茨城一家殺害事件を考える 岡庭容疑者は異常者なのか

茨城の小林さん一家殺害事件に関与したとして逮捕状が執行された岡庭由征容疑者を、異常者だと決めつけるようなニュースコメントがヤフーのサイトで目に付きます
以前、岡庭容疑者の少年時代の傷害事件を取り上げた際には、「普通の少年がある日突然、凶悪な犯罪に走る」といった記事の書き方、有識者のコメントを批判しました。「普通の少年」という表現は岡庭少年の特徴を何ら捉えないまま、「普通の少年」と決めつけているだけであり、かえって「その人となり」が見えにくくなるだけです。後の報道によれば、岡村少年による動物殺害など、彼を特徴づけるエピソードがいくつも浮上しました。このように、何の特徴もない少年などこの世に存在しないと肝に銘じるべきで、「普通の少年」なる表現は使わない方がよいのです
そして成人した岡庭容疑者を「異常者」と表現するのも困ったものであり、特徴をつかめないから「異常者」と決めつけているだけのように自分は感じます
「異常者」とレッテルを貼って何かを言い表わした気になるのも間違いでしょう
さて、逮捕された岡野容疑者をめぐる続報を取り上げます

茨城県境町の住宅で2019年9月、一家4人が殺傷された事件で、茨城県警に殺人の疑いで逮捕された岡庭由征(よしゆき)容疑者(26)(埼玉県三郷市)が事件前、ナイフや催涙作用のあるスプレーを入手していたことが、捜査関係者への取材でわかった。県警は事件で使われた凶器との関連などを調べている。
発表によると、岡庭容疑者は19年9月23日午前0時40分頃、会社員小林光則さん(当時48歳)の自宅で、小林さんと妻の美和さん(当時50歳)の胸や首などを刃物で複数回刺すなどし、殺害した疑い。また、子供部屋にいた長男(14)は、足を切られるなどして重傷を負ったほか、同じ部屋にいた次女(13)は催涙スプレーを手にかけられ、軽傷を負った。
捜査関係者によると、県警は当初、夫婦に恨みを持つ人物の犯行の可能性があるとみていたが、一家に目立ったトラブルは確認されなかったことから、捜査範囲を拡大した。
同種事件の前科・前歴者らを調べる過程で、岡庭容疑者が、事件前にサバイバルナイフや催涙作用のあるスプレーを買い集めていたことがインターネットでの購入履歴などから判明した。
県警は昨年11月、埼玉県警と合同捜査班を組み、自宅を殺人予備容疑で捜索。ナイフ十数本や、フラスコなどの実験器具、薬品、スマートフォンなど計600点を押収している。
境町の殺害現場からは凶器となった刃物は見つかっていない。県警は岡庭容疑者と一家の接点について、現時点ではないとみて事件の背景を調べている。
(読売新聞の記事から引用)

調べによる岡庭容疑者が購入したものがクマ撃退用の催涙スプレーであり、小林さん宅を襲撃した犯人が使用したものと同じであると判明しています。これは岡庭容疑者を有罪に持ち込む有力な物証となります
また、岡庭容疑者の部屋から大量のナイフが押収されたわけですが、被害者の血液が検出されたものはないので、犯行に使用した凶器は処分したのかもしれません
記事の書き方からすれば、小林さん一家殺害を岡庭容疑者が進んで自供している風には読み取れませんので、前回述べたような「自首」にはあたらないのでしょう
証拠を突きつければ、それについては認めるという反応なのでしょうか?
さて、今回の殺人をどう解釈し、説明すればよいのか、考えています
1つの仮説としては、2011年の傷害事件で女子中学生と女子小学生をナイフで刺したものの、それだけでは達成感がなかったのではないか、と考えます。岡庭容疑者は当時、「神戸の連続児童殺傷事件のように女の子の首を切断して持ち帰るつもりだったが、果たせなかった」という趣旨の供述を残しています
そのため殺人衝動が岡庭容疑者の中でくすぶり続けたのではないか、という仮説が考えれます
もう1つの仮説としては、過去の事件を別にして、あらため大量殺人の衝動が彼の中に芽生えた可能性です。岡庭容疑者が自宅に保有していた大量の硫黄が、爆発物を作るためのものであったのか、硫化水素を発生させて無札別殺人を行うためのものであったのかは不明ながら、1人や2人を殺害するための分量でないのは明らかでしょう
その大量殺人の前段階として、小林さん一家を狙った犯行に着手したのかもしれません。ただし、小林さん宅に家族が何人いるのか、そこまで情報は集めていなかったのでは?
近隣民家から離れた場所にある小林さん宅を狙い、ナイフで家族を殺害する「実験」を試みたのではないか、という気がします
ともあれ、これだけ計画的な犯行なのですから、「心神喪失状態でわけがわからないまま衝動的に人を殺した」などいう弁解は通用しないのであり、精神障害を疑う必要はないはずです。だからこそ、簡単に「異常者」などと決めつけてはならないのです

