髪の黒染強要 大阪府立懐風館高校訴訟の結果

大阪府立懐風館高校で生徒の髪が茶色であることを問題視し、黒く染めるよう強要した事件をめぐり、女子生徒が大阪府を相手取って訴訟を提起していました。その判決が出ましたので取り上げます
まずは問題の経緯の振り返りを含めた記事を引用し、それから判決を報じる記事を貼ります

「生徒に黒染め強要」地毛の色で主張対立、司法判断は
「黒染め強要」はあったのか、なかったのか――。生まれつき茶色の髪を黒く染めるよう学校から強要されたとして、大阪府羽曳野市の府立懐風館高校に通っていた女性(21)が、約220万円の慰謝料などを府に求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁で言い渡される。地毛の色や指導の妥当性を巡り、主張は対立。校則や生徒指導のあり方に一石を投じた訴えの行方は。
同校は校則で、髪の染色や脱色を禁じている。女性は2015年春に入学後、髪を黒く染めるよう再三指導され、2年生の2学期から不登校に。弁護士事務所に教員を派遣してもらうなどして授業を受け、18年3月に卒業した。
再三の注意で不登校、席なく名簿も削除
女性側は入学時、生まれつき茶髪で、黒染めを強要しないよう母親が配慮を求めていたと主張。教諭から4日ごとに髪の色を注意され、「黒染めしないなら学校に来る必要がない」などと言われて不登校に追い込まれたとして、「生徒指導の名を借りたいじめだ」と訴えている。
一方、府側は入学前説明会で、頭髪への配慮を求めた生徒はいなかったと指摘。教諭が指導した際、女性の髪の根元が黒かったことを確認しており、地毛は黒だと主張する。校則に反して茶色に染めていたため指導しただけで、違法性はないと反論している。
不登校になった後の対応も焦点だ。女性側は教室に自分の席がなくなり、名簿からも削除されたことで、「筆舌に尽くしがたい精神的苦痛を被った」と主張。府側は「不登校状態が目立たないようにした」と反論したが、府教委は提訴後の記者会見で「不適切だった」と釈明している。
頭髪指導を巡る訴訟は過去にも起きている。熊本県内の公立中で男子生徒を丸刈りとする校則の違法性が争われた訴訟で、熊本地裁(1985年)が「著しく不合理ではない」とした判決が確定。奈良県生駒市立中の女子生徒が黒染めは体罰だとして市に賠償を求めた訴訟では、大阪地裁(11年)が「教育的指導の範囲内」として請求を棄却、最高裁で生徒側敗訴が確定した。
(毎日新聞の記事から引用)

訴訟となった後、大阪府教育委員会は教室から生徒の席を撤去したり、生徒名簿から名前を削除した対応を誤りだと認めています。が、懐風館高校の校長や教師は、自分たちの対応を正当な指導であると言い張ったわけです
おそらくは訴訟の途中で和解を探る動きもあったと思われるのですが、学校の対応に不信感を抱いた元生徒は裁判所による判決を求めたのでしょう

生まれつき茶色の髪を黒く染めるよう学校から強要されたとして、大阪府羽曳野市の府立懐風館高校に通っていた女性(21)が府に約220万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(横田典子裁判長)は16日、府側に33万円の賠償を命じた。
同校は校則で髪の染色や脱色を禁じている。女性側は2015年春の入学後、教諭から4日ごとに髪の色を注意され、不登校に追い込まれたと主張。府側は女性の地毛は黒で、茶色に染めていたのを指導しただけで違法性はないと反論していた。
(毎日新聞の記事から引用)

判決内容は別の報道によると、髪を染めるよう指導した分に違法性はなく、強要とはいえないとの判断です。教室に席を設けず撤去した件と生徒名簿から削除したのは違法だとしています(判決内容に従い、以下の部分を一部書き直しています)
これまでにも書いてきたように、教育行政は市や都府県の行政から独立しているものという扱いになっています
そのため、市長や都府県知事もこれを改めるよう手出しできません。結果として、学校現場や教育委員会の独善的な行動、あやまった教育指導が漫然と繰り返されているわけです
教育行政を一般行政と切り離し、独立させたのは教育現場への政治介入を防ぐためとされます
しかし、現在では弊害の方が大きいのではないでしょうか?
今回の件は大阪府側の敗訴ですが、大阪府の責任ではなくあくまで懐風館高校の校長ら教師の行動や判断に責任があります
生徒指導の範囲を超えた強要行為(裁判所の判断では強要ではないとなっていますが、髪の毛を黒く染めろと再三求めたのですから事実上の強要でしょう。さらに教室からの席を撤去や名簿からの削除は「おまえはもう生徒ではない」と宣言したも同然であり、退学事由に該当しないのに退学扱いしたも同然です)によって生徒を不登校に追い込んだとして、懐風館高校の校長らを懲戒処分すべきですが、大阪府教育委員会にはできるのでしょうか?
身内である教師をかばって処分はしないと思われます
こんな教育委員会制度による教育行政の独立など止めてしまうべきです

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村上春樹「踊る小人」と南米文学の影響

広島大学の研究紀要に収められた山根由美恵山口大学教育学部准教授の論文「村上春樹『踊る小人』論ーボルヘスの影」を読んで、思うところを書き述べます。先日、ダルミ・カタリン女史の論文「村上春樹と魔術的リアリズム : 『踊る小人』に見る一九八〇年代」を読んで感じたところと重なる部分もありますので、そちらも併せて目を通していただければ幸いです

山根由美恵の「村上春樹『踊る小人』論ーボルヘスの影」

論文の前半は村上春樹作品と南米文学(ルイス・ボルヘス、ガルシア・マルケスなど)の影響を説明する内容です。これはこれで参考になります
中盤では「踊る小人」に先行する文学作品としての、ボルヘスの「夢」を題材とした作品に触れています
そして先日取り上げたダルミ・カタリン女史の論文で指摘するところの、「踊る小人」に登場する小人を「自我を乗っ取る悪霊的存在」と書いているのが、山根論文の10ページ目です

(論文10ページ)
中村氏が指摘するように、「踊る小人」は、先行作の「羊をめぐる冒険」からのテーマ、自我を乗っ取る悪霊的存在が物語の核である。小人のちからは、「小人の踊りは観客の心の中にある普段使われていなくて、そんなものがあることを本人さえ気づかなかったような感情を白日のもとにーまるで魚のはらわたを抜くみたいにーひっぱり出すことができたのだ」、「小人はその頃から踊り方ひとつで人々の感情を自由にあやつるやり方を身につけることになった」と描かれている。
(略:「羊をめぐる冒険」の展開との比較)
同じ自我を乗っ取る悪霊的な存在の物語であるが、欲望を抑えた場合と抑えなかった場合という展開が異なっている。「踊る小人」は自我を乗っ取る悪霊が消滅しなかった場合の結末が追求されており、破滅が用意される必然はここにある。

山根論文はあくまで、小人=悪霊的存在、という設定の上で語っているようにも読めますが、山根論文は引き続いて村上春樹の「アンダーグラウンド」のあとがきを引用しています。そこで村上春樹はオウム真理教の麻原彰晃を例に挙げ、「オウム真理教に帰依した人々の多くは、麻原が授与する「自律的パワープロセス」を獲得するために、自我という貴重な個人資産を麻原彰晃という『精神銀行』の貸し金庫に鍵ごと預けてしまっているように見える。忠実な信者たちは進んで自由を捨て、財産を捨て、家族を捨て、世俗的価値判断基準(常識)を捨てる。まともな市民なら『何を馬鹿なことを』とあきれるだろう。でも逆に、それは彼らにとってある意味ではきわめて心地の良いことなのだ。何故なら一度誰かに預けてさえしまえば、そのあとは自分でいちいち苦労して考えて、自我をコントロールする必要がないからだ」と書いています
つまり、山根論文も『踊る小人」を社会的現実に還元して考える姿勢を有しているのであり、小人を悪霊として片付けてしまっているわけではないと分かります
自我を乗っ取り、体を乗っ取る悪霊的存在を社会主義と読み変えるのもありでしょうし、新興宗教と読み換えて解釈することも可能です

(論文12ページ)
「踊る小人」はボルヘスの世界を超えるようなインパクトのある世界とは言い難い。しかし、このメタ化された世界の中でどう生きるかといったテーマは、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」で深化し、主人公は作り上げられた世界の中で主体的に生きることを決意するといった、ボルヘスの世界とは違った世界が描かれている。また、自我を譲り渡すことの危険性は「ねじまき鳥クロニクル」、「アンダーグラウンド」、「1Q84」で触れられ、システムの危険性に警鐘を鳴らしている。特に「1Q84」では邪悪な力を持つものとして「リトル・ピープル」という存在が物語を大きく動かしており、「踊る小人」のテーマは現在においても村上文学の重要な柱であることがわかる。

村上春樹は「踊る小人」でボルヘス的技法を踏まえつつも、ボルヘスとは異なる物語を描こうとしており、その営為がいまだ継続されているというのが、山根論文の主張であろうと解釈すます

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栗原心愛ちゃん殺害事件を考える 虐待は経済格差のせい?

「週刊女性」に栗原心愛ちゃん殺害事件で有罪判決を受けた栗原勇一郎被告を取り上げた記事が掲載されていますので、言及します
記事を書いているのは阿部恭子という、犯罪加害者家族をサポートするNPOの代表者です。が、事件の捉え方がどうにも偏っており、納得できない内容です
栗原被告が繰り返した虐待を個人の資質、性格によるものではなく、なぜか経済格差のせいだと断定する考えを示しています
裁判で栗原被告は虐待の事実を全面的に否認していますし、経済格差が原因だとも口にしていません。つまり、現実を頑なに否定し、自身の主張を正しいと強弁する性格の顕著な歪みが明らかなのです。なぜ、阿部恭子は栗原被告の歪みを問題視しないのか、不思議でなりません

野田市小4虐待死事件から2年ーー孫を息子に殺された「祖母」の胸中と、虐待の背景
(前略)
筆者は昨年開かれた裁判員裁判をすべて傍聴していた。注目した点のひとつは、勇一郎被告が育った家庭環境と自ら子育てをしていた家庭環境のギャップである。被告は両親から暴力を受けたことはなく、経済的にもゆとりのある家庭で育っている。ところが事件前の被告は、あらゆる面で余裕のない生活を送っていた。
被告は非正規雇用で、家族4人の生活は、親による経済的援助によって成り立っていた。妻は病気で養育ができず、被告は生まれたばかりの子どもの面倒を見ており数時間の睡眠で仕事に行く日々が続いていた。借金もあり、経済的、精神的に追いつめられていたころ、インフルエンザにかかり自宅待機を余儀なくされる。そして、完全に社会との関わりが閉ざされた家庭内で暴力は激化し、最悪の結末を迎えている。
せめて経済的に安定した生活を送ることができていれば、これほど悲惨な事件は起こらなかったと思われる。

記事は唐突に「余裕のない生活が理性を奪う」との見出しがついて、NPOに寄せられた相談のケースを開陳します。非正規雇用で経済的ゆとりのない男性がこどもへの虐待を繰り返したと述べ、栗原被告も同じだと言いたいのでしょう。ですが、達也(仮名)のケースは栗原被告の事件とは別物であり、安易に同一視するのは事件を読み誤るだけです。公判を傍聴して何を見聞していたのか、と言いたくなります。最初から経済格差こそが問題の根源であると決めつけていたのでは?
最初に述べたように栗原被告の資質や性格を論じないまま経済格差のせいで虐待が行われた、と断定するのは無茶な論理です

筆者は、近年の虐待事件では、虐待の世代間連鎖ではなく、むしろ育った環境とのギャップが加害を生んでいるケースが増えていると感じる。就職氷河期世代で非正規雇用で働く人々は、親の年収ほど稼ぐことができない人も多いはずだ。家庭を持つこと諦める人がいる一方で、家庭を持ったとしても、自分が与えられてきたような家庭環境を家族に与えることができない。
こうした経済状況に加え、男尊女卑思想が根強かった時代である。稼いで妻子を養うことが男の義務だと考えてきた男性にとっては、安定した収入が得られない状況に劣等感や屈辱感を感じる人も少なくないであろう。失業したり収入が減ることで、家庭での男性の優位性が損なわれたと感じた時に暴力が用いられている。家庭を伝統的な家族のスタイルに強制しようとする過程でDVや虐待が行われるのだ。
加害者が囚われている価値観から解放され、傷が癒されない限り加害は繰り返され、さらに弱い立場の人々が犠牲になる。子どもの保護を第一として経済格差の是正や労働環境の改善が事件を減らしていくことに繋がる。

