旭川いじめ凍死事件6 遺族の手記から見えるもの

旭川市でいじめを受けた女子中学生が、真冬の公園で凍死状態で発見された事件について6度目の言及になります
死亡した爽彩さんの母が手記を発表していますので、取り上げます
すでに各メディアで報じられているのと、手記自体長文なので引用は一部にとどめます
それにしてもいじめを隠蔽した中学校の校長や教頭の言動、旭川市教育委員会には怒りが湧きます
特に教頭の、「加害者にも未来があるんです。10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみてください」は、横断幕にして教頭の名前を添え旭川の中学校の校舎正面に100年くらい掲げておいてほしいくらいの暴言・戯言です。この横断幕を見て教育者にふさわしくない言動であると、教員一同、日々反省してもらわないとダメでしょう


旭川女子中学生死亡 公開された母親の手記を全文掲載 いじめを否定し続けた教頭の驚くべき発言
(前略)
5月の連休中、午前3時~4時頃、爽彩はいきなり自宅の玄関をガチャガチャと開け、バタンという大きな音を立てて飛び出していきました。爽彩は「いかなきゃいけない。先輩に呼ばれているから」と泣きじゃくりながら答えていました。関係する生徒2人の名前をきいていたので、対応を求めましたが、学校の担任は「真夜中に呼んだだけなので気にしないでください」と言いました。「娘はガタガタふるえていたし、いじめとかないんでしょうか」と尋ねると「いじめるような子たちではありません」と担任は話していました。
同じ頃、爽彩は「お母さん、死にたい」と言い出すようになりました。「死にたい」という言葉を、少なくとも2回は聞いたと思います。元気なく話す姿は、それまでの爽彩とは全く別人のようでした。そこで、私は、担任に相談しました。しかし、担任は「思春期ですからよくあることですよ」と素っ気ない答えでした。
6月下旬、爽彩は、先輩に呼び出されたまま自宅に帰らず、深夜になってコンビニエンスストアで保護されました。これはおかしいと感じた私は、学校で担任に事情を聞きました。「本当にいじめはないんですか」。担任に尋ねると、「いじめていたら、じゃあなんでリュックなんて届けてくれるんですか」と、「いじめ」をあっさり否定されました。
子どもたちに囲まれ、ウッペツ川に飛び込んだ事件の後、爽彩の携帯電話に、いじめを受けていることを示す履歴があることを学校に知らせました。教頭は「いじめが本当なら指導しないといけないので」と返答がありました。しかし、その後も、何の対応もしてもらえませんでした。それどころか、爽彩の入院中、学校に呼び出された際、教頭から「いたずらが行き過ぎただけで、悪意はなかった」「加害者にも未来があるんです」と頭ごなしに、いじめを否定されました。
「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみてください」。これは、教頭に言われた言葉です。同席した知人も、あきれ果てるような対応でした。
(以下、略)


萩生田光一文部科学大臣はこのいじめ事件を報じた週刊文春の記事を読み、旭川市教育委員会への怒りが爆発していました。政務三役(大臣、副大臣、政務官)を旭川市に送り込んで直接調べる、とまで言い出しました
慌てて旭川市教育委員会は調査のため第三者委員会を設け、あれこれ調べているようです(もしくは、調べるフリをしている)
事件の経緯は当ブログの前の記事で取り上げていますので繰り返しませんが、いじめ事件を見て見ぬフリをしていた担任や教頭、校長、教育委員会担当者の責任はきっちり追及しなければなりません
校長、教頭はいじめについて嘘の報告書(公文書)を旭川市教育委員会に提出していますので、虚偽記載の疑い(虚偽公文書作成罪)に該当します。有印・署名ありの公文書であれば1年以上10年以下の懲役刑ですし、印なし署名なしの公文書であっても3年以下の懲役または20万円以下の罰金に該当します。罪状によっては執行猶予が付く可能性があるにしても、懲役刑が適用されるだけの犯罪というところが重要です
つまり、校長や教頭の嘘の報告書は懲役刑に該当するだけの重い犯罪であり、懲役刑に問われる犯罪をなした公務員は懲戒免職の対象となり得るわけです(都道府県の条例や懲戒基準によって扱いには幅がありますが)
いじめを隠蔽した元校長は定年退職して、別の自治体で嘱託勤務をしているようですが、本来であれば嘘の報告書を提出したので懲戒免職になっていてもおかしくないのです。もちろん、嘘の報告書だと承知の上でこれを受け取り、北海道教育委員会に提出した旭川市教育委員会の担当者も同罪です
行政法上の問題としては以上のようになるわけですが、告発されて刑罰に問われるかはまた別の話です
保身に走った教育関係者を放置してはいけません。いじめた側の少年少女も、相応の保護処分を受ける(少年院送致が妥当でしょう)必要があると考えます

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神戸5人殺傷事件を考える 初公判は10月13日

2017年7月、神戸市北区で祖父母ら3人を殺害し、実母ら2人に重傷を負わせたとして逮捕されていた竹島叶実被告の初公判が、今年の10月13日に始まると報じられました。公判の予定を見ると、11月4日が判決言い渡しとなっています
事件から足かけ4年でようやく公判開始です。竹島被告については2度精神鑑定が実施され、その上で刑事責任能力ありと判断し起訴に至ったものの、公判が開けないのではないかと思うくらい間が空いてしまいました。何があったのかは不明です
事件直後、ほとんど現行犯逮捕のような形で身柄を抑えたのであり、犯行そのものを否認していたわけでもなく、容疑を固めるのが難しかったとは思えません
さて、この神戸5人殺傷事件も、その後2020年に起きたボーガンによる宝塚の家族3人殺害事件も、報道がほとんどないため取り上げにくいケースです
今回は刑事事件への言及も多い、新潟青陵大学の碓井真史教授の書いた記事を取り上げます(記事の日付は2017年7月です)


