大阪交番襲撃 飯森被告に懲役12年判決

繰り返し取り上げてきた大阪の交番襲撃・拳銃強奪事件で、大阪地裁は飯森裕次郎被告に懲役12年の実刑判決を言い渡しました
検察の求刑が懲役13年ですから、統合失調症の影響を考慮しても1年の割引しかなかったわけで随分と辛口の判決です
被告弁護人は控訴するでしょう
昨日も取り上げたように、2度の精神鑑定が実施され、そのうち1つは「犯行の計画、実行すべてに統合失調症の影響がある」と判断したものでした。が、精神鑑定はあくまでも専門家の見解にとどまるのであり、その見解をどう解釈し判決を下すかは裁判官の領分です
結果からすれば、もう1つの精神鑑定である「統合失調症の影響が見られるが、残された健常な精神機能で犯罪行為を認識していたといえる部分がある」とする判断を採用したわけです


おととし、大阪・吹田市の交番で警察官を包丁で襲って拳銃を奪ったとして、強盗殺人未遂などの罪に問われた被告に対し、大阪地方裁判所は、「統合失調症の悪化の影響は大きいが、限定的な責任能力はあった」として、懲役12年の判決を言い渡しました。
東京・品川区に住んでいた無職の飯森裕次郎被告(35)は、おととし6月、吹田市の交番の前で古瀬鈴之佑巡査長(28)を包丁で襲い、一時、意識不明の重体となるけがを負わせ、拳銃を奪ったとして、強盗殺人未遂や公務執行妨害などの罪に問われました。
これまでの裁判で、被告は、「頭の中で知人から殺せとか拳銃を奪えと指示があった」と述べ、弁護士は、「病気による妄想が犯行の原因で責任能力が無かった可能性がある」として無罪を主張していました。
一方、検察は、懲役13年を求刑していました。
10日の判決で、大阪地方裁判所の渡部市郎裁判長は、「統合失調症の悪化が犯行に与えた影響は大きい。しかし、計画的にうその通報をして交番の警察官の数を減らすなど自分の行動を制御する能力をまったく欠いていたわけではなく、限定的な責任能力があった」と指摘しました。
そのうえで、「警察官は一時、意識不明の重体となり、結果は重大だ。拳銃を奪い逃走したことは地域社会への重大な脅威で、住民に強い恐怖心を抱かせた」と述べ、懲役12年を言い渡しました。
【裁判員“判断難しい”】。
判決のあと、裁判員1人と補充裁判員2人が会見を行い、このうち、裁判員を務めた40代の会社員の男性は、「精神疾患の問題があり、難解な話になると感じていたが、まずは自分の直感を信じた。評議を通して考えが変わることもあり最終的な判断は難しかったが、やりがいも感じ、最後まで続けることができた」と話していました。
(NHKの記事から引用)


交番を襲って拳銃を強奪する事件でなかったなら、もう少し減刑する余地はあったのかもしれません
が、それを言っても仕方がないのであり、飯森被告の犯行が社会に大きな不安を与えた以上、個人の病状はともかくとして10年以上の懲役刑を科すに値するものと受け止めるのが妥当なのでしょう
統合失調症は病状の波がありますので、「いつも薬を服用していれば大丈夫」というものではなく、一時的に症状が悪化する場合もあります
飯森被告は東京で1人暮らしをしていたようですから、彼の病状を間近で見てくれる人物はいませんでした。病状を見守り、入院を勧めるヘルパーのような人物が傍にいたなら、今回の事件は防げたかもしれません
この種の事件は未然に防ぐのが何よりで、犠牲者を出さずに済みます。厳罰を下すだけでは将来起こり得る事件を防ぐのは不可能です
精神疾患を抱えながらも社会生活を営む人たちが孤立しないよう、生活面や精神面を支える仕組みを設ける必要があります。いまのところ、民間ボランティアに依存しているわけですが、すべての人を網羅するのは困難です

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林真須美の長女自殺 家庭内で壮絶な虐待

記事のタイトルで少し悩みました。「林真須美の長女自殺 家庭内で壮絶な虐待」と書いたなら、和歌山カレー事件で死刑判決を受けた林真須美死刑囚が、自分の長女に虐待を加えていたかのように解釈する人もいるからです
実際は、林真須美の長女が自分の娘心桜さん(16)に暴行を加え死亡させた疑いがかかっているわけです
最新の報道によれば死亡した心桜さんの遺体には多くのあざが見られ、肋骨など複数箇所の骨折も確認されたのだとか