反論しますと、経済格差が解消されても栗原被告は虐待を繰り返したはずです。それは娘への虐待が栗原被告にとってたまらないほど性的快楽をもらたしたからです
経済的な余裕があっても性犯罪を繰り返す人間はこの社会に一定する存在するわけであり、経済格差解消が性犯罪を減少に必ず結びつくというものではありません
筆者は問題の根幹を読み誤っているのです

懲役16年の実刑判決を不服とした栗原被告の控訴審は結審しており、判決は3月4日に言い渡されます
控訴審は初公判で即日結審しており、栗原被告の弁護人は新たな証拠や証言を提出したわけではありません。これでは1審の判断をひっくり返すのは無理でしょう
最後に、「二度と同じ悲劇を生まないために」と書くのは止めた方がよいと自分はいつも思います。交通事故の被害者家族が心情として「二度と同じ悲劇を生まないために」と発言するのは理解できるところですが、残念ながら交通事故は数多く発生しますし、こどもへの虐待も同じです。ですから「二度と・・・」ではなく、「少しでも1件でもこどもへの虐待事件を減らすために」を心がけたいと思います。このブログが役に立っているかどうかはともかく、そんな思いで書いています

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ドラマのタイトルが長くなる理由

最近、テレビドラマのタイトルが長くなっており、それには理由があると説明する記事がありましたので、取り上げます
タイトルがやたらと長くなるブームはすでにライトノベルで見慣れたものですが、テレビドラマの場合は少々事情が異なるようです

なぜドラマのタイトルはどんどん長くなるのか? 「流行」「保険」の声も
「書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~」(テレビ朝日系)
「青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-」(カンテレ・フジテレビ系)
「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」(テレビ東京系)
「今野敏サスペンス 警視庁強行犯係 樋口顕」(テレビ東京系)
(略)
今冬放送中の新作ドラマで10文字以上の作品を並べてみました。26作中16作が10文字以上の長いタイトルを採用していることに驚かされるのではないでしょうか。このような「タイトルが長い」という現象は数年前からあったものの、ここに来て過半数を占めるほど各局に浸透し、「最近の流行」という声も聞こえてきます。
なぜ、ドラマのタイトルは長くなっているのでしょうか。
第1話を見てもらうための最善策
最大の理由は「第1話を見てもらうため」の分かりやすさ。
例を挙げると「書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~」はその文字を見ただけで「脚本家が主人公のドタバタコメディーだな」と分かるでしょう。また、「青のSP(スクールポリス)-学校内警察・嶋田隆平-」はスクールポリス、学校、警察と、意味の重複するフレーズを詰め込んでいますが、これも見るだけで「学校内に警察がいたら……」という物語がイメージできます。
基本的に連ドラは第1話を見てもらえなければ、第2話から最終話までの約2カ月半を棒に振ってしまうケースが多いため、「第1話を何としてでも見てもらいたい」のが本音。長いタイトルは視聴者に内容をイメージさせ、興味を持ってもらうためのものであり、各作品のホームページにある「はじめに」の文章をギュッと凝縮させたようなものなのです。
(略)
視聴習慣のある枠ほどタイトルは短い
(略)
長いタイトルの作品に比べると、やはり、「どんな内容なのか分かりにくい」という作品が多いのではないでしょうか。しかし、「にじいろカルテ」の放送されているテレビ朝日の木曜午後9時台は固定視聴者の多いドラマ枠のため、これくらいの内容説明でも第1話を見てもらえる可能性が高いでしょう。一方、「知ってるワイフ」の放送されているフジテレビの木曜午後10時台はそこまでの視聴習慣がないドラマ枠であり、もう少し長いタイトルで説明しておいた方がよかったかもしれません。
その意味で、短いタイトルに最も必然性を感じさせるのがNHKの朝ドラと大河ドラマ。「おちょやん」「エール」「麒麟がくる」「青天を衝け」などと短いタイトルが徹底されていますが、これは長年の放送によって視聴習慣が浸透しているからであり、長いタイトルで内容説明をする必要がないのです。
(略)

新しいテレビドラマについては新聞やTVガイドなどでさんざん取り上げるのですから、タイトルで内容を説明する必要があるのか、と思ってしまいます。まあ、刑事ドラマなのか恋愛ドラマなのか、ホームドラマなのか、タイトルですぐに識別できるようにしておくと、視聴者には好都合なのでしょう
小説の世界では1979年にすばる文学賞を受賞した松原好之の「京都よ、わが情念のはるかな飛翔を支えよ」というのが、当時は珍しく長いタイトルでした。現在の価値観で判断すれば「中二病」といえるのでしょう。京都大学受験に失敗した浪人生の話であり、情念とか飛翔とかあまり関係ありません
さて、ライトノベルのタイトルが長いのは既に語られているところでしょうから、付け加えるものもないのですが、最新の作品は以下の動画を見ていただくと分かります

【驚愕】世界一!タイトルの長いラノベランキングTOP10 【ライトノベル】


ライトノベルのタイトルが長いのは、読者の印象に残るようなタイトルを求める出版社の方針なのでしょう。が、単に長いタイトルをつけようとしているだけでクドいと感じ、とても読もうという気にはなれません。無駄な努力というか、営業方針のように感じます。
タイトルで勝負するのではなく中身で勝負してもらいたいのであり、やみくもに長いタイトルをつけるべきではないと思うのですが
そもそもタイトルが話の中身、状況の描写になっていますので、「ああ、こんな内容なら読まなくてもいいや」との判断につながってしまいます

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千葉ベトナム女児殺害を考える 控訴審判決は3月

控訴審が始まったとの報道はありましたが、続報が途切れてしまっていた渋谷恭正被告の事件について、取り上げます
控訴審の第1回公判は2019年9月に開かれましたが、その後どうなってしまったのか、報道を見かけませんでした。ようやく、「2020年11月に控訴審が結審し、判決は2021年3月23日にある」と書かれた産経新聞の記事を見つけたので書きます
それにしても控訴審がこれだけ長引くのは異常です。途中、長期中断する事情が生じたのでしょうか?
判決のある3月23日は、リンちゃんが渋谷被告に連れ去られ殺害された日の前日に当たります。狙ったわけではないと思いますが


千葉県松戸市で平成29年、市立小3年だったベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9)=を殺害したとして、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われ、1審で無期懲役とされた元小学校保護者会長、渋谷恭正被告(49)の控訴審が17日、東京高裁(平木正洋裁判長)で開かれ、弁護側が無罪を主張して結審した。判決は来年3月23日。
被告は29年4月、遺体の付着物のDNA型と、被告のたばこの吸い殻から検出されたDNA型が一致したとして逮捕された。弁護側は「千葉県警の捜査員が無断でごみ置き場に侵入し、吸い殻入りのごみ袋を持ち去ったが、経緯を正確に記録しておらず、令状のない違法な捜索差し押さえだ」などと捜査の違法性を指摘し、無罪を主張している。一方、検察側は「証拠の収集は適法だ」と反論しており、「極刑を回避した1審判決は軽すぎて不当だ」として死刑を求めている。
30年の1審千葉地裁判決によると、29年3月24日、登校中のリンさんを軽乗用車に乗せて連れ去り、わいせつな行為をした上、首を圧迫して窒息死させ、同県我孫子市の排水路脇に遺棄した。
(産経新聞の記事から引用)


弁護人の控訴審での主張は、「渋谷被告は事件に関与しておらず無罪である」というものです。しかし、無罪の主張の力点がなぜか、「煙草の吸殻を令状なしに持ち去ったのは違法だ」というものです。その吸殻の鑑定結果から得られたDNAの型は証拠から排除されるべき言ってるのですが、どうにも不可解です
もちろん刑事訴訟法の原則として、「違法に収集された証拠は正当性を欠いており、証拠とならない」とされるのですが、渋谷被告が犯人でないのなら煙草の吸殻に執着する必要はないのでは?
渋谷被告が事件と無関係ならば、リンちゃんの遺体に渋谷被告のDNAが付着したりはしません。警察が押収した煙草の吸殻がどうのこうのではなく、渋谷被告のDNAがリンちゃんの遺体から検出されたのであれば、渋谷被告が犯人でしょう
訂正:1審千葉地裁の判決を読み直したところ、弁護人の主張は「警察が渋谷被告を犯人に仕立てるため、故意に被害者の遺体に渋谷被告のDNAを混入させたものであり、違法な証拠に基づく起訴だ」との内容でした。おそらく渋谷被告の言い分をそのまま弁護人が主張したものと推測されっます。が、ここまで言うと陰謀論です。控訴審での主張も1審と同様なのでしょう
以前にも触れたように、事件当日、渋谷容疑者のアリバイを証言する人物は誰もいないのです。こどもを釣りに連れて行くため、釣り場を探して車を走らせていたと主張するなら、途中のガソリンスタンドのレシートやコンビニエンスストアのカメラの映像とか、渋谷被告は自身のアリバイを立証するため、いくつも証拠を積み上げられるはずです。それを提示できないのは、アリバイの主張が嘘だからでしょう

さて、本題から外れるのですが、大正時代に関東各地で連続少女強姦殺人を繰り返し、死刑になった吹上佐太郎の話を書きます
京都西陣生まれの吹上佐太郎は織物工場の見習い工でしたが、盗みや強姦を繰り返し、金閣寺裏で11歳の少女を強姦した上で殺害し無期懲役の判決を受けて服役したのが19歳の時でした。しかし、無期懲役であった吹上は恩赦があって刑務所を出て、様々な職を転々とします。この間に関東各地で少女を狙った強姦殺人を繰り返し、逮捕されたのですが、実際に吹上による事件がどれだけあったかは判然としません
関東8県で27人以上を強姦し、6人を殺害したとされますが、どこまで裏が取れたのやら
当時の捜査はもっぱら締め上げて自白させるやり方です。証拠の検証などないも同然です。吹上は13人を殺害したと自供していますが、後にこれを否定し6人だと述べています
吹上は死刑確定から2ヵ月後に絞首刑が執行されています。余罪について事細かに調べるような真似はせず、早く執行してしまえという時代だったのでしょう

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村上春樹「踊る小人」と魔術的リアリズム

村上春樹作品を取り上げるシリーズです。どうしても長編小説が注目され評価されるのですが、短編にも味わい作品があります。深い今回は「蛍・納屋を焼く・その他の短編」に収められている「踊る小人」を取り上げます
雑誌「新潮」に「踊る小人」が掲載されたのが1984年ですから、初期の作品です
前述の短編集では「ノルウェイの森」の先駆けとなった「蛍」や「納屋を焼く」が注目され、評価も高いのではないかと思うのですが、この「踊る小人」を重要な作品と評価する向きもあります
その理由も含め、考えてみましょう。なお、小説の粗筋紹介は省略します
叩き台として、ダルミ・カタリン女史の論文を引用します
論文の筆者ダルミ・カタリン女史はハンガリー出身の日本文学・中国文学研究者で、論文執筆時は広島大学の大学院に所属していたようです

村上春樹と魔術的リアリズム : 「踊る小人」に見る一九八〇年代
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/3/39140/20160304094234599769/kbs_52_67.pdf
論文は冒頭、「踊る小人」がファンタジー要素を備えながらも、極めて現実的な問題を取り扱った作品であると指摘します

(論文1ページ)
早川香世が述べているように「ファンタジーとは、一般的に、科学主義、合理主義など近代の思想を基盤とする〈現実性〉から逸脱する〈超自然現象〉を扱った作品群」であり、その意味で「ファンタジーとリアリズムはいわば表裏一体であり、両者は補完関係」にあるとされる。また、ロー・ファンタジーの場合においては舞台は現実であり、そこに超自然現象が侵入するのだが、ハイ・ファンタジーの物語では舞台は超自然現象が起こり得る現実と違う異世界である、すなわち、「踊る小人」の「物語全体が架空世界に置かれたハイ・ファンタジー」といった読み方は、現実性を物語の中に見出しておらず、作品の持つ現実に関する問題意識を話題としない。しかし、村上自身は「この物語はファンタジーのかたちをとっているが、意図的にファンタジーとして書かれたものではない。僕としてはむしろ普通の現実的な物語を書くような気持ちでこの話を書いた」と述べており、「ファンタジーのかたち」をとった物語の背景にある現実性の存在を強調している。したがって、村上の自解をふまえるなら、本作品は超自然現象が起こっている世界を描いていてもハイ・ファンタジーではないと見なせ、物語の現実性を視野に入れることが必要となる。

村上春樹の「意図的にファンタジーとして書かれたものではない」との発言をどう受け止めるか、難しいところです。取材に応じ、作者自身が作品について語る機会があったとしても額面通りに受け止めるか、あるいは隠された意図や、はたまた作者自身気がついていない無意識のメッセージが込められているケースもあり、作者の発言を絶対視するのは読み誤りの原因になりかねません
なので作者の発言は括弧に入れて保留、としておくのがお勧めです

(論文3ページ)
つまり、パーツから像を作る作業や「彼女の腐敗」などのシーンに注目するならば、物語はフェアリーテイルやファンタジーにしか見えないかもしれないが、現実的な世界に突然侵入してくる超自然現象に応じる「僕」やその周囲の反応に焦点を当てると、作品はファンタジーより魔術的リアリズムの表現技法に近いと考えられる。例えば工場での不条理な仕事を当たり前の行為として語っている「僕」の態度は、魔術的リアリズムのナレーション方法と一致すると言えよう。これが魔術的リアリズムと同様に現実的な世界を舞台としたロー・ファンタジーとの最も明確な相違点である。

この論文では「踊る小人」をハイ・ファンタジーでもなく、ロー・ファンタジーでもなく、村上の魔術的リアリズムによる作品と指摘しているのですが、自分にはその魔術的リアリズムなるものがどうにも理解できません
異常な日常をあたかも当然のことと受け止める主人公の態度が、主人公のみならず登場人物全体に行き渡って所与のものとして定着している作品世界、を魔術的リアリズムによって描かれたものと解釈すればよいのでしょうか?

