「恰同学少年」は同名の小説が原作であり、過去にはテレビドラマや映画が作られています。タイトルの意味は「クラスメイトの少年」との意味だそうです


青年時代の毛沢東描く中国国産アニメ「恰同学少年」が発表
浙江省杭州市で開催されたBilibili(ビリビリ)のアニメ展示会「MADE BY BILIBILI 2020—21」で、中国国産オリジナルアニメである「恰同学少年」、「血と心」、「上海故事」の3作品がお披露目となり、注目を集めた。新華社が報じた。
「恰同学少年」は、中国革命時代を描いた優秀作品である同名の小説を原作としており、青年時代の毛沢東などの偉人の学生時代を背景に、前世代の革命家たちが若い頃から学び、志を立て、真理を追究し、社会を改革していった探究の精神を描いている。
青少年から人気を集めるアニメが、ますます中国の物語を描く重要なキャリアになってきている。3作品のクリエイトチームは、「現代の若者が喜んで見たり聞いたりする形式をできるだけ使って、若い世代が中国革命時代を描いた優秀作品を楽しむよう導き、理想や信念、偉大な精神を発揚するよう取り組んだ」としている。
(中国人民網の記事から引用)


1913年に湖南省長沙の学校長となったのは開明的な人物であり、外国人教師を雇い入れるなど、従来とは異なる教育実践を行ったようです。そこへ青年毛沢東が入学し、メキメキと頭角を現す、という物語です。同時に女子学生との交流や、友情も描かれ、若き革命家の覚醒を描いた名作である、というのが原作小説の評価です
アニメの予告編でもないか、と探したのですが見つかりませんでした。代わりにテレビドラマの方を貼っておきます

恰同学少年 第 1集


現在の中国共産党のボスである習近平は個人崇拝を復活させようとしており、毛沢東のようなカリスマ指導者として崇められる自分を想像しているのでしょう。これまで共産党主席は10年を任期としており、10年務めたら後進に道を譲るのが慣例化していました。ところが習近平はこの慣例を反故にし、任期は定めず何年でも共産党主席の座に留まれるように決めてしまいました
結果として習近平派の人物だけが出世し、権力と権益をほしいままにする事態になりますので、いずれは反習近平派によるクーデターが起きるのは確実でしょう
さて、これだけでは物足りませんので、日本のアニメーション作品に描かれた毛沢東を紹介しておきます
大和田秀樹の漫画をアニメーション化した「ムダヅモ無き改革」に毛沢東が登場し、日本の内閣総理大臣小泉ジュンイチローと麻雀で対決するというハチャメチャな作品です。中国共産党幹部がこれを見たら激怒するでしょう


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再婚相手の娘に性暴行 懲役18年の厳罰

家庭内の性犯罪というのは、ともすれば「家の中のことは家の中で解決すべきであり、司法にはなじまない」とされてきた部分があるのでしょう
しかしながら、日本で近親相姦や再婚相手の連れ子に対する性的虐待は存在するわけで、被害者が泣き寝入りを強いられるのは大間違いです
また、こどもが被害を訴えたとしてもそれを嘘だと決めつけたり、取り合おうとしない大人がいるのも事実です
自分自身、女の子が父親から性的暴行を繰り返し受けたとの訴えを受け、上司に報告したものの「父親がそんなことをするはずがない。あの娘は(頭が)おかしい」と言い返された経験があります。彼女は軽度の知的障害があり、頻繁に家出を繰り返す少女でした。家にいたくない理由が父親からしばしば性交を強要されるから、という話です
後日、父親は家庭裁判所の調査に対し、娘への性的暴行を認める供述をしています
かくの如く、家庭内の性犯罪を「なかったことにする」認知バイアスが蔓延しているのであり、心してかからなければなりません
今月24日、徳島地裁で下された判決を取り上げましょう

親子として同居する10代の女性に対し、意に沿わない性交を強制し続けたとして、監護者性交罪などに問われた徳島県内の30代会社員の男の判決公判が24日、徳島地裁であった。藤原美弥子裁判長は「同種事案と比較し、まれに見るほど悪質」などと指摘し、検察側の求刑通り懲役18年を言い渡した。
判決理由で藤原裁判長は、女性が小学校高学年の頃に男が性的虐待を始め、「動画をインターネットに流出させる」などと口止めしていた点について「心身ともに未熟な頃から逆らえない状況をつくり、極めて卑劣」と指摘。犯行を「女性の人格や尊厳を一顧だにせず、欲望の赴くままに行われ非道極まりない」と非難した。
さらに「女性は、自身を保護してもらえるはずの養父から長期にわたり虐待を受けながら、母親らを思いやり、誰にも相談できないまま耐えてきた」と強調。男が法廷で反省の言葉を述べていることを考慮しても「重い処罰は免れない」とした。
判決によると、女性は血のつながりのない娘で、2018年3月から20年4月までの間に23回、自宅で女性に性交などを強制したほか、性交の様子を45点の動画として記録。20年3~4月には顔などに暴行を加え、両目に全治1カ月のけがを負わせるなどした。
(徳島新聞の記事から引用)

被害者あるいは加害者を特定されないよう配慮した報道になっていますので、家庭環境などよくわかりません
別の報道によれば、弁護側は最終弁論で、逮捕直後から犯行を認めて謝罪し、女性と離縁した上で今後は接触しないと誓約していることなどを強調し、「懲役7年が相当」と主張し寛大な判決を求めたようです
しかし、裁判長が女性ということもあり、検察の求刑から割引なしに懲役18年を言い渡しています
それだけ犯行が長期間に渡って繰り返された上に、従わなければ顔面を殴打する暴行もあり、両目を負傷させている点も「悪質」と判断されたのでしょう。加えて、動画を撮って脅しの道具に使用している点も、「極めて卑劣」とされる所以です
これが男性の裁判官なら弁護側の主張に近い、懲役7年程度の判決だったかもしれず、ぞっとします

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「はやぶさ2」と「嫦娥」を比較する中国メディア

小惑星「リュウグウ」から土壌サンプルを持ち帰った「はやぶさ2」と同じ時期に、中国の月探査機「嫦娥5号」が月の土壌サンプルを地球に持ち帰るのに成功しています
中国メディアが、この2つの探査機を比較し、どちらがすごいのか比較しているのだとか
比べることに何の意味があるのかと思うのですが、中国の方が優れていると言わないと夜も眠れないのかもしれません


日本の「はやぶさ2」と中国の「嫦娥5号」、中国で比較論が熱を帯びる
先日、小惑星リュウグウのサンプルが入ったカプセルの帰還に成功した「はやぶさ2」。ほぼ同じころに中国は嫦娥5号が月のサンプル帰還を成功させている。中国メディアの快資訊は23日、この日中の宇宙探査について比較する記事を掲載した。
記事は、サンプル回収がほぼ同じ時期となった日中のプロジェクトについて、中国のネット上では日中のプロジェクトを比較する議論が多く行われていると紹介。主に「どちらの方がすごいか」との話題だという。しかし、記事は「両者は全く異なる方向性の探査なので比較のしようがない」と指摘した。
ただ、探査機の運用に使用した技術という面では中国が勝ると主張。中国の宇宙開発技術は完全に自主開発であるのに対し、日本は米国の技術に依存したものだからと主張した。
とはいえ、日本の「はやぶさ2」が今回持ち帰ったサンプルにより、太陽系の起源を解く助けになるかもしれないため、「人類史上初の研究成果として、有益な情報が得られることを期待する」と述べている。そして、日本の宇宙開発の長所を認めることで、中国の宇宙開発もさらなる成長が期待できると論じた。
最後に記事は、中国も別の惑星探査の計画があり、宇宙の起源解明の分野でも中国は大きな貢献となるだろうと結んでいる。実際、中国の月サンプル持ち帰り成功も偉業であることは間違いないが、はやぶさ2の成功で影が薄くなってしまっているため、中国としては残念で仕方がないのかもしれない。
(サーチナの記事から引用)


日本は「かぐや」を月の周回軌道に送りこんだだけで、本格的な月面探査は実施していません。これは技術的な問題ではなく、単に予算配分の問題です。他国がやっていることを真似ても二番煎じになってしまい、インパクトがないので独自の宇宙探査をやる、というのが日本の方針であり、それゆえの小惑星探査です
小惑星「リュウグウ」は火星と地球の間を回る天体ですが、現在太陽を挟んで地球の反対側に位置します。探査機「はやぶさ2」は楕円軌道を描くように飛行しますので、往復の距離は52億キロに達します
探査機に大きな故障もなくこれだけの距離を飛行させ、土壌サンプルをオーストラリアの砂漠地帯にピンポイントで投下するのですから、その技術力は称賛に値するでしょう
上記の記事では、日本の宇宙開発技術はアメリカに依存したものだ、と決めつけていますが言いがかりです。ならば、中国の宇宙開発技術は旧ソ連に依存したものと言わなければなりません
まあ、国威発揚が最大目的である中国と比較したところで意味はないのですが
以前にも指摘したように、中国は国際宇宙ステーション計画にも参加せず、独自路線を歩んでいます。今後も宇宙での国際協力に参加する気はないのでしょう
次は月に宇宙飛行士を送り込み、中国国旗を月面に突き立てて「月は中国の領土アル」と宣言するのかもしれません

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少年院出の15歳が殺人 保護処分が刑事処分か

今年8月末、福岡市中央区の商業施設で女性を刺し殺した容疑で逮捕されていた15歳の少年は、鑑定留置として身柄を拘束した上で精神鑑定が実施されていました。福岡地検は鑑定結果を受け、責任能力に問題はないと判断し福岡家庭裁判所に送致しています
福岡家庭裁判所は少年を保護処分とするか(少年院送致)、刑事処分とするか(検察官に逆送した上で刑事処分を問う=刑務所行き)を審判することになります。少年の身柄は福岡少年鑑別所に収容されたはずです
西日本新聞がこの少年の家庭事情について取材し、記事にしていますので取り上げます


少年が生まれ育った鹿児島県内の小さな集落。ここに住む祖父の一軒家の玄関には、少年が図工の授業で作った人形が飾られていた。かわいがっていた祖母(故人)と風呂に入り、大きな声で数字を数える練習をした。祖父母と畑に出掛けて一緒に弁当を食べ、「楽しいね」とはしゃいだこともあった。祖父は「明るくてよく甘えてくる、かわいい孫だった」と目を赤くした。
幼少期から他者との意思疎通が苦手な一面があり、発達障害と診断されていた。強い口調で叱られたときなどは、かんしゃくを起こして手が付けられなくなったという。
「優しく受け止めるように心掛けていたが、自分に向かってきたときには厳しく叱りつけたこともある。障害の特性について勉強はしたが、分からないことも多かった」と明かした。
少年が通った小学校の関係者によると、包丁を振り回す騒ぎを起こしたこともあったという。高学年からは家族の元を離れ、児童自立支援施設や少年院など数カ所の施設で過ごした。
最後に言葉を交わしたのは、数年前に施設からかかってきた電話だった。「じいちゃん元気? 僕も元気に頑張っているよ」。しかしその後、暴力問題を起こし、さらに別の施設に移された。
「またここに戻って来ると思っていた」。祖父は涙声で漏らした。
「暴力傾向」居所なく
小学校高学年から暴力問題を起こすたびに、施設を何度も移ることになった少年(15)。接見を重ねてきた弁護士は「家庭でも施設でも、特性に合った教育や支援が受けられないまま、他人に対して暴力で存在感を示そうとする言動を身に付けてしまったのではないか」と推し量る。
祖父によると、少年は小学3年の頃、「何もしてないのに怒られる。学校に行きたくない」と話し、不登校がちになった。当時の学校関係者は「保護者は学校の指導に問題があると受け止めているようだった。過疎地の学校でもきちんとした教育が受けられるようにと努力したのだが…」と振り返った。
その後、両親が離婚。児童養護施設で生活することになったが、他の入所児童らへの暴力が目立ち、児童自立支援施設へ移されることになった。
「近年は、発達障害や虐待の影響を受けた子の入所が増えている」
児童自立支援施設は都道府県などが運営し、非行少年らの立ち直りを支援する場。施設幹部は取材に「個別の事実関係は話せない」とした上で「近年は、発達障害や虐待の影響を受けた子の入所が増えている」と実情を説明した。「信頼関係を築けるような指導を心掛けているが、施設を出た後に苦労している子が多いのも事実だ」
少年は暴力的な傾向が改善せず、鍵のかかった部屋での隔離が可能な施設に移った後、少年院に入った。
(以下、略)


この記事だけでは少年の境遇が理解し辛いと思われます
まず、小学校時代に不登校となり、登校しても学校で暴力沙汰を起こすなど、問題があったようです。その後、両親が離婚したため養護施設に預けられたのですが、そこでも暴力沙汰があったようで、県の児童自立支援施設(旧教護院)に入れたのでしょう。が、暴力をふるう行動が改善しないため国立武蔵野学院(厚生労働省が所管する国立の教護院で、居室の扉を施錠する強制措置がとれる)に送られたのですが、やはり暴力事件を起こして少年院送致になったと考えられます
先にこの事件を取り上げた際には福岡少年院に収容されたのだろうと推測しましたが、その後の情報によれば中津少年学院に収容されていたようです。発達障害など、精神的に未熟な少年を収容する施設です
ただ、そこでの処遇がどうであったのか、検討・検証される必要があります
仮退院した直後の殺人ですから、仮退院させたのが適切な判断であったのか、どうか。もっと時間をかけ、教育する必要があったのではないのか、という思いが残るわけです。少年院の収容期間は弾力的に運用されますので、収容期間を延長させたいのならしかるべき手続きを経て可能です。そうしなかった理由、事情があったとは考えられないのですが、どうでしょうか?
今回の事件に関しては、刑事処分にして懲役15年とか言い渡す選択もあります。ただ、それは15年刑務所に入れておくというだけであり、発達障害の彼に相応しい教育的措置が取られるわけではないのであり、30歳で刑務所を出た彼はまた犯罪に走る危険があります。ならば、少年院で6年、7年かけ、教育を試みるのも1つの選択ではないかという気もします

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村上春樹「アイロンのある風景」を眺めて

村上春樹の短編集「神の子どもたちはみな踊る」の中から、「アイロンのある風景」を取り上げます
以前にもこの短編集は取り上げたところですが、言い足りない部分があって気になっていました
今回は山口大学人文学部の研究紀要に掲載された平野芳信山口大学人文学部教授の論文「村上春樹『アイロンのある風景』論 : 身代わりとしての物語」から一部、引用させていただきます

村上春樹『アイロンのある風景』論 : 身代わりとしての物語
http://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/G0000006y2j2/file/9290/20100507163153/C060030000004.pdf

平野論文はこの小説が三人称で書かれており、村上春樹がデビュー作以来継続してきた一人称を止めたという点に着目し、さらには関西弁をしゃべる登場人物を配置したことへの驚きを書き記します
関西出身の村上春樹ですが、小説に登場する人物はことごとく標準語で会話するのが常でした
『アイロンのある風景」を含む短編集「神の子どもたちはみな踊る」を執筆するにあたって村上春樹の中に大きな変化があったものと考えられるのですが、それが何であるかを平野論文は考察していきます

関西弁を話す人物の登場をいったいどのように考えるか、ということに拘泥するのは、実は二つの理由があるからである。
最初に理由はこうである。筆者は初読の段階では、三宅が主人公であると思い込んでいた。ところがある時からその解釈を翻し、順子を主人公とみなすようになったのである。そのきっかけはそもそも春樹作品において、関西弁を喋る人物が登場してくることすら珍しいのに、関西弁を日常的にしゃべる人物が主人公であるはずがないと思いはじめたからだったようにも思うし、あるいは二ヵ月後に発表された『タイランド』の主人公が、明らかにさつきという女性であったからかもしれない。しかしより決定的だったのは、数年前に授業でこの作品を学生と一緒に読んだ時、正確な記録を残しているわけではないが、順子と三宅をそれぞれ主人公とみなす学生の数がほぼ同数だったという経験をしたからだと思う。

ここから先は順子を主人公と配置し、三宅を導き手という位置づけでの解釈が提起されます
そして本作品における関西弁使用の問題はこの先、「アイロンのある風景」というタイトルに関連付けられて結論が示されます
三宅が主人公で順子が聞き役、あるいは脇役という配置でも物語は成立しようにも思えるのですが、どうなのでしょうか?
もちろん作品の中で三宅がどのような背景を持つ人物であるか書かれていないのであり、明確に主人公として提示されているわけではありません
さて、平野論文は中段部分でこの短編小説のタイトル「アイロンのある風景」を疑問視し、その由来を検討しています
ここで平野論文は、千石英世の研究による指摘、アメリカの白人中流家庭においては夫がアイロンをかけるという習俗が一般化していた時期があるとの見解を引き、アイロンがけ=アメリカナイズされた生活様式・価値観との解釈を示します

それはこの作品のタイトルに関してである。この作品のタイトルは内容にふさわしくないのではないかということである。おそらくこの作品の内容を一言でいうなら吐き日の話というのが最も妥当なのではあるまいか?個人的な経験からいっても、私はこの作品のタイトルが『アイロンのある風景』ということに少なからぬ疑問を感じている。これはかなりの割合で読者の賛同がえられるのではないだろうか?
(中略)
三宅が冷蔵庫を持たぬ本当の理由は冷蔵庫の中で窒息死する夢を、彼が繰り返し見るためであった。その彼がアイロンを何かの身代わりとして描くことに注目するなら、それは明らかに冷蔵庫の代わりなのである。なぜならアイロンとは熱を発生する器械であり、その点に限っていえば冷蔵庫も同じ機能をもっているからである。
(中略)
千石英世氏は『ノルウェイの森』における主人公ワタナベノボルの「アイロンかけ」という行為に注目し、それがアメリカにおいて一九七〇年代中葉には白人既婚男性の主夫としての社会風俗的図像となっていた事実と関連付け、次のように指摘する。
◇こうした風俗考証が正しいとするなら、『ノルウェイの森』の主人公の「アイロンかけ」の趣味は、風俗における合衆国趣味(アメリカニズム)とみなすことができる。

ただし、「アイロンかけ」という生活習慣を三宅が有していたのか、小説の中に明確が記述はありません(部屋にアイロンがあったので三宅が使っていたと考えるのは自然ですが)。三宅がアメリカニズムに馴染んでいたのかどうか、平野論文では検討されていないのであり、どうにも中途半端に感じます。アメリカの白人中流階級のように、休日には三宅がアイロンかけを担当していた…と自分には思えません
そこで幾分唐突に平野論文は結論に至ります。関西弁の使用とアイロンを関連付けるわけです

春樹が関西弁を嫌い、作品の中で使用しなかったのは、『風の歌を聴け』をまず英語で書き、それを日本語に直したという有名なエピソードを引き合いに出すまでもなく、彼の舶来好みの裏返しでもあったということなのである。取り澄ました共通語をつかうということは、いわば関西弁という言葉のしわをのばしということなのではないかということである。

「アイロンのある風景」というタイトルが選ばれたのは、それがこの作品の真相を如実に表わしているからだと、自分は解釈します
つまり、三宅が描いた絵は「部屋の中にアイロンがある風景」なのですが、それは本来アイロンを使うであろう妻の不在を描いているのです
だからアイロンと冷蔵庫を並べて論じるのは無駄であり、読み違いでしょう
三宅の言う身代わりとはアイロンの存在=妻の不存在を指し示してのだ、というのが自分の読みです
ならば冷蔵庫は何か?となるのですが、これもまた明確に語られてはいません。村上春樹は日本軍の兵士であった父親から、中国人捕虜殺害の話を聞かされ、トラウマになったと述べていることから想像すれば、冷蔵庫に閉じ込められて死ぬ夢というのは何かトラウマを示しているのだろうと推測されます。実際に三宅の誰か身近な人物がそうした死を迎えたのか?
ただ、小説のタイトルが「冷蔵庫のある風景」ではないので、重要度からすれば二番目以降のエピソードでしょう
より重要なのは「アイロンのある風景」なのですから

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村上春樹が世界の読者に刺さる理由

心に響くという意味の表現が昨今では「刺さる」と表記されるようになりました。いつからなのでしょう?
ライトノベル「涼宮ハルヒ」シリーズへの言及は一区切りとして、久しぶりに村上春樹を巡る旅を再開させます。経済誌「東洋経済」掲載の記事で、村上作品の英訳を数多くこなしているハーバード大名誉教授ジェイ・ルービンがインタビューに応じたものです
2015年の記事なのですが、『なぜ村上春樹は世界中の人々に「ささる」のか』と題されています。もう5年も前から「刺さる」が使われていたわけです
余談はさておき、本題に入ります
単刀直入に、なぜ村上春樹の作品が日本以外の国でも多くの読者を獲得しているのか、という問いにルービン教授が答えています


なぜ村上春樹は世界中の人々に「ささる」のかー村上作品の英訳者・ルービン氏、大いに語る
(前略)
言葉が「読み手の心に直接飛び込んでくる」
――村上作品は、何が読者の心を刺激するのでしょうか。
僕もずっと考えてきたことなのですが、実は今も一つの謎です。いろいろな国の人と話しましたし、さまざまな説明が可能だと思いますが、正確な答えはわかりません。少なくとも言えるのは、彼の鮮やかでシンプルなイメージが直接的に読者に訴える。気取ったわざとらしいようなものがなく、読者の心にストレートに届くのです。
たとえば、『パン屋再襲撃』という短編がありますね。海底火山の比喩があります。主人公が突如襲われた「特殊な飢餓」を説明するために次のような記述があるのです。
① 僕は小さなボートに乗って静かな洋上に浮かんでいる。②下を見下ろすと、水の中に海底火山の頂上が見える。③海面とその頂上のあいだにはそれほどの距離はないように見えるが、しかし正確なところはわからない。④何故なら水が透明すぎて距離感がつかめないからだ」(『パン屋再襲撃』集英社文庫、15ページより)
なぜ海底火山をわざわざ入れたのでしょうか。解釈はいろいろあるでしょう。何かの象徴なのでしょうか。
実は、かつて僕はある授業で、村上さん本人がゲストのディスカッションのリード役をしたことがあります。僕は学生に、小説の中の海底火山は何の象徴と思うかと質問したのですが、村上さんは誰かが答えるより前にいきなり口を挟み、「火山は象徴ではない。火山はただの火山だ」と言ったのを覚えています。
村上さんの言葉は、彼らしい率直なものでした。「あなたはお腹がすくと火山が思い浮かびませんか? 僕は浮かぶんです」と。単純明快な主張です。
海底火山が象徴するのは――僕の解釈では――未解決のまま残されてきた過去の問題だと思います。無意識にとどまりながらも、いつ爆発して現在の静かな世界を破壊するかもしれない「何か」です。
しかし、村上さんからすれば、そんなふうに定義すると、本来の言葉のパワーが失われてしまう。火山はただの火山としてその他の説明をいっさいしないのです。結果として読者一人ひとりの心中で純度の高いイメージが出来上がるのです。国、宗教、政治的立場にかかわりなく、同じイメージとして読者の心に飛び込むのです。

このエピソードをどう解釈すればよいのでしょうか?
推測するに、学生Aが「火山とは◯◯のことである」と語り、学生Bが「いや、おそらく△△を暗示しているのだ」と主張したなら、参加した学生たちは火山を◯◯であるとか、△△であるなどの考えに引きずられてしまい、自身の感性を失う危険があると村上春樹は思い、敢えて「火山は火山である」と主張したのかもしれません。火山をどう受け止めるか、個々の読者が独自に感じ取ればよいのだ、と
このようにエッジの効いた比喩を読者が己の感性で解釈し、受け止められるところに村上作品の魅力があり、それは国や人種を超えたものであるのかもしれません
「日本人でないと理解できない表現」とは真逆であると言えるのでしょうか?

