静岡女子大生殺害 懲役20年の判決は妥当か?

「自分の予想は無期懲役ではなく有期懲役(懲役22年から25年)だろうと思います」と書いたばかりですが、それにしても懲役20年という軽さは意外でした
検察の求刑は無期懲役で、さすがにこれは重すぎると感じます。しかし、そこから懲役20年という刑期は値引きのしすぎでは?
人の命が随分と安くなったものだと言いたくなります
もちろん、過去の類似した事件(福岡の予備校生が同じ予備校の女子生徒につきまとい、フラれた腹いせに刺殺した事件)でも、懲役20年の判決であり、被告がまだ若く更生の余地があると理由付ければ「そうなのか」と思ってしまいます(納得はできませんが)


去年6月、沼津市で当時19歳の女子大学生を殺害したとして、殺人などの罪に問われた21歳の元大学生の裁判で、静岡地方裁判所沼津支部は「事件の動機は理不尽な逆恨みというほかなく酌むべき点は全くない」として懲役20年を言い渡しました。
元大学生の堀藍被告(21)は、去年6月、三島市内の同じ大学に通っていた沼津市の山田未来さん(当時19)を包丁で刺して殺害したほか、LINEなどで繰り返しメッセージを送ったとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われました。
裁判で、検察が無期懲役を求刑したのに対し、被告の弁護士は懲役22年が妥当だと主張していました。
判決で静岡地方裁判所沼津支部の菱田泰信裁判長は「被告は、被害者がLINEをブロックしたことで生きがいを奪われて絶望したことなどを動機として挙げるが、理不尽な逆恨みや八つ当たりというほかなく、酌むべき点は全くない」と指摘しました。
その上で、「検察は『単なるストーカー殺人ではなく、被害者と加害者の間に関係性がない事案として見るべきだ』と主張するが、2人の間には一定の交流があり、ストーカー殺人の事案だと評価すべきだ。被告は十分な反省をしているとは認められないが、いまだ若く更生の余地がある」と述べ、懲役20年を言い渡しました。
判決について、山田未来さんの両親は、代理人の弁護士を通じて、「被告からは裁判を通じて全く反省が伝わってきませんでした。最愛の娘を殺した犯人に対する判決が懲役20年というのは軽くて到底納得できません」というコメントを出しました。
(NHKの記事から引用)


判決文の、「ストーカー殺人の事案だと評価すべきだ」と言いつつ、懲役20年に処すというのはどのような理屈なのでしょう?
ストーカー殺人なら「悪質な事件」と判断し、量刑を重くするのでは?
堀被告の側にすれば、懲役20年でまずまずといったところでしょう。堀被告の弁護人ですら、「懲役22年が相当」と言ってたのですから。この判決を不服として控訴したところで懲役20年が控訴審で懲役17年になったりはしません。逆に検察側は判決を不服として控訴するでしょう
論告求刑の公判で質問に立った山田未来さんの父親は、「いまだに遺族に謝罪もない。どういうつもりなのか?」と堀被告に申し向けたのですが、「事件から今まで遺族の気持ちを考えなかった」と堀被告は答えています
この辺りは堀被告が何を考えていたのか分かりません
自分の刑罰を軽くしたいとの思いでいっぱいだったのか?
あるいはいまだに山田未来さんへの恨み、怒りでいっぱいなのか?
通常なら裁判開始後、早い時点で遺族への謝罪の言葉、反省を口にするところです(本心はどうあれ、刑罰を軽くするために)
遺族は判決に不満ですから検察に控訴するよう求めるはずです

(関連記事)
静岡女子大生殺害 無期懲役求刑
静岡女子大生殺害 ストーカーの言い分
静岡女子大生殺害 初公判で容疑を認める
静岡女子大生殺害 7月5日に初公判
静岡女子大生殺害 初公判はいつ?
静岡女子大生殺害 同じ学部の学生が犯人
死刑執行 三島女子大生殺人の服部死刑囚
モデル女子大生殺害事件で事務所が遺族と和解
福岡女子予備校生殺害 甲斐被告に懲役20年の判決
福岡女子予備生殺害 懲役22年求刑
福岡女子予備校生殺害 鑑定留置後、起訴へ
町田 読者モデル女子高生殺害事件を考える1 幼なじみ
町田 読者モデル女子高生殺害事件を考える2 どこまでが発達傷害なのか
三鷹女子高生殺害を考える1 ストーカー対応
三鷹女子高生殺害を考える6 懲役22年の判決
三鷹女子高生殺害を考える8 リベンジポルノで追起訴
女子大生を刺した神戸ストーカー事件を考える
三角関係でストーカーと化した女教師
平野区ストーカー殺人 懲役30年の判決
ストーカー殺人の少年が出所後また殺人未遂
西尾ストーカー殺人の少年 出所後再犯で懲役1年8月
駅で10年待ち伏せ ストーカー男逮捕
墨田区女子高生殺害 殺害を計画して呼び出しか
墨田区女子高生殺害 20代の夫婦を逮捕