(論文7ページ)
言い換えれば、「僕」は小人の登場をきっかけに操作されている集団的記憶の断片を集め始め、自分の損壊されたアイデンティティを再構築し始める。そのプロセスを「踊る小人」は描いていると言える。
マシュー・C・ストレチャーはジャック・ラカンの論考をふまえ、アンデンティティ形成に必要となるもう一つの不可欠な要素として他者による自己認知の行為を挙げ、他者との触れ合いの重要性を強調している。大半の村上作品の主人公と同様に猫と一緒に暮らしている独身の「僕」だが、小人が二回目の夢の中に登場した後、工場の新人である美しい女性を手に入れることに必死になり、小人と危険な契約まで結んでしまう。彼女をなんとしても手に入れることに決めた「僕」は舞踏会で踊っている彼女の姿を眺めながら「もし僕がひとつの夢のために別の夢を利用しているのだとしたら、本当の僕はいったいどこにいるのだう」と言い、初めて自分の存在について考えるようになる、つまり、他者である彼女を意識することによって、自分の本当の存在=アイデンティティにも気づくようになる構図がこの箇所から窺える。

ラカンといえば「鏡像段階」の学説が有名です。ここでは簡単な説明にとどめます
赤ん坊は鏡に映った己の鏡像を目にすることで、己の全体像を把握し受け入れる、とラカンは考えます。この場合の鏡を他者の視線と置き換えてみましょう。つまり周囲の人(他者)が認識する人物像が提示され、それを己が受け止め解釈することで自分自身という存在=アイデンティティが確立される、との考え方です
「踊る小人」において、「僕」は踊っている彼女→他者の存在を意識することで、自分の存在を考えるようになるとの構図が示されます
その時点まで「僕」は、村上作品にしばしば登場する孤独な独身男性との設定であり、他者との交流は極めて希薄な存在として描かれています

(論文9ページ)
「踊る小人」の「架空世界」から透視される「リアリズム」いわゆる「現実」がバブル化し始めた一九八〇年代の日本社会だとすれば、本作品で取り扱われているアイデンティティの問題が当時の事情を反映していることが窺える。ストレチャーは村上文学における一つの中心的なテーマとしてアイデンティティ問題を挙げるのだが、それは村上自身のみではなく、村上の世代が共有している問題として把握すべきだと論じる。戦争の苦しさを経験したことがない村上(の世代)にとっては、戦争の悲劇を体験した親の世代とは異なり、裕福であること、つまり消費社会が提供しているモノの消費だけが人生の目的ではなくなった結果、自分のアイデンティティ形成の基盤となり得る対象を当時の高度資本主義社会の中に見出すことが出来なくなった。このように自分のアイデンティティ、あるいは村上の言葉を使うなら「コミットメント」の対象を定めるのが難しくなってきた状況では当然の如く、解決策として新しい思想や運動が次々と生み出されるわけである。

うーん、どうなのでしょう。アイデンティティと問う文学作品は村上春樹だけでなく、村上世代だけでなく、およそ青春期から中年期を取り上げた文学作品には頻繁に見い出せるのであり、それを村上作品の特徴であるかのように指摘するのはどうか、と思ってしまいます
例えば下村湖人の「次郎物語」のように、自己探求の物語は古くから存在します(昭和11年から書き始められ、戦後まで書き継がれた)。あるいは明治時代の文学作品のように、文明開化による社会の変化の中で近代的自我の確立を目指す小説も、アイデンティティを探求したものと考えられます
ですから、村上春樹の言うところの「コミットメント」が特に目新しいとは自分には思えないわけです
学生運動以降、無気力でしらけた若者が登場し、世の中を斜めに見たり、高度成長経済に組み込まれないのを良しとする若者もいました。フォークギターを片手に自由であることを主張し、独立系のレコード会社を設立したシンガーソングライターとか
それも一つの「コミットメント」(多分に表層的な)ではなかったか、という気がします
論文では学生運動とその崩壊がアイデンティティの形成の妨げになったとか、何にコミットメントするべきか見失う要因になったとの指摘もあるのですが、学生運動後の世代である自分には理解できない話です
ただし、そうした時代背景の「お噺」が理解できないからといって、「踊る小人」を理解できないということにはならないのであり、これも作者の自作評などと同じく括弧に入れておけばよいと思います
ちなみに「ベトナム戦争の時代」や「学生運動の時代」を訳あり気に話すような人物を、自分は信用しません
長くなりましたので、ここで区切りとします
ダルミ論文の中で取り上げられている山根由美恵の「村上春樹『踊る小人』論ーボルヘスの影」や、中山幸枝の「村上春樹『踊る小人』論ー近年の作品につながる社会的モチーフ・暴力・自己の問題」などの論文を順番に取り上げていこうと思います

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村上春樹「アイロンのある風景」を眺めて
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村上春樹 井戸と異界の物語
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村上春樹「一九七三年のピンボール」研究Ⅲ
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村上春樹「一九七三年のピンボール」研究Ⅱ
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村上春樹「一九七三年のピンボール」研究
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「1973年のピンボール」
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「風の歌を聴け」 回想あるいは追憶、創作
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「ノルウェイの森」 直子の人物像について
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村上春樹「風の歌を聴け」 自我の語りと沈黙
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「風の歌を聴け」 鼠は主人公の影
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「ノルウェイの森」 直子と緑
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「ノルウェイの森」 直子の自死について
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「海辺のカフカ」 迷宮としての物語
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「海辺のカフカ」 自己愛の行方
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「海辺のカフカ」を巡る冒険 性と暴力の神話として(2)
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「海辺のカフカ」を巡る冒険 性と暴力の神話として
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中国は「ノルウェイの森」をどう読んだのか2
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中国は「ノルウェイの森」をどう読んだのか
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韓国は村上春樹をどのように読んだのか2
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韓国は村上春樹をどのように読んだのか
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中国は村上春樹をどう読んだのか3
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名古屋夫婦強盗殺人 裁判の行方は?

類似した事件が他にもあって紛らわしいのですが、2017年3月に名古屋市南区の住宅で80代夫婦を殺害し財布を奪ったとして、強盗殺人の罪に問われた無職松井広志被告の事件をさします
この事件では松井被告が金を奪う目的で殺害した強盗殺人なのか、殺害した後に財布(1200円入り)を奪った殺人と窃盗なのか、判断は分かれました
一審である名古屋地裁の裁判員裁判では、パチンコで生活保護の金を使い果たした松井被告は帰宅途中に、被害者大島たみ子さんから「仕事もしていないのに良いご身分ね」と声をかけられたことに腹を立て、その後に大島さんを追って家へ上がり込み、室内で夫妻の首を刃物で刺すなどして殺害し、約1200円が入った財布を盗んだと判断し、強盗殺人ではないとして無期懲役の判決(求刑は死刑)を言い渡しました。なお、松井被告は軽度の知的障害があり、その影響もあったと裁判官は言及しており、「自首も成立する」と述べています
これに対し、控訴審の名古屋高裁は2020年1月9日に以下のように判断し、一審の判決を誤りとして差し戻す決定をしています

高齢夫婦殺害、差し戻し 「強盗認めずは誤認」 名古屋高裁
名古屋市南区の住宅で2017年、80代の夫婦を殺害し財布を奪ったとして強盗殺人罪に問われ、1審・名古屋地裁で殺人と窃盗罪が適用され無期懲役判決を受けた無職、松井広志被告(45)の控訴審判決で、名古屋高裁(堀内満裁判長)は9日、「強盗殺人を認めない1審判決は事実誤認がある」として1審判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。弁護側は上告した。
殺害動機が強盗目的かどうかが争点で弁護側と死刑を求刑した検察側の双方が「事実誤認がある」として控訴していた。弁護側は量刑不当も訴えていた。
1審の裁判員裁判判決は、「金品を得るために殺害しようと考えるほど金銭的に追い詰められていたかは疑問」などと指摘。さらに、物色の範囲から見て殺害後に金品を盗もうと思い立った可能性を否定できないとして「強盗目的があったと認められない」としていた。
控訴審判決は「物色範囲は強盗目的の有無を推論する事情として合理性があるとは言いがたい」などと判断した上で、「強盗目的が認められることを前提に、事案にふさわしい刑を決める必要がある」とした。
弁護側は判決後、報道陣に「裁判員裁判で判断した事実認定を覆すことはあり得ない。事実認定の判断が間違っている」と話した。名古屋高検の河瀬由美子次席検事は「検察官の主張が認められた適正・妥当な判決だと考えている」とコメントした。
1審判決によると、松井被告は2017年3月、大島克夫さん(当時83歳)と妻たみ子さん(同80歳)の首を刃物で刺すなどして殺害し、約1200円が入った財布を盗んだ。
(毎日新聞の記事から引用)

名古屋高裁の差し戻し決定に弁護人は納得せず、最高裁に上告しています。最高裁は2020年9月に名古屋高裁の差し戻し決定を支持し、上告を棄却する判断を下しましたので、裁判は名古屋地裁に差し戻され一審とは別の裁判官が担当して審議をやり直すことになります
この場合、「強盗目的が認められる」とした高裁の判断をどう受け止めるかが問題です。もちろん、やり直しの裁判で「強盗殺人ではなく、あくまで怨恨による殺人と窃盗である」と判断するのもあり得ます。が、被告弁護人が再び控訴するでしょう
冒頭に類似した事件があると書いたように、1996年7月に名古屋でカメラ店を経営する老夫婦宅に男が侵入し、夫婦を殺害して金を奪う事件がありました。強盗殺人事件で死刑が求刑されたのですが、犯人は覚醒剤を使用して心神耗弱状態であったと裁判所は認め、罪一等を減じて無期懲役判決を言い渡しています
自分などは、「強盗殺人に加えて覚醒剤中毒なら死刑だろう」と思うのですが、プロの裁判官はそう考えず「心神耗弱だから減刑」という裁判上の鉄則に従った判断を下しています
松井被告は軽度の知的障害なので、心神耗弱と断定するかどうかは微妙です。人権団体は名古屋高裁の判断を批判し、松井被告の知的障害を無視しているのはけしからん、と主張しています
やり直し裁判が始まったという報道は見当たりませんので、これからなのでしょう
地裁の判断としては、強盗殺人の成立を認めるものの知的障害と自首を考慮して無期懲役、という判断になるのではないかと予想します

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少年誘拐ホルマリン漬け事件(昭和32年)