――海外の読者も、日本人と同じように感じているのでしょうか。
僕はたくさんの読者からメールや手紙を頂戴しています。もちろん大半は僕の英訳を読んだ読者で、日本人でない人たちです。必ず書かれているのが、やはり「私のためにだけ書いてくれた」という一文です。実は僕自身も同じように感じてきました。「なぜ村上さんの作品は、僕たちの心の深いところにあるものをそんなにはっきりと描くことができるのだろう。わかってくれるのだろうか」と。 
やはり理由は分かりませんね。イメージのシンプルさ、鮮やかさ、そして意外性もある。先ほどの「海底火山」がそうですが、村上さんに直接的に聞いても、本人さえ海底火山がどこから出たのかはわかっていないのですから、他の人がわかるはずがない。

突飛で特殊な比喩(これを自分は上記のように「エッジの効いた比喩」と表現しました)が村上春樹の小説には頻繁に登場します。そうした表現の飛躍、奔放なイメージが魅力の1つであると自分は思うのですが、逆にこれを嫌う人もいます
「爆笑問題」の太田光は「サンドイッチを作ってビールで流し込む」とか、そんな描写ばかりが目立ち、登場人物が「こんな日本人いるかよ」と思ってしまう、と吠えていました。発言内容を正確かどうか調べていないので分からないのですが、だいたいそんな物言いです
太田光は感性が乏しいので、「妙に気取った表現が気に障る」という反応しか示せないのでしょう
あとは「雰囲気だけの中身のない小説」であるとか、「何を言おうとしているのかわからない」といった批判もあります
これらの批判については、折を見て取り上げるつもりですから今回は深く突っ込みません
ただ、「雰囲気だけの中身のない小説」ではなく、軽妙な、淡々とした語り口の中に深い洞察を含んでおり、それをエッジの効いた比喩で表現しているからこそ、心に刺さるのだと言っておきましょう
以下、いくつか村上表現を列挙します。出典は省略します

建物のひとつひとつには際立った特徴はなく、何の装飾も表示もなく、すべての扉はぴたりと閉ざされて、出入りする人の姿もなかった。それは郵便を失った郵便局か、鉱夫を失った鉱山会社か、死体を失った葬儀場のようなものかもしれなかった。

電車は混んでいて、おまけによく揺れた。おかげで夕方彼女の部屋に辿りついた時には、ケーキはローマの遺跡みたいな形に崩れていた。

子供のカンガルーはとても可愛い。みんな成長しすぎた気のいいネズミみたいに見える

まるでブラジルから十一年ぶりに帰ってきた困りもののおじさんの理不尽な頼みを、なぜか断り切れないみたいに

毎晩寝る前にキルケゴールを五ページずつ読むことを日課にしているような雰囲気。

見るからに頭が悪そうだ。喫茶店で原稿の打ち合わせをするときにフルーツパフェを注文する文芸誌の編集者みたいに見える

太田光のようにこうした表現に耐えられないのであれば、読まない方が賢い選択であり、電話帳でも読むようお勧めします
最後に、ルービン教授は村上春樹ほど日本以外の国で読まれている日本人作家はいないとの趣旨の発言をしていますが、その通りというわけではありません。ノーベル文学賞候補として村上春樹とともに名前が挙がった多和田葉子がいます。ドイツ在住の多和田はドイツで多くの作品が出版されており、いくつもの言語に翻訳されています。むしろ、日本における知名度、評価が低すぎるのかもしれません
自分も多和田葉子の小説は未読なので、いずれは読んでみようと思っています

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静岡の中学教頭 初公判で誘拐認める

静岡県沼津市の中学校教頭山本英仁被告が少女を猥褻目的で誘拐し、監禁した罪で起訴された事件の初公判があり、山本被告は起訴事実を認めています。事実関係は争わず、情状酌量を求める方針なのかもしれません
が、山本被告に汲むべき事情、情状として考慮すべきなにものかがあるのでしょうか?


中学教頭、10代女性誘拐認める 地裁沼津支部で初公判
10代女性2人をそれぞれわいせつ目的で誘拐し車内に監禁したなどとして、わいせつ目的誘拐と逮捕監禁などの罪に問われた富士市森島、沼津市の市立中教頭(53)=起訴休職中=の初公判が21日、静岡地裁沼津支部(菱田泰信裁判長)で開かれた。被告は「自分がやった行為に間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、元生徒だった被害者に対しては、帰宅途中に荷物運びを手伝ってほしいなどとうそを言い、車に乗せたと説明した。レンタカーで県東部の山中の小屋に連れて行き、「わいせつな行為をしてその様子を携帯で撮影し口止めさせた」と述べた。また、検察側は被告がレンタカーに偽造ナンバープレートを取り付けていたことも明らかにした。
起訴状などによると被告は9月28日、わいせつな行為をする目的で当時10代の女性を沼津市内で車に乗せて誘拐し、両手両足をロープで縛り、口に粘着テープを貼るなどして拘束して監禁したとされる。2017年8月2日ごろ、熱海市内で当時10代の別の女性に同様の行為をしたとされる。
■学校関係者ら傍聴券求め列
10代の女性2人をそれぞれ連れ去り監禁した上、わいせつ行為をしたとされる事件で、わいせつ目的誘拐と逮捕監禁などの罪に問われた沼津市の市立中教頭(53)=富士市森島=の21日の初公判。法廷内の一般傍聴席17席に対し、静岡地裁沼津支部には開廷1時間前から市教委、学校関係者、捜査関係者ら53人が傍聴券を求めて列を作った。傍聴券を求めて並んだ女性は「子どもを守るべき教員が、なぜ犯行に及んだのか知りたい」と述べた。
(静岡新聞の記事から引用)


以前にも指摘したように、教育委員会はまだ山本被告の懲戒処分を決めないままです。刑事処分が決まったら懲戒免職処分にするつもり、であるのは明白ですがどうにもひっかかります
公判の期日が通告された時点で、事件が罰金刑で済む程度のものではないと判るはずです(罰金刑なら懲戒免職にできないため、停職と降格、減俸といった処分に加え、配置換えとなります。が、実際には退職を勧告されるケースがあります)
さて、犯行内容からすれば写真を撮って、「口外するな」と口止めする悪質なやり方であり、とても情状を斟酌する余地などありません
被害にあった少女の側にすれば理不尽な暴力に晒されたのであり、山本被告と示談を締結し宥恕する気にはならないでしょう
後は検察がどれくらいの求刑をするかが焦点になるのでしょう
この事件を受けて、静岡県教育委員会は以下のように声明を出しています。遅きに失した感がありありですが、何もしないよりはましです

(県教委が教職員に性志向危険度診断を導入へ)
県教育委員会の木苗直秀教育長は「非常に重く受け止めており、被害に遭われた方々や県民に深くおわび申し上げます。速やかに厳正な処分を行うとともに、教職員の綱紀の厳正保持に努めて参ります」というコメントを出しました。
県教育委員会によりますと、児童、生徒に対するわいせつや性的嫌がらせで処分された教員は、昨年度は7人に上り、ことしは12月17日までに3人となっていて、後を絶たない現状です。
県教育委員会は、新たに、教員が自ら自分の性志向に異常がないか、気づけるようチェックシートで危険度診断を行う方針を決め、遅くとも来年度までの導入を目指しています。
県教育委員会は「児童や生徒を守るためには、これまでの研修だけでは足りないと考えており、チェックシートを活用して、本人が気付き自ら気をつけてもらいたい」と話しています。

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中国アニメはなぜ日本でウケないのか?

最近は宮崎駿作品や「涼宮ハルヒ」シリーズを扱った論文を読んでばかりで、他のアニメーション関連ニュースに手をつけていない状況です。ここはベーシックにサーチナの配信記事を取り上げようと思います
お題はそのものずばり、「中国のアニメが日本でほとんど受けないのはなぜか?」というものです
中国メディアは毎年のようにこうした分析の記事を流しているのですが、ほとんどは記者がパソコンの前に座ったままああでもない、こうでもないと論じているだけで、お粗末な内容ばかりです
そして今回も例にもれず、お粗末な内容です


中国のアニメが日本でほとんど受けないのはなぜか?=中国メディア
中国でも国産のアニメ作品が次々と作られており、その質も年々あがっている。しかし、未だ日本や世界でも人気になるような作品は生み出せていない。特に、アニメの大きな市場である日本で、中国のアニメ作品の人気がないのはなぜか。中国メディア創業邦がこの点について分析している。
一つ目は、アニメ制作の環境という問題。日本では長年にわたりアニメが制作され、さらにアニメビジネスが確立されている。一方、中国ではまだまだアニメ制作が始まったばかりで、原画制作や録音システムなどの、あらゆることを一から準備していかなければならない。結果として、未熟さが作品にも表れてしまっている。
さらに、もう一つは中国文化に関する要素。中国の視聴者を意識して、中国で作られるアニメ作品には中国の故事や古典からのエピソードを題材にするものも少なくない。また中国の道教の文化を汲むようなエピソードもあり、こうした文化的な色彩からも、他の国の人々からわかりにくく、つまらないと見られがちなのではないかとも分析している。
実際に、中国アニメを見た日本の視聴者からのコメントも辛口なものが多いと述べ、一方で「より中国らしい作品も見てみたい」とのコメントもあると指摘している。
記事は、「これまで確かに中国アニメは日本で成功できていない。しかし、日本を視野にアニメを制作してきたことで、日本の視聴者の反応や好みを知ることができる、という面は収穫と言える」とポジティブな意見でまとめている。
(サーチナの記事から引用)


以前も書きましたが、最近の中国アニメの中には雄大な自然風景(実写ではなく、想像上の)を極彩色で描いたものが見られます。これはスタジオジブリ作品の影響ではないか、と想像します。つまり、スタジオジブリのように背景描写に力を注げば高く評価され、商業的にも成功するのではないかと、中国のアニメ制作会社が考え実行しているのでしょう
まったく見当違いもいいところであり、背景描写に力を入れるより、その単調で面白みのないストーリーをどうにかしろと言いたくなります
上記の記事を読むと、「原画制作や録音システムなどの、あたゆることを一から準備」しなければならず大変なのだ、との書かれています
これが20年前の記事なら分かりますが、配信されたのは今年であり、いまさら何を言ってるのかと思うばかりです
最新の中国の制作会社のスタジオなど、日本のアニメ制作会社よりはるかに高額な機材を使っていたりするわけで、記事を欠いた記者はまったく取材もせずにこれを書いているのが分かります
中国の大学の6割以上が漫画やアニメーションに係る学科を設けており、教育しているとの話は10年近く前にも取り上げた気がします。しかし、そこでは日本のアニメーションに対する学際的な研究は行われていないのか、現状の分析がまったくできていない気がします
通常、こうした記事を書くなら、中国でアニメーションの講義をしている大学教授に取材し、知見を引用するのではないでしょうか?
なぜ、そうしないのか理解不能です
そうした取材活動はしないまま、記者の凡庸な分析を記事にして恥じることもなく公にする感覚って何なんでしょうか?
「中国文化は特殊だから、諸外国では理解されない」という記述を見て、うんざりします
諸外国の中で中国の古典を一番理解している国といえば台湾と日本くらいでしょう
記事を書いた記者は素養も教養も欠いている、と言うしかありません
中国のアニメーションが発展するためには、ジブリ風作品を作るのではなく、もっとアニメーションを研究する必要があります。そしてきちんと批評できる見識を育てることでしょう。しかし、言論統制のある中国では自由闊達な議論など期待できないので、文化が育つ環境には程遠いと言うしかないのかもしれません

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中国メディアの陳腐な論評「日本アニメ、人気の秘密は民族文化」
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「名探偵コナン」の人気を読み誤る中国メディア
中国メディア「日本アニメとの差は開いている」
「日本アニメが中国製に負ける日」と書く陳腐なコラム
中国アニメは独り立ち「日本を超えた」との声

大阪女児誘拐事件を考える 起訴するも初公判はまだ

大阪市住吉区の小学6年の女児(12歳)を誘拐したとして、栃木県小山市在住の伊藤仁士容疑者(35歳)が未成年者誘拐の容疑で2019年11月に逮捕されました。その後、再逮捕を繰り返した末に2020年1月に起訴されているのですが、いまだに初公判は開かれていません
伊藤容疑者は逮捕以来、「人助けのためだった」と供述し、誘拐したのではないと犯行を否認しています。未成年者を誘拐した場合、親告罪となりますので保護者が被害届を取り下げた場合は不起訴になる、というのが法律の仕組みです
ただし、今回のケースでは同じ時期に伊藤容疑者が自宅に寝泊まりさせていた女子中学生の裸の写真を撮影しており、児童ポルノ法違反の容疑も立件のされる見込みです。わいせつ目的の犯行を立証する鍵にはなりますが、児童ポルノ法違反だけでは罰金刑で済んでしまいます
伊藤容疑者がわいせつ目的で女子小学生を誘拐したと見られるだけに、検察としてはその線で起訴したいのでしょう。ただ、女子小学生の供述だけでは証拠として「弱い」と感じているのか?
雑誌「AERA」に掲載された伊藤容疑者へのインタビュー記事を以下、引用します。取材は逮捕後、大阪府警に同行された時点(2019年11月末)のものです


【大阪女児誘拐】伊藤容疑者が逮捕後初の取材で語ったこと「違法なのはわかるが、放っておけなかった」
(前略)
逮捕時には、伊藤容疑者の自宅で中学3年生の女子生徒(15)も保護された。伊藤容疑者は2人の未成年者を自宅で監禁したことについて「困っている人がいたから助けただけ」「なんで逮捕されたのかわからない」などと述べた。ただ、大阪府警からは事件に関する質問は禁止されていたため、少女たちの靴や携帯電話などを取り上げた理由などについては聞けなかった。
以下は、伊藤容疑者との一問一答。
* * *
──あなたは「正義感が強い」と一部メディアで報道されていますが、あなたの言う「正義」とは何ですか。
正義感っていうのは抽象的だから、個々人の解釈がある。僕は、警察や検察が言う「正義」は正義ではないと思う。誰かが「助けて!」と言っているんです。僕は助けただけ。なんで逮捕されたのか、わからない。
──後悔はありますか?
たまたま困っている人がいた。僕は助けただけ。違法なのはわかるが、放っておくことはできなかった。人を助けただけなのに、こんなに人生が踏みにじられた。最初から悪意だと疑われている。
──逮捕されてから警察などに言われたことは。
「道端で誰かが助けを求めていたらスルーしておけ。関わるな」と。取り調べでは、起訴をしたいからか、(伊藤容疑者に)悪意があることを前提に話してくる。人格も人生もここまで潰されるとは。なんでこんな目にあうのか。
* * *
現在、伊藤容疑者は容疑を否認しているとされるが、偽名を使って女児を誘い出すなど供述に不審な点もあり、警察は取り調べを続けている。


伊藤容疑者が正義の味方を気取っているところがあれですが、彼なりの正義であり、人助けだったと言いたいのでしょう
が、世間一般を相手に正義だったと認めさせるのは不可能ですし、現に人助けにもなってなどいません
己の欲望をひた隠すため、正義を気取っているだけです。そうした己の誤魔化しも認めたくないと、伊藤容疑者は取調中もツッパっていると思われます
己の欲望を認めてしまえば全てが崩壊し、人生が無駄になってしまうと恐れているのか?
中学生時代は硬派の剣道部員だったようですが、それは単に不器用で柔軟さを欠いていただけだったのではないでしょうか
父親が医者で妹も医者になっている家系にあっては、彼は落ちこぼれとみなされます。落ちこぼれの人生と自身で認めたくないがゆえに、正義に執着しているとも考えられます

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12歳娘を強姦 控訴審で逆転有罪判決

自分の娘(当時12歳)を強姦したとして起訴された父親に、一審の静岡地裁は「証拠不十分」として無罪を言い渡していた事件があります
控訴審となる二審の東京高裁は被害を訴えた長女の証言は信用できると判断し、懲役7年の有罪判決を言い渡しています
まずは一審判決の記事を、そして二審判決の記事を引用します


静岡地裁「強姦」無罪判決 児童ポルノ所持で罰金10万円
当時12歳だった長女に対し性的暴行をするなどしたとして、強姦(ごうかん)と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた県中部の男に対し、静岡地裁は28日、強姦罪を無罪とした上で罰金10万円(求刑懲役7年)を言い渡した。
伊東顕裁判長は判決理由で、強姦について「犯罪行為を裏付ける適確な証拠がない」と無罪判決の理由を説明した。児童相談所職員に長女が当初訴えた被害詳細と非公開で行った証人尋問の内容が変遷した点などから「児相の一時保護解除を控えた被害者が虚偽の被害を訴えた可能性がある」として証言の信用性を認めなかった。
男は2017年6月ごろに自宅で長女に性的暴行をしたなどとして起訴された。性犯罪を厳罰化した改正刑法の施行前だったため強姦罪が適用されていた。判決によると男は18年1月下旬、自身の携帯電話に児童ポルノ動画3点を所持した。長女の保護のため、裁判は被告人の氏名や年齢などを公開せずに行った。
(静岡新聞の記事から引用)

平成29年に静岡県の自宅で12歳の長女に性的暴行を加えたなどとして、強姦と児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた男の控訴審判決公判が21日、東京高裁で開かれた。近藤宏子裁判長は強姦罪について無罪とした1審静岡地裁判決を破棄し、懲役7年を言い渡した。
公判は長女の被害証言が唯一の直接証拠で、証言の信用性が最大の争点だった。
1審判決は、寝ている時に性交を強要されたとの長女の証言について、家が狭く、隣で妹も寝ていたのに、家族が誰も気付かなかったとは考え難いと指摘。「長女の証言内容は、客観的な状況に照らすとあまりに不合理だ」とし、懲役7年の求刑に対して無罪を言い渡した。児童ポルノ動画を所持したとする罪については罰金10万円とした。
(産経新聞の記事から引用)


一審の判断は上記の記事にあるとおり、狭小な住宅で一家7人が寝ていたのに、家族は誰も犯行に気づかなかったのは不合理だ、というものです。家族内の性犯罪ということで、家庭状況など詳細は明らかにされていないため事情がよく分かりません。が、強いて憶測するなら家族は父親の犯行を知っていた可能性があります
しかし、一家の働き手である父親が逮捕されたり、有罪判決で服役することになっては生活が成り立たないため、敢えて長女の被害を見て見ぬふりをしたのかもしれません
刑事裁判になったからには、長女は父親と別に暮らしているのでしょう
さらに控訴審を担当した裁判官が女性だったというのも、有罪判決に結びついたのではないでしょうか?
裁判官が男性か女性かで判決が分かれるようなことは本来あってはならないとしても、裁判官はあくまで独立した存在ですから、性犯罪で男性被告に厳しい判断を下す裁判官がいても不思議ではありません
有罪判決を言い渡された被告は不満たらたらなので、上告して最高裁で争う展開になると予想されます
家族のために実父に強姦されても我慢しろ、などというのは時代にそぐわないのであり、訴え出た被害者を批判するのは大間違いです

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渋谷ホームレス撲殺事件 吉田容疑者の生い立ち

バス停で仮眠をしているホームレスの女性を殴り殺した容疑で逮捕された吉田和人容疑者の人物像について、文春オンライン記事を書いています
長年、ひきこもり状態にあった上に、クレーマーとして近隣では有名な存在であった等のエピソードから推測すれば、何らかの障害を抱えたまま十分な治療を受けず大人になってしまった男性、と思われます
自身の家から見える風景が変わってしまうとの理由で、シャッターを取り付けた近所の家に怒鳴り込んだところなどは強迫神経症なのかな、という気もします。が、自分は医師ではありませんし、面識もない人物を病気だと決めつけるのは止めておきます
単に自分が経験したケースで強迫神経症の人物は、部屋に置いてある私物を母親が掃除のため動かして位置が変わってしまったとの理由で、激怒したとのエピソードが記憶にあったので、そう連想しただけです
ひきこもりに至った経緯なども考えないと、発達障害なのか、あるいは知的障害なのか、その両方なのか判断できません
以下、文春オンラインの記事から引用します


「お母さん、ごめんなさい……こんなことになるとは思っていなかった」
11月21日午前3時。東京・渋谷区の笹塚交番に出頭した中年男は、隣に寄り添う齢80の母に対し、すがるように頭を垂れた。
路上生活をしていた大林三佐子さん(64)が渋谷区幡ヶ谷のバス停前で倒れていたのは11月16日早朝のこと。間もなく外傷性くも膜下出血による死亡が確認された。その5日後、傷害致死の疑いで逮捕された吉田和人容疑者(46)は、犯行動機をこう語った。
「自分はボランティアでゴミ拾いをしていて、彼女が邪魔だった。(犯行)前日の散歩の途中、『お金を渡すからバス停から移動してほしい』と話をしたが、聞き入れてもらえなかった」
吉田は終戦直後から酒屋を営む地元の名士の家に生まれた。
両親は山一證券に勤務していたが、父が脱サラして家業を継いだという。中学を卒業した吉田は20代で就職。しかし仕事は長続きしなかった。一家を知る居酒屋店主が明かす。
「父親は『和人は引きこもりのようなところがあるから心配。コミュニケーションが苦手だ』と話していた。その彼が酒の配達を手伝い始めたのは4〜5年前。ある日、競馬好きの彼に『どの馬が勝ちそうなの』と聞くと、後日、競馬新聞を片手に『この馬かな』と嬉しそうな表情を浮かべていた」
息子の将来を案じていた父が亡くなったのは17年7月のこと。その後、吉田は母への偏愛を強めていく。
(中略)
約30平米の部屋で母と二人で暮らしていた吉田は、町内ではクレーマーとして有名だった。
「彼は自分のルールやルーティンを乱されると、急にスイッチが入る。ある日、ガレージにシャッターを取り付けたところ、『勝手に外観を変えないでくれる!? うちの窓から見える景色が僕の全世界なんですよ』と怒鳴りこんできた」(知人)
(以下、略)


記事に書かれているように、バス停の大林さんにお金を渡して移動するよう申し入れたのであれば、彼なりに対人接触を試み、気を使ったと言えなくもないのですが、実際どうだったのでしょうか?
つっけんどんに千円札を出し、「あっちへいけ」と申し向けただけなのかもしれず、どうにも判断はつきません
職を失い、住処も失って途方に暮れていた大林さんにどう声をかけるのが適切であったか、考慮するだけの能力を吉田容疑者は欠いていたのではないか、と思います
そして、バス停から移動しないのなら殴り倒してやろうと、短絡的に考え行動に出たのですから擁護するのは困難です
記事の冒頭にあるように、吉田容疑者は母親に対して「ごめんなさい」と謝罪しているのですが、被害者である大林さんに謝罪する必要があると理解できているのでしょうか?
不幸な事件と言えばそのとおりですが、だからといって吉田容疑者の刑事責任を問わないわけにはいきません