神宮外苑「ジャングルジム火災」 学生2人に執行猶予付き有罪判決

2016年11月、明治神宮外苑のイベント会場に日本工業大学の学生が出展したでジャングルジム形の作品が燃え、男児(当時5歳)が死亡、2人がけがをする火災がありました。被害児の親が日本工業大学と学生を問うていたわけですが、学生は「自分たちは作品を展示していただけで、火災で男児が死亡した件については責任がない」との態度を取っていました
学生2人は一旦不起訴となりましたが、検察審査会は起訴相当の決定を下したため、重過失致死傷罪で起訴され、その判決が下されています


東京都新宿区の明治神宮外苑で平成28年、アートイベントで展示中だった木製のジャングルジムのオブジェが燃えて幼稚園の男児=当時(5)=が死亡した火災で、重過失致死傷罪に問われた建設業の男(23)と大学院生の男(24)の判決公判が13日、東京地裁で開かれた。下津健司裁判長は「わずかな注意を払えば火災の発生の回避は容易だった」として重大な過失があったと認定しそれぞれ禁錮10月、執行猶予3年(いずれも求刑禁錮1年)を言い渡した。
下津裁判長は判決理由で、当時は未成年で日本工業大(埼玉県)の1年生だった2人がオブジェ内に設置した投光器について、再現実験の結果、点灯して放置しただけでは火災にはならないが、電球表面の中央部に一定量の木くずが接触すれば発火すると指摘。
2人は投光器が高熱を発していたと認識しており、子供らがオブジェで遊んでいたことで木くずが動き、火災が発生する危険性を予見できたと述べた。
一方、「教員や上級生から適切な指導がなく、両被告のみを強く非難するのは相当ではない」とも言及。判決の言い渡し後、下津裁判長は「人一人の命が亡くなった重大さを忘れないでください」と説諭した。
2人とともに書類送検され、不起訴処分となった男性教員については、検察審査会が昨年10月に「不起訴不当」と議決したが、東京地検が今年3月に再び不起訴処分としている。
判決を受けて男児の両親は両被告について「当時の行動を反省し、事故に対して真摯(しんし)に向き合ってほしい」とする一方、大学教員らが不起訴になったことに対し「納得できない結果。息子の犠牲が今後の対策にいかされることを心から望んでいる」などとするコメントを発表した。
(産経新聞の記事から引用)


男児の保護者と日本工業大学との間で民事上の和解が成立していると書き添えておきます
保護者は日本工業大学に対し安全教育の実施を求め、大学側もこれを受け入れています
アート作品といえども公開の場に展示し、なおかつこどもたちが触れられる前提だったのですから、安全への配慮が必要でした
工業系の大学として、学生に安全の確保の重要性を教えるのは大事であり、かつ必須でしょう。学生だから安全性に配慮しなくても許される、などという甘えは通用しません
危険を考慮し、リスクを見極め、それを回避する術を学生のうちに学んでもらいたいものです
とはいえ、毎年のように新入生歓迎コンパで未成年者に飲酒をさせ、急性アルコール中毒で死亡する事例が発生しており、経験に学んでいるとは思えない事態です
親御さんはアルコール中毒で死なせるために、大学へ彼や彼女を送り出したのではありません。安全への配慮を欠いた愚行が毎年繰り返されており、それを伝統だと言い張る態度には怒りが湧きます

(関連記事)
神宮外苑「ジャングルジム火災」 日本工業大が謝罪するも
小樽商科大コンパ 未成年者飲酒で意識不明
小樽商大飲酒事故 いまさら構内での飲酒禁止
東大生 コンパで飲酒し死亡
東大生コンパで死亡事故 サークル仲間は「責任ない」と主張
慶応大生 線路に女性を突き落とし逮捕
「飲酒運転なう!」と書き込んだ東大生 炎上騒動
青学女子大生 実名写真付きで不倫自慢
「レイプは女が悪い」発言で炎上した立教大生3 内定取消
田中美保・稲本デートを暴露した女子大生 損害賠償請求もあり
ウェスティンホテル騒動その後 暴露した女子大生反省の弁
合宿中の大学生2人が湖に飛び込んで死亡
駒沢大吹奏楽部 野尻湖水死事件で和解成立

山形の両親殺害柴田被告 懲役29年不服で上告

先日、日立市で妻とこどもの併せて6人を殺害した小松博文被告に死刑判決が下された件を取り上げました
また逆に、こどもが親を殺害する事件もたびたび起きており、親子間の葛藤、憎悪の深さ、複雑さに他人の入り込む余地はないのかもしれません
であるからこそ、逆説的に赤の他人、第三者である裁判官や裁判員が間に入って裁きを付けるしかないのでしょう
今回は2019年2月、山形県朝日町の無職柴田広幸被告が、同居する父母を電気の延長コードなどで絞めて殺害した事件を取り上げます
一審の山形地方裁判所の公判で柴田被告の弁護人は、「両親を悪魔と捉えて倒しただけで人間を殺した認識はなく、責任能力もない」と無罪を主張し、検察側と全面的に争う展開になったものの、懲役29年の判決が言い渡されていました。弁護人は戦術として、責任能力を欠いていたとして心神喪失を主張する作戦でしたが、通用しませんでした
一審山形地裁判決と二審仙台高裁判決を伝える記事を2本貼っておきます


