マスク拒否男奥野被告 研究者として

このところ殺人事件やいじめ自殺事件など、重い話ばかり取り上げてきましたので、息抜き(?)のため別の話題を取り上げます
マスク拒否男こと奥野淳也被告をメディアは「変なおじさん」扱いで面白おかしく報じるのですが、記事を読むにつけ後味の悪さをいつも感じます。「東大出た人間が何をバカな真似をしてる」とあざ笑う雰囲気が常につきまといます
奥野被告の主張、行動がどうであるのかは別にして、彼の奇矯とも受け取れる言動には発達障害の影響が見て取れるのであり、一連の報道は障害者を揶揄し、あざ笑うのと一緒です
もちろん、記事を書いている人間は「そんなつもりはない」と否定するのでしょうが
さて、インターネットで得た情報では、逮捕・起訴後も勾留されていた奥野被告も保釈されたようで、今後は在宅のまま裁判の日に出廷する暮らしになるようです
奥野被告は東大大学院の博士課程に進んだものの、学位請求論文が審査を通らず博士号を受けられませんでした。が、その部分をメディアは取材せず、「ダメなやつ」扱いでお茶を濁しています
メディア批判をここで展開しても始まらないのは承知していますが、奥野被告の挫折としてとても重要な転換点であるのに、なぜ取材しないのか不思議です
事件報道に例えるなら、枝葉の情報ばかりを記事にして本筋部分をないがしろにしているもの同然でしょう
自分は在野の物好きな人間にすぎず、取材のため動き回る組織的なバックアップもなくツテもないわけですが、メディアが伝える内容だけに依存せず、調べられるものはできるだけ自分で調べようと心がけているつもりです
そこで奥野被告の挫折に至る経緯の一端なりとも知りたいと思い(奥野被告本人にとっては迷惑な話でしょう)、調べてみました

奥野被告と修士論文
奥野淳也の名前で検索し見つかったのが修士論文「都市のメタファーを用いたサイバー空間におけるユーザ行動の構造化」です
2014年の日付です。同姓同名の別人なのでしょうか?
奥野被告は2009年に東大法学部を卒業したと言われます。修士課程や博士課程にどれくらい在学していたのかははっきりしません。法学部出身の奥野被告が、「社会文化環境学専攻」という所属になっているのが意外です。どちらかといえば社会学の系統でしょう。関心のある方はダウンロードして目を通してください

都市のメタファーを用いたサイバー空間におけるユーザ行動の構造化

論文の中身については、まだ読み込んでいないので論評はしません。ただ、末文に謝辞が掲げられており、指導教授はもちろん研究仲間、そして両親に対する言葉(現在に至るまで私を常に支え続けてくれた両親への感謝)が記されています

奥野被告と学術振興会特別研究員制度
平成23年度の日本学術振興会特別研究員の選抜リストに奥野被告の名前が載っています
これは学術振興会が若手研究者に対して、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者の養成・確保を図る制度が特別研究員です。大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で、優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者に、研究奨励金を支給しています
ざっくり言うと研究のための経費300万円までを上限として、その50%を補助するものです。文系の場合は理系より研究経費は少ないので、実際に受け取れる金額も少なくなります。海外に実地調査に出向く、となれば別ですが
奥野被告の場合、研究課題は「スウェーデンにおける参加・分権・市民社会-比較政治史的視座から」とされ、馬場康夫東大教授が指導教官だったようです。ヨーロッパの政治を専門とする馬場教授と奥野被告の相性が良かったのか、悪かったのかは不明です。が、馬場教授は奥野被告が特別研究員に選ばれた翌年には定年退官しています
奥野被告が提出した研究報告の概要は以下のようになっています

平成25年度の中心的課題は、北欧諸国の中央地方改革を、福祉国家形成・再編の政治過程との関係性に着目しながら、分析する作業である。昨年度は、スウェーデンのレギオン設置改革の考察を主たる論題としたが、本年度はそれに引き続き、分析対象をデンマークにも広げ、北欧近接比較の観点から検討することを試みた。北欧諸国を一つの「北欧モデル」論で語る論調がある一方で、その類似性の中の差異に着目した秀逸な比較研究がこれまで多く出されてきた。その厚い基盤を吸収しつつ、福祉国家再編期の北欧二国の政治現象を比較の枠組みの中で捉えるべく、その準備の考察を進めた。成果は、2014年6月の日本比較政治学会において報告されることが予定されており、目下その用意を進めている段階である。また、両国の福祉国家形成のプロセスについて、その収敏一分岐(類似性と差異性)のダイナミズムを、歴史的な時間軸の中に置き直し、その位置づけを考究する作業にも取り組んでいるが、これに関しては、学位請求論文執筆時までの続行課題としたい。北欧における市民社会論・国家社会関係をめぐるトピックスを検討する作業も、関連文献の収集. 読解を、引き続き、行っていく。

学位請求論文までの続行課題としたい、と書いていますのでこのテーマをより深く探求しようという意欲があったのでしょう

奥野被告と比較政治学会
また、日本比較政治学会第17回(2014年度)研究大会 が東大の本郷キャンパスで開かれたのですが、研究発表者の中に奥野淳也の名前があります。演題は「近接比較の中の北欧『レギオン改革』―福祉国家再編期の政治プロセスを通して」です。レギオン改革とは日本に当てはめると、都道府県制を廃止して道州制のような広域行政制度を実施する改革を指すのでしょう。上記の特別研究員の課題とも併せて、北欧型福祉国家における政治参加の在り方を研究し、活発に発表も行っていた姿が垣間見えます

奥野被告の学位請求論文がどのようなものであったのか、不明です
一般論として博士課程に進んだ院生に対し、指導教授は学位請求論文が通るよう論文の書き方、論旨、結論など細かく指導するわけであり、それは奥野被告に対しても同じだったと思います
ただ、現在の奥野被告の姿から想像すると、とにかく干渉されるのが大嫌いで我慢できない風に映ります。なので学位請求論文についても、指導する教授を疎ましく感じ、反発し、対立したのではないのか、と
結果として指導教授もさじを投げ、奥野被告が好きなように学位請求論文を書くのにまかせ、結果として論文審査で落とされた…とも考えられるのです。本当のところはわかりません
その頑なさ、融通のなさが、「大学の教員には不向き」と判断された可能性もあるのではないでしょうか?
自分の意見の固執し、突っ張るのは20代から30代前半まででしょう。世の中を渡っていくためには、人付き合いの仕方や妥協することも学ばなければなりません

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