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東大卒マジシャンで塾講師 パンツ盗撮で逮捕

「学歴で人を判断するな」とはよく言われるのですが、学歴が人物判断の目安の1つであるのは否定できません
ただ、有名大学を出た人間が必ずしも立派な人物とは限らないのも、世の真実の1つでしょう
前置きはここまでにして、東大の大学院を修了してマジシャン「日向大祐」の芸名で活動するとともに塾の講師をしていた野間大輔容疑者(41)が、教え子である女子高生のスカートの中を盗撮した容疑で逮捕されています


男が手に持つ透明な水が入ったグラス。息を吹きかけると…一瞬で緑のメロンソーダに。
こうしたマジックを披露していた塾講師・野間大輔容疑者(41)が、迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで逮捕された、野間容疑者は、千葉・船橋市にある学習塾で、生徒のスカート内をスマートフォンで盗撮した疑いが持たれている。
東大卒で評判のマジシャンがなぜ?
この野間容疑者、塾講師の他にもう1つの顔があった。日向大祐と名乗り、東大卒マジシャンとしても活動していたのだ。
野間容疑者のフェイスブックには、「Zoom」を使った“オンラインマジック”の動画も掲載されていて、息を吹きかけるとテーブルの上にケーキが出現するマジックなどを披露している。
フェイスブックのプロフィール欄には、東京大学卒・大学院修了、日本人初のヨーロッパのマジック大会優勝、千葉大学の客員講師など、華やかな経歴が記されていた。
こうした経歴を売りにして、レストランや結婚式でマジックを披露していたとみられる。
野間容疑者がショーを行っていたレストランの店長は評判は良かったと話す。
野間容疑者が出演していたレストランの店長:
最後に来たのは先週の日曜日ですね。マジシャンづてに紹介があって、毎週やってもらうようになった。評判は良かったんじゃないかなと思います。物静かな感じで、別に普通の人という感じでしたね。信じがたい感じはしますね
スマホのライトが点灯していたことも
こうした評判の一方で、塾講師にもかかわらず盗撮に及んでいた野間容疑者。
その犯行は授業中に行われていた。野間容疑者は授業中に生徒の目の前でかがみ、スカートの中にスマホを向けていて、スマホのライトがついていたこともあったという。
盗撮が発覚したきっかけは、犯行に気付いた生徒がその様子を携帯で撮影していたことだった。
(FNNプライムオンラインの記事から引用)


女子高生のパンツは単なる布切れにすぎないのですが、男性の欲情を刺激するアイテムでもあります
体の一部を覆う下着は性器を覆い隠すものであり、それゆえ男性を刺激し、挑発し、誘惑するものです。ならばシマムラや通販店で大量に下着を購入すればよいではないか、とも言いたくなるのですが、女性が実際に身につけている下着であるからこそ、それを覗き見し、盗撮し、盗んで手に入れようと駆り立てられるのでしょう
欲望の対象は下着だけでなく、自転車のサドル、小学生の上履き、中学生の体操服、女性のブーツ、髪の毛、女子高生の通学カバンなどなど、多岐にわたります。夜間の学校に侵入し、女子のスクール水着を身に着けていたところを逮捕された変態もいますし、わざわざ岐阜県から和歌山まで車を走らせて女子高生の体操着盗んでいた変態もいます
そのリスクと労力を考えれば到底割に合わない話なのですが、フェティシズムに駆られた人間は分別もなく犯行を繰り返し、逮捕されるまで止むことはないのでしょう
話を戻して、野間容疑者はなぜ自分が盗撮に駆り立てられ、自制できなかったのか、言語化できるのでしょうか?
東大の大学院を出た秀才であっても、自覚できないければ言語化も不可能です。単に、「下着を見たかった」とか、「盗撮したかった」などなど表面的な供述にとどまるのでは
自身を衝動へと駆り立てた欲望の正体と向き合うことこそ、更生の道です。欲望の正体から目を背け、「たまたま盗撮しただけ」などと誤魔化す人は犯行を繰り返す危険があります

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涼宮ハルヒ セカイ系とゼロ年代

「涼宮ハルヒの憂鬱」を繰り返し取り上げてきたところで、前回で最後にしようと思っていたのですが、1つ取り上げるのを忘れていたテーマがありました。それが記事のタイトルに書いたとおり、「セカイ系」とか「ゼロ年代」というものです
「ゼロ年代」とは評論家の東浩紀らがしきりに多用する用語で、一般的には「2000年から2009年までに発表された作品の間で想像、共有された世界観」を指します。ですが、ここまでは「ゼロ年代」の作品でそれ以降は別物、という風にバッサリと割り切れるものなのか、疑問に感じてきました
あるいは「涼宮ハルヒはセカイ系である」といった決めつけにも疑問があり、シリーズ全体を眺めれば首を傾げたくなるところがあります
今回は評論家佐々木敦の「サブカル論参考『SOS語る団はもう解散している』」から一部を引用させてもらいます
2000年代冒頭から、小説の分野ではジャンルを横断する作品の台頭が顕著になったと指摘しています

サブカル論参考「SOS団はもう解散している」
(前略)
フィクションの世界に目を向けると、この時期はいわゆる「セカイ系」というキーワードが、あちこちで持ち出されていた頃である。作中世界の何もかもが、結局のところはハルヒの無意識に帰着する『ハルヒ』も、言うまでもなく一種の、というか究極の「セカイ系」と捉えることが出来る。色んな定義があるのだろうが、とりあえず「セカイ系」とは、言ってみれば「世界」を、地球とか宇宙とか過去とか未来とかをあっさりと超えた、ほとんど無限に近いものにまで一旦拡張し捲ったうえで、いきなり学校とか教室とかお茶の間とか自室のレベルにまで縮減し、遂には誰かの脳内の妄想とか想像に行き着いてしまうという、デカルト的懐疑の極端な真に受けというか、ベタな独我論のようなものである。クラスメイトが神(みたいなもの)であり、その周りに宇宙人や未来人や超能力者なんかが、それぞれのカテゴリの命運を賭けて集ってくるなどというのはその最たるものだろう。
(中略)
何が言いたいのかといえば、ハルヒ登場の前後に、小説のジャンル崩壊みたいなことが、各所で勢いよく進行していたという事実である。それは大きく二方向から成る。個々のジャンル内における自己批評(とそれに伴う変質・歪曲)的な側面と、他/多ジャンルの混交(とそれに伴う「ジャンル性」の再編成)という側面である。牽引したのは疑いもなく「メフィスト」と「ファウスト」(は二〇〇三年九月創刊)だろうが、星海社設立へと連なる太田克史の理念や理想とはまた別に、いわば「小説」は自らのサヴァイヴの為にこそ、それなりに有効に機能してきた「ジャンル」なるものを根本から見直さざるを得なくなっていたのだし、何よりそれは個々の作家たちの意識無意識の内で、或る必然性を持っていたのだと思われる。そして考えてみれば(考えてみるまでもなく)、そもそもライトノベルとは明らかに、小説にイラストという「小説」以外の「ジャンル」を合体させたことによって(商業的な次元でいうなら、ほとんどそれのみによって)成功したのである。

過去の日本の文学史におけるムーブメントを例に挙げるまでもなく、同時多発的に類似した傾向の作品が登場したり、同じ発想・思想による作品が相次いで生まれるケースがあるわけで、セカイ系とされるライトノベルや漫画が同時多発的に登場したと認められるのでしょう
その中でも「涼宮ハルヒの憂鬱」が商業的成功を手にしたのですから、ライトノベルでセカイ系を代表する作品であるかのように語られるのはやむを得ないところでしょう
ただし、涼宮ハルヒがサブカルチャーにどのような影響を及ぼしたのか、あるいは社会をどう変化させたのかを問わずに、「セカイ系だから」と決めつけて満足する風潮は大いに不満です
以前、「9・11以降、世界は変わってしまった」との物言いを当ブログで批判しました。同じ理屈で、「涼宮ハルヒ」以前も以降も世界は大きく変わってなどいない、と主張することも可能です
ただ、それは保留しておきます。社会的影響がどうであったか、というのも興味深いテーマですが、現時点で語れるほど洞察できているわけでもなく、そちらも先送りです。ハルヒのコスプレが流行ったとか、「ハレ晴レユカイ」を踊ってYou Tubeに投稿するブームがあったとか、記憶にある程度では何も語れませんし、どこにもたどり着けません
ともあれ、漫画やライトノベル、アニメーションに出現したセカイ系とはどのようなものであったのか、佐々木は次のように説明します

「セカイ系」の起動因とは何だったのか? それは端的に言って、現実否認と自己承認欲求の掛け合わせである。つまり平たく言えば、現実と日常がどうしようもなく辛く、堪え難いからこそ、甘美にして安心なフィクションへと逃避したくなる、そうするしかない(と思ってしまう)のであり、それゆえ逃げ込むべき虚構は、まず第一にはっきりと非日常的であることが必須だった。だが同時に、その甘美さは単なる欲望充足であってはならず、その安心さは自己満足的なハッピーエンドで決着してはならない。それではあまりにも単純過ぎる。それでは単に現実と日常のキツさの反転にしかならず、対立物は裏から支えるものだから、最終的にはキツさを強化するだけだからだ。したがって「セカイ系」の代表的作品の多くは、いわば肯定的な悲劇になる。たとえば「ぼく」にとって「世界=セカイ」と完全に同義/同値のヒロイン(きみ)は儚くも消滅する、最初から消滅すべき定めにしたがって消滅するのだが、それと引き換えに「ぼく」は生き残った自分自身の存在を以前よりポジティヴに受け止められるようになり、後には反復可能な想い出が残される。つまり、まず「世界」が「きみ」に変換され(或いは「きみ」が「世界」に変換され)て「セカイ」になり、その「セカイ」が抹消される(=「きみ」が永遠にいなくなる)ことによって「世界」が回帰する、それを失われた「セカイ」の「記憶」が底支えしている、という構造である。

厳密に定義を当てはめようとすれば、「涼宮ハルヒの憂鬱」とそれ以降のシリーズを同じジャンル(セカイ系)と解釈するのは無理があるというのが自分の意見です
SOS団に日常を描写した短編(「孤島症候群」など)は、それでも奇天烈な事件を含むわけですがセカイ系に含めるのは無理であり、含めてしまえば逆に何でもありになってしまいます
なので「涼宮ハルヒ」シリーズをまとめてセカイ系と断定するのはいかがなものか、と思うと同時に、日常を描写した短編までも非日常系と断定するのは居心地が悪い感があります
ただ、中編や短編を細かく日常系や非日常系に分類したところで、何かが得られるわけでもありません。セカイ系とそうでないものに分けるのも徒労でしょう
ジャンル分けなどいまさら無駄であり、無意味だとする意見もあるとは思いますが、読者の側からすれば重要です。バスケットボールの青春物と思って読み始めた「黒子のバスケ」が、いつの間にか高校生探偵黒子が活躍する推理小説もどきになったとすれば、読者は呆れるわけで
「涼宮ハルヒの直観」も何やら推理小説もどきになっており、次からは「名探偵涼宮ハルヒ」になりそうな予感がありありです

二〇一一年五月、約四年ぶりに『涼宮ハルヒの驚愕』上下巻は鳴り物入りで発売された。非常に興味深いと思えるのは、『憂鬱』から『驚愕』に至るまで、実のところ『ハルヒ』とは、一貫してすこぶる反時代的なライトノベルであるという事実である。そのことはここまでで多少とも明らかになったのではないかと思う。このシリーズが大量の読者を抱えており、それは更に飛躍的に増える最中であるということは、このことに関係があるのかないのか、わたしは今これ以上の意見を述べたいとは思わない。

ライトノベルとして初版上下巻で102万部も刷ったのですから、「驚愕」は商売として成功した部類に入るのでしょう。しかし、内容からすればどうしようもない失敗作であり、ファンの大量離脱を招いたのではないか、と思います。実際に調査したわけではないので、そこは自分の思い込みかもしれませんが、「ハルヒ=オワコン説」が顕在化したのは事実でしょう
同時に、涼宮ハルヒ的セカイ系の終わりを意味していたとも考えられます
ただし、佐々木敦は朝日新聞での書評で、「『驚愕』は前作『涼宮ハルヒの分裂』の続きである。ハルヒのライバル(?)の佐々木という少女が登場し、説明もなく物語は二つに分岐する。片方ではSOS団に新入生が入ってきたりと平穏な日々が続き、もうひとつの世界ではSOS団始まって以来の大ピンチが訪れる。誰もが覚えがあるような高校生活のディテールと、あまりにも荒唐無稽なストーリーとの、絶妙なる合体。ファンならずとも夢中になること請け合いの面白さである。ただし初めて読むなら第一作から読んだ方がいい」と書いており、「驚愕」も読むに値する作品と評価しています。「荒唐無稽なストーリー」は褒め言葉なのでしょうから
であるにせよ、「驚愕」の評価を変えるつもりはなく、ハルヒ的セカイ系の終わりに寂しさを感じたのでした。もっと「大きな物語」に成長する可能性があると思っていただけに

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「はやぶさ2」の成功を羨む韓国

はやぶさ2が小惑星「りゅうぐう」からの土壌サンプルの採取に成功し、無事に地球に送り届けた業績は大いに称賛されるところです
関係者の努力が報われ、科学への貢献を果たすことができたと、日本人の1人として嬉しく思います
さて、いつものように隣国ではどのような反応が出ているのか、観測しましょう
まずはレコードチャイナの記事から

2020年12月6日、韓国・朝鮮日報は「日本の小惑星探査機はやぶさ2のカプセルが地球に6年ぶりの帰還を果たした」と報じた。
記事は、小惑星リュウグウの試料が入ったカプセルが豪州南部の砂漠に着陸したことを宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表したと、カプセル回収の写真と共に紹介。「カプセルの中には太陽系形成初期の状態をそのままとどめているリュウグウの土が入っており、太陽系の形成過程や、炭素で構成された生命の進化を追跡する上で有用だと期待される」「リュウグウは炭素質小惑星で、炭素質小惑星の試料を地球に持ち帰ったのは世界初となる」などと伝えている。
この記事に、韓国のネットユーザーからは「日本の科学技術は素晴らしい。おめでとうございます」との声と共に、「韓国は何をしているのか」と嘆く声が多く寄せられている。
「2030年の月探査を目標にしてたはずだけど、どうなったのやら」「こういうニュースを見ると、いつまで韓国はこの調子なんだろうと嘆かわしく思う。死ぬまで過去の真相究明にし縛られ、そのまま終わるんじゃないか」「歴史的には許しがたい罪人だが、宇宙技術は30年は進んでいる。今後は宇宙技術が国力を左右するだろうに、韓国はいつまで100年前の過去に執着しているのか」「反日、不買運動をしたって、日本は技術開発で世界へ出ていく」「日本を下に見ている唯一の国。日本に対する根拠のない自信はどこから来るのか?。日本に対する誤った歴史観と無知からだよ」などのコメントが並んでいる。
(レコードチャイナの記事から引用)

続いて、韓国の掲示板に寄せられた反応を引用します。
まあ、いちいちコメントする必要もありません。感嘆と嫉妬、それに八つ当たりとしか言いようのない反応が並んでいます

「ひたすら嫉妬して根拠もなく非難する時間に、認めて見習おうと努力する方がより生産的ではないでしょうか?」
「素晴らしい成果!」
「我々はミサイル指針のため、宇宙発射体を開発したばかりで、来年、試験発射準備中だから。遅くなりましたが、これから良い成果を出すことを願います」
「韓国は公務員が宇宙船の開発をし、機械も作り、農業もしなければなりません。全国民の公務員化、公務員が夢である国。未来もない」
「韓国は一度まともに始めれば、やり遂げる民族だ。今はしばらく遅れているが、十分挽回出来ると信じている」
「そうだね、分かったし。これからは放射能汚染水をきれいに浄水し、お前らが飲んでみてから太平洋に放流しろ!」
「韓国は、何をしてるの?数多くのYouTube動画には日本を卑下する内容が多いのに。あんなの一つも真似できないくせに...」
「お前らが韓国から略奪した資源で豊かに暮らしていただろう。罪の代価を受けるだろう」
「放射能汚染水の海洋放流だけでは足りず、宇宙からゴミとばい菌を持ってきた日本!!」

いまだに「福島原発を持ち出せば、日本人は反論できない」などと思っている韓国人がいるようです
日本を批判する前に韓国は糞尿の海洋投棄を止めて、汚水処理施設を全国に整備するべきなのでは
それと韓国の一部の原子力発電所は、冷却水を処理しないまま河川に流しているわけですが、それも改める必要があります
あるいは韓国で放射線濃度の低い核のゴミを、道路の舗装材料として使用しているため、ソウル市内の放射線量は東京より高いという実態があり、日常的に被爆しているのを彼らはどう思っているのでしょうか?

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女児5人にわいせつ行為 元自衛隊員に懲役11年の判決

海上自衛隊鹿屋基地に勤務していた元2等海曹上園大作は5人の女児に対する強制性交や強制わいせつ、児童ポルノ法違反などの罪で起訴されていました。鹿児島地裁は上園被告に対し、懲役11年の実刑判決を言い渡しています
当然ですが、自衛隊では懲戒免職処分を受けています。逮捕時の報道では現職の自衛官扱いだったため、「なぜ免職にしないのか」との声が多数あったわけですが、起訴されるのを待って懲戒免職処分にしたようです。
山口県での事件は上園被告が岩国基地勤務時に起こしたもので、家族同士交流していた知人の娘に手を出すという鬼畜の犯行です
以下、逮捕時の報道と判決時の報道を引用します


公園のトイレで小学生女児を裸にして撮影したなどとして、鹿児島県警は3日、海上自衛隊鹿屋航空基地第1整備補給隊に所属する2等海曹、上園大作容疑者(44)=別の女児に対する強制わいせつ罪で起訴=を、わいせつ目的誘拐や強制性交等未遂などの疑いで再逮捕し、発表した。「女の子に興味があり、欲望を抑えきれなかった」と容疑を認めているという。
県警によると、上園容疑者は5月5日ごろ、鹿児島県内の公園のトイレで、県内の小学生女児を裸にして撮影するなどし、10月20日ごろには、1人で遊んでいた同じ女児に「一緒に遊ぼう」と声をかけ、自分の車に乗せて約2時間連れ回し、車内でわいせつな行為をしようとした疑いがある。女児にけがはなかった。
上園容疑者は今年7月に県内の駐車場で、別の女児を自分の車に連れ込み、体を触るなどしたとして11月6日に強制わいせつ容疑で逮捕された。上園容疑者の供述や、県警が同容疑者の自宅から押収したパソコンなどの解析から、今回の容疑が浮かんだという。
(朝日新聞の記事から引用)

女児5人に強姦や強制わいせつ 元自衛官に懲役11年
山口県と鹿児島県で計5人の女児に触ったり、性的暴行を加えたりしたとして、強制わいせつや強姦(ごうかん)などの罪に問われた海上自衛隊鹿屋航空基地の元第1整備補給隊2等海曹上園大作被告(44)=同県姶良市西餅田=の判決公判が26日、鹿児島地裁であった。岩田光生裁判長は「極めて卑劣な犯行」などとして、懲役11年(求刑懲役13年)の実刑を言い渡した。
判決によると、上園被告は2011年7月~12年1月、山口県内の当時の被告宅などで女児(当時8~9歳)1人に対し、4回にわたって性的暴行を加えた。19年5月~10月には、鹿児島県内の公園のトイレや乗用車の中などで、女児計4人(7~11歳)の着衣を脱がせて体に触ったり、携帯電話で撮影したりした。
岩田裁判長は強姦について、女児の遊び相手となり家族と交流する中で繰り返されたとし「信頼や(女児の)未熟さにつけこんだ極めて卑劣な犯行」と指摘。強制わいせつなどについても、女児らと遊ぶ中で一連の犯行に及んだとし「常習性は顕著で、いずれも悪質」と述べた。
(朝日新聞の記事から引用)


2011年に犯行があり、その後は2019年の事件まで強制わいせつ事案に走らなかったのかは不明です。警察が立件しないだけで、隠された犯行があるのかもしれません。上園被告のパソコンに女児の写真が多数あったとしても、被害者を特定しないことには強制わいせつや強制性交として立件できないのですから
上述のように8年間、性犯罪に及んでいない空白の期間があるというのはちょっと信じがたいものがあります
さらには求刑が懲役13年で、判決は11年です。2年も割り引いた理由があるのかも気になるところです
「悪質な犯行」と言うなら懲役13年でもよかったのでは?
上園被告は2011年当時の自身の行動を犯罪であると認識していたはずですし、捕まったり懲戒処分を受ける可能性も考えたはずです。それでも治療を受けるという選択はせず、2019年には公園で遊ぶ女児に手を出しており、まったく救いがたい感があります
懲戒免職で退職金も出ない身としては、被害者への慰謝料支払いもしていないのではないでしょうか?

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「シネアスト宮崎駿 奇異なもののポエジー」は気まずい?

