富山交番襲撃犯 死刑を求刑

裁判が続いてた富山交番犯、島津慧大被告の裁判は検察が死刑を求刑し、弁護側は「更生の可能性がある」として無期懲役が相当と最終弁論を行い結審しています。判決言い渡しはは3月5日の予定です
島津被告は初公判から終始無言のままで黙秘を貫きました。黙秘したのか、あるいは何も語れなかったのか、何も語ろうとは思わなかったのか、そこは島津被告本人でないと分かりません

検察側は論告で、被告が社会への不満から警察官の無差別殺人を計画したとし「動機は筋違いで自己満足。あまりに身勝手で理不尽」と指摘。「警察官に対するテロ行為に匹敵し、社会秩序への挑戦だった」と述べた。
争点となっている強盗殺人罪の成立については、交番襲撃から拳銃奪取まで約2分で行っているとし「警察官の殺害と拳銃強奪は一連の犯行。最初から拳銃奪取を考えていたからこその手際の良さだ」と述べた。拳銃を奪う目的があったことを認めた取り調べでの供述は「具体的に述べており信用できる」と主張した。
情状面では人の気持ちを理解するのが苦手な自閉症スペクトラム障害が事件に影響したとする弁護側の主張に対し、「犯行の決意は被告の自由な意思決定によるもの。量刑上、考慮する必要はない」とした。
一方、弁護側は「強盗の意思は取り調べ時の誘導で認めたもの」と否定。検察官は供述内容の正確な引用や根拠の提示などを求め、何度も異議を挟んだ。逮捕前に病院で弁護士と面会した時に被告が話した内容を根拠に「交番襲撃時には警察官と戦うという意思しかなかった」と主張した。
論告に先立って遺族の意見陳述が行われ、奥田交番で刺殺された稲泉健一所長=当時(46)=の妻と息子、奥田小正門付近で射殺された警備員中村信一さん=同(68)=の妻と弟の4人全員が極刑を求めた。
(富山新聞の記事から引用)

別の報道によれば、弁護側の主張は以下の通りです

弁護側は、他人に共感したり自分の気持ちを理解したりすることが苦手な自閉症スペクトラム障害の影響で、被告は人間関係をうまく築けなかったと説明した。子どもの頃にいじめや体罰を受け、問題解決手段として暴力に頼るようになったとし「障害は生まれつきのもの。どうしようもない事情もあった」と述べた。
この障害の影響で被告の殺人への抵抗感が低くなっていたとし「(事件当時)責任能力が低下していた」と主張。情状酌量を求め「極刑がやむを得ないとは言えない」と強調した。
更生の可能性についても言及した。自閉症スペクトラム障害の適切な療育と支援が必要とした上で「被害者や遺族の痛みを知るために、長い時間を与えてやってください」と訴えた。
争点となっている強盗殺人罪についても改めて成立を否定し、殺人と窃盗罪が妥当とした。

報道はされませんが、島津被告は長期間、警察の留置場、あるいは富山刑務所内の拘置監に長期間勾留されているのですから、ストレスを爆発させて奇声を発したり、壁を叩いて騒ぐこともあったと思います。もちろん、拘置監で暴れたならすぐに刑務官に制圧されるわけですが
正常な人間であれば学習し、拘禁された生活に適応しようと多かれ少なかれ努力します
島津被告の場合はどうであったのか。適応できているのでしょうか?
適応できないまま刑務官と衝突を繰り返し、結果として意思表示することすら放棄するというヤケクソな態度に陥っているのではないか、と懸念します
この先、無期懲役刑となっても刑務所での生活に適応するのは容易ではないと思われます。逮捕の際、体に銃弾を受け、法廷では車椅子を使っている状態です。リハビリ訓練は受けていないはずですから、自力で歩行できる状態には回復しないのかもしれません
死刑判決が下されても執行されるまで10年、あるいは20年、拘置所での暮らしがあるわけで、日々の生活も大変だろうと思います
3月9日に裁判所はどのような判断を下すのか、注目しましょう

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原宿自動車暴走事件 日下部被告の被害妄想とは?