外国の報道で驚くような猟奇殺人事件が伝えられたりします。日本ではちょっと考えられないようなドロドロ、ギトギトした事件です
しかし、日本でも猟奇殺人事件が発生していないわけではありません
神戸連続児童殺傷事件や島根女子大生殺害事件、あるいは座間9人殺害事件など、日本で起きた異常な殺人事件といえます
今日は古い話で恐縮ですが、昭和32年に起きた少年誘拐ホルマリン漬け事件を取り上げます
異常な誘拐殺人事件であり、不快な思いをされる方もいると思います。繊細な方は読まずにページを閉じてください。
この事件について言及したサイトが、インターネット上にいくつもあります。その1つを紹介しておきます


断片の昭和史(10) 少年誘拐殺人・肉片ホルマリン漬事件

上記のサイトを補完する形で書かせてもらいます
事件は昭和32年、家庭に風呂がなく銭湯利用が一般的だった頃の話です
銭湯で知り合った美少年に見惚れた犯人が言葉巧みに自宅へ誘い込み、殺害した上で遺体を切断し、金魚鉢や水槽にホルマリン漬けにして保管していたのが発見された、というものです
犯人である林邦太郎(当時26歳)は少年が銭湯やそろばん塾に通うところを待ち伏せし、わいせつな行為をしたり抵抗すれば殴りつけることもあったとされます。銭湯で一緒だったのですから、林は少年の裸身に惚れ込んだのでしょう。12歳の少年は林の要求に従わざるを得ない心理状態にあったと考えられます(少年は林から執拗に住所を尋ねられ、教えてしまっています)
林邦太郎は囲碁棋士の長男として生まれ、明治大学商学部を卒業していますが、近隣の少年にちょっかいを出してわいせつ行為をしたり、猫を解体して食べるといった奇行があり、精神病院に入院していた時期があります。犯行時は病院を出て、自宅療養中でした
林は犯行前から自分の思っていること、感じたことを断片的にノートに書き記しており、そこには「理想的な少年を見つけた」「金魚蜂に入ったあの子は、見ても見ても飽きるということがない」、「生きているときよりも、死んだあの子の方がいっそうかわいい」などと書き込まれていました
少年を自宅へ連れ込み殺害した後、林は少年の自宅に身代金を要求する手紙を送りつけています。が、もとより身代金目当ての誘拐ではありませんし、金銭受け取りの場に林は出向いていません
さて、少年は本名、巣山和利(当時中学1年生)です。父親はプロレスラーでしたが両親が離婚し、巣山少年は母親と暮らしていました。おそらくは父親がおらず、寂しさや虚しさを内に抱えていたと思われます。そこに林がつけ込んだのか?
巣山少年を殺害後、ホルマリン漬けにした遺体を床下に隠し、時々取り出してはうっとりと眺めていた林ですが、精神状態が不安定になり再度、精神病院に入院させられます。病院では「少年を殴った」、「鼻血が出た」などと繰り返し主張したため、医師が不審に思い警察に通報します。これにより警察官が林宅へ出向き、床下の遺体を発見して犯行が発覚しました
憶測するしかないのですが、最初から巣山少年を殺害する目的で自宅に連れ込んだのではなく、あんなことやこんなことをするつもりだったのでしょう。しかし、抵抗されたはずみで殺害してしまい、悔いが残ったのかもしれませんし、大事な玩具を壊してしまったかのような罪悪感があったのかもしれません。ただ、その後遺体を解体してホルマリン漬けにしているのであり、何とも不可思議な話です
殺してしまったのは仕方がないとして、遺体を長く手元に置いて鑑賞したかった…と解釈するしかありません
精神鑑定を受けた林ですが、責任能力はあると判定され懲役10年の判決を受けて服役します。それでも懲役10年というのは誘拐殺人事件としてははなはだ軽微な扱いです。精神病の既往歴があることが斟酌された判決ではなかったか、と推察します
服役した林は刑務所内でトラブルを起こすこともなく、刑期を終え出所しています
その後の人生については特に調べていないので不明です
刑務所を出た時点でまだ若いのですから、少年愛の傾向が矯正されたとは考えられません。関心のある方は調べてみてください

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韓国での「鬼滅の刃」批判

日本で一大ブームを巻き起こした「鬼滅の刃」の劇場版「無限列車編」が韓国でも公開されています
さて、お約束ですが、韓国における「鬼滅の刃」批判を取り上げます。彼らの言い分など無視して構わないのですが、ネタとして記録し残しておこうと思います
言うまでもなく、文在寅政権が煽って始めた「日本製品不買運動」はまだ継続中です。どこまで続けるのか、いつまで続けるのか、到達地点も不明な運動であり、終わりも見えません。「対日貿易赤字が続いており、けしからん」との事由で始まったのですが、昨年の日韓貿易収支は韓国側の208億4000万ドルの赤字であり、一昨年より16億ドルあまり赤字幅は拡大しています
民間人が日本製品不買を繰り広げたところで、工業用素材や部品を大量に輸入する対日依存経済という根本は変わらないのであり、対日貿易赤字からの脱却など不可能です。しかし、そんな不都合な現実から目をそらし、一般国民に「日本製品を不買しろ、ボイコットだ」と文在寅政権は煽っているのです
ではデイリー新潮の記事から一部、引用します

韓国『鬼滅の刃』公開で空前ブーム、“旭日旗”と指摘された「耳飾りデザイン」変更に批判殺到
韓国の書店には「鬼滅の刃」の単行本が並んでおり、“1~20巻セット限定版”は発売直後に完売した。
書店の総合ベストセラーで17位、経済・経営分野ではない漫画本がベストセラーにランキングするのは異例という。
ネット上には「『ワンピース』以来、こんなに面白いアニメは初めて」「映画公開が待ちきれなかった」などといった声が上がっている。
「鬼滅の刃」を見る限り、“反日不買運動”などどこ吹く風の様相だ。
(中略)
少し前に、日本のアニメ「ワンピース」をパクったアニメ「ワピース」が韓国世論を騒がせたことがあった。
制作会社の責任者は、パクリではないかという記者の問いに「オリジナルと10%でも違えば、それは別物だ」と堂々と答えている。
「日本文化開放」以前の韓国を知る者なら、誰でもそう回答するだろう。
“日本の大衆文化の流入禁止”は、著作権に対する市民の規範意識を低下させてきた。
「韓国には日本の出版物は存在しない」ことになっていたから、そもそもパクリなどあり得ない、皆がそう考えるようになったわけだ。
コミックや映画が人気を博す一方、売れ行きが芳しくないグッズがある。
「鬼滅の刃」の主人公である竈門炭治郎(かまど・たんじろう)の耳飾りを模したグッズだ。
かねて韓国では、この耳飾りのデザインが旭日旗に似ていると話題になっていた。
韓国では、2000年代から旭日旗を嫌う傾向が見られるようになった。
2002年の日韓W杯で、旭日旗による応援を見た韓国のある団体が騒ぎ出したことがきっかけだといわれている。
以後、旭日旗は反日ターゲットのアイテムの一つになった。
韓国内の「鬼滅の刃」のコミック本は、耳飾りのデザインはオリジナルのままの翻訳本が発売されているが、すでに放映されたアニメシリーズや今回の劇場版では、耳飾りのデザインが変更され、オリジナルとは全く違うものとなっている
(中略)
また、SNSの「鬼滅の刃」ファン・サイトでも上映を「待ち望んでいた」と言う声が多い中、
「(耳飾りの)デザインを変える必要があったのか」
「物語を知っていれば耳飾りが旭日旗ではないことがわかるのに」
「旭日旗は誰が悪いと言い始めて、今も言い続けているのか。その者が誰なのか知りたいものだ」
など、原作をよく知るファンはデザイン変更に否定的なコメントを寄せている。
また、「デザインを変えないのなら1000年上映しなくても構わない」という書き込みに対して、
「内容を全部理解して言っているのか」
「君はどこの子か。ソウルの子ではないでしょう。ソウルの我々世代は反日、不買の馬鹿さ加減を知っている」
「原作はちゃんと読みましたか。読んで好きになったなら耳飾りが何か理解できますよね」
「なぜ、似ているからといって全部、旭日旗なのか」
など、韓国の若者も似ているものをすべて旭日旗に結びつけようとする風潮に抵抗を感じ始めているようだ。
日本の漫画やアニメへの理解、そして愛が深ければそれだけ、反日不買のナンセンスさを感化し難いものと感じる。それは自然なことだろう。

記事を書いているのは韓国在住の日本女性です
これだけでは不足なので、他のメディアの記事から「鬼滅の刃」についての賛否をいくつか拾っておきましょう

(支持派の意見)
「僕は鬼滅が大好きなんだけど、周りから“お前は売国奴なのか?”と言われました。歴史的な問題を考えると、このアニメがちょっとアレなのは分かりますが、それでも人の好みにあんな言葉をぶつけるなんて聞き捨てなりません。この前、『無限列車』の新PVを見たんですが、とにかくスゲー!」
「売国奴だ、売国奴だと騒ぐ人こそ、本当の売国奴です」
「どうぞお好きにしてください。自分が不買するのは自由ですが、それを人に強要するのは病です」
「日本のアニメを見るだけで悪口を言う人がいますが、無視してください」
「鬼滅は右翼アニメでもないし、あなたは売国奴ではありません」

(否定派の意見)
「そのアニメは右翼アニメで、不買運動もまだ終わっていません。あなたは十分に“売国奴”でしょう」
「お前は旭日旗が描かれた耳飾りを見ながら何も考えないのか!」

残念ながら内容に深く踏み込んだ上での批判はなく、炭治郎の耳飾りが旭日旗デザインであるかどうか、で揉めているだけです
どうせなら、ストーリーやキャラ、物語の設定や背景まで論じた上での批判というものを聞いてみたいのですが
「鬼滅の刃」が今後、テレビアニメで続編をやるのか、劇場版でやるのかは不明であるものの、期待は高いのであり確実にヒットするでしょう
韓国での評判がどうであれ、原作に概ね忠実にアニメ化されるものと予想します(商売ですから、韓国公開分だけは炭治郎の耳飾りのデザイン変更くらいします)
批判の浅さも、見方を変えれば韓国の特徴といえるのかもしれません
宮崎駿の「風たちぬ」の場合も、「ゼロ戦の開発者をアニメーションで描くのはけしからん。反倫理的だ」と上辺の批判ばかりであり、作品の中身や表現に深く立ち入って批判する声は少なかったと記憶しています

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「鬼滅の刃」は反キリスト教的と批判する韓国
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「鬼滅の刃」から日本文化批判へ飛ぶ韓国メディア
「宮崎駿にキメハラ」という記事
「鬼滅の刃」とフジテレビの微妙な関係
「鬼滅の刃」ブームを読めなかった業界人
「鬼滅の刃」実写化という無謀
「韓国アニメのグローバル化…」でも日本に勝てない理由
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「風立ちぬ」を批判する韓国の大学教授
アメリカ人批評家(韓国系)が「風立ちぬ」を猛批判
実写版「BLEACH」大コケ
実写版「ジョジョの奇妙な冒険」大コケ
実写化「岸辺露伴は動かない」成功した理由
漫画実写化は是か非か、を巡る議論
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芥川賞「火花」が映画化もコケる
橋本環奈 「セーラ服と機関銃」大コケ
キムタク主演映画「無限の住人」は大コケではないと主張するメディア
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「忍たま乱太郎」 なぜアニメを実写化するのか?
井筒監督「漫画を安易に映画化しすぎる」と批判
「四月は君の嘘」映画化 大丈夫か?
西内まりや主演映画「キューティーハニー」大コケ
韓国が勝手に映画化した「北斗の拳」実写版
アニメ「小さなバイキング ビッケ」をドイツが実写映画化
映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」大コケで1億ドル損失?