朝日新聞の文化欄がフランスの映画・アニメーション研究家ステファヌ・ルルー著「シネアスト宮崎駿 奇異なもののポエジー」(みすず書房刊)を取り上げていますので、言及します
みすず書房のウェッブサイトにある著者のプロフィールによれば、フランス・レンヌ市のリセ・ブレキニー「映画オーディオヴィジュアル」クラス教授。レンヌ第2大学講師。アニメーション映画研究者。2007年、レンヌ第2大学に提出した当該書籍の元となった論文で博士号を取得した、とあります
以下、朝日新聞の記事から引用します


フランスの博士の気まずい宮崎駿論(小原篤のアニマゲ丼)
https://www.asahi.com/articles/ASNCN3SDLNCLUCVL016.html?iref=com_cul_manga_editorschoice_list_n
高畑勲&宮崎駿論で博士号を取り仏の大学や学校で教員を務めるアニメ映画研究者ステファヌ・ルルーさん著「シネアスト宮崎駿 奇異なもののポエジー」が先月みすず書房から刊行され、期待して読んだのですが、スーザン・ネイピアさん著「ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光」(昨年12月2日の本欄「『宮崎駿の闇と光』という愛情に満ちた本」参照)に続いてアレやコレやとツッコミどころの多い本でした。
着眼点はいいんです。目をひくビジュアルや深遠なテーマについて語られることが多い宮崎さんの「シネアスト」(訳すなら「映画演出家」?)の側面、すなわち「編集・カメラワーク・フレーミング・構図・音声と画面の関係など」(訳者・岡村民夫さんによる「あとがき」から)を分析。「彼の芸術の本質」は「想像的なものと高畑のそばで練りあげられた映画的リアリズムとの思いがけない出会い」であり、「そこに特異で奇異なポエジー、ある種の『驚異における自然なもの』の表現が現出する」(本文16ページ)。
「リアリズムと驚異を混ぜあわせる個人的なポエジー」(61ページ)とも書いていますが、私流に砕いて言うと、「あり得ないことを本当らしく見せるマジック」、逆の言い方なら「現実味を帯びていたところに非現実をぶっ込む荒技」でしょうか。
ルルーさんは「塔の頂に囚(とら)われているラナを救出しようとするコナン」(未来少年コナン)や「城の壁を苦労してよじのぼるルパン」(ルパン三世 カリオストロの城)を挙げ、「人物がほんとうに落ちそうになる挿話を通して空間の実在感を捉えることから始め」「ついにはほんとうに度はずれな軽業にいたる」(55ページ)と書きます。
「なーんだ、『前略 宮崎駿様』か」と思った方は多いでしょう。1984年刊アニメージュ文庫「風の谷のナウシカ 絵コンテ2」巻末の、押井守さんによる有名な宮崎批判です。ラナを抱えて塔から飛び降りたコナンのシーンを引き、リアリズムで演出しておいて土壇場でデタラメな「漫画映画」に持ち込む宮崎さんのやり方は「劇(ドラマ)」を遠ざけ「映画としての訴求力」を失わせるものだ、と指摘します。いくら本当らしく見せても度の過ぎたウソは興ざめだよ、ってことですね。
(以下は有料記事なので割愛)


「シネアスト」とは演出家との意味だそうです。ルルーは演出家としての宮崎駿に着目し、人物の観せ方や劇的な場面の演出方法から宮崎駿の作家性を読み解こうとしている、と思われます(未読なので、自分の推測です)
そうした試みのどこが「気まずい」のかは、朝日新聞の有料記事を読まなければ分かりません。が、自分は会員登録して読もう、という気になれないので「気まずい」理由は放置しておきます
それよりもルルーの「シネアスト宮崎駿 奇異なもののポエジー」を読んだ方が、得るものは遥かに多いのかもしれません
上記の記事にあるとおり、押井守は宮崎駿の作品について歯に衣を着せぬ批判をしています。また、宮崎駿の方も押井守の作品を鋭く批判しており、互いに遠慮がありません。それでも意気投合しているという関係です
さらに言うなら、宮崎駿の表現方法、演出が最善というわけでもなく、表現の可能性は他にいくらでもあります
最近では中国のアニメーションが背景描写に力を注ぎ、色鮮やかな自然風景を示して「宮崎駿を超えた」などと称していたりするのですが、自然風景をどれだけ細密に描写したところでそれはアニメーションの本筋とは関係ないのであり、演出とは何かを理解していない証拠です
あるいは宮崎駿の演出技法を学習し、真似たところで宮崎駿を超えることはできないのであり、それも無駄な努力です
ルルーの著作を読み終えましたら、また取り上げるつもりです

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「風の谷のナウシカ」 アニメーションを読む方法
https://05448081.at.webry.info/202101/article_15.html
「宮崎駿にキメハラ」という記事
「ナウシカ解読」における4つの問いを考える
「風の谷のナウシカ」 深淵と虚無を超えて
赤坂憲男「ナウシカ考」を読む その2
赤坂憲男「ナウシカ考」を読む その1
「風の谷のナウシカ」と自然・環境問題 その2
「風の谷のナウシカ」と自然・環境問題 その1
「風の谷のナウシカ」 その世界観を問う
「風の谷のナウシカ」 死と再生を考える
ナウシカの正義とサンデル教授「白熱教室」
「風の谷のナウシカ」に見る宮崎駿の矛盾
「風の谷のナウシカ」は愚行と矜持を描いた叙事詩か
ナウシカとマルクス主義
「ナウシカとニヒリズム」を考える
ナウシカに学ぶ女性リーダーシップ論
「ナウシカ研究序説」を読む
ナウシカの辿り着いた場所 漫画版エンディング
「風の谷のナウシカ」の神話学を考える
構造主義の立場で「風に谷のナウシカ」を語る その1
構造主義の立場で「風に谷のナウシカ」を語る その2

座間9人殺害事件を考える 死刑判決

今年の残すところわずかとなりました。生活環境が大きく変わった1年で、定年退職から引っ越し、老親との同居、父親の死、母親の介護などなどがあり、大変だったというのが実感です。ブログの方はどうにか記事の更新を重ね、累計で980万ページビューを超えました。宣伝もしない地味なブログに立ち寄り、読んでいただいたことに感謝申し上げます
さて、本日は座間市の9人殺害事件を取り上げます
世間を震撼させた座間市の9人殺害事件で、東京地裁立川支部の矢野裁判長は白石隆浩被告に対し検察の求刑通り死刑を言い渡しています
裁判の争点になった被害者の承諾の有無については、9人全員が殺害を承諾していなかったと認定し、承諾殺人として有期刑を選択すべきとした弁護側の主張を退けています
判決公判の模様を伝える記事は各メディアとも似たりよったりなので、傍聴した記者の所感を引用します


9人もの命を奪う理由はどこにあったのか-。神奈川県座間市のアパートで平成29年に15~26歳の男女9人が殺害された事件で強盗強制性交殺人などの罪に問われ、東京地裁立川支部に死刑判決を言い渡された白石隆浩被告(30)の約2カ月半に及んだ裁判員裁判を終えても、その疑問が解けることはなかった。
発覚当初から異様な事件だった。SNS(会員制交流サイト)上でつながっただけの希薄な人間関係が、連続殺人へと直結した。そこには近しいゆえの恨みや金銭トラブル、痴情のもつれといった人間臭さがまったくなかった。
「金を引っ張れそうか見極め、引っ張れそうもなければ乱暴して殺害し、所持金を奪おうと考えた」。法廷で白石隆浩被告が何度も口にした犯行動機は、供述調書を暗唱しているかのような無機質さしか感じなかった。実際に被害者から奪った現金は、わずか数百円から多くても数万円。後の被害者になるほど「見極め」も雑になり、半ば衝動的に性欲を満足させるために行動していた。
被告は犯行に使った複数のツイッターのアカウントについて、「一緒に自殺したいというキャラクター」「(首つりで)殺してあげるというコンセプト」などの“設定”があったことも明かした。法廷で淡々と遺体の処理手順を話す姿は、弁護側が「最速で裁判を終わらせようとしている」と指摘したように、合理主義的な犯罪者の仮面をかぶったまま告白しているように思えてならなかった。
白石被告の言葉で唯一腑(ふ)に落ちたのは、約2カ月間に及んだ犯行期間を振り返った際に漏らした一言だ。「自分の快楽をずっと追い求めたような生活だった」。自身の逮捕につながった被害者の兄への恨み節も口にしたが、こうした言動は判決でも「自分本位な後悔」と一蹴された。
被告は最後の被告人質問で「極刑でも控訴しない」と語っていた。このまま刑が確定すれば、本心は二度とうかがい知ることができない。
(産経新聞の記事から引用)


未決囚(判決が確定するまでの被告)の場合、親戚縁者ではない報道陣も拘置所へ行って面会できます。そこで手記の執筆を依頼したり、インタビューをまとめて本にする許可を取り付けたりするのですが、当然ながらお金が動きます
白石被告はこれまでにも、報道陣の面会では金銭を要求し、「いくらかの金額を差し入れたら事件についてしゃべる」とのスタンスでした
死刑確定後は面会範囲が制限され、親族か弁護士でないと面会できなくなります。なので、これまでのように取材もできないのであり、白石被告が何かを語る機会というのは失われると考えられるわけです
それが記事の文末にある「本心は二度とうかがい知ることができない」との記述の意味です
元々白石被告は自分の犯行について説明しようとか、誰かに理解してもらいたいとの意欲はなく、死刑で構わないから早く裁判を終わらせたいと決め込んでいました。あまりに投げやりで、自分勝手な態度ですが、それを変えるのは困難でしょう
なので被害者遺族にすれば、「なぜ自分の娘は殺害されなければならなかったのか?」との思いがあるのでしょうが、例え白石被告に面会したところで明確な答えは得られないと言うしかありません

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「漫画やアニメはこどもに悪影響を与えている」と主張する論文

今回取り上げるのは福岡にある中村学園大学短期大学の学生による卒業論文のようです
最初は卒業論文とは知らないまま(教職員のものか、と決めつけ)、ブログに取り上げようとあれこれ書いていました。最後に短大の教職員かどうか確認しようと検索したら、学生の卒業論文と判明した次第です
せっかく書きかけたものをボツにするのは「モッタイナイ」ので、修正した上でアップします
かつて少年非行の温床としては俗悪テレビ番組(ドリフターズの「8時だよ!全員集合」など)が槍玉に挙がり、さらに漫画(少年ジャンプの「ハレンチ学園」など)が批判され、そしてテレビゲームが元凶とされた経緯があります
そちらの話をするのが目的ではないので割愛しますが、こうした俗説がまだまだ生きているのかな、と思えるような論文があったので取り上げることにしました
卒業論文を晒しものにして揶揄するような真似はしたくありませんので、そこは節度を持って扱うよう気をつけるつもりです

アニメ・漫画の影響

前段の漫画やアニメの歴史は読み飛ばしてください
問題は『3 章 心理的「悪」影響と効果』からです

3.1 節 アニメ・漫画が与える心理的悪影響
アニメ・漫画が与える心理的悪影響についてまず初めに、暴力的なシーンや発言等が多数あり、子ども達が真似をしてしまうという点である。前述したように、漫画やアニメのキャラクターに強い憧れを抱く子どもは多いが、その憧れが逆に悪影響となる場合もある。例として、「ワンピース」では刀が頭に刺さろうと、鉄のバットで頭の骨を砕かれようと、真剣でめった斬りにされようと、巨人に踏みつぶされようと、主人公は決して死なず、また、「ポケモン」では動物虐待等が挙げられる。勿論、争うことは悲しいこと、人を傷つけることは自分を傷つけること、守る為の戦いで傷つける為の戦いではない等、漫画を通して作者が伝えたい意図は多々あることも理解できるが、それ以上に年々漫画やアニメの暴力シーンや格闘ゲームは激しさを増しており、どんなに暴力を奮っても人間や動物は死なない等、生き物の命の感覚が希薄化してきていることの方が大きな問題となっている。その結果として、興味本位で真似をすることが増え、イジメ等が増加することが懸念されている。
3.2 節 アニメ・漫画から影響を受けた凶悪犯罪
日本の未成年の凶悪犯罪が起こる背景として、「アニメや漫画」の存在が少なからず関わっていると言われ、特に影響を与えている週刊アニメ雑誌に出てくるような連載作品には、命を軽視するような絵が描かれていたり、未成年にはとても不適切な表現の言葉ややり取りが交わされる等、凶悪犯罪の温床になりかねないとの意見もある。生活の中にアニメや漫画が毎日のように関わっている現代では、子ども達がアニメや漫画から受ける影響は良い面でも悪い面でも共に大きなものとなってきている。中には、アニメや漫画の影響が犯罪へと繋がる事件も起きており、例を挙げると宮崎勤元死刑囚の「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」や「酒鬼薔薇聖斗事件」等がある。
しかし、例にも挙げたような犯罪において、同じアニメや漫画を見た子ども達が全員犯罪を犯してしまうのかと考えると、アニメや漫画の影響は人それぞれ違うと捉えることが出来るのではないだろうか。

まず、宮崎勤死刑囚がどのような漫画作品、アニメ作品の影響下で事件を起こしたのか、作品名を具体的に提示する必要があります。神戸の連続児童殺傷事件でも同じく、どのような作品が彼をして犯罪に走らせたのでしょうか?
作品と犯罪事実との因果関係をきちんと示すことができないのなら、それは単なる憶測であり一部の報道の受け売りにすぎないのです。ならば論文に書くのは止めましょう
卒業論文というからには指導教授がいたはずであり、指導教授はこの記述を読んで何も思うところがなかったのでしょうか?
その他、漫画の影響で起きた凶悪事件の1つでも例示できているならともかく、こうした著名な事件を出しながら因果関係の考察を欠いているのは未熟であるにしても酷い内容です

3.4 節 少女漫画が与える悪影響
少女漫画について考えると、少年漫画に比べ性描写が多く描かれている。元々、児童ポルノ法案(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法案)の第一条では「この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的な動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。」と定められている。
しかし、少女漫画では性的描写の自主規制が少年漫画に比べ、規制の度合いが緩く、その規制緩和の動きが低年齢化してきている。
少年漫画を好んで読む女性が多く、少年漫画人気が続いていることから、少女漫画の売り上げは伸び悩んでいる。そこで、少女漫画は基本的に人気のある恋愛モノを主流として、少年漫画よりも性的描写が多く過激なものも出版されている現状である。成人向けの漫画は売り場を分ける等の対策をして、はっきりの差別化が図られており、子ども達には読むことができないようになっているが、それに比べると少女漫画は過激なシーンがあったとしても、本屋では普通の漫画と同じように棚に並んでおり、子ども達でも自由に読むことも出来る環境にある。このような少女漫画を子ども達が読むことに対して、反対する親が多いことも事実であり、例えば、茨城県では一部の少女漫画を有害図書に指定された。更に、2007 年には日本 PTA 全国協議会による「子どもとメディアに関する意識調査」の中で、「子どもに読ませたくない雑誌」に少女漫画が第一位に選ばれた。

この記述も何ら説得力がありません。少女漫画と記述しているだけで、具体的にどの作品を指しているのか不明です
どの作品の、何の描写が問題なのか、きちんと示す必要があります。加えて、その作品によって誰がどのような悪影響を被った事実があるのか、例示できるのでしょうか?
性非行、援助交際に走った少女Aが漫画「◎◎」の影響を受けていた、という事実のないまま、一般論めいた主張を展開してもねえ
さらには少年漫画と少女漫画の差異もきちんと論述してほしいものです
PTA協議会が何を決議しようと、調査しようとどうでもよいのであり、そこで何が議論の対象となったのかが重要です
おそらく卒業論文を書いた学生さんは真面目な方であり、講義にもきちんと出席していたのでしょう
にも関わらずこのような空疎な内容の卒業論文を書いたのは、大学の講義内容に問題があったのか、卒論指導に問題があったのか、あるいは両方だったのではないか、と思います
少女漫画の性描写が問題であると決めつける前に、思春期の少女たちにどれだけ有意義な性教育が日本でなされているか(セックス教育ではなく)、それを問う必要もあるでしょう
日本は民法で女性は16歳で結婚できると定めてきましたが、果たして有意義で必要なだけの性教育を中学卒業までにきちんと行ってきたのかどうか?
「女は結婚して子供を産めばいい」との考えしかなかったのでは?
最後に少女漫画の現在、という意味で「CITRUS」の動画を貼っておきます

CITRUS OPENING


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高畑裕太芸能活動再開へ 「家族の苦しみを考えて」

2016年の事件以来、芸能活動から遠ざかっていた高畑裕太が本格的に復帰する、と週刊誌が取り上げています
これまでは劇団の裏方として働き、昨年夏には下北沢の劇場に脇役として舞台に立つなど徐々に芸能活動復帰に向け地ならしをしてきた高畑裕太について、母親の高畑淳子が取材に応じています
以下、週刊女性の記事から引用します


高畑裕太が復帰! 母・淳子が語った事件当時の不満「家族の4年間の苦しみを考えて」
(前略)
“現場復帰宣言”をした息子のことを、今はどう考えているのか。
12月上旬、自宅から自転車で出かける淳子を直撃した。
─息子さんの現場復帰おめでとうございます。今回の宣言をどう思っていますか?
「……まず、あの事件に対して、あなたはどう考えていらっしゃいますか? 本当に息子が、あんなことをしたと思われているのですか?」
質問に応じず、記者に向けて見解を問い返す彼女は、事件に関する報道に不満を持っている様子だった。
─確かに事件の情報は、各社で交錯していましたが……。
「だったら、管轄の警察にお聞きになればいいじゃないですか? あのとき、私たちはメディアに追いかけられて、事実を正すよりも平穏が欲しかったんです」
事件当時、謝罪したのはバッシングを鎮めるためだったと語る彼女は、被害者側にも不信感を抱いている。
「相手は被害届を出してすぐに“いくら出すんだ”と示談金を要求してくるなど、非常識なところがありました。それで警察は彼らの言い分がおかしいと判断して、不起訴処分にしたんです」
事件を仕組まれたものと訴えながら、息子の現状を葛藤と苦悩を交えて語る。
「私も親バカかもしれませんが……。逃げてばかりじゃいけないなと思っています。私たち家族の4年間の苦しみを考えてほしいです」
そう言い残すと、自転車に乗って去っていった。
(後略)


示談して不起訴処分になったというのに、高畑淳子はまだ不満のようです。息子裕太こそ被害者、と言いたいのかもしれません
上記の記事で高畑淳子は「警察が不起訴にした」と述べていますが、起訴するかしないかを決めるのは検察官であって警察ではありません
被害者女性が交渉役に元暴力団の男性を立てたという事情はあるにせよ、高畑裕太がホテルの女性従業員に手を出したからこそ事件になったのであり、逆恨みするのは大間違いでしょう
加えて、事件によって高畑淳子は「家族の4年間の苦しみを考えてほしい」とも主張しているのも、「なんだかなー」と思ってしまいます
被害者はまったく苦しんでいないと決めつけているのか、思いやる気もないというか。自分たちこそ被害者であると信じ込んで、他は何も考えられないのかもしれません
高畑淳子は和解金300万円を支払った、と報じたメディアもあったようですが、実際には和解金プラス迷惑料で1500万円ほど支払ったというのが事実のようです。被害者女性は勤務していたホテルを退職せざるを得なかったという事情もありますので、決して法外な金額ではありません(俳優新井浩文はより多額の和解金を支払いましたが、懲役4年の実刑です)
しかし、高畑淳子にすれば息子が女にたぶらかされた上に、金をむしり取られたという感覚なのでしょう
どうしてそこまでして息子を芸能界で活動させようと執着しているのか、自分には理解不能です

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老人ホーム睡眠薬殺人 最高裁の判斷は?

印西市の老人ホームに勤務していた准看護師が、同僚に睡眠導入剤入りのお茶を飲ませ、交通事故を起こさせた事件では、一審千葉地裁は懲役24年の判決を下しました。が、二審の東京高裁は「交通事故に巻き込まれた相手方2人に対しても殺人未遂を認めた判斷は誤り」だと指摘し差し戻す判決を下しています。検察、弁護側ともに上告したため、最高裁での判斷が注目されています


千葉県印西市の老人ホームで睡眠導入剤入りの飲み物を同僚に飲ませて交通事故を引き起こし、6人を殺傷したとして殺人や殺人未遂などの罪に問われた元職員、波田野愛子被告(74)の上告審弁論が11日、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)で開かれ、結審した。判決期日は後日指定される。
争点は被告の殺意の有無で、1審千葉地裁の裁判員裁判判決は殺意を認め、懲役24年とした。これに対し、昨年12月の2審東京高裁判決は「事故に巻き込まれた相手方2人にまで未必の殺意を認め、殺人未遂罪が成立するとしたのは誤りだ」として1審を破棄、審理を地裁に差し戻した。検察、弁護側双方が上告しており、最高裁は2審の結論を見直す可能性がある。
この日の弁論で検察側は「事故に巻き込まれた相手への殺意は認められる」と主張。弁護側は「薬を飲ませても事故が起きるとは限らず、殺害行為といえない」とした。
(産経新聞の記事から引用)


上記の記事にある、弁護側の「薬を飲ませても事故が起きるとは限らず、殺害行為とはいえない」との主張は不適切でしょう。現に事故は起きており、無関係な人まで巻き込まれ負傷しているのですから。いかに被告人の利益のためとは言えども、よくよく吟味した上で弁護人は発言するべきです
睡眠導入剤をお茶に混入して飲ませるだけで、波多野被告はいわば手を汚すことなく複数人を殺害できたのであり、交通事故ともなれば無関係の人間を何人も巻き込む可能性があったわけです。現にそうなっています
波多野被告の動機に関しては前々回の記事で取り上げましたので繰り返しませんが、千葉地裁での公判で波多野被告は質問されても「忘れた」と言うのみで語ろうとはしませんでした
この波多野被告の態度に被害者側は怒りを禁じ得ず、批判しています。


印西市の老人ホーム職員ら男女6人が昨年、交通事故などで死傷した睡眠導入剤混入事件で、殺人などの罪に問われた元職員の准看護師、波田野愛子被告(72)は19日、千葉地裁(坂田威一郎裁判長)であった裁判員裁判の第5回公判の被告人質問で、睡眠剤を使った理由や望んだ影響を「覚えていない」「忘れた」とこれまでの公判と同様に繰り返した。
前回公判では、波田野被告は混入の動機を「嫌がらせのためだった」と説明し、殺意を否定。改めて裁判官が混入により望んだ影響を問うと「忘れてしまいました」と答えた。嫌がらせ目的に睡眠剤を選択した理由は「ちょっと…覚えていない」と首をかしげた。
この日の公判では、検察側の証人として乱用薬物の有害作用に詳しい国立精神・神経医療研究センターの依存性薬物研究室長が出廷。交通事故死した同僚の山岡恵子さん=当時(60)=らは、服薬を知らずに車を運転したとして「操作を誤った時、適切な回避ができず非常に危険」と事故のリスクを指摘。医療従事者であれば、運転の危険性は「最も注意すべき点」と述べた。
また、被害者参加人として出廷している山岡さんの次男が意見陳述し、混入した理由などを「忘れた」とする被告に時折顔を向けながら「(事件から)まだ1年ですよ。反省しているなら覚えている」と怒りをあらわに。「極刑を望むが、本人が楽になる」と話し、山岡さんが本来生きられた年数を数え「30年間ぐらいは刑務所の中にいてほしい」と訴えた。
(千葉日報の記事から引用)


最高裁は一審判決を支持するのか、二審を支持して差し戻し(裁判のやり直し)を求めるのか、どちらになるのでしょうか?
実益のない法律論議にかまけて、裁判のやり直しなどという無駄はごめんです
裁判員裁判である一審で示された懲役24年の判決を支持してもらい、決着をつけるのが被害者とその家族にとって最も望ましいわけで

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フィリピン人殺害野崎浩死刑囚 病死

同棲していたフィリピン人女性2人を殺害し、遺体をバラバラにして遺棄したとして死刑が確定していた野崎浩死刑囚(61)が、13日未明、収容先の東京拘置所で病死したと報道されています
腎不全であったものの治療を拒絶していたとの話ですから、覚悟の死だったと思われます
野崎死刑囚は1999年4月、同棲していたフィリピン人のヨネダ・ロンガキット・エルダさん(当時27歳)の首を絞め、殺害したとして埼玉県警に逮捕されたのですが、死体損壊と遺棄は認めたものの殺人は否認。結果、死体損壊・遺棄で起訴され有罪となり服役。刑務所から出所後の2008年、同棲していたフィリピン人のカミオオサワ・ハニーフィット・ラティリアさん(当時22歳)を殺害し、同様に遺体をバラバラにして遺棄し、警視庁に逮捕されました。この時の逮捕で1999年のエルダさん殺害を自供したため、2件の殺人で起訴され死刑判決が確定していました
ただし、裁判で野崎死刑囚は供述をコロコロと変更し、裁判官がブチ切れるという異例の展開でした
その嘘の多さと、供述の一貫性のなさが野崎浩という男を如実に物語っていたように記憶しています
野崎はフィリピン人ホステスのヒモとして生活しており、女性からの愛情が薄れたと邪推して殺害に及んだ、と推認されるのですが、それが本当であるかどうかは分かりません。殺害動機についてはペラペラと無関係な話をし、はぐらかし続けていた、と言うほかないわけで
以下、プロの傍聴人である高橋ユキの傍聴記を参照してください