神戸5人殺傷事件から考える親殺し、無差別大量殺人の心理学
(前略)
■無差別大量殺人
今回は親や祖父母への恨みではなく、「誰でも良かった」と供述していると報道されています。
一般に、「誰でもいいから殺したかった」と語る大量殺人者は、孤独と絶望感に押しつぶされた犯罪者であることが多いでしょう。彼らは、逮捕されることや死刑にされることも、犯行時には恐れていないこともあります。自分の人生も終わりにしたいが、こんな世界も終わりにしたいと思ったりもします。あるいは、自分をバカにしてきた世の中への最後の復讐であり、自分の力を見せつけたいと考える者もいます。
誰でも良いからことしたかったと感じて、一番身近にいて殺しやすかった母親を殺害した少年もいました。ただし、この少年は母親一人を殺害しています。
犯人の中には、一人を殺害し大量の血を見たことで興奮し、さらに無差別な殺人へと向かう者もいます。これを、血の酩酊と言います。
無差別大量殺人は、無差別とは言え、女性や高齢者がターゲットにされやすくなります。素早く逃げられたり、反撃の可能性が高い人を避ける気持ちは、あるようです。
■優等生いきなり型(挫折型)犯罪
昔から小さな犯罪を重ねてきて、とうとう大きな犯罪を犯す人がいます。一方、優等生で非行歴もないような人がいきなり大きな犯罪を起こすこともあります。大きく報道される猟奇事件などは、むしろこちらの方が多いでしょう。
優等生の中には、不平不満を我慢し続け、どこかで爆発する人もいます。
また、人生のあるところまでは優等生だったのに、大きく挫折して立ち直れない人もいます。彼らは、「こんなはずではなかった」という思いを持ち、社会を強く恨むことがあります。
■無職青年、引きこもり犯罪
無職青年が起こす様々な犯罪は、社会問題の一つです。さらに、引きこもり状態の人が大きな犯罪を起こしてきたことも、これまで報道されてきました。
決して、引きこもり状態の人がみんな危険なわけではありません。ただ引きこもり状態が続く中で、精神のバランスを崩し、現実感覚を失っていくケースはあるでしょう。
■犯罪防止のために
このような犯罪者は、自分の利益を考える一般の犯罪者とは動機が異なります。自暴自棄になってしまえば、厳しい刑罰の存在も犯行のブレーキにはなりにくいでしょう。彼らが抱えている孤独と絶望感の癒しが、犯行防止には必要です。
学校にも職場にも所属せず、社会とのつながりがない状態は、苦しいことでしょう。親も、小さな子どもの不登校などは周囲に言えても、大人の引きこもりになるとなかなか相談などできません。いつかは立ち直ると期待しつつ、時間ばかりが過ぎて行きます。
孤独と絶望を癒し、本人に絆と希望を取り戻すためには、その家族の支援が欠かせません。防犯のためにも、困っている家族を社会が支援して行かなければなりません。
行政も、民間団体も、大人になった子ども孫の問題で悩んでいる家族の相談にのっています。まず、家族が誰かとつながる必要があるのではないでしょうか。


先述のように事件からまもない時期に書かれた記事であり、竹島叶実被告に関する情報がメディアに出回っていたわけでもなく、一般論という形で言及しているものです
なので、事件固有の事情や状況を十分に斟酌し、検討しているわけではありません
ただ、事件の類型のように「■優等生いきなり型(挫折型)犯罪」としているのがひっかかります。以前に書いたように、教育評論家尾木直樹がこの「いきなり型非行」と言い出し、「ある日、突然それまで問題のなかったこどもが非行に走る。これがいきなり型非行、あるいは突然型非行だと私は考える」とテレビ番組の中で説明していました
「成績がよくて素行に問題のないこどもが…」と言いたいのでしょうが、そもそも成績が良いこども=よいこ=問題のないこども、という考え方自体がおかしいのです。当ブログでも繰り返し書いてきたように、成績が良いという部分ばかり注目し、それ以外の部分を見ていない(特徴や人格傾向をつかめていない)から、こんなおかしな類型に当てはめようとするのでしょう
成績が良くても発達障害を抱えているこどもはいるわけですし、学校では素行に問題がなくても自宅で犬や猫を殺しているこどももいます。こどもの全体像を把握できていないがゆえに、「見た目は問題のないこども」と決めつけてしまっているだけなのです
詳細に調べれば、学校内外、家庭でさまざまな問題行動が目撃されていた、というケースが少なくないのです
神戸の連続児童殺傷事件のように、小学生の頃から猫を殺すなど問題行動がありながらも、表面上は「普通のこども」とされ、「ある日突然、凶悪な事件を起こした」かのように語られるわけで、自分はこの「■優等生いきなり型(挫折型)犯罪」という類型には賛成できません
さらい言うと、神戸連続児童殺傷事件では何かの挫折が犯行のトリガーになっていたわけではないのであり、挫折型犯罪という括りにも該当しないのです
本件の話に戻って、竹島叶実被告の情報が乏しいため、彼が挫折をしたのか、あるいは別種のトラブルがあったのか、病気だったのか、把握できないのであり、検察の起訴状朗読の中で明かされるのを期待します

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