夜間託児所で強制性交 アルバイト学生逮捕

夜間の託児所でアルバイトをしていた男が、女児にわいせつ行為を繰り返したとして逮捕されています。強制性交罪の容疑、と報じられていますので、保育専門学校生吉田英典容疑者がやったのはつまりそういうことです
8歳の女児を強姦する感覚というのは常軌を逸しており、小児性愛者ゆえの行動でしょう
「育児は女の仕事だ」などと言うつもりはありません。が、保育の場に吉田容疑者のような小児性愛者が紛れ込んでしまうのは危険です。男性で保育士を目指す人を排除する気はないものの、その動機が異常性愛に駆られたものではないと見極めるのは容易ではないのも事実です
何よりこどもの安全を優先する必要があり、園内に監視カメラを設置すれば済むという話ではありません。カメラの死角で犯行を繰り返す可能性もあるからです


夜間託児所でも女児にわいせつ、強制性交で起訴の保育専門学校生「仕事忙しくストレスで」
アルバイト先の夜間託児所で預かっていた女児にわいせつ行為をしたとして、警視庁は10日、東京都八王子市新町、保育専門学校生、吉田英典被告(28)(強制性交罪で起訴)を強制わいせつ容疑で再逮捕したと発表した。再逮捕は8日。自宅のハードディスク内から、複数の女児にわいせつな行為をする動画が見つかっており、警視庁が被害状況を調べている。
発表によると、吉田被告は2019年8月22日と同28日、当時アルバイトをしていた都内の夜間託児所で、就寝中だった女児(当時4歳)の服を脱がせて体を触るなどした疑い。容疑を認め、「仕事が忙しくストレスがたまり、子どもへの性欲を抑えられなかった」と供述している。
夜間託児所は民間企業が運営しており、営業時間は午後5時~翌日午前6時。吉田被告が働いていたのは19年1~10月で、事件があった時間帯は1人で勤務し、被害女児を含む数人の世話をしていた。
吉田被告はその後、都内の児童養護施設でアルバイトをしていたが、施設に通っていた小学生の女児を「デートに来なかったら殺す」などと脅したとして、警視庁が昨年12月に脅迫容疑で逮捕(処分保留)。押収されたハードディスク内から、夜間託児所の被害女児を含む女児数人の動画が見つかっていた。
警視庁は先月15日、動画に映っていた女児のうち、同じ夜間託児所で被害に遭った別の女児(当時8歳)に乱暴した強制性交容疑で吉田被告を再逮捕。吉田被告は同27日に同罪で起訴されていた。
(読売新聞の記事から引用)


保育の専門学校に通っていた吉田被告ですが、これは児童性愛者である彼が性欲を満たすため保育の仕事に就こうと考えた結果でしょう
ですから、今回の一連の事件は偶発的なものではないのです。児童性愛者を保育の現場に入れたら性犯罪の温床になるのは当然です
深夜の時間帯で、勤務者を確保するのが難しいという事情は分かりますが、28歳で保育の専門学校に通い資格を取得しようという男性がいたなら、自同性愛者ではないかと疑う必要があります
しかし、人事担当者は人不足の折りに「渡りに船」とばかり、採用を決めてしまったのではないでしょうか?
吉田容疑者の「仕事が忙しくストレスでやってしまった」との言い分は、前後の文脈が不明なのでよく判りません。仕事が忙しかったのであれば、わいせつ行為をしたり、撮影している時間などないのであり、矛盾しています
警察官に問い詰められた挙げ句、思いつきで口にしただけでしょう

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中学生にわいせつ 大阪明星学園元教師を再逮捕

大阪明星学園中学の元教師、中村洋一郎容疑者が男子生徒へのわいせつ行為で逮捕された件は、すでに当ブログで取り上げたところです
その中村容疑者が別の男子生徒へのわいせつ行為の容疑で再逮捕されたと報道されています
「複数の男子生徒へのわいせつ行為がある」と噂されている根拠は、中村容疑者が所持していた画像です。生徒へのわいせつ行為が学校内でうわさになり、中村容疑者は休職しており、その後逮捕されたわけで、逮捕までは間がありました。その間にパソコンかスマートフォンに保存しておいた生徒の裸の画像は削除したのでしょうが、ハードディスクやメモリを物理的に破壊しない限り削除した画像は再現できますので無駄です
再逮捕を報じる記事と、文春オンラインに掲載された記事の一部を引用します

男子生徒にわいせつな行為をして逮捕された元教師の男が、別の男子生徒にも現金を渡してわいせつな行為をした疑いが強まり、再逮捕されました。
児童買春などの疑いで再逮捕されたのは、大阪府の私立中学校の元教師・中村洋一郎容疑者(36)です。
警察によると、中村容疑者は3年前の6月、大阪市内にある自宅で、教え子の男子生徒に現金を渡してわいせつな行為をした上、生徒の裸を撮影した疑いがもたれています。
中村容疑者が所持していた複数枚の画像の解析で判明しました。
また中村容疑者は、SNSで現金を渡すと持ち掛け、教え子の生徒を誘い出すこともあったということです。
中村容疑者は先月、修学旅行先のホテルで男子生徒に薬物の入った飲み物を飲ませ、わいせつな行為をした疑いで逮捕されていて、すでに起訴されています。
調べに対し、中村容疑者は認否を保留しています。
(関西テレビの記事から引用)

大阪有数の進学校
中村容疑者が教壇に立っていたA中学校は、名門進学校として知られる。
「明治時代から続くミッションスクールで中高一貫の男子校。毎年のように京大や有名私立大に複数人の生徒を送り出す進学校で、高校の野球部は甲子園で優勝したこともあります」(進学塾関係者)
学園の広報担当者によると、中村容疑者は勤続5年で、担当教科は国語。熱血指導で生徒からも好かれており、剣道部とマジック同好会の顧問を兼任していた。
「生徒にとっては話しやすい距離の近い先生で、親しみをこめて、みんな『ヨウイチロー』って呼んでいました。不登校の子の家に通って学校に来るよう説得したり、授業中に寝ている生徒を見つけても怒らずに『先生も昔はロッカーに枕を常備するほど寝ていたけど、そこまではするなよ』って諭してくれたり。ウチの学校は学内でスマホ禁止なんですけど、バレたときも『今回だけだぞ』と内緒にしてくれました。生徒サイドにいつも立ってくれる話のわかる先生でした」(同校在校生)
生徒の心を掴んでいた中村容疑者は、複数の生徒とLINEを交換し、自宅にも気に入った生徒を招き入れることがあったという。男子校の男子生徒と男性教師という関係性の中で、生徒側が警戒心をつい緩めてしまうという状況があったのだろうか。
逮捕のニュースを知り「やっとか…」
生徒の性被害について知る別の在校生はこう証言する。
「ヨウイチローの趣味は、以前から一部の生徒で噂になっていた。逮捕されたことをニュースで知って、僕は『やっとか…』って正直思いました。修学旅行の子以外にも、何人かが被害にあったという話も聞きました。修学旅行で被害に遭った子は、クリっとした目が特徴の純朴そうな男の子。ヨウイチローのお気に入りは、大体そういう“かわいいジャニーズ系”。先輩たちのあいだでも彼の“かわいい子好き”は噂になっていた」
中村容疑者の自宅は、同校から程近い家賃7万円前後のワンルームマンション。仲のいい生徒たちの"たまり場"になっており、自身も呼ばれて「家に行ったことがある」という生徒はこう語る。
「僕も先生の家に行ったことがありますが、イタズラはされてないし、2回目以降も自分の意思で遊びに行ってました。家ではゲームをさせてもらったり、アニメを観たりしていました。寿司をご馳走になった生徒もいます。バツイチだと聞いてますし、男子に興味があるとは思いませんでした」(同前)
(文春オンラインの記事から引用)

中村容疑者は中学生くらいのかわいい系少年を好む、ショタホモだったのでしょう
同性愛者を頭ごなしに否定する気はありませんが、18歳未満と知って手を出すのは犯罪であり、厳しくその責任を問われることになります。ましてや中村容疑者は教師ですから、その責任は重大です
さらに複数人の生徒を誘い込んでいたのですから、生涯をともにするパートナーを探していたのではなく、己の性欲を発散できる都合の良い少年を手当り次第に物色していた、と考えられます
自身の性欲を満たすための身勝手な犯行でしかありません。中村容疑者のような性犯罪者がいるからこそ、同性愛者が嫌悪され、警戒されるのです

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高橋義博死刑囚病死 2006年死刑確定

医師生き埋め殺害事件の主犯であった高橋義博死刑囚が病死した、と報道されています
1992年7月に起きた事件は、都立広尾病院の医師小尾和洋さん(当時37歳)と美容室経営者深沢由秀さん(当時32歳)から金を奪う計画を立てた貿易会社経営の高橋義博が中心になって計画・実行されたものです。当時、高橋は会社の経営が悪化したため金を必要としていました。土地の売却で多額の金を入手した小野さんの存在を知り、最初から殺害するつもりで犯行を計画したものです


法務省は3日、川崎市の医師ら2人を栃木県内の山中に生き埋めにしたなどとして、強盗殺人罪などで2006年に死刑が確定した高橋義博死刑囚(71)が同日午後、収容先の東京拘置所で病死したと発表した。収容中の確定死刑囚は109人になった。
死因は心臓疾患の「急性冠症候群」。1日に外部の医療機関で診断を受けたが、カテーテル手術を拒否したため、同拘置所の病棟で投薬治療を受けていたという。
確定判決によると、高橋死刑囚は1992年7月、共犯者3人(無期懲役が確定)と共謀の上、不動産売買で知り合った男性医師(当時37歳)ら2人を拉致・監禁し、現金約79万円などを奪った後に山中に生き埋めにして殺害した。
(読売新聞の記事から引用)


高橋死刑囚は当時、暴力団から億単位の借金をしており、返済できなければ命を取られるだけでは済まない状況に追い込まれていたといわれます
そのため、金を手に入れるためなら何でもやる、との心境だったのでしょう
仲間を誘い、まず深沢さんをマンションの一室に監禁。電話を使って小野さんを呼び出し、これも監禁します。その間に仲間は栃木県の国有林内に2人を埋めるための穴を用意しました。そして銀行のキャッシュカードを奪った後、2人を睡眠薬で眠らせ車で栃木県は運び、生き埋めにして殺害したものです
小野さんは土地の売却で12億円の利益を得ており、高橋死刑囚らのグループはそれを狙ったわけですが、入手したキャッシュカードでその金を引き出すことはできず、約80万円ほど手にしただけにとどまっています。深沢さんはその小野さんの資産の管理を手伝っていた知人です
高橋死刑囚は犯行に関与したことは認めましたが、生き埋め殺害の実行犯ではないとして裁判で争いましたが、一審で死刑判決を受けています。以後、殺害の実行犯でないのに死刑判決はおかしいと控訴し、最高裁まで争ったものの棄却され死刑が確定しています。共犯の男たちは無期懲役が確定しました
強盗殺人が重く罰せせられると当ブログでは繰り返してきたところであり、本件のように2人も殺害している事件の首謀者であれば死刑判決は当然でしょう
執行に至らなかったのは、ご承知のように死刑確定者が他にも大勢いて順番が回ってこなかった、と解釈するしかありません。死刑はあくまでも執行してこその刑罰であり、病死とは意味が異なります

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「セーラームーン」百合カップルは放送NG

タイトルに放送NGと書いたのはもちろん日本ではなく、北米での話です
以前、「カードキャプターさくら」で、北米での放送コードの問題を取り上げました。アメリカでは保守層の人たちが、「同性愛は神の教えに背く行為である」という強固な観念をもっており、こども向けアニメといえども例外扱いしません
むしろ、こども向けアニメだからこそ、「こどもに不道徳な同性愛表現を見せるのはけしからん」との思いがあるのかもしれません
日本では「カードキャプターさくら」におけるさくらと知世、小狼と雪兎の同性愛的なシーンをこどもたちが笑って見ていたのですが、北米ではシリーズ全70話のうち半分しか放送されないという徹底ぶりで、しかも放送された分もさまざまな改変が加えられるというありさまでした
文化、宗教、社会的な価値観の違いといえばそれでまでですが、日本人が鈍感すぎるという面は否定できません
さて、「美少女戦士セーラームーン」のTVシリーズも、同じく北米では規制の対象となっています
言わずもがなの、天王はるかと海王みちるのカップルです


セーラームーンには海外で設定が変更されたキャラがいる。文化と宗教って難しい…。
「セーラームーン」シリーズでは、セーラーウラヌスに変身する天王はるかと、セーラーネプチューンに変身する海王みちるというキャラクターが登場する。この2人はいつも一緒で、どことなく同性愛的な表現も目立つ。
それもそのはず。原作者の武内直子(たけうちなおこ)は、そういった関係を意識して、2人の距離感を描いていたのだ。
しかし、この同性愛的な関係が、アメリカやカナダではNGだった。今ではLGBTに関して寛容となったが、当時放送された際は、天王はるかと海王みちるの関係を変更する必要があった。
どのように変更されたのかというと、「いとこ」。つまり、親戚となってしまったのだ。これは、「同性愛のヒーローがアメリカ人の親には受け入れられない」という大人の事情が含まれた変更である。
子供向けアニメなので、同性愛的な表現は過激と捉えられるかもしれないという理由もあったのだろう。当時の話なので批判しすぎるのは間違っているが、どことなく納得がいかないのは私だけだろうか?
ちなみに、天王はるかを演じた声優の緒方恵美(おがためぐみ)は、当時アメリカのアニメ雑誌のインタビューで、「あなたは同性愛の役を週末のゴールデンタイムOAの作品で演じて、宗教的に糾弾されなかったのですか?」と尋ねられたことをツイッターで語っている。