フィリピン女性バラバラ殺人被告「死刑になるように努力した」控訴の顛末

ヒモ生活でバラバラ殺人と聞けば座間9人殺害事件の白石被告を思い出しますが、安易に2つの事件を結びつけ、「似ている」などと決めつけるのはジャーナリストの犯す間違いの1つです
少年による殺人事件と聞けば「神戸の連続自動殺傷事件と似ている」と口走ったりするように。こうした過ちは先入観でものを見てしまうがゆえであり、事件の本質を読み間違える結果をもたらします
犯罪者ごとに個別の心理検査をいくつか実施すれば、犯行の外見は類似しているように見えても、1人1人性格も資質も大きく異なっているのが通常であり、外見的な特徴で「同じだ」と判断するのは早とちりです
野崎死刑囚の話に戻りましょう
上記の記事にあるように、埼玉県警は最初の事件で殺人罪の立証ができず、遺体の損壊と遺棄だけ(遺体として発見できたのが被害者の歯と毛髪だけであったため)で送検しています
2度めの事件で警視庁は野崎死刑囚の口を割らせ、1999年にエルダさんを殺害し遺体を横浜の運河に遺棄したとの供述を引き出し、2件目のラティリアさん殺害と併せて2件の殺人の立件に漕ぎ着けました
ただ、それは警視庁の手柄とは言い切れません。この時、野崎死刑囚は大腸がんに冒されており、余命幾ばくもないと弱気になっていたのでした。結局、野崎死刑囚は被告として拘置中に大腸がんの手術を受け、死を免れるのですが
後は裁判で供述をコロコロと変遷させ、トンチンカンな主張を展開して裁判官を怒らせ、呆れさせた挙げ句、死刑判決を受けたわけです

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「涼宮ハルヒの消失」再考

「涼宮ハルヒ」シリーズを繰り返し取り上げてきましたが、最新刊である「涼宮ハルヒの直観」は残念ながら自分の好みから随分と隔たった内容でした(先日取り上げたように)。ここで区切りをつけようと思い立ちましたので、最後に「涼宮ハルヒの消失」に言及しておきましょう
このシリーズの中で一番の出来とも言える内容になっています。小説と劇場版アニメーションの両方を、特に区別せず語るつもりです
今回は「澄のブログ」さんの書かれた「【考察】涼宮ハルヒの消失」から一部を引用させていただきます

【考察】涼宮ハルヒの消失
キョンの変化を描くための物語
理由1:キョンのツンデレに一つの区切りを付けるため
『涼宮ハルヒの消失』は、原作者の谷川流が「義務のような作品」「『涼宮ハルヒ』シリーズには必要な話」と評する通り、本シリーズにおいてなくてはならない話だった。
キョンはいわゆる「巻き込まれ型やれやれ系主人公」で、ハルヒのエキセントリックな言動に振り回されては愚痴をこぼすというスタンスを取っていた。
もちろん、総監督の石原立也から「『涼宮ハルヒ』の一番のツンデレは、ハルヒじゃなくてキョンなんです。」と評されるキョンにとって、それはあくまでポーズであり、実際にはSOS団での日々を楽しんでいるのだろうというのは察しが付く。
しかし、これをいつまでも続けていると、キョンがハルヒと共に過ごす理由が「楽しいから」なのか「お人好しだから」なのか「単に辞めどきを失ったから」なのか、少しぼんやりしてしまう。
そこで、キョン自身が、自分の行動を、自分の心情を、ハルヒに対する気持ちを、今一度見つめ直す機会が必要だった。
物語終盤でキョンが自問自答するシーンが5分近く描かれている通り、これは本作最大のテーマと言っても過言ではないだろう。
理由2:キョンが主人公になるため
キョンは、宇宙人、未来人、超能力者、涼宮ハルヒに囲まれ、唯一の一般人である自分をどこか傍観者のように捉えている節があった。
しかし、突然それらすべてを失ったキョンは、必死に、能動的に、積極的に行動を起こす。
そして、元に戻しただけとは言え、自らの手で世界を選択し、再改変した。
『これで完璧に当事者の一人になってしまった。見てるだけでいいかと思っていた時期は過去のものとなり、SOS団の面子と同じく、俺はこの世界を積極的に守る側に回ってしまったのだ。』
このセリフの通り、本件を以てようやくキョンはこの物語の、この世界の主人公となった。


確かに解釈としてはキョンが積極的に走り回り、涼宮ハルヒのいる日常を取り戻そうと力を尽くすストーリーです
傍観者的立場をかなぐり捨て、涼宮ハルヒを探し求める様は従来のキョンらしからぬ必死さが感じられます
この「ハルヒに逢いたい」との思いが視聴者の感情移入を誘い、傍観者キョンの立場をよしとしてきた読者・視聴者はハルヒの存在を求めてキョンと一緒に走り出す展開になるわけです
ただ、キョンがキョンらしからぬ必死さで駆け回ることによって、「涼宮ハルヒ」シリーズは初期の設定を失い、大きく変質します
上記のブログにもあるように、「これで完璧に当事者の一人になってしまった。見てるというだけでいいかと思っていた時期は過去のものとなり、SOS団の面子と同じく、俺はこの世界を積極的に守る側に回ってしまったのだ」との決意が、結果としてますますハルヒの存在を物語から疎外化するようになります
「本件を以てようやくキョンはこの物語の、この世界の主人公となった」との指摘は、逆にハルヒが主人公の位置から退いたという意味になるのです
「涼宮ハルヒ」シリーズは進むにつれハルヒそっちのけで他のメンバーが駆け回るようになり、何が起きているのかハルヒだけが知らないストーリーというになります。その後は、佐々木の登場や偽SOS団との抗争など、ハルヒの知らない暗闘が繰り広げられ、ますますつまらない話に成り果てるのでした
さて、劇場版を観た後、頭に浮かんだ疑問と言うほどでもない思いつきは、「なぜ長門有希は涼宮ハルヒの存在を消しされなかったのか?」と
もちろん、長門有希が自身の能力を駆使して涼宮ハルヒのいない世界を作り出せれば、キョンと2人の楽しい学園生活が送れるのであり、それは長門の明確には自覚できていない思いの実現でしょう
ただ、それは統合思念体の意思に反する行為ですから、直ちに長門は咎められ処分されるのは確実です。そこで、統合思念体の意思に反しないギリギリの線として涼宮ハルヒを別の学校へ追いやることでキョンから遠ざけ、長門とキョンは北高に残るよう改変を実行したと考えられます。こうして長門はこれまでとは違う日常を手に入れようとした、という解釈です
ただ、ハルヒの存在を長門の能力で消し去れるのかは疑問もつきまといます。ハルヒは「私はここにいる」と望めば、そこに存在できる超自然的な能力の持ち主と設定されている以上、その願望を実現させられたのではないか、と考えます
長門によって改変された世界において、別の高校に通っているハルヒは当たり前ですがキョンの存在は知りません。しかし、七夕の夜に遭遇したジョン・スミスのことは覚えていました。ハルヒがジョン・スミスとの再会を強く望んだのであれば、長門の能力は関係なくキョンと遭遇できた可能性が考えられるのであり、それはまた別の物語になっていたのでしょう
最後に、上映時間162分という長い尺の作品を見事に完成させた京都アニメーションに、あらためて敬意と感謝を示します。困難はあるのでしょうが、再びその力を結集し、日本のアニメーション文化を支える役割を果たされるよう切に願ってやみません

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山形女医殺害事件を考える 懲役18年の判決

山形県東根市のマンションに侵入し、女性医師を殺害した山形大学学生、加藤紘貴被告の判決公判がありました
さて、この裁判では公判廷でのやりとりを詳細に伝える記事がなかなか見つからず、犯行の経緯や被告の主張といった細部が不明のままで、どうにも掴みどころのないままブログで取り上げてきました
公判での検察側、弁護側の主張を取り上げた産経新聞の記事が見つまりましたので、まずはこの事件の概要に触れた部分を引用し、それから判決に話を進めます


起訴状によると、加藤被告は令和元年5月19日午前5時19分ごろ、山形県東根市のマンションで、眼科医の矢口智恵美さん=当時(50)=の部屋に侵入し、被害者宅にあったゴルフクラブで殺意をもって矢口さんの頭部を複数回殴打し、頭蓋内損傷で死亡させたとしている。
加藤被告は同年6月12日に山形県警に殺人などの容疑で逮捕されたが、2人に接点はなく、残忍な犯行に駆り立てた動機などが謎とされていた。
公判で検察側が明らかにしたところによると、加藤被告は事件前日の5月18日夕方、性的関係を目的にインターネットで知り合った県内の女性に連絡したが断られた。その後、近くの公園でコンビニで購入した酒を飲み、風俗店を探したり、別の女性にも会おうとしたがうまくいかず、午後10時ごろから、現場周辺で無施錠の女性宅を探し始めたという。
翌19日午前5時ごろ、加藤被告は、鍵がかかっていない、女性用の靴がある部屋を発見し、周囲を確認した上で侵入。廊下にあったゴルフクラブを手に取ってリビングに入ったところ、矢口さんと鉢合わせになったため、ゴルフクラブで頭部を何度も殴打したという。検察側は一連の行動は「性的欲求を満たすための誠に身勝手な行動」とした。
公判で加藤被告は、矢口さんとは面識がなく、犯行の2日後に初めて、自分が殴打した相手が女性だと知ったと述べた。弁護側は、加藤被告は現場が女性宅とは認識しておらず、性的暴行の目的はなかったと主張している。
意識障害の有無
公判では、殺意の有無とともに、加藤被告が服用していた抗うつ剤と飲酒の併用で意識障害が生じていたかが主な争点になった。
加藤被告は公判で、1回目の殴打は認めるものの、2回目以降は「記憶がない、覚えていない」と繰り返した。
加藤被告を精神鑑定した医師は「1回目の殴打後、パニックによる解離性反応や時間とともに嫌な記憶は蓋をして消し去りたい『健忘』が起きた可能性がある」と証言。その一方で、「抗うつ剤と酒との併飲で意識障害は考えられない」との見解を示し、鑑定時に「(加藤被告は)複数回殴打したと述べていた」と、公判での加藤被告の証言を否定した。
検察側は、精神鑑定の医師の証言や捜査段階での被告の証言から、「意識障害などなく責任能力に問題はない」とし、「殴打に危険性を認識し、殺意はあった」と指摘した。
弁護側は「パニックになっての殴打で、偶発的犯行で殺意はなかった」と主張。加藤被告は終始、「覚えていない」と繰り返し、最後まで犯行動機などについて口にすることはなかった。
(産経新聞の記事から引用)


犯行の細部について加藤被告が「覚えていない」と主張するのは、逮捕当時からです。精神鑑定を担当した医師は、抗うつ剤と飲酒の影響で意識障害は起こらないとし、犯行時の生々しい記憶を封じ込める「健忘」によるものと説明しています
判決では意識障害による心神耗弱を認めず、責任能力はあったと判断し、懲役18年の実刑判決を言い渡しています
「情状酌量の余地はない」と述べたとおり懲役20年に対して18年の実刑判決ですから、弁護側の主張はすべて退けられた格好で、弁護人は大いに不満でしょう
おそらくは、「犯行の細部を覚えていない」と主張する被告を後押しする形で弁護人は犯行時の心神耗弱説を編み出し、裏付けとして抗うつ剤と飲酒による副作用を裏付けに用いたのかもしれません

11日の判決公判で今井理裁判長は…
(裁判長)
「ゴルフクラブで何度も殴打するという執拗で残酷な犯行。被害者に落ち度はなく突如命を奪われるという恐怖・痛み・無念さは計り知れない」
こう厳しく指摘しました。
さらに「性的目的があったと推測が出来、酌量の余地はない」として検察の懲役20年の求刑に対し、懲役18年の実刑判決を言い渡しました。
判決を聞くと加藤被告は、ため息をついたり肩を落とすような仕草が見られました。加藤被告の弁護人によりますと、控訴する方針だということです。
(FNNの記事から引用)

まったく面識のない女性宅に侵入し、ゴルフクラブで滅多打ちにして殺害するという犯行ですから、何をどう言い繕おうと情状を斟酌する必要はないと裁判官が判斷し、裁判員も同調したのは当然なのかもしれません
しかも、公判において「覚えていない」と主張し、マンションに侵入した目的についてはまったく語ろうとしないのであれば、反省していないと受け取られます。公判の場で加藤被告が被害者や遺族に対して謝罪の言葉を述べたのかどうか、報道にはないので不明ですが
加藤被告は判決が不服で控訴するようです。しかし、控訴するにしても一審と同じ心神耗弱説で減刑を求めるのは無理があると思います

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コロナ対策で佐賀県庁に「鐘」設置 批判集まる

コロナウィルス感染の問題で今年1年は覆われてしまった感があります
そして感染症とは別のところで、トイレットペーパーの買い占め問題、マスクの買い占めと転売の問題、アルコール消毒液の買い占め…と続き、マスク警察によるトラブル、迷惑系YouTuberの逮捕もあったわけです
加えて、国や地方自治体のトンチンカンな対応、アベノマスクといった出来事もありました
そこに追加すべきなのが、佐賀県庁の「鐘」問題です
佐賀県が国から交付されるコロナ対策費としての地方創生臨時交付金を使い、県庁に鐘を設置する計画が批判を浴びています
佐賀県にあったハンセン病施設が退所する人を見送る際、鐘を鳴らしたという由来があるそうで、山口祥義知事は、補正予算案に779万円を計上し新たに鐘を設置しようというものです。ハンセン病への差別を忘れないためであり、コロナウィルス感染症に対する偏見を戒める目的があると、山口県知事は説明しています


佐賀県庁に「佐賀誓いの鐘」という鐘(かね)を設置する計画があるという。費用は779万円。山口祥義知事は、補正予算案にその費用を組み込み、26日開会する佐賀県議会の定例会に提案する。
▽全国紙佐賀版によると、財源は国が交付する新型コロナウイルス対策の臨時交付金を充てる。鐘を県庁に置くと発案したのは山口氏。「コロナの影響で小学生が県庁を訪れる機会が増えている。鐘を通じてハンセン病への差別の反省やコロナで誹謗中傷してはいけないといったことが伝わらないかなぁと思った」と狙いを話している。
▽ハンセン病が出てくるのは、佐賀県が17年に国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(合志市)に、ハンセン病患者への差別の歴史を忘れないでほしいという願いを込めて鐘を贈った経緯があるためだ。ハンセン病が治って社会復帰する入所者を、恵楓園では鐘を鳴らし見送っていた。佐賀県が贈った鐘の背景には、そんな歴史があった。
▽「佐賀誓いの鐘」は、その鐘をモデルに制作する。「たまに県庁で『カラン、カラン』と鐘が鳴った時、改めて自分たちがやってきたことや、今後やるべきことに対する警鐘、自分たちに対する鐘の音が、という意味で、非常に大きな導きになる」。山口氏は鐘制作の意義をそう説いている。
▽“たまに県庁で『カラン、カラン』と鳴らす鐘”のために、国が交付する新型コロナウイルス対策の臨時交付金を消費するのは、適切な判断なのか。山口氏は「どうしても、佐賀県の一般財源でやりたい事業があった時に、国の交付金があるなら充当したいのは自然なこと」と自説を展開したという。
▽“差別”をキーワードにコロナ交付金を使って鐘をつくる。それを「どうしても、佐賀県の一般財源でやりたい事業」と抗弁する。こういう思考体系の延長線上に257億円の巨費を投じてつくる収容人員8400人の「SAGAアリーナ」(佐賀市)があったわけだ。
▽山口氏は20日の定例記者会見で「779万円は決して高い費用ではない」と言ったという。この人は、いずれ県庁舎を去り、佐賀県から住民票を移す可能性が極めて高いとみられている。一時的に佐賀県に在住し知事のイスに座った人がつくる"たまに鳴らす鐘"が、将来どうなっているか…火を見るよりも…。
(佐賀日日新聞の記事から引用)


「779万円は決して高い費用ではない」との言い分にもあきれますし、「県の金ではなく国の交付金だから無駄遣いではない」などとも発言しているようでうんざりさせられます
自分の思いつき、アイディアを素晴らしいと信じ込んでおり、ケチをつけられると逆上するのはみっともない限りです
山口知事は東大法学部から総務省入りした官僚出身であり、優秀な人物だと思われます。が、その分、自分のアイディアに執着し、「正しい」と思い込んでしまうのかもしれません
費用対効果との考え方がすべてではないにせよ、鐘がいますぐ必要なものなのか?
県議会議員の中に知事を諌めるような人物がいなかったのか、と言いたくなります
医療現場の負担や営業自粛を迫られている飲食店の苦労など、田舎である佐賀県には無縁なのでしょうか?
コロナ騒動における珍事の1つとして、記憶にとどめようと思い取り上げました

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鹿児島5人殺害事件を考える 死刑判決

鹿児島県で親族、知人ら5人を素手で絞殺し、遺棄した岩倉知広被告の判決公判があり、鹿児島地裁は死刑判決を言い渡しています
主文を後回しにして判決理由の朗読に入り、最後に裁判長が「被告人を死刑に処す」と告げたところで岩倉被告は激昂し、検察官席の後ろに座る親族に飛びかかろうとして静止される事態になりました


2018年、鹿児島県日置市で5人が殺害された事件で殺人などの罪に問われ、11日に死刑判決を受けた男が、主文の言い渡しを受けた直後に法廷で暴れ出し、刑務官に取り押さえられました。
死刑判決を受けたのは、日置市東市来町湯田の無職、岩倉知広被告(41)です。
判決によりますと、岩倉被告は2018年3月から4月にかけての1週間に、日置市で父親や祖母ら親族4人を含む男女5人を相次いで殺害しました。
11日午後3時から始まった判決公判では、主文の言い渡しが後回しとなり、判決理由が先に読み上げられました。
そして、午後3時20分すぎに「被告人を死刑に処する」との主文が言い渡され、裁判長が控訴手続きについて説明を始めると、岩倉被告が検察官の机越しに検察側に飛びかかろうとしました。
検察側の席には検察官2人がいたほか、その後方には被害者参加制度により被害者遺族の男性2人がいましたが、鹿児島地裁によりますと、けがなどはありませんでした。
岩倉被告は検察官の席付近の床の上で刑務官にいったん取り押さえられましたが、まもなく再び暴れ出し、刑務官4人に制圧されました。
裁判はそのまま閉廷となりました。
岩倉被告は閉廷後も親族を名指しして「ゆるさないぞ」などと大声をあげ、5分以上にわたって制圧される状態が続きました。
裁判では岩倉被告の精神障害が指摘されましたが、判決は「事件に影響があったことは否定できないが、程度は軽微」などと判断しています。
(鹿児島放送の記事から引用)


通常、被告に付きそう刑務官は左右両脇に2人です。今回は法廷に4人いたのですから、岩倉被告が暴れるのを想定していたのでしょう
NHKの報道によれば、「被告は裁判で、殺害した親族たちから嫌がらせを受けていたなどとする主張を続け、裁判の審理についても、判決直前のNHKの取材に対し『迫害を受けていたことを調べてくれていたと思ったのに、全く触れてくれなかった。衝撃の展開だった』などと述べて、不満をうかがわせていました」とあり、相当ストレスが溜まっていたのでしょう
自分の予想としては、検察が死刑を求刑するものの、裁判官は精神疾患の影響を認め無期懲役を言い渡すのではないか、と考えていました
上記の法廷での振る舞いを見れば、岩倉被告がまともな精神状態ではないと判断せざるを得ないのであり、裁判官がそれを認めなかったのは不可解です
裁判官や検察官は法廷での仕事を終え、「やれやれ」で済むのですが、岩倉被告を収容している拘置所の職員にとっては厄介です。法廷から戻ってきても暴れ、暴言を吐きまくる岩倉被告を24時間見なければいけないのですから。岩倉被告に金属手錠と革手城をかけ、防声具もつけて身動きを封じ監視を続けているはずです
それでも暴れ続けようとするなら、医師の手を借りて鎮静剤を注射するでしょう

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「涼宮ハルヒの直観」で直観したもの

谷川流の新作「涼宮ハルヒの直観」を読みましたので、取り上げます
楽天ブックスのポイントとクーポンを使い、村上春樹の新作と併せて電子本で購入しました。前作があまりにひどい出来栄えだったので、購読するかどうか迷ったのですが、ここ最近は「涼宮ハルヒ」シリーズを当ブログで取り上げている以上、読まずに放置するわけにはいかないと判斷した結果です
で、期待通りひどい出来栄えでした
書き下ろしである「鶴屋さんからの挑戦状」を読むと、中には推理小説の話がびっしりと詰まっています。してみると、谷川流は休筆している間、内外の推理小説を読みまくっていたのかな、という気がします(谷川流は関西において、推理小説愛好者の間では知られた人物なのだとか。大学時代のミステリー同好会や、書評などで活躍していたのかもしれません。調べていないのでよく分からないまま書いています)
ただ、その推理小説の話が少しも面白くないのであり、読み飛ばしたくなるほどでした
谷川流としては仕入れた推理小説の薀蓄を語って満足なのでしょうが、推理小説に関心のない身としては退屈極まりない展開です
自分としてはこのシリーズを読むのはこれで終わりにしよう、と決めました
ついでにアマゾンのレビューを貼っておきます

残念な内容
短編2編を含む3編が収められているが書き下ろしは「鶴屋さんの挑戦」のみ。『退屈』の 孤島症候群を思わせるミステリで陰の主役は鶴屋さん。アニメ化したらOVA数話だろう。詰まらないというほどではないが、『消失』や『驚愕』のような充実感はなかった。約10年のブランクを埋めるほどの感動もなかったし、まだ解決していないはず(と自分は思っている)の伏線は触れられることすらなかった。作者が小遣い稼ぎに書いたのでは、と疑ってしまう残念な内容だ。
「王道にして最前線」という帯カバーがついているが、今となってはこの手の小説は『青ブタ』シリーズの方が面白いように思う。『ハルヒ』はすっかり後方に退いてしまった。
往年の読者は「あとがき」から、アニメファンは「最後に」から読まれることをお勧めしたいが、そこにはプロの物書きとしての自覚は感じられず、京アニへの想いもどこか他人事のように書いているように感じた。この作者は『ハルヒ』以外の作品も長期間放置状態にしたままだ。デビュー後あれよあれよという間にベストセラー作家になったけれど、精神的には未熟なままなのかもしれない。作者は「またっ」と締めくくっているが、もうこの人の作品を手に取ることはないだろう。
なお、初回生産のみカバーがリバーシブル仕立てになっている。

9年振りという期待感は捨てて読んだほうがいい
どんな不思議が起こるのだろう?
そう期待に胸を弾ませる人も多いと思う。なんせ9年ぶりの新刊。
しかしその勝手な期待感は捨てたほうがいい。きっとこの新刊をよりつまらなくするだろう。
今回、不思議らしい不思議は起こりません。
とりあえず作者が書きたかったものを、ハルヒの名を借りて書いた、そんな感じです。
読者としては本編にかかわる内容を少しでもいいから進めてくれよと思いでしょうが、そうは問屋が卸しません。
進みません。
強いて言えば、鶴屋さん情報が少し補間された程度です。
この残念な思いも、すべては9年という月日のせいでしょう。
これが通常通りのサイクルで発売されていれば「ふーん、前回はがっつりSFだったし、まあこういうのもいいよね」と思えたかもしれません。
すべては「9年」。これにつきます。
でも、楽しみにしてるのは変わらないので、次の巻が早く発売されることを祈ります。

