札幌作業療法士殺人 不倫の清算

2016年、札幌市西区で作業療法士の女性(23歳)が殺害され、同じ病院に勤務する作業療法士の熊倉昭洋被告が犯人として逮捕され、懲役19年の判決を受けた事件がありました
熊倉被告は事件当日、女性の部屋にいたのは認めましたが、殺害されたのは自分が帰った後であり、第三者によって殺害されたと主張し、控訴していました
札幌高裁は12日、1審の札幌地裁判決を支持し、控訴を退けています
1審の札幌地裁判決から以下、抜粋します


(罪となるべき事実)
被告人は平成28年11月4日午後9時頃から同日午後10時頃までの間、札幌市所在の集合住宅の一室であるA方において、A(当時23歳)に対し殺意をもって、表面が平滑で長さ約31.5センチメートル以上のもので頸部を絞め付けた上、絞頸により仮死状態になったAを浴槽内の水中に溺没させ、同所においてAを絞頸及び溺水による窒息により死亡させて殺害した。
(争点に対する判断)
第1 本件の争点等
1 証拠上容易に認められる事実
被告人は、遅くとも平成28年10月半ば頃(以下の日時は,全て平成28年のものである。)には自身及び妻と職場が同じAと不倫関係となった。11月4日午後6時過ぎ頃にもAと落ち合ってA方近隣のそば店へ行き、2人でかしわそば大盛りと豚そば大盛りを食べた後、午後7時頃にA方へ行った。その後、早くとも午後9時50分頃にA方を立ち去って、午後10時8分頃、A方近隣の駐車場から車を出庫させて帰宅した。被告人がA方にいる間に他にA方を訪れた者はいなかった。
他方、Aは何者かにより、A方において判示の方法により殺害されたが、その遺体は同月6日午後2時20分頃、被告人とともにA方を訪れた被告人の妻によって発見された。これらの事実は、当事者間に争いがなく、関係証拠により容易に認められる。
2 争点
本件の争点は被告人が犯人であると認められるかであり、その前提として、Aの死亡時刻が争われている。検察官は①Aの死亡時刻が11月4日午後9時頃から午後10時頃までの間であり、②被告人には動機となり得る事情や犯人であることに沿う行動が認められる一方、③第三者が犯人の可能性はないことから、犯人は上記死亡時刻頃Aと一緒にいた被告人以外に考えられないと主張する。
これに対し弁護人は、Aの死亡時刻が同月5日未明である上、上記②及び③の事実はなく、被告人がA方を去った後に他の何者かがAを殺害したのであって、被告人は犯人ではないと主張している。
(中略)
第4 第三者による犯行の可能性
関係証拠によれば、何者かがA方に無理やり侵入したり金品を物色したりした形跡はなく、下着や財布・通帳等も無造作に残されており、Aに致命傷以外の目立った外傷や性的行為が加えられた痕跡も存在しないことが認められる。また、A方は、集合住宅3階の一室であり、偶然立ち寄るような場所でもない。そうすると本件犯行は、金品等の窃取目的やわいせつ目的の末に、Aとの面識が全くない第三者が犯したものとは考え難い。
そして生前のAと接点のあった合計8名の男性についてみると、まず、インターネット掲示板を通じて連絡を取ったことのある6名については、Aを殺害する動機を有する者は見当たらず、11月4日夜から翌朝にかけてのアリバイが存在するなどの理由により犯人である具体的な疑いはない。
(以下、略)


刑事裁判の判決文を読んだ経験のない方には、異質な感があるのかもしれません。どの裁判の判決文も概ねフォーマットに沿って書かれるのであり、争点と事実の認定、結論(量刑)という流れになっています
熊倉被告が女性の遺体を浴槽に沈めたのは刑事ドラマなどの影響で犯行時刻を誤魔化すためだったのでしょうが、無駄な小細工です
被害者と熊倉被告が不倫関係にあったこと、別れ話で揉めていたことなど、周囲の人たちは知っていたのであり、隠しようもありません
なお、熊倉被告には下着泥棒の前科があったことも露見しています。
熊倉被告は大学卒業後、芦別市役所に勤務していましたが、市役所が保管していた市営住宅のカギを勝手に複製し、市営住宅に住む独身女性の部屋から大量の下着と現金20万円を盗んだ罪で逮捕され、懲戒免職処分を受けています。その後、札幌で理学療法士の資格を取得して病院に勤務するようになったのだとか。当時の姓は水足で、前科を隠すため熊倉姓に変えたと考えられます
ですからこの事件は、善良な市民がある日突然、身に覚えのない殺人の容疑をかけられ逮捕された…というテレビドラマみたいな話ではありません

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