緒方恵美がどう答えたのか、記事では触れていません
ともあれ、同性愛を目の敵にする強烈なキリスト教信者がアメリカには大勢いますので、LGBTの権利を主張して理解を得るのはアメリカにおいても相当に難しい、と分かります
他方で、であるからこそ「セーラームーン」など日本の漫画やアニメの改変されない原盤が、アメリカやカナダの子女には自由で生き生きとした表現に映ったといえるのでしょう
日本では書店で販売されている漫画も、アメリカに持ち込もうとすれば児童ポルノ法に触れるとして逮捕されかねません。BLも未成年が登場するならアウトです
さて話を戻して、自分は「セーラームーン」の熱心な視聴者ではなかったのですが、天王はるかと海王みちるが登場する幾つかの放送回は見ており、随分と違和感を覚えたものです。「セーラームーン」のフォーマットを利用してまったく別のアニメが始まったかのような
漫画作者の武内直子にすれば新キャラ投入で新展開が狙いだったわけであり、視聴者が当初は違和感を覚えてもついて来るはずとの自負があったと思われます
さらに、この2人を百合カップルと設定したのも計算の上であるとすれば、男女の性差で縛られない世界を描こうとする意図が武内にあったわけです

Sailor Moon Crystal Sailor Uranus & Sailor Neptune Transformation

上で引用させてもらった記事の続きとして、「セーラームーン」の映画化のトリビアが盛り込まれています
ハリウッドから映画化のオファーがあったものの、原作側はこれを断ったというものです。その理由について、原作編集者の小佐野文雄は、「実はハリウッドの映画化って難しいんですよ。原作をどういじっても良いという契約をさせられるので危険なんです」と語っています
もし承諾していたなら、最近公開された映画「ワンダーウーマン」のように、女性ボディビルダーのようなムキムキのセーラー戦士が大暴れするとんでもない「セーラームーン」になっていたものと思われます
最後におまけとして、海外のBL事情を紹介したサイトの1つを貼っておきます。昔、日本のテレビアニメが規制を受けた時代とは大きく変わっているようにも思いますが、あくまでも成人向けの話です。こどもたちが視聴するテレビ放送で規制が撤廃されたわけではありません

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日本の少女マンガに女性像の未来を見ようとするアメリカ
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ドイツ版「セーラームーン」OP曲はテクノ風
韓国魔法少女アニメ「フラワーリングハート」
フランス・東映アニメ合作 アホ毛の変身美少女アニメ「Ladybug」
フランスの魔法少女アニメ「W.I.T.C.H.」は悩める十代
中国の魔法少女アニメ「巴拉拉小魔仙」
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静岡の中学教頭 少女誘拐監禁で免職

静岡県沼津市の公立中学教頭山本英仁被告の裁判の続報です
事実関係は争わないとする山本被告の方針だそうですが、昨年来複数回の公判が開かれており、報道を見る限りまだ求刑には至っていないようです
1月29日の公判では、3年前の誘拐監禁事件が取り上げられました。この件は被害者である少女が被害届を出さず沈黙していたとのことで、押収された山本被告のパソコン内に少女を換金し、わいせつ行為をする動画が残されていたため発覚したものです


山本被告は、2017年8月と20年9月にあった同様の2件の事件の罪に問われている。20年の事件の捜査で押収した山本被告のパソコンの動画から17年の事件が発覚。被害者の女性が3年以上、沈黙していたことがこの日の公判で明らかになった。
検察側は動画の中で山本被告が「『私は奴隷です』と言え」などと被害者に強要していたと指摘。山本被告は「大変、申し訳なく思う」と2件の事件を陳謝する一方、17年の事件について「仕事の忙しさなどで、徐々に自分の記憶から薄れた。(発覚しなければ)自分から名乗り出ることはなかったかもしれない」とも述べた。
(毎日新聞の記事から引用)


山本被告の答えがどうにもひっかかります。「仕事の忙しさなどで、徐々に自分の記憶から薄れた」と述べていますが、いわゆる犯行の戦利品、記念としてパソコン内に動画を残していたのであり、削除はしていません。これは性犯罪の常習者に見られる行動であり、自身の犯行の成果を繰り返し味わうため、動画は消さないのです。つまり、山本被告は犯行を忘れていたはずはない、と断言できます
そして昨年も同じ手口で犯行に及んでいるわけであり、忘れたとか記憶が薄れたなどという供述は誤魔化しでしょう
さて、静岡県教育委員会はようやく山本被告を懲戒免職にしています。山本被告は昨年の初公判で犯行事実を認めているのに、なぜ懲戒免職処分にするの一ヵ月以上も要するのか不思議です


静岡県教委は4日、わいせつ誘拐や逮捕監禁の罪で公判中の沼津市立中教頭の被告の男(53)を懲戒免職とするなど4件の懲戒処分を発表した。ほかは生徒へのわいせつ行為で県中部の中学の20代男性教諭を懲戒免職にし、この教諭の勤務先の校長(56)も管理監督責任を問い戒告とした。さらに生徒へのセクハラで県東部の県立高の20代男性教諭を停職3カ月にした。本年度の懲戒処分は24件で、過去最多だった2016年度に並んだ。
県教委によると、被告は17年8月と20年9月に10代の女性2人をわいせつ目的でそれぞれ誘拐するなどした罪に問われ、20年12月の初公判で起訴内容を認めた。県教委の接見で被告は「行動を抑えられなかった」と話したという。
(中略)
■「信頼損なう重大な事態」 沼津市教育長
沼津市教委の奥村篤教育長は4日、県教委がわいせつ目的誘拐などの罪に問われた沼津市立中教頭の被告の男(53)を懲戒免職とする処分を発表したことを受け、「教育への信頼を著しく損なう重大な事態と重く受け止めている。市校長会と一体となり、県教委と連携し、不祥事の再発防止に全力で取り組む」とコメントした。
市教委は同日、不祥事根絶に向けた再発防止策を公表した。県教委と連携した校長研修会を今月中に実施するほか、全教職員を対象にカウンセリングを進める。児童や生徒、保護者には体罰・セクハラアンケートを実施し実態把握に努める。
このほか、専門家による指導方法の点検や研修会開催▽市教委に通報窓口設置▽教職への誇りや使命感などを重点テーマに設定した研修の全市的な取り組み▽市校長会に委員会を設置して組織と取り組みを強化-など計7項目を示した。
(静岡新聞の記事から引用)


これも教員の人事権(懲戒権)を教育委員会が握っている悪弊の結果でしょう
沼津市立の公立中学校に勤務する教員ではあっても、当然ながら沼津市長に人事権はありません。すべては静岡県教育委員会の判断に委ねられているわけです
県の教育委員会がもたもたしていたら、話は進みません
これだけ教員の不祥事が繰り返されているのに、対策として提起される内容はお寒い限りです。性犯罪防止のための教員向け研修など、これまでにも繰り返し実施されてきたのでは?
それでも効果がない以上、もっと別の手段を講じる必要があります。教員による性犯罪のケースを山程ならべ、被害者や保護者の怒りの声、批判を徹底して叩き込むとか

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10歳女児2人に手錠をかけ暴行 懲役11年

富山交番襲撃犯 調書に見る犯行動機

交番を襲い警察官から拳銃を奪って、小学校の警備員(島津被告は警備員を警察官と誤認)を射殺した事件の公判が続いていいます
従来は島津慧大被告が拳銃を奪い計画を立てた上で実行した犯行であると考えられていたわけですが、被告弁護人は警察官を襲った後に拳銃を奪おうと思い立った事件であり、傷害と窃盗罪に当たると主張し、強盗殺人事件ではないと述べています
強盗事件ではなく傷害と窃盗の二つに分けてとらえるべき、との主張は法廷戦術としてよくある言い分なのですが、通用する例は滅多にありません
公判で黙秘を続ける島津被告ですが、第10回公判では取り調べ段階で供述する様子を採取した録音音声と調書が証拠として提出されています


富山市で2018年、警察官ら2人が殺害された富山県警富山中央署奥田交番襲撃事件で、強盗殺人罪などに問われた元自衛官島津慧大(けいた)被告(24)の裁判員裁判の第10回公判が4日、富山地裁であった。被告は捜査段階の取り調べで、「人を殺すことで社会とのつながりを断とうとした」などと供述していたことが、供述調書や録音した音声で明らかになった。
検察側は、被告が法廷で何も話さないことから、捜査時の供述調書などを証拠として提出。取り調べ時の音声は法廷で流され、時折沈黙する様子をうかがわせながらも雑談を交えて聴取に応じる様子がわかった。
逮捕後の警察官による取り調べでは、被告は犯行の動機について「(警察官の)拳銃を奪い取ろうとした」と供述。一方で、「一番の目的は警察官で、戦って生き残ったら(拳銃のつりひもを)切ろうと思っていた」と説明したり、何度も訂正を求めたりする一幕もあった。公判で弁護側は、被告の拳銃を奪う意思は警察官殺害後に生じたとして、強盗殺人ではなく殺人と窃盗罪の適用を求めている。
対人関係が築けないことによる生きづらさを吐露する場面もあった。被告はアルバイト先でのトラブル後の心境を「いつも同じ失敗を繰り返し、人生と自分を受け入れてくれない社会に失望した」と表現した。事件を起こせば「最後に射殺されるのはわかっていた」という。
また、稲泉健一警部補(当時46歳)と交番裏口でもみ合いになり発砲があったことに関しては、「発砲したのは自分じゃない。警察官本人が発砲して自分の手のひらに当たった感じだった」と供述。稲泉警部補が背中を向けた際に、持っていたおので後頭部を何度もたたいたという。警察官と戦うことは「1、2年前から何となく空想や妄想していた」などと述べていた。
次回公判は8日。論告求刑などが行われ結審する。
(読売新聞の記事から引用)


島津被告の供述をまとめると、自衛官や警察官という職種に強い憧れを抱いていたのが分かります。警察官と格闘して勝利し、戦利品として拳銃を奪うという犯行動機は明らかでしょう。その結果として、警察官と銃撃戦になり最後は射殺して死ぬところまで、彼は思い描いていたのです
なので弁護人の主張するところの、「警察官を襲った後に拳銃を盗むことを思いついた説」は成立しません
発達障害を抱え、生き辛さに島津被告が悩んでいたとしても、その動機は身勝手なものであり容認されるものではないのです
ただ、そうした歪んだ考えを持つに至った経緯として、生来の障害という同情すべき事由があるのは事実です
後は裁判員や裁判官がどこまで情状を汲むかにかかっているのでしょう

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「海辺のカフカ」 迷宮としての物語

村上春樹の小説「海辺のカフカ」について幾度か取り上げています。が、語り尽くしたという気がしません
何度言及しようと、語り尽くせない不思議な小説です
今日は漠然と「海辺のカフカ」と三島由紀夫の「午後の曳航」について考えていました。少年の暴虐性を描いた作品としては共通した部分がある作品です。いずれは「午後の曳航」と「海辺のカフカ」について論じるつもりです
さて、今回は「海辺のカフカ」における迷宮について取り上げます
札幌大学研究紀要に掲載された小島基洋札幌大学講師と青柳慎平(大学生)両氏による論文から引用させてもらいます。この論文は青柳氏の卒業論文に小島講師が加筆して出来上がったもの、とされます

「海辺のカフカ」論--迷宮のカフカ

迷宮については作品の中で以下のように説明されています
最初から突っかかるような言い方になって恐縮ですが、作品の中で説明される迷宮の概念に自分は賛同できないのです。以下、「海辺のカフカ」からの引用です(紫色は原作からの引用、赤色は論文からの引用になります)