和歌山市加納のアパートで6月、鶴崎心桜(こころ)さん(当時16歳)が亡くなった事件で、心桜さんは胸部など複数箇所を骨折していたことが、捜査関係者への取材でわかった。古いあざもあり、和歌山県警は家庭内で日常的に虐待を受けていたとみて関係者から事情を聞いている。心桜さんは中学校から不登校になり、友人に「家に帰りたくない」と漏らしていたという。9日で事件から2か月。心桜さんに何があったのか。
全身にあざ
「長女が血のような黒いものを吐いて倒れている」。6月9日午後2時20分頃、外出先から自宅に戻った母親(当時37歳)から119番があった。
救急隊員が駆けつけると、心桜さんが、居間であおむけになって倒れていた。心桜さんは母親の再婚相手の男性に付き添われて病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。
司法解剖の結果、死因は全身打撲による外傷性ショックだった。あばら骨など複数を骨折しており、あざは全身に広がっていた。外部からの侵入の跡もなく、県警は心桜さんが家庭内で激しい暴力を受けたとみている。
119番から約1時間40分後、自宅から北約20キロ離れた大阪府泉佐野市の関空連絡橋周辺の海面で、母親と妹(当時4歳)の遺体が見つかった。橋の上には母親が乗っていた車が止められていた。目撃者の証言などから、無理心中とみられる。車内には遺書はなく、動機は不明だ。病院に付き添っていた男性も9日夜、和歌山市内でカフェインを大量摂取したが、一命をとりとめた。市消防局によると、男性は「嫌なことがあったので、自殺しようと思った」と話していたという。
心桜さんは事件当時、母親と、2015年に再婚した男性、2人の間に生まれた妹との4人暮らし。県警は、家庭内で唯一の生存者である男性を任意で事情聴取。県警は心桜さんが亡くなった経緯について、慎重に捜査している。
生活環境が変化
心桜さんは友人に「ここ」と呼ばれていた。「ここはよく笑う、みんなのお姉さんのような存在でした」。友人は、そう言って目に涙を浮かべた。
友人らによると、心桜さんの両親は13年5月に離婚。心桜さんは、和歌山市内で父親と2人で同居することになった。親子で仲良く家事を分担していたという。しかし、父親は仕事のため家を空けることも多く、一人で過ごす時間が増えた。
再び大きく生活環境が変化したのは中学2年の頃。母親の元に引き取られたためで、心桜さんは周囲に「妹の世話をしなければならなくなった」と説明していたという。
その頃から徐々に中学校を休みがちになり、友人には「学校に行きたいが行けない」「家に帰りたくない」と漏らすこともあった。友人は「踏み込んだらいけないと思い、理由は聞けなかった。どこか無理をしているような感じがあった」と振り返る。
将来の進路について、心桜さんは周囲に「卒業後は、兵庫県の専門学校に行きたい」と語っていたこともあった。しかし、その願いはかなうことはなかった。
捜査関係者らによると、自宅には妹のおもちゃや絵本は数多くあったが、心桜さんの持ち物はほとんどなかったという。近所の住民は「母親と妹が一緒にいるところはよく見かけたが、心桜さんの姿はほとんど見たことがない。3人家族かと思っていた」と話す。
(読売新聞の記事から引用)


報道するメディアに文句を言っても仕方がないのですが、そろそろ関係者の氏名を明らかにしてもよいのでは?
自宅には母親と次女、再婚相手の男性の3人がいたのですから、母親と義理の父親が心桜さんに繰り返し暴行を加えていたと考えるしかありません。生き残った義理の父親が警察の事情聴取を受けているわけですが、「自分は知らなかった。自分は暴行していない」とでも言うのでしょうか?
中学生時に不登校になった心桜さんについては、一時期児童相談所が介入したようです。しかし、林家のこどもたちが児童相談所や養護施設でさんざんな目に遭っているのですから、林真須美の長女である母親が児童相談所の介入を不快に思ったはずであり、協力的な態度は示さなかったのでしょう。また、児童相談所の方も「かかわりたくない面倒くさい家」と決めつけ、家庭訪問など具体的な対応を取らなかったのかもしれません
結果として、心愛さんは誰からも救いの手を差し伸べられることなく、家庭内で繰り返し暴行や精神的な虐待を受け死亡したのでしょう
「外に出て、助けを求めるべきではなかったのか。なぜ、そうしなかったのか」と問う人もいるのでしょうが、それができないほど精神的な虐待を受けて心が折られてしまっていたか、あるいは自宅内で監禁された状態にあったとか、想像する必要があります。想像力を欠いたまま、被害者の行動を疑うのは事件を読み誤る結果を生みます
せめて生き残った義理の父親が真相を明らかにし、自身の罪を償ってもらいたいものです

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