朝日町両親殺害裁判 被告の息子に懲役29年
裁判は朝日町新宿の無職・柴田広幸被告(47)が去年2月、自宅で同居する母の幸子さん(当時68)の首を手で絞めた後、父の節男さん(当時72)の首に延長コードを巻いて絞め、それぞれ窒息死させたとして、殺人の罪に問われたもの。弁護側は、これまで被告は両親を悪魔と認識し、人を殺した意識はなかったなど「刑事責任能力はなかった」として無罪を主張していた。20日の判決で山形地裁の今井理裁判長は、犯行後に偽装工作をしていることなどから精神障害は認められず、「自己の行動の善悪を判断し、制御できる責任能力があった」と指摘した。また、犯行当日、被告の長女の通学などを巡って母親から非難されたことで激高し殺害に及んだことに一定の酌量の余地はあるが、両親を殺害したことは極めて重大な結果などと断罪した。そして、有期刑で最も重いのは懲役30年だが、それに近い29年の判決を言い渡した。弁護側は、控訴するか本人の意思を確認するとしている。
(NNNの記事から引用)

山形県朝日町の住宅で両親を殺害した罪に問われ、懲役29年の判決を受けた男の控訴審で、24日、仙台高裁は一審の判決を支持し、控訴を棄却した。判決の言い渡し途中で、被告が突然、裁判所の職員につかみかかろうとした。男はすぐに取り押さえられましたが、法廷は一時騒然とした。
この事件は2019年2月、朝日町新宿の無職・柴田広幸被告(48)が、同居する父・節男さんと母・幸子さんの首を延長コードなどで絞めて殺害したとされるもの。5月に始まった控訴審で、被告側は一審と同様に「事件当時は心神喪失状態で殺意がなかった」として、「無罪」を主張していた。
きょうの判決で仙台高裁の秋山敬裁判長は、「被告に責任能力があり、殺意もあったと認定した一審判決は妥当である」として、一審判決を支持し、控訴を棄却した。
柴田被告は、この判決を法廷の中央にある証言台のイスに座って聞いていたが、判決の読み上げ終了間際、突然立ち上がると、脱いだ上着を後ろに向かって投げつけ、大声をあげながら走り出し、書記官につかみかかろうとした。法廷内にいた警備員2人が柴田被告にとびかかり、なんとか取り押さえ、書記官にけがはなかったという。
今後、上告するかどうかについて担当弁護士は、「柴田被告の強い希望によりコメントできない」としている。
(さくらんぼテレビの記事から引用)


控訴審である仙台高裁で暴れた、という部分が目を引きます。が、記事にある「法廷内にいた警備員2人」が被告を取り押さえたとの記述は間違いであり、公判に立ち会っていた仙台拘置所の刑務官が取り押さえたのでしょう。記者は刑事事件の裁判の仕組みを理解していなかったようです
余談はともかく、柴田被告の両親は2人そろって新聞配達のアルバイトをして家計を支えいたのですから、広幸被告が無職のまま家にいるのが不満であり不安だったのでしょう
柴田被告が本当に両親を悪魔と誤認して殺害したのでしょうか?
山形地裁、仙台高裁の裁判官がその主張を退け、責任能力に問題はなかったと断じているのですから、おそらく刑罰を逃れるためのでっち上げだろうと思われます。もし、両親を悪魔と誤認して殺害するほど重篤な精神錯乱があったのなら、それ以前にも錯乱状態が何度か出現していたと考えられます。ですが、柴田被告が精神錯乱を繰り返していたとのエピソードは確認されなかったのでしょう
実家で柴田被告は妻、こどもと同居していたのですから、この2人が証言したはずです
さて、柴田被告は懲役29年の判決を不服として、最高裁に上告しています。まだまだ親を殺害した己の罪と向き合う気はないのでしょう

(関連記事)
日立母子殺害を考える 小松被告に死刑判決
日立母子6人殺害を考える 無罪主張と処刑願望と
日立母子6人殺害を考える 初公判で無罪主張
日立母子6人殺害を考える 初公判目前
日立市母子6人殺害を考える 記憶喪失で無罪?
日立市母子6人殺害を考える 犯行の背景は離婚話?
日立市母子6人殺害を考える 小松博文容疑者とは
福岡母子3人殺害事件を考える 夫の警察官を逮捕
福岡母子3人殺害事件を考える 中田容疑者黙秘
福岡母子3人殺害事件を考える 初公判で無罪主張
福岡母子3人殺害事件を考える 死刑判決
神戸5人殺傷事件を考える 逮捕後は黙秘
鹿児島5人殺害事件を考える 岩倉知広容疑者とは
鹿児島5人殺害事件を考える 岩倉被告起訴も初公判はまだ
鹿児島5人殺害事件を考える 死刑判決
元農水事務次官 息子殺害で懲役6年の実刑判決
元農水事務次官 控訴審でも懲役6年判決
元農水事務次官 子殺しは執行猶予という判例