「この僕らの住んでいる世界には、いつもとなり合わせに別の世界がある。君はある程度までそこに足を踏み入れることができる。そこから無事に帰ってくることもできる。注意さえすればね。でもある地点をこえてしまうと、そこから二度と出てこられなくなる。帰り道がわからなくなってしまう。迷宮だ。迷宮というのはそもそもどこから発想されたものか知っているかい?」
僕は首を振る。
「迷宮という概念を最初につくりだしたのは、今わかっているかぎりでは、古代メソポタミアの人々だ。彼らは動物の腸をーあるいはおそらく説きには人間の腸を引きずりだして、そのかたちで運命を占った。そしてその複雑なかたちを称賛した。だから迷宮のかたちの基本は腸なんだ。つまり迷宮というものの原理は君自身の内側にある。そしてそれは君の外側にある迷宮性と呼応している」
「メタファー」と僕は言う。
「そうだ。相互メタファー。君の外にあるものは、君の内にあるものの投影であり、君の内にあるものは、君の外にあるものの投影だ。だからしばしば君は、君の外にある迷宮に足を踏み入れることによって、君自身の内にセットされた迷宮に足を踏み入れることになる。それは多くの場合とても危険なことだ」

迷宮が生き物の腸をモデルにしている説は大いに疑問です。腸はその実物のように入り口があって出口があり、迷う要素は皆無の一本道の器官です。うねうねとはしていますが、長いだけの極めて単純な構造です。なので腸がすなわち迷宮の原型であると言われても、賛成できません
なので、大島さんのこの拙い説明を受け入れるカフカ少年もどうかしているのでは、と思ってしまいます
上記の小島・青柳論文でもそこには突っ込まず、「迷宮とはそういうもの」として扱っているのがさらに不思議です
カフカ少年の父親はは彫刻家であり、「迷宮」と題する作品群を制作していると知られた人物です
なので、小島・青柳論文ではカフカ少年の内にも外にも、迷宮という仕掛けが施されていると指摘します

(論文7ページ)
田村浩一は、少年の父親であると同時に、「迷宮」という形態を用いて人間の潜在意識を具現化する彫刻家でもある。彼は、息子であるカフカ少年の内に、ひとつの「迷宮」をセットした。まるで少年が「ひとつの作品」であるかのように。それが「お前はいつかその手で父親を殺し、母と姉と交わる」という「呪い」だ。つまりその「呪い」こそが、少年の「内にセットされた迷宮」なのだ。

この「海辺のカフカ」という小説自体が迷宮であると思うのですが、ただそう指摘したところで何かが明らかになったりはしません
要は迷宮に立ち入り、そこから帰還する物語であり、迷宮からの帰還はカフカ少年の成長を裏付けるもの…というのが従来の成長小説のセオリーです。四国の森を出たカフカ少年は東京へ戻る決意をし、新幹線に乗るところで小説は終わるのですが、それが成長を裏付けているのかどうか明確な記述はありません
ただ、読者は過去に読んだ少年の成長小説を当てはめ、カフカ少年の成長を確認した気になっているだけであるのかもしれません
ただ、別パートであるナカタさんと星野くんの物語では、ゲートをくぐって現世に顕現しようとした「悪いもの」を退治していますので、カフカ少年の身におぞましい未来が巡ってくることはない、と読者は感じる仕掛けになっています

(論文11ページ)
高松の甲村図書館を後にする少年に、大島さんはこんな言葉をかける、「世界はメタファーだ、田村カフカくん」。この言葉は、数頁後に迫った『海辺のカフカ』最終場面を解読する鍵だ。新幹線の車内で目を閉じるカフカ少年の心に、カラスと呼ばれる少年が話しかける。
「眠ったほうがいい」とカラスと呼ばれる少年言う。「目が覚めたとき、君は新しい世界の一部になっている」

さて、この小島・青柳論文で不満なのは(いちゃもんばかりつけて申し訳ない)、大島さんの存在、役割をスルーしているところです
大島さんこそ迷宮の先導者であり、案内人という役割を担っているのであり、大島さんの助言や手助け(森の小屋に匿う)がなければ物語は成立しません。大島さんの存在を真正面から問うてみてもよいのではないか、という気がします
ある意味、大島さんは作者である村上春樹の化身なのでしょう
であるからなのか、カフカ少年があまりに素直に大島さんの助言や指示を受け入れてしまうところが、「海辺のカフカ」を読んでいて物足りなく感じるところです
生意気盛な思春期のカフカ少年ですから、大島さんに反発したり、その親切すぎるところを疑ってみたり、大島さんに変態的性愛関係に引き込まれるのではないかと勘ぐってみたりなどの行動があってもよいのではないか、と思います
そうしなかった理由として推測するなら、村上春樹が大島さんをあくまでも迷宮の案内人と設定していたから、という平凡な答えしか浮かびません。甲村図書館での人間関係ではカフカ少年の母親かもしれない佐伯さんこそが重要な人物であり、大島さんは脇役と位置づけられるのでしょう
ちなみに今回、この小島・青柳論文を取り上げたのは枠外の注(10ページから11ページ)に書き込まれている、「小森は『海辺のカフカ』の読者の多くが〈救い〉や〈救済〉そして〈癒し〉を感じていることを指摘し、それに『強い危惧』を抱くことから論を始めている。ちなみに小森によれば、本作は、昭和天皇の戦争責任、従軍慰安婦問題、9・11以降のブッシュ政権によるイラクへの攻撃などを〈解離〉によってなかったことにしている物語だということになる。それに対して、柴田は小森の曲解を批判し、本作の父親殺しの主題に〈天皇殺し〉を読み込むことで、むしろ小森の問題意識が村上によって共有されているとする。両者の確信犯的な深読みは実にスリリングである」の記述が目に止まったからです
小森とは「村上春樹論『海辺のカフカ』を精読する」(平凡社)を書いた小森陽一を指します
以前にも取り上げたのですが、小森の村上春樹論(「海辺のカフカ」論)はまったくの愚論・珍論の類であり、深読みというより完全な読み誤りと自分は感じます
「近親相姦を描くのは不道徳だ」などと説教を垂れている内容で、壁に叩きつけたくなる一冊です
そして上記のように「小森の問題意識が村上によって共有されている」とは、自分は感じません、どこをどう読んだらそんな解釈が飛び出してくるのか、実に不思議です。村上春樹は天皇の戦争責任を問うため、「海辺のカフカ」を書いたなどと言えるのでしょうか?

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ドラマとしての「攻殻機動隊」を問う

押井守監督の作品「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」と「イノセンス」について考えるシリーズです
この2作の場合、ビジュアル(画像表現)について語られる場合が多いのですが、ドラマとしての作りとそれを構成する台詞について取り上げようというのが今回の狙いです
岸田真桜美林大学教授の論文「『攻殻機動隊』のドラマツルギー」を参考にして考えます

『攻殻機動隊』のドラマツルギー

論文の前半部分は近代・現代の演劇史の俯瞰と呼ぶべき内容です。筆者岸田教授は演劇の専門家です
演劇における表現技法の革新から、話はアイデンティティに移ります
心理学者エリク・エリクソンにはユダヤ系デンマーク人の母親がいたのですが、母やエリクソンに対して父親が誰であるか秘匿していました。そのためエリクソンは自身の出自に不安と戸惑いを抱き、それが後にアイデンティティ(自己同一性)という概念に結びついたとされます
この自我同一性を問うエリクソンの理論から草薙素子の行動と心理を、岸田論文では考察しています

(論文12ページ)
アイデンティティとは安定的で独立した心理学的実体ではない。人は他者と接するときには、その場に応じて常に別の役割を再構成するからである。ゴッフマンが記述する多くの論稿の中で彼は、人間は本当にあるはずのものを発見できないだけでなく、その本性においてゆらぎをもつものであることをも強調している。「重要なことは、人が担う役割の背後で彼がどの様な種類の人間であるかについて、それらの役割を演じることを通して具備されるその意識である」と彼は記述している。
(中略)
外的、社会的な場で見せる行動は、その個人の真の姿ではない。現実の場において、アイデンティティは覆い隠され、自分でも認識できなくなり、失われている。なぜならそこには他者がいるからである。
こうした社会学理論やエリクソンやピランデルロの個人的背景とは異なり、自分の存在について疑問を持ちつつも、素子は現実(といっても架空の世界だが)の中では自己実現をはたしている。彼女は強く美しく、使命のためなら人を殺すライセンスさえも与えられている。上司たる荒巻部長の前でも、ひるむことなく自己主張し、自分の信じる方法を貫き通す。素子にとって他者はいないも同然であり、彼女のアイデンティティは失われていないように見える。しかしそれなのに彼女は、自分の存在そのものについて、まるでベケットのように、考え続けているのである。
素子は英語で書けば device だが、もうひとつ circuit element という言葉でも表現される。彼女の名前そのものが物質の最小構成要素であることを暗示している。素子は脳だけが人間である。では脳さえ人間ならサイボーグは人間と同じなのか。「我思うゆえに我あり」の我とは何か。脳なのか、脳ではないのか。素子が悩み続けるのは、このことである。

素子が問いを立てても、それに答える者は公安9課の中には誰もいません。素子に近い存在であるバトーでさえ、「くだらねえ」と言い捨てます
もちろん、素子を否定しているわけでもなく、拒絶しているわけでもなく、自己同一性をとことん追求して止まない素子を止められないと理解しつつも、素子がやがて公安9課を去るのではないかという予感を前に自分が何もできないと苛立っているからです
であるからこそ、バトーは人形遣いと素子の接触を危惧するわけです
しかし、いかなる警告を発しようと素子が人形遣いの正体を探ると決めた以上、バトーは素子が人形遣いへダイブするのを止めず協力します
それが自分にできることであり、状況が悪化したら素子の脳核を担いで逃げるのが自分の責務だと心得ているからでしょう。もちろん、素子もバトーがそのように行動すると分かっているからこそ、彼に背中を預けるのです
言葉のやり取りこそ少ないものの、互いの思うところを交差させるドラマになっており、巧みな演出です

(論文13ページ)
素子が人形使いと融合するラストシーンを、スタジオ・ジブリの鈴木敏夫は、「ネットワークとコンピューターが恋をして子供が生まれるなんて、どう考えても遊び以外の何ものでもない (10)」と言ったが、スーザン・J・ネイピアは「人形使いとの最終的な「結婚」は、太陽神・天照大神の天の岩戸を思わせる場面になっている (11)」と記した。周知のように<コリント人への第一の手紙> 13 章のタイトルは、愛である。人間の感情の中で最もうつろいやすく、ゆらぎを持ち、かつ強い力をもつのは愛である。『攻殻機動隊』は、通奏低音にそのことが流れている。人形使いが素子と融合したいと願ったのは、彼女を愛したためであったのかもしれない。
草薙素子はネットの海に生まれた生命体と融合し、よりヴァージョンアップされたようにみえる。自分であることに固執する限り、人間は限られた世界に縛られ続ける。人形使いと融合した素子は、より高い地点へと到達した。それはオリジナルの素子ではないのかもしれない。というより、彼女は個人がもつ他者からの制約から逃れ、広大な世界へむかっていくのだ。『攻殻機動隊』というアニメは、アイデンティティに縛られ続ける人間という存在が、そこから解放される姿を描いた壮大な物語なのである。

「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」が自己同一性という呪縛からの解放を模索するドラマであるなら、続編「イノセンス」は解放された草薙素子と未だ自己同一性に己を縛り付けているバトーのドラマでしょう
前作は監督だけだった押井守は「イノセンス」で脚本も担当しており、台詞を全部引用句で賄おうと考えたと述べています。どこまで本気であったのかは不明ですが、それでも日本の映画作品には例を見ないほど「イノセンス」は引用句が散りばめられており、これがまた議論を招いたところです。「引用句だらけ=借り物の台詞ばかりで意味が分からない」との批判がありました
どのようなテクストにもそれに先行するテクストがあり、その影響を受けていると考えるのが構造主義における間テクスト性の概念です
ここで言うところのテクストを引用句と置き換えれば、「イノセンス」の中に散りばめられた数々の引用句は先行するテクストが存在しているのであり、その先行するテクスト(聖書、ブッダの言葉、その他)の有する物語を引き込んでいるのだと考えられるわけです
もちろん、この試みが成功したか否かは視聴者の反応しだいであり、一概には決められません
「イノセンス」の場合、押井監督の描いた絵コンテに演出の意図を書き加えた「『イノセンス』METHODS押井守演出ノート」が刊行されていますので、それを読みつつ映像を見れば、ドラマ作りや絵の見せ方といったテクニックをより理解できます
ただ、最近の若い映画監督は撮影前に絵コンテを作ったりはしないようで、撮影現場で感性に任せてカメラワークを決め撮る方法が流行りのようです
もちろん映画作りやドラマ作りに正しい方法などないのであり、個々が模索するべきでしょうが
「イノセンス」の中で用いられている引用句については解説したページがありますので、関心のある方は利用してください