2019年1月1日、無差別殺害事件を起こす目的で軽自動車を運転し、原宿竹下通り(当時、交通規制による自動車の通行は禁止されていた)を走行して歩行者を次々にはね、8人に重軽傷を負わせた日下部被告の裁判が続いています
初公判で8人のうち5人については「殺意はなかった」と主張し、「犯行時、被告は統合失調症の影響で心神喪失状態だった」と弁護人は無罪を主張しています
車にはねられた被害者は日下部被告に殺意があろうとなかろうと殺されかけたわけであり、それは日下部被告が統合失調症であろうとなかろうと関係ありません
さて、「FRIDAY」が日下部被告の被害妄想について記事を掲載していますので取り上げます

原宿暴走テロ 21歳男子を無差別殺人に向かわせた深刻な被害妄想
検察側冒頭陳述によると、死刑制度反対の思想を持っていた日下部被告は、死刑制度そのものや、それを支持する国民を狙い大量殺人を企てるなかで「大勢の人がいる明治神宮で無差別殺人を行おう」と考えるようになったという。
そんななか、2018年7月、地下鉄サリン事件などで死刑が確定していたオウム真理教の元代表や幹部らの死刑が執行される。これにより日下部被告は「ますます死刑制度を支持する国民が許せないと思う気持ちになった」という。
(中略)
対する弁護側冒頭陳述では日下部被告の生い立ちや、彼が高校の頃から被害妄想に苦しんでいたことが明らかになった。小学生から中学2年生までの被告は、スポーツ万能で学校の成績もよかったが、その頃仕事がうまくいかなくなった父親がアルコールに溺れたことで、家庭環境が悪化する。家の中で暴力もふるわれ、成績にも影響した。そして高校に入学後「毎日のように嫌がらせやいじめをうけるようになった」というが、これは被告の被害妄想だったのだという。
「学校で臭いと言われる。ネットで『日下部・枚方・臭い』と検索すると、いっぱい自分のことが書いてある」
こう被告に訴えられた母親は、ネットで検索してみたが、そうした記述は確認できない。
「そんなことないよ、あんま気にせんとき」
母親は励ましたが、被告は徐々に家に閉じこもるようになっていったという。高校卒業後に一浪して東京の専門学校に入学したものの「すれ違いざまに『なにその顔、うざい』『臭い』と言われる」などの妄想に悩まされ数ヵ月で退学。地元に戻り大学を受験し直した。2018年、大阪の大学に進学したが、その頃には「死刑は無力化されたひとりの人間の命を奪うもので許せない。支持している国民も許せない」という思いにとらわれていたという。そして事件を起こした。
「周りの誰もが被告人の病気に気がついていなかった。まさか病気だとも思いもしなかった。被告人自身も、もちろんわかっていませんでした」(弁護側冒頭陳述より)

日下部被告の父親は不動産業を営んでいたようですがアルコール依存症であり、家庭は惨憺たる状況だったと思われます。そのため日下部被告の精神的な変調が見過ごされてしまったのかもしれません。本来なら高校生のうちに精神科を受診し、治療を受けた方がよかったのでしょう
東京の専門学校に通うため、一人暮らしを始めたことも妄想がさらに進む要因になったと思われます
前回も書いたように日下部被告の死刑廃止論→大量殺人という論理がどのようなものか、まったく分かりません
おそらく法廷でも日下部被告が死刑廃止論に絡む犯行の動機を述べる機会はないのではないか、と思います(被告人にとって必ずしも利益にならないので弁護人が止めるでしょう)
現時点で日下部被告は自分の犯行を反省してなどおらず、死刑廃止論を世に問うための正当な行為であると確信しているのでは?
なので、無罪判決を言い渡すのは彼の屁理屈を肯定してしまう結果になりかねません。処罰できなかった=無罪=自分の行動は正しいと裁判所が認めた、という流れで
ならばこの先も、機会を見て大量無差別殺人を繰り返す危険があります
もちろん、刑事責任能力がないとして裁判所が無罪を言い渡してもそのまま放免とはならず、都道府県知事に措置入院(精神保健福祉法29条に定める)を申請し精神病院に強制入院させる展開になるわけですが
ただ、強制入院は無期懲役ではありませんので、病状が好転したら措置解除によって退院させます。退院後、日下部被告が再び無差別殺人を企むことはないとは、誰も断言できません。精神科医とてそんな保証はできないのです

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