別の書評サイト、「ブックメーター」では好意的な書評が並んでいます。してみると、「この内容でも読み手次第で楽しめる」と解釈するべきなのかもしれません
うーむ
自分は仕事として犯罪に走った人たちとか関わってきた経験があり(殺人犯や精神異常者、性犯罪者もいます)、推理小説を「知的なゲーム」として楽しむという感覚にはどうしても違和感を覚えてしまいます
おそらくライトノベルや推理小説を読む人のほとんどは、殺人事件などテレビの画面の中の出来事であり、自分には縁のない出来事として見ているのでしょう。なので、「本格ミステリーとは云々」の会話を読んでも、犯罪者と接した経験のない人間が何を言っているのか、との思いが先に立ち、しらけるだけです
他方で、米沢穂信の「氷菓」のように殺人事件が絡まない推理物は面白いと感じますが
これまでSFベースだった「涼宮ハルヒ」シリーズが今後は推理小説仕立てになるのかどうかは分かりませんが、見限る時期が来たな、と感じた次第です

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「涼宮ハルヒの憂鬱」批評を巡って
「涼宮ハルヒのユリイカ」を読んで
劇場版「涼宮ハルヒの消失」を見て
【公式】 涼宮ハルヒの消失 予告
「涼宮ハルヒの消失」映画化
涼宮ハルヒの憂鬱 新作放送
「涼宮ハルヒの憂鬱」の憂鬱
涼宮ハルヒ 「エンドレスエイト」
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光市母子殺害事件 最高裁が特別抗告棄却

ここ最近は夏と年末の2回、死刑が執行されるのが慣例化しています。今年の夏は黒川東京高検検事長の賭け麻雀問題があり、森法務大臣も矢面に立たされたため、死刑の執行はありませんでした
現在は法務大臣が上川陽子に替わっており、年末に死刑が執行されるのかどうか、気になるところです。ちなみに上川法務大臣は3度目の法相就任であり、前回はオウム真理教の死刑囚を執行したため、通算で16人の死刑執行指揮書にサインしたわけで、これは歴代の法務大臣として最多の執行数になります
かつて朝日新聞のコラムは鳩山邦夫法務大臣を「死神」と揶揄したのですが、執行数は13人です。朝日新聞なら上川法務大臣を「死神ババア」と書くのかもしれません
さて、余談はここまでにして今日の本題です
光市母子殺害事件で死刑判決が確定していた大月孝行死刑囚の再審請求は最高裁で棄却されましたが、弁護団は異議申し立てを行い、これが棄却されると特別抗告を申し立てていました。とことん抵抗したのです
その特別抗告も最高裁で棄却する決定が下されました

平成11年の山口県光市母子殺害事件で殺人や強姦致死などの罪に問われ、死刑が確定した大月孝行死刑囚(39)の再審請求について、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は、弁護側の特別抗告を棄却する決定をした。再審開始を認めない判断が確定した。7日付で、5人の裁判官全員一致の結論。
大月死刑囚は事件当時18歳1カ月。1審山口地裁、2審広島高裁は無期懲役としたが、最高裁が18年に「年齢は死刑回避の決定的事情とまでは言えない」と破棄した。差し戻し審で広島高裁は20年、死刑を言い渡し、24年に最高裁が上告を棄却し、確定した。
弁護側は確定判決が認定した殺害行為と、現場の状況が一致しないなどとして「殺意はなく、傷害致死罪にとどまる」と24年に再審請求した。広島高裁は27年10月、弁護側の意見書や鑑定書について「より軽い罪を認めるべき明らかな証拠とは言えない」と判断して請求を棄却し、昨年11月に異議も退けた。
(産経新聞の記事から引用)


再審の請求にあたって弁護団は「実母の虐待によって精神的発達が妨げられた」とする新たな精神鑑定結果や、心理学者による心理鑑定書などを新証拠として提出していました
実のところ再審請求書の写しを見ていないので(その内容を詳細に取り上げた報道が見当たらなかったので)、弁護団の言い分と大月死刑囚本人の言い分がどのようなものであるのか、把握できていません
ただ、mixiに大月孝行死刑囚を支援する会というページが存在し、会員登録すれば何がしかの情報が得られるようです

大月孝行死刑囚を支援する会
https://mixi.jp/view_community.pl?id=6048550

支援する会のページのトップに再審請求の理由が列挙されていますので、それを取り上げます
理由1から3は死刑制度批判や検察による控訴批判、死刑判決の鉄則とも言うべき「永山基準」が適用されていないとの批判が並びます
理由4は被害者遺族の本村洋さんへの罵倒が書いてあります。「被告が社会に出てくるなら私の手で殺す」との発言を切り取り、危険人物と批判しています
理由5は広島高裁・最高裁は被告側の主張を理由もなく退け、検察側の主張する事実を全面的に認定したと批判し、理由6は死刑判決は全員一致が原則とされているのに、最高裁では1人の反対意見があったにもかかわらず死刑判決を下したとの批判で、1人でも反対意見があれば、死刑判決は下せないという制度にすべき、との主張です
この他、弁護に関わった弁護士による著作もいくつか出版されていますので、そちらを読めばより詳しい情報が得られるのでしょう(現時点で、読む気になれません)
大月死刑囚がいかに劣悪な環境で育ち、実父から日常的に暴行を受けていたとしても、それで大月死刑囚を擁護する気にはなれないのであり、母子殺害を「たまたま起きた不幸な事件」であるかのように矮小化するのは許せません
大月死刑囚は判決を受け入れ、己の所業を省みる必要があるでしょう。弁護団が「君は死刑になるべき人間ではない」などと甘やかすのはどうか、と言いたくなります
最高裁への特別抗告も棄却されたので、この冬に刑を執行してもよいだろうと考え、取り上げました

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「涼宮ハルヒ」 キョンという立ち位置

ライトノベル「涼宮ハルヒ」シリーズについて繰り返し言及しています。当然ながら、主人公である涼宮ハルヒ中心に語っているのですが、もう一人重要な存在であるのは語り手も兼ねるキョンという男子高校生です
今回はキョンの存在について考えます。前フリとしてリアルサウンドに掲載された、新刊への期待を綴った文を引用します


「涼宮ハルヒ」シリーズ、なぜ大ブームになった? 優れたストーリーとキャラの魅力を再考
(前略)
平凡な男の子と、エキセントリックな女子の、ボーイ・ミーツ・ガール物語として始まったストーリーは、途中からSFへと変容。さらに、ハルヒの秘密が明らかになるとセカイ系になる。セカイ系の定義は難しいのだが、ここでは個人の事情が世界の危機と直結している物語だと思っていただきたい。おお、ここまで話を広げるのかとビックリしていたら、最終的にボーイ・ミーツ・ガール物語へと回帰して落着する。子供の頃に、フィクションの世界の住人になりたいと思ったことのある人なら、誰でも好きにならずにいられない、きわめて優れたストーリーなのだ。
一方、キャラクターに注目すると、こちらも素晴らしい。涼宮ハルヒ、長門有希、朝比奈みくる。3人とも独自の設定を持った美少女で、それぞれの魅力を発揮しているのだ。男性陣も、美形の古泉一樹と平凡なキョンを、そつなく並べている。男性女性、どちらの読者にも受けるキャラクターが揃えられているのだ。さらに、いとうのいぢのイラストが、キャラクターの人気に拍車をかけた。また、京都アニメーションが製作したテレビアニメによって、一大ブームが巻き起こることになる。
ところで私がシリーズで一番感心したのは、キョンの描き方である。SOS団唯一の一般人。しかし、濃すぎるメンバーに囲まれても、印象が薄くなることはない。なぜなら彼は、ハルヒがこの世界にとって最重要人物だと知っても、きちんと彼女と向き合うからだ。
たとえばシリーズ第2弾『涼宮ハルヒの溜息』で、みくるをぞんざいに扱うハルヒに対して、怒りを露わにする。たとえハルヒがどんな存在であっても、クラスメイトであり、SOS団の仲間だと思っているからだ。この時点で他の3人は、ハルヒの行動に対処しているだけである。どんなに親しく見えても、対等の関係になることはない。ハルヒの隣に立っているのはキョンだけだ。だからこそハルヒは、キョンのいうことには、たまに従う。平凡な少年を平凡なまま、物語の中に屹立させる、作者の手腕が鮮やかだ。
などとシリーズの面白さを語っていたら、『涼宮ハルヒの直観』への期待が、どんどん高まってきた。久しぶりにSOS団と再会できる日が、今から楽しみである。

キョンの存在について、「平凡な少年を平凡なまま、物語の中に屹立させる」と称賛しています
さて、「涼宮ハルヒの直観」の出来栄えが期待通りであるかどうかはともかくとして、今回は小説中のキョンの立ち位置について考えます
佛教大学の研究紀要に収録された新井陽介氏の論文から一部、引用させていただきます

キョンを形作るものー「涼宮ハルヒの憂鬱を中心に」ー

論文の前段部分ではキョンによる語り、という「涼宮ハルヒ」シリーズの形式について村上春樹からの影響を検討しています。が、そこは今回の自分の取り上げたい内容ではありませんので割愛します
大雑把に言うと、村上春樹以降の小説は全部、村上春樹の影響が見て取れるという解釈に陥る可能性があり、これでは議論にならないからです
村上春樹も谷川流も近い地域の出身ですから、谷川流が村上春樹の作品を読んでいたと推測するのは当然ですが、どこまで影響を受けたのかは神のみぞ知るところでしょう
さて、上記のリアルサウンドの記事では、キョンを平凡な少年と表現されています
作品の中ではキョンを普通の男子生徒、と表現されており、他のキャラクター(謎の転校生にして超能力者、無口な少女にしてヒューマノイドインターフェイス)ほど、際立った特徴を備えていません
ただし、どこまでが普通の男子生徒であるかはよくよく吟味する必要があります

(論文9ページ)
キョンは「普通」という言葉(日常、いつものといった意味も含む)を多用している節が見られる。普通ではないものを求める涼宮ハルヒとは対照的に、「普通」といった面が強調されている。しかし、周囲からの評価は「変」といった評価がなされている。
国木田(キョンの友人)は「どちらかと言うとキョンも変な人間にカテゴライズされるんじゃないかな」と言っているし、谷口(キョンの友人)も「お前が普通の男子生徒ってんなら、俺なんかミジンコ並みに普通だぜ」と言っている。
だが、「普通」というものの基準が一体どこにあるのか、という点を明らかにしなければキョンが「普通」かそうではないかということは本文からは分からない。しかし、次の一点だけは、「普通」であることが強調されている。古泉が「あなたは特別何の力もない普通の人間です」と言っている部分がある。

「普通」というのは作者谷川流が読者により印象付けるため繰り返し用いている表現なのでしょう。ライトノベルの主人公にありがちな、どこにでもいる「普通の少年」というキャラクター設定を踏襲することで、ハルヒたちの異能者ぶりが余計に際立つように、と
むしろ、キョンが何も特殊な能力を持たないメンバーであるがゆえ、読者はキョンに感情移入できると考えられます
例えばキョンがハルヒや長門有希を上回る異能者で、長門の技(技能)をまことしやかに解説する役割をしていたら、読者はキョンの存在が鼻につきしらけてしまったのではないでしょうか?
異能者ではない平凡な少年であるからこそ、長門有希の技能に驚いたり感心できたりするわけで
キョンが読者と同じ目線で物語を眺め、語れる位置にいるから、読者はついてこれるのだと考えます
さて、新井論文は東浩紀による「涼宮ハルヒ」の構造の指摘に移ります

(論文9ページ)
これらの文章は、一般に人間描写として想像されるものとは大きく異なっている、というのも、そこではそもそも、描写対象の人間がまず存在し、それを作家が描写し、読者がそれを読むという一般的な(のちに「自然主義的な」と呼ぶことになる)描写の順序が機能していないからである。(略)
それらの文章は、登場したばかりのキャラクターが今後どのような活動を行い、どのような性格を示すことになるのか、作家が読者の想像力を先読みし、しかも、その先読みのあいだに一種の共犯関係を作り出すために配置されている。つまり、谷川はここで、直接に登場人物を描写するだけでなく、描写とキャラクターのデータベースのあいだで仮想的な対話を行い、その結果そのものが文章のなかに組み入れて描写を完結させているのである。(略)
言うまでもなく、そのような仮想的な対話は、作者と読者がキャラクターのデータベースを共有し、かつ読者によってその存在が意識されていなければ、まったく機能しない。

データベースという表現に自分は違和感を覚えるのですが、どうでしょうか?
「涼宮ハルヒ」シリーズが文庫本で次々と刊行されるタイミングで、インターネット上のWikipediaなど、まとめサイトが補完されていったのは事実でしょうが、東の言いたいのは必ずしも実在するデータベースを指すのではなく、読者の脳内に形成されつつある情報の集合体であるのかもしれません
キョンは単なる登場人物、一人のキャラクターという存在ではなく、キョンは物語の語り手であると同時に参加者であり、場合によっては物語の外から全体を見守る役(作者の代理)であり、ハルヒに気をもむ保護者の役割まで引き受けている苦労人という側面まで付与されています
見方によれば、「涼宮ハルヒ」シリーズはキョンの物語であり、ハルヒは君臨すれども統治しないシンボルのような存在といえるのかもしれません

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静岡の中学教頭 少女誘拐で起訴

教員による性犯罪が繰り返されているのは、いまさら語るまでもありません。新聞を広げれば毎日のように、教員による性犯罪の記事が目に付きます
静岡県沼津市の中学校教頭山本英仁が少女の誘拐容疑で逮捕され、その後、3年前にも別の少女を誘拐していたとして再逮捕されています。当然ながら性犯罪が目的です
しかし、静岡地検沼津支部は容疑の一部を伏せたまま(該当する罪名を伏せたまま)起訴した、と発表しています
これは「被害者に配慮した上での判斷」なのだそうです。世間の目に晒されるのは、十代の少女にとってあまりに酷であるから、というのは同意できます


静岡地検沼津支部は7日、静岡県富士市森島、沼津市立中学校の教頭山本英仁被告(53)をわいせつ目的誘拐と逮捕監禁などの罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。
起訴状によると、山本被告は2017年8月2日頃、熱海市内で当時10歳代だった少女をわいせつ目的で車に乗せて誘拐し、車内で少女の口に粘着テープを貼り付けた上に両手両足をロープで縛るなどし、車内から脱出できなくするなどしたとされる。
地検沼津支部は10月、山本被告を最初に起訴した事件について、「被害者保護」を理由に起訴事実と罪名を示さなかった。7日に一転して明らかにしたこの事件の起訴状によると、罪名はわいせつ目的誘拐と逮捕監禁などで、今年9月28日、沼津市内で10歳代の少女をわいせつ目的で誘拐し、伊豆の国市などを移動する車中で、熱海の事件と同様の手口で少女を監禁したとされる。
地検支部は、すべての罪名を公表しなかった。静岡地検の北薗信孝次席検事は「関係者の名誉とプライバシーを考慮した結果」と説明した。
(読売新聞の記事から引用)


上記の記事から判るように、山本被告の犯行は少女を車に誘い込みドアをロックして連れ去ったという類ではなく、口を粘着テープで塞いで声を出せないようにした上に、手足をロープで縛るという念の入れようです。事前に粘着テープやロープを用意した計画的犯行であり、「たまたま被害者を見かけたので声をかけた」などというものではありません
罪名が伏せられてはいますが、強制性交罪も含まれるのでしょう
それにしても静岡の教育委員会はまだ山本被告の懲戒処分を行っていないようで、教頭という職に就いたままのようです。何をしているのでしょうか?
公務員は逮捕された時点で起訴休職扱いにするのが通常の対応なので、給与は支払われていませんが
対照的なのは警察官のケースで、殺人など重大事件でない限りは逮捕から検察庁に送検するまでの間(48時間以内)に辞表を書かせ、依願退職(自己都合による退職との扱い)にします。懲戒処分による減給の決定などは後回しにするのか、世間の批判をかわすために一刻も早くクビにしたという形式をとりたいのでしょう
さて、山本被告の場合、被害者が2人で逮捕監禁の上に強姦となれば、懲役15年くらいの求刑はあり得ます
余談ながら刑務所に服役している間は年金の受給資格が停止されます。山本被告に妻子がいるのかどうかは分かりませんが、離婚を迫られたり財産分与を求められたりすれば悲惨な老後の暮らしが待っています

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県営住宅放火殺人2 ペルー人を放火容疑で逮捕

5年前に起きた殺人放火事件でようやく進展がありました。2015年12月に愛知県半田市にある県営住宅で出火し、焼け跡からブラジル人姉妹の絞殺された遺体が発見される事件があり、出入りをしていたペルー人の男が容疑者と見られていました。男は無免許運転の疑いで検挙されたものの、殺人や放火については否認したため逮捕に至らないまま、続報もありませんでした


愛知県半田市で2015年12月、全焼した住宅の一室からブラジル国籍のアマリリア・マルヤマ・キンベルリ・アケミさん(当時27歳)と、姉のミシェリさん(当時29歳)が遺体で見つかった殺人・放火事件で、愛知県警は7日、現住建造物等放火容疑でアケミさんの元交際相手の男性の逮捕状を取った。8日にも逮捕する。捜査関係者への取材で判明した。県警半田署捜査本部は、元交際相手が姉妹の死亡した経緯も知っているとみて事件の全容解明を進める。
捜査関係者によると、逮捕状を取ったのは、ペルー国籍の住所不定、無職、ラ・ロサ・ビテ・エドガルド・アントニー容疑者(34)。15年12月30日午後2時10分ごろ、半田市一本木町2の鉄骨4階建て県営西亀崎住宅3階の一室に放火した疑いが持たれている。
この火災で3DKの部屋(約35平方メートル)が全焼。室内からアケミさんとミシェリさんの遺体が見つかり、台所の流し台の上から、中身がほぼ空になったガソリンの携行缶(5リットル)が発見されていた。2人の首には圧迫痕があり、司法解剖の結果、喉の軟骨が折れるほど強い力で首を絞められていたことが判明し、県警は殺人・放火事件として捜査を進めていた。
アントニー容疑者は火事があった当日夜、名古屋市内で無免許運転をしたとして道交法違反容疑で逮捕されていた。車内にはアケミさんの娘2人(当時3歳と5歳)が乗っており、2人にけがはなかった。捜査本部はアントニー容疑者がアケミさん宅に日常的に出入りしていたとみている。
捜査本部や近隣住民によると、火災が起きる直前、県営住宅前の路上で、アントニー容疑者が日常的に使っていたとみられる三重ナンバーの青い軽乗用車を物色する男性が目撃されている。
現場はJR武豊線の亀崎駅から北西約1キロの住宅街。アケミさんらは事件の数カ月前から、娘2人とともに県営住宅に住んでいたという。
(毎日新聞の記事から引用)

2人を絞殺した上に証拠隠滅のため集合住宅に火をつけるという凶悪な事件です。当然、集合住宅の他の住民の命をも危険に晒すわけであり、死刑が求刑されてもおかしくはありません
事件直後に無免許運転で検挙されたアントニー容疑者を、なぜ殺人容疑で逮捕できなかったのか、理由は不明です
ガソリンを撒いて集合住宅に火をつけたのであれば、アントニー容疑者の衣服や毛髪からガソリンが燃えた際に出る煤が検出されたと思うのですが(現場から逃げた後に着替えたり、頭毛を洗う時間があったのかどうか)
それにしてもアントニー容疑者は、よくも事件から5年も日本に留まっていたものだと思います。この辺りも詳細な報道がないので、経緯がよく分かりません。殺人を犯したのなら、ペルーに帰国し行方をくらます可能性も考えられました
ペルーと日本の間には犯罪者引き渡しの協定はありませんので、個別に外交交渉を重ねないと身柄を拘束できないわけで(日本が犯罪者引き渡しの協定を結んでいる国はアメリカと韓国だけです)。ブラジルのように、国民の人権を守るという趣旨で外国に引き渡さないと憲法で明記している国もありますので、犯罪者の身柄の引き渡しは非常に厄介な問題です。レバノンに逃亡したカルロス・ゴーンの身柄も日本は抑えることができませんし
この事件についてはおって詳しい報道がされるはずなので、それを待って取り上げるつもりです

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アンジャッシュ渡部 年末特番から削除へ

12月3日、アンジャッシュの渡部健が会見を行い、多目的トイレでの不倫騒動を謝罪しています。女性芸能レポーターに囲まれ、フルボッコにされる姿は哀れとさえ言えます
週刊誌に不倫を暴露されて以来半年の間、会見もしないまま年末特番の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」で芸能活動復帰を決めたと報じられていただけに、女性芸能レポーターの追及は厳しく、辛辣だったのでしょう。つまり、渡部を許す気はないと
渡部の芸能活動復帰を特番出演でアシストしようとした、日本テレビの読み間違いも指摘されています


日本テレビが、大みそかの「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」特番で電撃復帰を予定していた「アンジャッシュ」渡部建(48)の出演部分を“お蔵入り”にする方向で調整していることが6日、分かった。
多目的トイレなどでの不倫騒動で、6月から無期限活動自粛中の渡部。公での説明は避け続けていたが、同番組での復帰と極秘収録参加が先月の本紙報道で明らかに。本人が雲隠れする中で復帰計画が先立ったことで、世間で批判の声が高まっていた。
それを受けて渡部は、急きょ今月3日に謝罪会見を開いた。批判をかわす狙いもあったとみられるが、大みそかの出演を見合わせる方向になったのは「世間の批判が根強いことを考慮して局が判断した」(同局関係者)という。
電撃復帰をお膳立てしたのは、渡部がレギュラー出演していた同局の人気番組「行列のできる法律相談所」の中心スタッフだった。今回の年末特番にも参加しており、渡部側と出演交渉して先月18日に収録を行った。同局関係者は「温情から渡部さんの復帰を考え、サプライズ出演を計画したが世間の空気が分かっていなかった。渡部さんの参加は出演者も知らなかっただけに、そこにも多大な迷惑をかけてしまった」とした。
「ダウンタウン」松本人志(57)は、この日放送のフジテレビ「ワイドナショー」(前10・00)で、年末特番について「お子さまからおじいちゃん、おばあちゃんまで楽しめる番組に仕上がっていると思うので、ご覧くださいとしか言いようがない」と発言。渡部の復帰に向けては相方の児嶋一哉(48)の存在を挙げ「もっと相方と向き合うべき」とアドバイスした。
3日の謝罪会見で渡部は復帰について「白紙」と明言した。年内いっぱいを意図していた自粛期間も「再度話し合う必要がある」としており先行きは不透明なままだ。日本テレビの見込みが甘かったこともあって、さらに復帰を遠ざけたと言わざるを得ない結果となった。本紙の取材に同局はコメントしなかった。今後どのような対応をするのか注目が集まる。
(スポニチアネックスの記事から引用)


