栗原心愛ちゃん殺害事件を考える 虐待は経済格差のせい?

「週刊女性」に栗原心愛ちゃん殺害事件で有罪判決を受けた栗原勇一郎被告を取り上げた記事が掲載されていますので、言及します
記事を書いているのは阿部恭子という、犯罪加害者家族をサポートするNPOの代表者です。が、事件の捉え方がどうにも偏っており、納得できない内容です
栗原被告が繰り返した虐待を個人の資質、性格によるものではなく、なぜか経済格差のせいだと断定する考えを示しています
裁判で栗原被告は虐待の事実を全面的に否認していますし、経済格差が原因だとも口にしていません。つまり、現実を頑なに否定し、自身の主張を正しいと強弁する性格の顕著な歪みが明らかなのです。なぜ、阿部恭子は栗原被告の歪みを問題視しないのか、不思議でなりません

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(前略)
筆者は昨年開かれた裁判員裁判をすべて傍聴していた。注目した点のひとつは、勇一郎被告が育った家庭環境と自ら子育てをしていた家庭環境のギャップである。被告は両親から暴力を受けたことはなく、経済的にもゆとりのある家庭で育っている。ところが事件前の被告は、あらゆる面で余裕のない生活を送っていた。
被告は非正規雇用で、家族4人の生活は、親による経済的援助によって成り立っていた。妻は病気で養育ができず、被告は生まれたばかりの子どもの面倒を見ており数時間の睡眠で仕事に行く日々が続いていた。借金もあり、経済的、精神的に追いつめられていたころ、インフルエンザにかかり自宅待機を余儀なくされる。そして、完全に社会との関わりが閉ざされた家庭内で暴力は激化し、最悪の結末を迎えている。
せめて経済的に安定した生活を送ることができていれば、これほど悲惨な事件は起こらなかったと思われる。

記事は唐突に「余裕のない生活が理性を奪う」との見出しがついて、NPOに寄せられた相談のケースを開陳します。非正規雇用で経済的ゆとりのない男性がこどもへの虐待を繰り返したと述べ、栗原被告も同じだと言いたいのでしょう。ですが、達也(仮名)のケースは栗原被告の事件とは別物であり、安易に同一視するのは事件を読み誤るだけです。公判を傍聴して何を見聞していたのか、と言いたくなります。最初から経済格差こそが問題の根源であると決めつけていたのでは?
最初に述べたように栗原被告の資質や性格を論じないまま経済格差のせいで虐待が行われた、と断定するのは無茶な論理です

筆者は、近年の虐待事件では、虐待の世代間連鎖ではなく、むしろ育った環境とのギャップが加害を生んでいるケースが増えていると感じる。就職氷河期世代で非正規雇用で働く人々は、親の年収ほど稼ぐことができない人も多いはずだ。家庭を持つこと諦める人がいる一方で、家庭を持ったとしても、自分が与えられてきたような家庭環境を家族に与えることができない。
こうした経済状況に加え、男尊女卑思想が根強かった時代である。稼いで妻子を養うことが男の義務だと考えてきた男性にとっては、安定した収入が得られない状況に劣等感や屈辱感を感じる人も少なくないであろう。失業したり収入が減ることで、家庭での男性の優位性が損なわれたと感じた時に暴力が用いられている。家庭を伝統的な家族のスタイルに強制しようとする過程でDVや虐待が行われるのだ。
加害者が囚われている価値観から解放され、傷が癒されない限り加害は繰り返され、さらに弱い立場の人々が犠牲になる。子どもの保護を第一として経済格差の是正や労働環境の改善が事件を減らしていくことに繋がる。

反論しますと、経済格差が解消されても栗原被告は虐待を繰り返したはずです。それは娘への虐待が栗原被告にとってたまらないほど性的快楽をもらたしたからです
経済的な余裕があっても性犯罪を繰り返す人間はこの社会に一定する存在するわけであり、経済格差解消が性犯罪を減少に必ず結びつくというものではありません
筆者は問題の根幹を読み誤っているのです

懲役16年の実刑判決を不服とした栗原被告の控訴審は結審しており、判決は3月4日に言い渡されます
控訴審は初公判で即日結審しており、栗原被告の弁護人は新たな証拠や証言を提出したわけではありません。これでは1審の判断をひっくり返すのは無理でしょう
最後に、「二度と同じ悲劇を生まないために」と書くのは止めた方がよいと自分はいつも思います。交通事故の被害者家族が心情として「二度と同じ悲劇を生まないために」と発言するのは理解できるところですが、残念ながら交通事故は数多く発生しますし、こどもへの虐待も同じです。ですから「二度と・・・」ではなく、「少しでも1件でもこどもへの虐待事件を減らすために」を心がけたいと思います。このブログが役に立っているかどうかはともかく、そんな思いで書いています

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