映画「イノセンス」全引用句まとめ

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富山交番襲撃犯 島津被告の両親が謝罪

富山市で交番を遅い拳銃を強奪した島津慧大被告の公判について言及します
先日は被告人質問が行われたのですが、島津被告は裁判官や検察官、弁護人の質問に答えず、黙秘を貫きました
公判廷で口を開くつもりはない、との意思表示なのでしょう
他方で、島津被告の両親が法廷に立ち、被害者への謝罪をしています


富山市で2018年、警察官ら2人が殺害された富山中央署奥田交番襲撃事件で、強盗殺人罪などに問われた元自衛官島津慧大被告(24)の裁判員裁判の第6回公判が28日、富山地裁であった。被告の両親は証人尋問で、「私どもの息子がこのような重大事件を起こし、取り返しのつかないことをした。本当に申し訳ありません」と遺族に謝罪した。
両親はそれぞれ遮蔽しゃへい板で覆われ、傍聴席からは見えない形で尋問に臨んだ。最初に証言台に立った母親は冒頭、「親としてどうしていいか分からないが、まずおわびしたい」と述べた。父親は「(遺族には)最愛の人を亡くし、申し訳ないという言葉しか出てこない」とわびた。
尋問では、被告の発達障害に関する質問が相次いだ。検察側は初公判の冒頭陳述で、発達障害の犯行への影響は「限定的」とする一方、弁護側は「様々な影響を与えた」と主張していた。
両親によると、被告は中学入学後、いじめに遭うようになり、2年時からは不登校になった。この頃から家族に暴行を加えたり、自宅の壁を壊したりしていた。中学卒業直後には、両親とも被告に殴られてあばら骨にひびが入るけがを負ったほか、同居の祖母や姉も殴られたことがあったという。
母親は当時、集団行動になじめず暴力を振るう被告の発達障害を疑って精神科医に診せたが、診断名は付かなかった。被告の発達障害を認識したのは事件後の精神鑑定だったといい、「自分がちゃんとした対応をできていたら、こんなことにはなっていない」と悔やんだ。
事件後、母親の面会に応じた被告は、「自分の訓練不足だった」と述べるなど事件の反省点を挙げ、遺族への謝罪の言葉はなかった。また、取り調べを行う検察官について「殺してやる」と話し、敵意を抱いているように感じたという。
被告は初公判から一度も言葉を発しておらず、この日もじっと前を向いたまま両親の証言を聞いていた。
(読売新聞の記事から引用)


親が、「自分の子供はどこか違う。おかしい」と感じたなら、何かあると見て間違いないのでしょう
ただ、診察した精神科医はこども時代の島津被告と初対面であり、その場で診断を下すのには情報が不足していたのかもしれません。複数回の診察や観察をしなければ発達障害なのか、精神障害なのか、あるいは他の障害なのか判断がつかないケースもあり得ます
ただ、こう書いたところで何の慰めにもならないのであり、結果として島津被告はこどもの頃に、適切な治療を受けれなかったという事実だけが残ります
さて、島津被告は起訴前と起訴後、2回の精神鑑定を受けています。起訴前の精神鑑定では刑事責任能力あり、と判断しており、これを受けて島津被告は起訴されました。起訴後に行われた精神鑑定については、被告の精神障害が犯行に影響を与えた可能性があるとされています。ただし、「幻覚や妄想の症状はなく、犯行は被告の意思で行われた」との判断です
統合失調症患者にある、「電波に命令された」とかいうケースではなく、島津被告自身の意思で犯行に及んだとされますので、心神喪失状態だから罪に問えないという理屈にはならないのでしょう
通常なら無期懲役が求刑される犯行ですが、精神障害が犯行に影響を与えたとして懲役25年の求刑になるのかもしれません

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日韓海底トンネルを蒸し返す韓国 協力の起爆剤?

日韓関係が危険な状態にある中で、韓国の野党政治家が「いまこそ、日韓海底トンネルを推進すべきだ」とぶち上げ、議論になっています
日本ではまったく報道されていないのですが、日韓海底トンネル建設をきっかけに、日本との経済協力関係を再構築しようとの狙いがあるのでしょう
これまでにも指摘したように、韓国ではなぜか「日本は大陸から切り離されて孤立している。だから日本は韓半島とつながる海底トンネルを切望している」説が主張され、我々日本人が日韓海底トンネルに賛同している扱いです
およそ、見識のある日本人であれば日韓海底トンネルなど無謀なプロジェクトであり、維持するための莫大なコストを考慮すれば航路や空路で十分との認識を持つでしょう
韓国では「欧州まで鉄道で一つにつながる」メリットをしきりに強調するのですが、欧州まで鉄道で旅行しようという人間が大勢いるはずもないのであり、速さでなら航空機を利用するはずですし、大量輸送なら船を利用します
まずは韓国野党の「日韓トンネル」推進論を引用し、その後に「日韓トンネルを推進しようとする者は、日本の利益に迎合する裏切り者」と批判する主張の記事を貼ります


野党「国民の力」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長が3日、釜山(プサン)公約のひとつである「韓日海底トンネル」の親日議論について、「だれがそんな話をしたのか。海底トンネルと親日は関係がない」と反論した。
その上で「韓国の経済力は日本に対抗して十分な余力がある」と強調した。
金委員長はこの日午前に国会で開かれた非常対策委員会後に記者らと会い、「過去に韓国が日本を相手に経済力が弱かった時に日本に蚕食された、そんな話をした。日本は韓国の目的のために利用できるという考えをすべき」と説明した。
韓日海底トンネルをめぐっては1日に金委員長が釜山を訪問し、釜山の加徳島(カドクト)と日本の九州をつなぐ海底トンネル建設を積極的に検討すると明らかにして議論がふくらんだ。
金委員長は韓日海底トンネル事業に対し、「日本よりはるかに少ない財政負担で生産付加効果54兆5000億ウォン、雇用誘発効果45万人に達する途轍もない経済効果が期待される事業」と説明した。
これに対し金委員長は「例えば加徳島空港を作ったとして、空港が長期的に経済性を維持するならば物と人が集まる方法を探さなければならない。そのために海底トンネルの話をしたもの」と説明した。
(中央日報日本語版の記事から引用)


国民の力、キム・ジョンイン非常対策委員長が最近、建設を積極的に検討するといった韓日海底トンネルは「大陸進出を熱望する日本の長年の夢」という主張が提起されました。
歴史学者チョン・ウヨン氏は今日(3日)、 TBS 「キム・オジュンのニュース工場」に出演して「満州の地を訪れることが韓国人の数千年にわたるロマンならば、日本は国家建設直後から韓半島とつなぐことがロマンだった。海底トンネルが技術的に可能だから、南北関係がうまく解決すれば、日本人はすぐにヨーロッパまで進出できると考えた。」と説明しました。
それと共に「歴史的経験で韓国人は数千年間、日本を防ぐことに気を遣ってきたし、日本人は韓半島に入ってくることに関心を傾けた。植民地期にこの日本の見方が内面化され、日本と連結することが必要と考える韓国人が一部に生じた」と主張しました。
また「釜山港は日本と修好通商条約を締結しながら発展したが、港の特性上陸路の終わりなので大きな利益が得られた。韓日海底トンネルを通過させてしまえば釜山港自体は産業生態系を全部変えねばならない大問題ができることになる」として釜山市民の立場では該当公約が失業問題とすぐに連結されると指摘しました。
(韓国TBSの記事から引用)

韓国野党はトンネル建設による経済効果、雇用拡大を宣伝しています。しかし、トンネルが実現すれば釜山港は国際コンテナターミナルの地位を失うのであり、韓進海運の倒産でダメージを受けた釜山港に活気を取り戻すのは難しいと考えられます。まあ、日韓海底トンネルは実現しないので余計な心配ですが
ともかく韓国人の気質である「計画したら実現したも同然」という思慮の浅さにより、海底トンネルの掘削の困難さや莫大な維持費が必要なことはまったく頭にないのが分かります。トンネルを掘削する大型シールドマシンを製造できるのは日本だけであり、韓国は長大な海底トンネルの工事を請け負った実績はありません。それでもなぜか、韓国の優れた土木技術なら日韓海底トンネルは可能、という論調になっています
そして上述したように、「日本は日韓海底トンネルが欲しくてたまらないのだ。韓国が提案したらすぐに乗ってくる」と思い込んでいるのですから始末が悪いのです
日本の公共工事の鉄則として、トンネル建設費はトンネルの利用料金で賄う仕組みですから、どうしてもトンネル利用料は高額なものになります
これにトンネルの維持管理費を加えれば、さらに高額な料金設定になるのです。さらには建設費の分担をどうするのかで、揉めるのは必然であり、折り合いはつかないでしょう。韓国側には日本が韓国への謝罪・賠償の意味で建設費の大部分を負担すべきとの意見があり、折半などありえないとする雰囲気です
ですから、「計画したら実現したも同然」などと楽観視するのは大間違いであり、決して着工などありえない絵空事と断言しておきます

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甲子園優勝校主将 強盗で懲役5年判決

甲子園大会で優勝した埼玉県の花咲徳栄高で主将を務めた千丸剛被告の裁判で、千葉地裁は懲役5年の実刑判決を言い渡しています。求刑は懲役6年でした。つまり、求刑から1年減じた分に情状が反映されていると考えられます
他の共犯者は懲役5年6月から8年6月の刑が言い渡されており、総じて言えば千丸被告が一番刑が軽かったわけです

2019年4月に千葉県八街市内の住宅に強盗目的で押し入り夫婦にけがを負わせたとして、強盗致傷などの罪に問われた20代男4人の裁判員裁判の判決公判が4日、千葉地裁で開かれた。4人のうち17年に夏の甲子園で優勝した埼玉・花咲徳栄高の元主将、千丸剛被告(21)=東京都町田市=に対し、坂田威一郎裁判長は懲役5年(求刑懲役6年)を言い渡した。
千丸被告はこれまでの被告人質問で、犯行に至った経緯を明らかにした。
所属していた大学野球部で上級生から暴力的なしごきを受け退部、大学も辞め「自暴自棄になっていた」と説明。地元の同級生から「人のいない家から金を運ぶ仕事がある」と持ち掛けられ、事情を知らないまま強盗の計画に参加したと主張していた。
検察側は論告で、千丸被告について「金欲しさに犯行に参加した」と短絡的な側面を指摘。他の被告と協力し、被害者の女性に粘着テープを巻き付けるなど積極性があったと非難した。
弁護側は千丸被告が「逃げたら命が狙われる」と脅されていたため、断る選択肢がなかったと反論。同罪は原則的に実刑判決となるが、酌量減軽で猶予付き判決が妥当と訴えていた。
(千葉日報の記事から引用)

まず弁護人の主張です。強盗とは知らずに犯行に加わった件と、主犯格から「逃げたら殺す」と脅され犯行途中で抜けられなかったことを挙げ、さらに駒沢大学野球部を辞めざる得なかった事情も含めて情状酌量すべきと主張していました
本来強盗致傷事件では執行猶予がないのですが、そこで敢えて執行猶予付き判決を求めたわけです
しかし、判決では「犯行における自分の役割を過小に見ており、罪と向き合っていない」と厳しく指摘され、犯行に至るまで中止を主張するなど犯行回避のための行動をしていないとも指摘されています。千丸被告の内心はどうあれ犯行に加わり、強盗致傷事件の実行犯となったのは事実ですから、裁判官には情状酌量で執行猶予を付ける考えは浮かばなかったのでしょう
既に触れたように、千丸被告の父親は生命保険を解約して被害者に500万円を弁済していますので、その分は情状に組み込み、求刑から1年割り引いたと考えられます
このように強盗事件は重く罰せられるのであり、自身の犯行を軽微なものと決めつけるのは大間違いです
さて、この千丸剛被告の事件を当ブログで取り上げた中で、「江川卓投手が法政大学時代の理不尽なしごきを体験した記事」を引用した「甲子園優勝校主将の転落人生」に多くのアクセスをいただきました
大学や高校の野球部における理不尽なしごきは今回の事件に直結するものではありませんので、これ以上は述べませんが、日本のスポーツ史における汚点であるのは間違いありません
インターネットではこれを告発する記事がありますので、関心のある方は一読ください

赤星憲広や山崎康晃が絶望した亜細亜大学野球部の地獄

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