半年もの間、記者会見しなかった理由についてスポーツ紙や芸能週刊誌があれこれ憶測を書いていますが、本当のところはわかりません
渡部は不倫を暴いた週刊文春によるインタビューに応じ、記事になっています。本人も所属事務所も、あれが謝罪会見の代用と認識しており、約半年活動自粛で反省を示したのだからと、年末特番出演を決めたと記事にしているメディアもあります
まずはプライドの高い渡部健が「謝罪会見」を嫌がった、というのがそもそもではないか、という気がします。もちろん、渡部健に会ったこともはないので憶測ですが
上記の記事にあるように、結局は渡部の出番を収録済みのビデオから削除すると決まり、編集作業に追われているのでしょう
年末を迎え、いくつも特番の編集を行う中での作業ですから、関係者にとってはしんどい事態です
まさか、渡部健の出番を削除するかもしれないと織り込んで、別撮りしていたなどということはないと思います
芸能事務所とテレビ局で「復帰」を決めたのが間違いであり、もっと世間の反応を読んでから決めればよかったのではないかと、今更ながら思います
ただし、これで渡部健の芸能活動再開はまずまず難しくなった、と言えるのではないでしょうか?
相方と組み、アンジャッシュとして地方営業から地道に再スタートさせる、という考えはなかったようです。テレビ番組(しかも年末特番で)復帰を狙う辺りは、まだまだプライドを捨てられないのかもしれません

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「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」をアメリカはどう観たのか

日本のアニメーション作品である「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」や「AKIRA」がアメリカのアニメーションファンに多くな衝撃を与えた、という話は誰もが知るところです
しかし、実際にどのような評価を受け、いかなる影響を与えたのか、と問われると自分は説明できません
せいぜい、ビルボードのセルビデオ・ランキングで1位を獲得した(それだけ売れた)との情報くらいしか知らないのです
なので、今回はきっちりとその辺りを勉強しようと思い、取り上げることにしました
「千葉大学比較文化研究」に掲載された芳賀理彦准教授の論文を引用します。いつものように論文からの引用は赤字で、自分のコメントは黒字で表示します

アメリカにおける押井守『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』の受容-文化交流・インターフェイス・翻訳の場としてのアニメーション-

『攻殻機動隊』がアメリカのみならず世界中で多くの人々を惹きつけた理由の一つは、欧米の多くの SF 小説や SF 映画に登場するサイバースペースやサイボーグなどいくつかのモチーフの融合の仕方や、日本的宗教観を背景としたサイバースペースの概念の解釈や映像化の方法が独特であったからだと考えられる。サイバースペースという概念はこれまで小説や映画、ゲームなど様々な芸術形式に取り入れられており、『攻殻機動隊』においても非常に効果的に導入されている。Allucquère Roseanne Stone の定義によるとサイバースペースとは、「脳に直接リンクすることによって入り込める、電気的に生成され、物理的に居住可能なもう一つの現実のことである。すなわち、『通常』空間に存在する物理的な身体からは切り離された再編成された『人格』が居住する場である」(609、筆者訳)。『攻殻機動隊』におけるサイバースペースの概念はまさにこの通りであり、作品世界内では人間の身体の一部あるいは全部が人工的なものと交換可能で脳はサイバーネットワークに直結されている。身体だけでなく記憶でさえも交換可能な環境で、人々は自分のアイデンティティーに関して不安を抱えながら生きている。この作品は、サイバースペースやサイボーグ技術が高度に発達した社会で、「アイデンティティー」や「個性」、あるいは「人間」という概念がどのように変化していくのかという問いを我々に投げかけているのである。

サイバースペースで繰り広げられる活劇、陰謀劇という新規なエンターティメントがアメリカでウケたと考えられます
ただ、それがどこまで広く、深く浸透したのかが問題だと自分は思います
芳賀論文ではいわゆるアカデミズムの反応が中心です。なので、なビデオソフトを購入したアメリカの一般的視聴者(攻殻機動隊を見ようと思い立った時点で一般人とは言えないのかもしれませんが)がどのような反応を示したのか、どこに魅力を感じたのか、詳細はわかりません。当時の作品レビューなど確認する必要があります
サイバースペースで繰り広げられる活劇、電脳戦、陰謀といったエンターティメントの要素がクールに感じられ、ウケたと推測しますが

また別のシーンで草薙は、自分は「電脳と義体で構成された模擬人格」であってそもそも初めから「私」は存在しないのではないかという感覚に取りつかれていることを告白する。「所詮は周囲の状況で私らしきものがあると判断しているだけ」だと彼女が吐露する時、「周囲の状況」が意味するものは自分自身の記憶も含め自分や他人に関するあらゆる情報のことである。しかしながら、記憶すら交換可能であるような高度に技術が進化した社会ではアイデンティティーや主体の存在に確信を持つことが出来なくなってしまう。作品内で草薙は自分の意識をネットに直接繋げて離れた場所からでも他人の義体や電脳をいつでもハックでき思い通りに動かせる。そういった意味で彼女にはもはや生きるために肉体は必要ではなくネットの中にその主体が拡散していると言うことが出来るのである。

作品は草薙素子の抱える不安の吐露、心のゆらぎの描写に時間を割いており、それが人形遣い事件の伏線だと後で気付かされます
人形遣いの宿ったサイボーグの登場から物語は加速します。そこにある何か(おそらくゴースト)に草薙素子は惹かれるわけですが、ここは物語に引き込まれる観客と、共感できない観客に分かれるところでしょう
アカデミズムの関係者は別にして、観客のほとんどは「自分が自分である」ことを当然と受け止めており、「自分が自分でなくなる」不安とは無縁なのですから
クライマックスと呼ぶべき多脚戦車との格闘戦で草薙素子の体が破壊されてしまう描写で、肉体の破壊という気色悪さグロテスクさを感じて嫌悪する観客がいても不思議ではありません。あえてそれを観せることで、草薙素子が自身の機械の体に頓着せず、壊れても構わないとの自覚の上で無茶な戦闘に臨んでいると示唆しています。さらに、自身のボディを損壊してまでも人形遣いとの接触(電脳へ潜り、人形遣いのゴーストとコンタクトすること)を急ぐ、草薙素子の強い衝動をアピールし、それが彼女の本当の狙いであると観客は知るわけです

実際彼女が無意識に望んでいるのは自分がネットの中に拡散してしまうことである。草薙は自分のアイデンティティーについて不安を覚えながらも旧来のアイデンティティーの概念に縛られていることに不満も抱いている。アイデンティティーを構築する身体的及び精神的要素が不確かになって来ているとはいえ、未だそれらに自分が縛られていることは彼女にとってストレスでもある。アイデンティティーの消滅を危惧しながら実は通常空間における個人としての活動の限界から解き離れたいと願っているのである。そしてサイバースペースのネットワークに存在するだけでなく、それ自体になりたいとも望んでいる。それが意味することは、ネットワークの一部になってしまうことによって通常の空間に存在する脳も含めた物理的な身体から完全に自由になることである。

芳賀論文の中には、ミシェル・フーコーやジャック・ラカン、フェリックス・ガタリとジル・ドゥルーズの思想と兼ね合わせて、サイバースペース社会のあり方や自己のあり方を考えたアメリカでの研究が紹介されていますが、その中身については立ち入りません
関心のある方は芳賀論文を読み込んでください(自分個人としては興味深い報告なので、咀嚼することができたなら、いずれ取り上げるつもりです)
近未来の社会がどう変化するのか、そこで人はどう生きるのか、何が問題として起こり得るのかを研究するアメリカの学徒にとって、「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」はまたとない研究対象となったのでしょう
さて、論文からの引用としては前後してしまうのですが、ダナ・ハダウェイの「サイボーグ宣言」(1985年)について読むと、彼女の思想の先進性に驚くとともに、それを1995年に劇場版アニメーションで表現してしまった「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」にもあらためて驚くわけです
と、同時に1995年以降、日本のアニメーションはいったい何を表現してきたのか、とも思ってしまいます。1995年公開の作品がいまだ時代の最先端というのはどうにも居心地の悪い気分です
長くなってしまいましたので、最後に論文の中からハダウェイの「サイボーグ宣言」の部分を引用して区切りとします

1985年に発表されたHaraway の論文「サイボーグ宣言:二十世紀後半の科学とテクノロジー、そして社会主義フェミニズム」は、未だに精神と身体、動物と機械、唯心論と唯物論の二項対立に縛られている旧来のフェミニズムにサイボーグの比喩を用いることによって挑戦し、今日のジェンダー論の発展に大きな貢献を果たした。その論文において Haraway は、様々な種類の機械や道具の力を借りて生活しているという意味で我々人類は既にサイボーグ文化の中で生きているのだと述べる。例えば義肢、時計、眼鏡、靴などを身に付け、楽器を演奏し、その音楽を聞き、コンピューターを使い画面上の文字を読む、そういった行為は全てサイボーグ文化なのであり、そこでは「精神と身体、動物と人間、有機物と無機物、公と私、自然と文化、男性と女性、原始と文明といったあらゆる二項対立は思想的に疑問視されるのである」

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連続少女暴行魔近藤善広 4度目の逮捕

教員による児童生徒を狙った性犯罪を繰り返し取り上げているわけですが、犯行は何も教職員によるものだけではありません
神奈川県警は女児への性暴行と、その現場を撮影した児童ポルノ取締法違反の疑いで近藤善広容疑者を再逮捕した、と報道されています。秋口からメディアでしばしば目にする近藤容疑者は、女児ばかりねらう連続暴行魔です
まずは4度目となる再逮捕の報道と、近藤容疑者の過去の犯行を取り上げたデイリー新潮の記事を貼っておきます


公園で女児に性的暴行をしたとして、神奈川県警は2日、強制性交と児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、東京都杉並区、無職、近藤善広容疑者(33)を再逮捕した。容疑を一部否認している。近藤容疑者は別の少女への強制性交罪で起訴されており、逮捕は4回目。
再逮捕容疑は、平成29年9~12月、千葉県の公園で、当時4、5歳だった女児(8)に性的暴行を加え、その様子を動画で撮影したとしている。
県警によると、近藤容疑者はこれまでも幼い少女に乱暴し、撮影した動画をインターネットで販売していたとみられる。県警は購入者の特定も進めている。
(産経新聞の記事から引用)


類を見ない卑劣漢である。10月13日、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで神奈川県警に再逮捕された近藤善広(33)。
「彼は9月に最初の逮捕状を執行され、捜査で別の新たな事件が浮上し、再逮捕となりました」(県警記者)
経緯はこうだ。
「今年6月、神奈川県警が情報提供をもとに東京都内の近藤の自宅アパートを捜索、押収したスマホやパソコンを調べたところ、彼が少女に性的暴行を加え、その様子を撮影、ネット上で数十万円で販売していたことがわかりました」(同)
写っていた少女の姿やSNSの記録などから明らかになったのが、昨年2月の宮城県内での犯行だ。
「近藤は、スマホのSNSアプリを通じて宮城県在住の小学6年生の女児と知り合い、自宅住所を聞き出すと、仙台にいきなり現れ、彼女を呼び出した。『撮った動画を販売するから、売り上げの半分をあげる』と言い、数日間の滞在中に複数回、女児を市内のホテルに誘い出したんです。撮影は家庭用のビデオカメラをベッドの前に固定する、実に本格的なものだった」(同)
性行為のほか、わざわざ持参した下着を少女につけさせ、ポーズをとらせるといった所業にも及んだ。約60点の画像・動画を作製・販売したが、売り上げの中から女児に渡した金銭はない。
そして、さらに判明した事件で今回の再逮捕に至った。社会部デスクが言う。
「2年前の4月、近藤は不動産会社に勤務し、西東京市内で販売中のマンションのモデルルームで働いていました。そこのカギを使って彼は部屋を犯行に利用したんです」
近藤はある日、西東京市の公園で小学5年生の男児に声をかけ、数日後にまた落ち合った。男児に「お金をあげるから」と言い、小学4年生の女児に声をかけさせ、次の日に3人で集合すると、モデルルームに向かったのである。
「浴室などいくつかの部屋で少女にわいせつ行為を働き、やはりその様子を動画に収めた。男の子は別室で待機させていました」(同)
動画は同じように売られ、彼は金を手に入れた。
(以下、略)

女児への暴行と、その様子を撮影して販売するという手口ですが、マンションのモデルルームをスタジオ代わりに利用していたとの事実には驚かされます
さらには、交際していた40歳代の女性の娘2人に対しても、女性が留守の機会に暴行を加えていたとして逮捕されており、見境なしといった状況です
児童ポルノ法の規定では動画を販売した場合、500万円以下の罰金もしくは5年以下の懲役という量刑なのですが、悪質なケースでは罰金刑と懲役刑の両方が併科されるのだとか。近藤容疑者の場合、確信犯として、商売として行っていますので悪質なケースに該当する可能性があります
さらに女児への性暴行があります。余罪がまだあるのか、立件可能なのかは不明ですが、被害者が4人として懲役20年くらいは求刑されるのではないでしょうか?

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涼宮ハルヒとボヴァリー夫人の退屈

引き続き静岡大学情報学部の紀要に掲載された「誌上シンポジウム『涼宮ハルヒの憂鬱』」収録の論文を取り上げます
シンポジウムというのは壇上に数名のパネラーが座り、司会者の進行の許で特定の「お題」について意見を交わし、何がしかの問題意識を共有を目指したりするもので、そこで新たな発見があったり、結論を見出すことはありません。シンポジウムの前に意見交換をし、進行のおおまなか調整をして時間内に終わるよう示し合わせるものです
これを研究紀要という冊子の誌上で行おうという企画だったのでしょうが、情報学部の教授や准教授、講師が「お題」に応じた論文を提出するだけで、相互に意見交換などは行わえなかったのかもしれません(単なる憶測です。調べていないので)
それはそれとして、個々の論文から読み取れる見解にはそれなりに面白いものがあり、読んで考える材料にさせてもらっています

『涼宮ハルヒの憂鬱』における日常の憂鬱

田中柊子静岡大学情報学部講師(現在は東洋大学准教授)の論文を読むと、ライトノベルごときに言及するため論文を書く不満、というものがひしひしと感じられます。フランス文学を専門とする彼女にとって、ライトノベルなど学術研究の対象外なのでしょう
だからといってお茶を濁すような真似はせず、女性ならではの視点(現代ではこうした表現も男女差別にあたる、と叱られるのかもしれません)で涼宮ハルヒを語っているところが興味深く感じられます
ブログ記事のタイトルにも掲げたように、フローベールの小説「ボヴァリー夫人」を引き合いに「涼宮ハルヒの憂鬱」を論じています

これは、文学作品と括られているものからは生まれ得ない現象である。文学作品の場合、その世界を蘇らせ、そこに多様な色彩を加え、奥行きを広げていくのは、批評の役割である。ライトノベルをベースにした二次創作やメディアミックスは、文学作品に対する批評にあたる機能を果たしているように思われる。そのようなサブカルチャー的なものをあえてアカデミックに分析する態度には、親しみやすさの演出と知識のひけらかしの入り混じった厚かましさがしばしば見受けられるし、それはサブカルチャーに独特のコードの共有にもとづく輪に入ろうとして、結果的にその魅力を奪うもののように思われる。ここでは、実験的に、『涼宮ハルヒの憂鬱』をライトノベルと意識せずに、したがってその派生作品には言及せずに、一つの小説作品として読み、中心的なテーマと思われる「日常の憂鬱」について若干の考察を行いたい。

ライトノベルやアニメーション作品をあえてアカデミックに分析する行為が作品の魅力を奪ったり、損ねたりするかどうかは書き手の技量とセンスの問題でしょう
当ブログで取り上げた、涼宮ハルヒの言動を独我論で解釈するという論文など、読んでいて「はっとさせられる発見」があったりしますので、十分に意義のある行為だと自分は思っています

憂鬱を退屈の形で表現した作家の例として、フロベールが挙げられるが、『ボヴァリー夫人』のエマは、ハルヒのように非日常を夢見る。エマの場合、それはウォルター・スコット趣味の世界なのだが、そのような人生の可能性を夢見るがゆえに自分の現実の平凡さに耐えることができない。かといって自分で行動するという選択肢はなく、不貞を働く度に、それが自分を飽き飽きした現実から抜け出す契機になることを期待する。結局、夢見ることしか知らないエマは、不倫と借金という現実的で、凡庸な問題を抱え、自殺してしまう。
ハルヒの場合、非日常は、彼女の「イライラ」が具現化した巨人が異空間で暴れるという形で現れるのだが、エマと決定的に異なるのは、ハルヒの「宇宙人や未来人や超能力者が存在して欲しいという希望」と「そんなものがいるわけがないという常識論」のせめぎあい、さらに自分が特別な存在ではないという幻滅の入り混じる憂鬱が、キョンのキスによって、束の間であっても、解消する点だ。
(中略)
ハルヒとキョンが、ハルヒの「イライラ」が作りだした新しい次元に閉じ込められるという出来事の起きる前に、キョンと朝比奈みくるがじゃれあっているのをハルヒが目撃して不機嫌になっているという細部、あるいはこの出来事の翌朝、ハルヒがポニーテールにはまだ短い髪を一つにくくって、ポニーテール萌えだというキョンのリクエストに応えているという細部を忘れてはならない。
このキョンのハルヒへのキスによる世界の救済は「ベタな展開」として位置付けられているようだが、ここに作者のハルヒというキャラクターを愛でる仕草が見て取れないこともない。

ウォルター・スコット趣味とは、勇敢な騎士が囚われの姫を救い出す冒険譚めいた夢想に浸っていることを指し、そのような冒険ができないがゆえに不倫にスリルを求めるエマを、日常に飽き飽きしている代表例として提示したのでしょう
ただ、その不倫も一時の気晴らしにはなっても、身を焦がすような大恋愛にはならないのであり、退屈な日常を一変させるような魔力はありません
ハルヒの場合はどうなのでしょうか?
筆者の認識では、朝比奈みくるとキョンが仲良くじゃれあっている姿を目の当たりにしたことが不機嫌の原因、としていますが、もちろんそれだけではありません。ハルヒはキョンを恋愛の対象と認めたわけではなく、独我論的思考に立った感覚を共有できる同志とも言うべきキョンが、女の子にデレデレしているのに立腹し、失望し、苛ついたと考えられます
閉鎖空間の北高でのキョンによる告白とキスがハルヒの苛立ちを鎮め、世界を救済したという解釈には前回述べたように賛成できません
あれはハルヒの不意をついたのであり、ハルヒは咄嗟のことに混乱したがゆえ、閉鎖空間を維持できなくなり日常への回帰に至った、というのが自分の解釈です
ならば、翌日朝のポニーテール姿はなぜか、という疑問が提起されます
自分は男なので、ハルヒがわざわざポニーテールにして登校した真意は分からないのであり、ただ推測するだけです(作者、谷川流もたしか男性でした)
朝、目覚めたハルヒは悪夢を拭い去れず、不快な気分であったと推測します。同時に、キョンの告白は耳にしっかり残っており、キスの感触もまた鮮明に残っていたのでしょう。そのまま、自身の体験を整理できずに登校したと考えられます。ハルヒならポニーテールにした理由を決して語らず、「ただの気分で」と誤魔化すだけで、さらに問い糾そうとすれば蹴り飛ばしてくるのでは?
謎は謎のままでよい場合もあります。男子にとって女子の心の中というのは永遠に謎でしょう

作者と想定された読者の間には、「もはやフィクション作品による現実逃避なんて通用しない」というような共通の見解がある。フィクションを愛でながらも、決してのめりこまず、日常に留まることを好む、あるいは日常を抜け出す気力も行動力も奪われた消極的状態に、現代の穏やかで慢性的な日常の憂鬱が見える。もしかすると、ハルヒの本当の憂鬱は、自らの日常や平凡さに対する「イライラ」が原因なのではなく、日常に真剣に向かい合うことなく、人生の諸々の出来事をパターンやネタとして消費するというきわめてライトノベル的な生き方に対する「イライラ」のせいなのかもしれない。キスで救われる世界が「ベタな展開」として茶化される限り、ライトノベルは安泰であり、ハルヒの憂鬱は続くだろう。

同様に壁ドンとキスで解決する少女漫画も安泰であろう、と言いたくなります(皮肉です)
ただ、ライトノベル的生き方との枠のはめ方には、異論があります
ライトノベルを読む若者がすべて現実の穏やかで慢性的な日常に甘んじているのではありませんし、日常に真剣に向かい合うこともなく流されているわけでもありません
ライトノベルが現代を生きる若者の消費の道具にすぎないとしても、何をもってライトノベル的生き方と定義できるのか?
ここら辺りの記述は、意に反してライトノベルを扱った論文を書く羽目になった筆者の不満が、ライトノベル読者層に向け吐露されているように感じます
現代の若者にファウスト博士のごとき生き方をせよ、などと言うならば、その方が無茶振りでしょう
ボヴァリー夫人の時代、勇敢な騎士と美姫の冒険譚はさしずめ彼女たちのライトノベルだったはずであり、その彼女たちはライトノベルより遥かに退廃的な生き方をしていたともいえます

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「韓流が日本精神を揺さぶっている」と書く韓国メディア

いつもながらの、韓国メディアによる韓流自慢の記事です
過去にも、「日本列島征伐を完了した韓流」とか、「世界でいま、韓流熱風が吹き荒れている」、「韓流四天王」、「ワールドスター、ピ(RAIN)」などと荒唐無稽な表現が飛び出し、そのたびに笑いがこみ上げてきたものです
さて、現在は第4次か第5次の韓流ブームなのだそうです(十字軍かよ、とのツッコミはさておいて)
通算何度目かの韓流ブームが日本精神を揺さぶっているとする記事がありましたので、取り上げます
元記事が韓国語なので、いつものようにインターネットの掲示板「5ちゃんねる」に貼られた蚯蚓記者の翻訳を引用させてもらいます


韓流が日本精神を揺さぶっている
日本人のように自国を特別と考える民族も珍しい。皇室血統がただの一度も断絶したことがないという「万世一系の天皇」という談論の前ではキム氏一家の「白頭血統」も名刺を差し出せない。
「日本は特別」という集団主義的思考は左・右の政派を問わない共通感情だ。彼らを一つに縛るのは「美しい国」という概念だ。『ピーク・ジャパン』の著者ブラッド・グロッサーマンは日本を美しいと考える日本人の心理はかなり古い系譜を持っていると話す。
(中略)
最近、日本でもう一つの「喪失現象」が社会問題に浮上している。「韓流によって日本精神が揺らいでいる」という話まで出てくるほどだ。日本の時事番組では自称専門家たちが出て「韓流に染まらなかったのは50代以上の男性だけ」と嘆くという。
日本メディアは10代の若者が最も行ってみたい場所としてコリアタウンがある東京の新大久保が選ばれた、という内容を天地開闢のように報道するほどだ。先月、新大久保に行ってきたというある韓国人ブロガーは韓国マートでこういう話を聞いたと書いた。「日本のお客さんでものすごく混雑している。今回、行った時は日本のお客さんが『ア~韓国行ってきた』と満足する独り言を聞いた」
『愛の不時着』という韓国のドラマコンテンツが日本で熱風を起こし、劇中の女主人公であるソン・ヘジンさんのファッションは日本のファッショニスタたちがまねるベンチマーキング対象になった。
新種コロナウイルス感染症(コロナ19)は日本の若い世代の韓国と韓国文化に対する憧れをより一層あおっている。行くことができない状況は、行きたいという欲望をかえって育てているという事だ。
大阪KOTRA貿易館によれば日本の有名ファッション商業施設である渋谷109運営会社が最近、満15~24才の女性600人を対象に購買選好度を調査したところ、多数の韓国産製品が上位圏に上がったことが分かった。国産製品は調査部門合計8つのうちドラマ・放送、化粧品・スキンケア、ファッション部門、カフェ・食品部門、ホーム カフェ部門など5つで上位圏に含まれた。
カフェ・食品部門ではトゥンカロン(韓国マカロン、2位)とチーズのりまき(4位)、ホームカフェ部門ではダルゴナコーヒー(1位)と韓国式味付けチキン(4位)が人気を呼んでいると調査された。
白凡・金九(キム・グ)先生は「ひたすら望むのは文化の力」と生前遺言を残した。BTS、ブラックピンク、映画「パラサイト」など韓国の文化が全世界に号令する今、難攻不落のように見なされた日本消費市場がかんぬきを自ら開いている。
(韓国経済の記事の翻訳)