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茨城一家殺害事件を考える 岡庭容疑者の変貌と殺意

茨城の小林さん一家殺害事件に関与したとして逮捕された岡庭由征容疑者について、各メディアがそれぞれ報道しています
11年前に通り魔事件を起こし、女子中学生と女子児童をナイフで刺したのですが、当時は少年という事情もあり岡庭容疑者のプロフィールが詳細に報じられることはありませんでした
なので、今回の報道により11年前には分からなかった岡庭容疑者の生育環境なども掴めるようになったわけです
今日は産経新聞とスポニチの記事を取り上げます

茨城県境町の会社員、小林光則さん=当時(48)=方で令和元年9月、一家4人が殺傷された事件で、殺人容疑で逮捕された岡庭由征(おかにわよしゆき)容疑者(26)=埼玉県三郷市=の自宅からは硫黄や猛毒の原料などの危険物が大量に発見されていた。「まるで実験室のようだった」。岡庭容疑者の部屋を見たことがあるという捜査関係者は、こう証言する。
埼玉県警が殺人予備容疑で容疑者の自宅の家宅捜索に踏み切ったのは昨年11月だった。自宅別棟の1階にあるという自室からは、有毒な硫化水素を発生させる原料ともなる約45キロもの硫黄のほか、猛毒のリシンを含有するトウゴマや抽出に使う薬品も見つかった。
複数の刃物もあったとされ、家宅捜索は数日に及んだ。岡庭容疑者は当時取り調べに素直に応じたといい、関係者は「論理的で頭が良い」と感じた。
周辺住民らによると、岡庭容疑者は祖父母、両親と同居していたとみられ、多くの不動産を所有する裕福な家庭に育った。小学生の頃は、友人らと元気に遊ぶごく普通の子供に周囲には映っていた。だが、次第に姿を見る機会は減っていったという。
近くの男性(80)は「家族の姿は見るが、(岡庭容疑者の姿は)見たことがない」と首をひねる。一方、高校時代を知るという男性(52)は「少し変わった雰囲気があり、何をするか読めない危うさを感じた」と話した。
(産経新聞の記事から引用)

11年の通り魔事件後には、被害少女とその家族が、岡庭容疑者と両親を相手にケガの慰謝料などを求めた民事訴訟で、さいたま地裁が約1900万円の支払いを命じている。その裁判費用や賠償金は自身が所有する自宅裏の土地を売却して工面。「1000平方メートルを処分した。もう売る所もない」と話した。
岡庭容疑者は事件後に「吾義土(あぎと)」から現在の「由征(よしゆき)」に改名しているが、その事実も知らなかった。
「しばらくの間は全然知らなかった。(同容疑者の)両親は言わないから」と話した。「(同容疑者の)父親が5年ほど前に無職になってからも仕送りした」と金銭面で援助していたことも明かしたが、隣同士で住んでいながら直接的な交流がなかったことがうかがえる。
岡庭容疑者の通り魔事件の裁判員裁判では、さいたま地裁から両親の育成環境が直結したと指摘されただけに、近隣住民は「家族や両親も大変だったと思う。更生のためのサポートをしていたのか正直分からないところもあるので…」と声を潜めた。
(Sponichi Annexの記事から引用)

前回、当ブログでは岡庭容疑者が素直に取り調べに応じているかどうか、疑問を提起しておきました。産経新聞の記事では「当時取り調べに素直に応じた」と書かれています。が、小林さん一家殺害について岡庭容疑者が自ら進んで語ったのかどうかは明らかにされていません。もし、別件での逮捕中に小林さん一家殺害を自ら申し出たのであれば、形式上は自首が成立します。自首した場合、裁判では罪一等を減じる判決を下す必要が生じるというのが現代の法理です
つまり2人を殺害し、2人を負傷させた岡庭容疑者は本来死刑判決がくだされるのですが、自首が認められれば無期懲役に減刑されるのです
小林さん一家と岡庭容疑者の間に接点はないと報じられており、もしそうであるならば近隣の民家から離れて存在する小林さん宅を狙い、殺人のための殺人をなしたと考えるしかなさそうです。騒がれても近隣の住民から通報されない立地、こそが岡庭容疑者の狙いであったのかもしれません
以前にも書いたようにこの種の犯行では、犯人は殺人現場から30キロ圏内の居住している人物、という統計があるのだとか。小林さん宅は岡庭容疑者宅から40キロ以上離れており、生活圏も異なります。通常、警察は近隣に住む殺人や傷害、強盗など前科のある人間をリストアップしますので、岡庭容疑者はそこに含まれないのです

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