「BTS、ブラックピンク、映画『パラサイト』など韓国の文化が全世界に号令する今」との下りで思わずコーヒーを噴き出しそうになりました
それにしてもよくもまあ、こんな記事が書けるものだと呆れますし、堂々と紙面に掲載する感覚に驚きます
どこから突っ込めばよいのか?
そもそも自分の国を特別と思っているのは日本人だけではありません。この記事を読めば、韓国人が自分の国を特別だと思っていることが悲しいくらい伝わってきます。そして、何が何でも日本人が「韓流に夢中になっている」ことにしたくて必死になっているのも明らかでしょう
マグロは泳ぎ続けないと死んでしまうと言われるように、韓国人は韓流の自慢を続けていないと死んでしまうのかもしれません
別の韓国メディアの記事によれば、韓国での書店の売上で漫画部門では「ハイキュウー」の新刊が1位、「鬼滅の刃」の新刊が2位となり、総合ランキングでは村上春樹の短編小説集「一人称単数」が1位になったと報じています。ならば、日本文化が韓国社会を制圧していると言っても過言ではないのでしょう(もちろん、日本人としてそんな下品な表現を使おうとは思いません)
長文の記事ですが、あれほど人気だと宣伝していた韓国風チキンの唐揚げを出す店が、早々に撤退してしまった事実には触れたくないようです
都合の良い話だけをつなぎ合わせ、日本の韓流ブームを強調しようとする涙ぐましい努力には敬服しますが、賛成はできません

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涼宮ハルヒの非日常、あるいは日常への回帰

昨日同様、「涼宮ハルヒ」シリーズの新作刊行に機会に、あらためて「涼宮ハルヒ」について考えようという企画です
2013年静岡大学情報学部において編纂された紀要論文集「誌上シンポジウム『涼宮ハルヒの憂鬱』」に収められている、岡田安功教授の論文「涼宮ハルヒの憂鬱:非日常性の規範的構造」を叩き台にします
昨日、言及した「涼宮ハルヒの独我論」も出処は同じです

「涼宮ハルヒの憂鬱:非日常性の規範的構造」

論文からの引用は赤字で、自分のコメントは黒字で表示します
岡田論文の前段は涼宮ハルヒが社会規範を超越した存在、秩序を破壊する存在であることを取り上げています。が、今回、自分の関心はそこにありませんので言及しません
取り上げるのは論文の後段、「ハルヒの普通化と危機の解消」の章からです

ハルヒの普通化と危機の解消
さて、ハルヒとキョンは夢から覚めるように閉鎖空間から脱出する。閉鎖空間でハルヒは驚きのあまりか細い声で不安な態度を示す。この場面まで、ハルヒはキョンに限らず相手の手を強引に引いて一方的に引きずりまわしていた
が、ここでは校舎を歩いている間、ハルヒはキョンのブレザーの裾を指でつまんで離さない。怖くてもキョンの腕にすがりつくことを拒否する
ハルヒはもはや性を超越しない普通の少女である。巨人から本格的に逃げる場面以降はキョンが一方的にハルヒの手を握りしめたままとなり、元の世界とは逆の現象が起こっている。キョンとハルヒの関係が逆転することにより、キョンは強引にハルヒと唇を合わせ二人は元の世界に戻っている。気がつけば、キョンは自宅のベッドから床に落ちていた。ハルヒが普通の少女になり愛情で満たされたことが閉鎖空間を解消したことになる。閉鎖空間におけるハルヒの倫理は元の世界と対照的である。
ところで、閉鎖空間ができた原因は二つある。直接の原因は、ハルヒがキョンと朝比奈の関係を誤解して怒りを感じたことである。この怒りは女性としての嫉妬である。この段階からキョンとハルヒの関係が逆転し始める。
遠因は、小学 6 年生の時、野球場で米粒のような観客の群衆を見て自分自身もその一つであることに衝撃を受け、自分自身を特別ではない普通の人間だと自覚して、「普通じゃなく面白い人生」を求めるようになったことである。この感覚は若い世代にかなり共有されているようだが、ハルヒは自分を普通の人間だと気づきながら、なぜ普通の生き方を肯定できないのだろうか。一人一人の人間は宇宙や歴史の中では気が遠くなるほど小さな存在だが、だからこそ尊いのではないだろうか。この感覚がハルヒにはない。

「なぜ普通の生き方を肯定できないのだろうか」との問いについては、涼宮ハルヒが独我論的思考に終始しているから、と答えるのが適切でしょう
これは昨日取り上げた、「『涼宮ハルヒ』の独我論」を読んでいただければ、理解していただけると思います
話が前後しますが、岡田論文では前段に「性を超越する存在」と題する章を設け小説中のエピソードを引用しています。体育の授業の前に、男子生徒がいる教室で涼宮ハルヒが制服を脱いで体操服に着替えようとするエピソード等ですが、これを作者谷川流が「性を超越する存在」というキャラ設定のために書いたのかは大いに疑問です
中学時代の涼宮ハルヒは、「告白されて断ることをしない女子」とのエピソードも語られており、これは彼女が「自分は女子である」と認識した上での行動でしょう
ただし、ハルヒの場合は彼氏が欲しくて付き合うのではなく、自分に接触してくる男子というのは宇宙人か未来人か異世界人の可能性があり、特殊な能力を保有し、見たこともない景色を見せてくれるかもしれないと期待するから付き合うわけです。よって、平凡な男子と分かれば付き合う理由はなく、すぐに分かれる次第です
なので、ハルヒが「性を超越した存在」であると決めつけるのはどうか、と思ってしまいます
ハルヒが朝比奈みくるを特に気に入っているのは、ハルヒの説明するところの「萌え」があるからで、同性愛志向というわけでもありません
ここで話を戻して、閉鎖空間の学校のエピソードにおいて、キョンのキスによってハルヒの恋愛願望が思いがけず成就→閉鎖空間(非日常)の消滅→現実世界(日常)への回帰、というのであれば、ハルヒはやはり「女の子」であり、女性性とは切り離せないと解釈できます(もちろん、後述するようにこれが結論ではありません)
論文末の注釈で岡田教授は以下のように述べています

閉鎖空間における巨人の破壊活動はハルヒの死への欲動が破壊活動として顕在化したものであり、ハルヒがキョンと唇を合わせて元の世界に戻るのはハルヒの生への欲動が顕在化した結果である。ことによると、ハルヒが作り出した閉鎖空間は作者にとって無意識という概念の表象かもしれない。同様に、ハルヒとキョンは作者の無意識が生み出した作者のエロスとタナトスの表象である。

思いがけないシチュエーションでのキョンの告白とキスは、ハルヒにとって予想外の展開であり、不意打ちです。それゆえ一時的に思考停止状態に陥ったのではないか、と自分は推測します
つまり、キョンの告白とキスによって現実世界(日常)の方がよいとの選択をしたわけではなく、思考停止によって閉鎖空間(非日常)が維持できなくなり崩壊したゆえ現実世界に戻ってしまった、というオチです
ハルヒは「昨夜、悪夢を見たから」と表現しており、とても自分の恋愛願望が充足した夢、との自覚はなさそうです
キョンの側をラカン派の精神分析の立場で説明すれば、主体は涼宮ハルヒに恋をしているが自我はそれに気づいていない状態、といえます
なのでキョンは頭を抱え、「なんて夢を見ちまったんだ」と恥じるわけですが、それはキョンの自我があくまで涼宮ハルヒを恋愛対象と認めまいとする悪あがきでしょう

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「涼宮ハルヒ」の独我論を読んで

数年ぶりに「涼宮ハルヒ」シリーズの新刊が出るとアナウンスされているのを機会に、「涼宮ハルヒ」について考えようと思い立ちました
今回は静岡大学情報学部の吉田寛教授の論文「『涼宮ハルヒ』の独我論」を叩き台にして話を進めます

「涼宮ハルヒ」の独我論

以下、吉田論文からの引用は赤字で、自分のコメントは黒字で表示します
「涼宮ハルヒ」シリーズの主人公涼宮ハルヒはとても孤独な存在です。それをハルヒのエキセントリックな性格ゆえ、と説明することはできますし、他者を小馬鹿にした偉そうな態度や物言いに問題があると指摘することもできます
スクールカウンセラーなら、「もっと周囲の人の話に耳を傾け、聞く姿勢を示し、受け入れよう」とか、「自分から積極的に話しかけるよう努力しましょう。昨夜のテレビ番組の話題でもなんでもいいから」など助言をするのかもしれません。もちろん、ハルヒは助言など受け入れないわけですが
さて、上記の吉田論文ではハルヒの孤独を独我論から説明しており、これはまさに「目からウロコ」と言うべき発想です
これまで涼宮ハルヒを特別な存在、として強調する見解にはいくつも出会っていますが、ここまで端的にハルヒの孤独を真正面から言い当てた見解には初めて遭遇しました(自分の見識不足あるいは情報不足があるにしても)

しかし、ハルヒは独我論者として孤独でもある。なぜなら、自分と同等の存在者がこの世に存在しないからだ。精神を交流させる相手が見つからないからだ。そこで、ハルヒが求めているのは、宇宙人、異世界人、超能力者、未来人といった、この世界には存在しない、何らかのいみでこの世界の外側の存在者たちなのである。つまりハルヒを独我論者と考えると、彼女はハルヒ的世界における主である自分と同等の、いわば夢の主と同等の、世界の外側の存在者を求めていると了解できるだろう。
(中略)
つまりハルヒも含めてすべての人間が、いわば夢の中の登場人物に過ぎない状態である。すなわち、ここで展開されている世界観は、世界の中にただ登場人物だけが存在する「純粋な実在論」(ウィトゲンシュタイン)である。
しかし、それに気付いている存在者、すなわちそう語っているハルヒ自身は、夢を見ている夢の主のように、じつは世界の中のたった一人の主人公なのではないかと考える余地が発生する。
こうして、ハルヒの意識は、ウィトゲンシュタイン『論考』5.64 の指摘する「純粋な実在論」から独我論者の「私の世界」へ転化したものとして読者に示されるのである。そして、作品中でのハルヒの孤独を帯びた傍若無人ぶりが、独我論者としてのハルヒの世界観によって読者に説明されるのである。

涼宮ハルヒを中心としたドタバタコメディはそれはそれで面白いのですが、独我論者のハルヒがいつまでも孤独なままでは物語になりません
吉田論文は上記のような独我論に終始したままでは、物語がとても退屈なものになると指摘しています。

このようなアプローチによって『涼宮ハルヒ』の一連の作品群は、まず佐々木敦がまとめているようにベタな世界系の独我論と読まれることになるだろう。「作中世界の何もかもが、結局のところはハルヒの無意識に帰着する『ハルヒ』も、言うまでもなく一種の、というか究極の「セカイ系」と捉えることが出来る。~略~。デカルト的懐疑の極端な真に受けというか、ベタな独我論のようなものである」

つまりデカルトの「我思う、ゆえに我あり」を模したように「ハルヒが思う、ゆえに世界あり」という疑似SF風学園コメディに終わったでしょう
そこで重要な役割を果たすのが語り手であるキョンの存在である、と吉田論文は注目し、キョンの役割を考察していきます

物語はこうした「平凡」なキョンが、パワフルな独我論少女であるハルヒに引きずられ、その「平凡」な常識を混乱させ続けられる展開である。キョンは、確かにハルヒとは異なり、おおむね標準的な人物として描写されており、また自分が平凡であるという自覚を強く持っている。キョンはハルヒとは異なり、人を人と思わないような突拍子もない独我論的な行動を取るわけではない。こうしたキョンのキャラクターだから、平凡な日常を生きる読者にとって、キョンは物語の狂言回しとしての役割がつとまるのだ。
(中略)
キョンは、夢の中にいながらもそれを夢として意識する者が夢の主であるように、世界をそうした世界として意識するという意味で特別な主体でもある。この意味で、キョンは確かに「平凡」だけれども、じつはハルヒと同様の独我論的傾向を持つという意味で特別な人物であると言える。キョンが何事にも執着しないキャラクターであり、特別に誰かと心を交感しあったりすることもなく平々凡々として日常を生きてきた人物として描かれることも、こうしたキョンの世界観によるものとして改めて理解されるだろう。したがってキョンは、あくまで潜在的にではあるが、ハルヒと同様に独我論的な孤独に縁取られた登場人物である。

キョンの役割については様々な議論があるところです
ただ、ハルヒとの関係で言うならば、キョンはハルヒを好きなのでしょうが決してそれを認めまいという態度を貫いており、ハルヒもキョンを好きなのでしょうが決してそれを認めようとはしないままです。キョンに対して「恋愛は精神病だ」とまで言い切って嫌悪を示します
同年代の女子にすれば恋愛こそすべてであり、高校の同級生に運命の出会いを求め、誰よりも早く彼氏を作ることこそ日常の生きる目的であるかのごとき価値観を有しています(漫画やアニメ的世界の話です)
吉田論文はこの恋愛の部分を「萌え」と表現しています
大雑把に言えば、独我論的な涼宮ハルヒの世界が「萌え」によって転換する物語である、との主張です

つまり、『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品は、テキストを読み進めるにつれて、新しい読みが前の読みを回収していき、そのプロセスの果てに、最終的に「萌え」、東の言う「まんが・アニメ的リアリズムの世界」に到達する物語なのである。おそらく、このプロセスによって誘導される読みの多重性、そして還元性こそが、哲学的なしかけを生かしたこの作品の魅力であると言うべきだろう。
『憂鬱』の読者は、最初はキョンの目を通して、ハルヒの破天荒ぶり、そしてその独我論的世界観に驚きつつも興味を引かれるだろう。ハルヒ
の独我論的孤独に触れて、ハルヒというキャラクターに意外な共感を覚えるかもしれない。その上で、飯田が「切実さ」と表現したキョンとハルヒの内面の交流へと導かれていく。ところが並行して、それが読者の代理でもあるキョンの独我論的妄想として物語を解釈する可能性がしだいに有力になっていく。そして最後に、こうした一切の形而上的問題や実存的問題をキョン=作者/読者の「萌え」によって吸収する。

ただし、物語(シリーズとして)はそのような展開で決着しないのであり、再び学園ドタバタコメディへと回帰する形になります
夜の学校でハルヒとキョンが2人きりとなり、それでも現実世界への帰還を果たす展開で終わっていれば、「涼宮ハルヒ」は名作たり得たと思います。が、作者の本意か角川書店の営業戦術か、シリーズが引き伸ばされた結果、ただの「ライトノベル」になってしまったのは残念です
最後に、論文の冒頭に掲げられたウィトゲンシュタインの言葉に触れます

独我論が貫徹されると、純粋な実在論と一致することがここで見てとられるのである。独我論の自我は広がりを欠いた点にまで収縮し、そして自我に合致した実在は残されるのである。」(L. ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』

解釈すると、涼宮ハルヒの独我論がやがて自我に相応した実存として立ち現れる(残される)のだ、と。ただし、読者は自我に相応した実存としてのハルヒを求めたのではなく、ハチャメチャな独我論としてのハルヒを求めたのであり、その求めに応じる形でシリーズがだらだらと長期化したと言えるのかもしれません

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山形女医殺害事件を考える 初公判で殺意を否認

山形県東根市のマンションに侵入し、住人である女性医師をゴルフクラブで殴り殺した元大学生、加藤紘貴被告の裁判が始まりました
冒頭の罪状認否で矢口智恵美さん殺害は認めたものの、殺意はなかったと主張しています。弁護人は加藤被告の犯行をうつ病の治療薬服用に伴う心神耗弱状態で行われたものであり、減刑すべきであると主張しています

医師殺害裁判 被告が殺意を否認
去年5月、東根市のマンションで、女性医師を殺害したとして殺人などの罪に問われている元大学生の裁判員裁判が、11月30日から始まり、元大学生は、被害者を殴ったことは認める一方、「殺意は持っていなかった」などと、起訴された内容を一部否認しました。
山形大学の学生だった加藤紘貴被告(25)は、去年5月、東根市のマンションに侵入し、この部屋に住む、眼科クリニックの院長だった医師、矢口智恵美さん(当時50)の頭などをゴルフクラブで繰り返し殴って殺害したとして、殺人などの罪に問われています。
11月30日から山形地方裁判所で始まった裁判員裁判の初公判で、加藤被告は、被害者を殴ったことは認める一方、「殺意は持っていなかった」などと、起訴された内容を一部否認しました。
冒頭陳述で、検察は、「被告は、インターネットで知り合った人物に面会を断られ、性欲をもてあまして、無施錠の家を探し、女性医師の部屋に侵入した。しかし、女性医師と部屋で鉢合わせになり、恐怖から犯行に及んだ」などと述べ、殺意や責任能力があったと主張しました。
一方、弁護側は、「被告は、事件の前に、別のアパートで複数の玄関のドアを開けようとするなど、不可解な行動をしたり、うつ病の薬と飲酒によって心神耗弱状態だったりしたため、責任能力は限定的だ」などとして、傷害致死罪の適用を主張しました。
裁判員裁判は12月1日以降も開かれ、3日に結審し、11日に判決が言い渡される予定です。
(NHKニュースの記事から引用)

公判廷での冒頭陳述で検察がどのように犯行の経緯を語ったのか、残念ながら詳細な報道はみつけられませんでした
上記の記事によれば、出会い系サイトを利用し女性と会う約束を交わしていたものの、ドタキャンされたようです。その鬱憤晴らしに酒を飲んで、深夜にアパートやマンションのドアを片っ端から開けようとし、無施錠だった被害者宅に侵入した、という流れなのでしょうか?
検察側は、ゴルフクラブで殴打され動かなくなった矢口さんの頭部を加藤被告はなおもゴルフクラブで殴り続けたとしており、明確な殺意が感じられると述べています
計画的な殺人であったとは言い難いわけですが、さりとて軽微な犯罪でもありません。住居侵入自体が犯罪行為であり、加藤被告のそれは女性を強姦する狙いであった(就寝中の女性がいたら襲っていた)と解釈できるからです
以前は警察の取り調べの中で加藤被告は、「女性と話がしたかった(から侵入を図った)」と説明していましたが、夜中に他人の家に侵入して「お話がしたい」で済むはずはないのであり
検察は殺人罪で懲役20年くらいは求刑するのではないか、と推測します。判決は3年割り引いて懲役17年くらいでしょうか
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高槻少女殺害事件を考える26 控訴取下げ認定で死刑確定

2015年の夏、高槻市の運送会社駐車場で中学1年の女子生徒の遺体が発見されたことから、当ブログでは「高槻少女殺害事件」との題で取り上げてきました。その後、殺害された中学生の男女生徒が寝屋川市の在住であったため、メディアでは「寝屋川中学生殺害事件」と報じられるようになりました。タイトルを途中で変更するのはためらわれたので、当ブログでは「高槻少女殺害事件」として扱っています
さて、2度目の控訴取下げを行った山田浩二被告の扱いをどうするか、大阪高裁の判斷が注目されたわけですが、「控訴を2度も取下げたのだから、死刑を受け入れるという被告の意思は明確である」とし、控訴審は行わないとの判斷が下されました


平成27年に大阪府寝屋川市の中1男女2人が殺害された事件をめぐり、1審大阪地裁で死刑判決を受けた山田浩二被告(50)による控訴取り下げの有効性が争われた裁判で、大阪高裁第6刑事部は26日、控訴取り下げを有効とする決定を出した。決定が確定すれば控訴審は行われない。
今回の決定で、「死刑を受け入れるという点では真意で、取り下げの意思は明確だ」と指摘。山田被告の訴訟能力に疑問はなく「控訴は終了したことを宣言する」とした。
山田被告は2人を殺害した罪に問われ、30年12月に大阪地裁の裁判員裁判で求刑通り死刑判決を受けた。弁護人らは大阪高裁に控訴したが、被告は1審判決から約半年後の昨年5月、勾留先の大阪拘置所で弁護人に相談しないまま控訴取り下げの書面を提出した。
山田被告はいったん死刑囚となったが、直後に弁護人が取り下げを無効とするよう大阪高裁に申し入れた。審理した第6刑事部は昨年12月、被告が看守とのトラブル直後に書面を提出しており、死刑確定を明確に意識していなかった可能性があるとして、控訴取り下げを「今回に限り無効」と判断した。
これに対する検察側の異議申し立てを審理した高裁第1刑事部は今年3月、「無効とする合理的な根拠が示されていない」として第6刑事部に審理のやり直しを命じた。その約1週間後、山田被告は控訴取り下げの意思を記した書面を再び高裁に提出。1審で死刑判決を受けた被告が、2度にわたり控訴取り下げを求める異例の展開の中、第6刑事部が再審理を続けていた。
(産経新聞の記事から引用)


大阪高裁の裁判官にすれば2度の控訴取下げは理解不能というか、裁判所をバカにしているのかと思ったはずです
山田被告の気まぐれに翻弄され、幾人もの司法関係者が無駄な仕事を強いられたのですから
しかし、控訴審を行わないとの決定は山田被告にとって意外だったようで、取材のため面会した記者に対し、不満をぶつけています

――Q:「控訴取り下げの意味をきちんと理解していたはずだ」というのが裁判所の認定でしたが?
【山田被告】
「分かってたら取り下げません。もちろん、平常時は分かってるけど、取り下げるときはそこまで考えてないし」
山田被告は今後何らかの形で、裁判所に不服を申し立てる考えを示しました。
【山田被告】
「このまま裁判を終わらせるわけにはいかないので」
――Q:真実をまだ話していないということですか?
「裁判で話したことは真実だけど、遺族とか検察とか裁判官、世間に信じてもらいたいんです。今は信用されないままで終わってるから。このまま終われないです」
(関西テレビの記事から引用)

山田被告は弁護士を雇って、「控訴申し立てを認めないのは違法だ」と訴訟を起こすのでしょうか?
2度も自分で控訴を取下げておいて、どの口が言うのやらと思ってしまいます。「法律なんて知るか。ゴネればどうにでもなるんや」などと思っているからこうなるわけであり、自業自得です
大阪高裁はこれ以上山田被告に振り回されたくはないはずで、不服を申し立てても門前払いでにするのが相応でしょう。被告人となったからには、裁判制度をよくよく理解して臨む必要があります。理解せずにゴネるのはバカのやることです

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