岐阜の老人施設で5人死傷 小鳥被告の初公判は?

山梨県の老人ホームで入居していた80歳の女性が殺害され、同施設職員の丹沢一貴容疑者(42)が強制性交等致死の罪で起訴された、との報道がありました。この事件はまた、別の機会に取り上げます。80歳の女性を強姦して死亡させるという鬼畜の犯行です
報道を見て思い出したのが、2017年夏、岐阜県高山市の老人介護施設で立て続けに5人の入所者が死亡した事件です。同施設の職員だった小鳥剛被告が起訴されているのですが、事件から4年経過してもまだ初公判が開かれないままです
5人の被害者はいずれも小鳥被告が担当していたのですから、小鳥被告の手にかかって殺された(暴行を受け意識不明のところ病院に搬送され、その後亡くなったケースも含む)と考えられます
5人の被害者について、おそらく傷害致死で公判を迎えるのでしょう。逮捕時の容疑は傷害であり、その後、傷害致死で追送検されていますが、最終的に起訴するのは検察の判断です
寝たきりの高齢者に暴行を加えたのですから、死んでも構わないと小鳥被告が思っていたと推測されるのですが、裁判官はすんなりと殺意を認めないと予想されます。また、計画的な殺人であると立証するのもハードルが高く、最終的には傷害致死で、という判断に落ち着くのでしょう
先に、介護施設で3人の入居者を転落死させた今井隼人死刑囚の場合は、3階から転落させれば死亡するという確信を抱いた犯行なので、殺人罪の適用に議論の余地はありませんでした。本件の場合、暴行を加えたとしても確実に死亡するかどうかは小鳥被告に確信はなかったと考えられるので、傷害致死で裁くわけです。遺族は納得できないと思いますが
この事件に絡み、死亡した男性の遺族が介護施設を運営する医療法人を相手取り、慰謝料を求める民事訴訟を提起していたのですが、2020年12月に岐阜地裁は遺族の請求を退ける判決を言い渡しています


岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で2017年夏、高齢の入所者5人が相次いで死傷した問題で、死亡した男性(当時80)の遺族らが、施設を運営する医療法人「同仁会」に慰謝料など約2800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、岐阜地裁であった。鈴木陽一郎裁判長は、原告側の訴えを棄却した。
原告側は、施設側が男性の食事中の誤嚥(ごえん)を見逃したため窒息死したと主張したが、判決は「死因が施設での食事の介助や食後の見守り中に起きた誤嚥による窒息とは認められない」とした。男性が心筋梗塞を発症していた可能性や、意識を失った後の職員による心臓マッサージが原因だった可能性も否定できないとした。
同仁会の折茂謙一理事長は、「1年半以上の間、監視義務違反というレッテルの下で肩身の狭い思いだった。今後は自信を持って介護の仕事をすることができる」とコメントを出した。
(朝日新聞の記事から引用)


施設側は裁判で勝ったものの、一度失った信用を取り戻すのは大変だろうと思います
この訴訟の時点で、小鳥被告は起訴されたものの公判も始まってはいません。なので、遺族の側からすれば小鳥被告の犯行だと立証するのも困難で、施設側の管理責任(監視義務違反)を問う形の訴訟になったのでしょう
小鳥被告についての報道は見られませんので、延々と公判前の争点整理を続けているものと思われます
ただ、刑事被告人だからといつまでも拘置所で勾留し続けるのは問題があり、迅速な裁判を進めてもらいたいものです

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飲酒運転事故で児童死傷梅沢被告起訴 千葉

6月、仕事の途中で酒を飲みながら運転し、児童をはねて5人を死傷させた梅沢洋容疑者が起訴され、親会社「南部」と経営者である会長も安全運転管理者を選任していなかった道路交通法違反容疑で書類送検されています
安全運転管理者を選任していなかったという件は、本件事故を待つまでもなく警察で把握できたはずであり、なぜ事故が起きるまで放置していたのかと言いたくなります。もちろん、安全運転管理者を選任していたとしても、運転者が平気で酒を飲んでハンドルを握る実態が改善されたとは思えないのですが
梅沢容疑者起訴の報道と、会長の書類送検の記事の2本を貼っておきます


八街市の市道で下校途中だった市立朝陽小児童の列に大型トラックが突っ込み、1~3年生5人が死傷した事故で、千葉地検は19日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪で運転手の梅沢洋容疑者(60)=同市=を起訴した。被告は千葉市花見川区内のパーキングエリア(PA)で休憩中に飲酒し、事故当時は酒の影響で居眠り状態だったとされる。
起訴状などによると、6月28日午後2時55分ごろ、京葉道路下り線の幕張PAで酒を飲んだ後、大型トラックの運転を再開。同3時25分ごろ、八街市八街はの市道を時速約56キロで走行中、アルコールの影響で居眠り状態に陥り、進行方向左側の電柱に衝突、一列で歩いていた児童5人をはね、死傷させたとされる。
地検は認否を明らかにしていない。被告は東京都内に資材を運んだ後、勤務先に戻る途中だった。
県警は同法違反の過失傷害容疑で現行犯逮捕したが、飲酒の影響で正常な運転ができていなかった疑いがあると判断し、より罰則の重い危険運転致死傷容疑に切り替え送検していた。
死亡した男児の遺族は「裁判では被告に正直に話してもらい、事件の真相が明らかになることを望む」とするコメントを出した。
県警は被告の勤務先についても、安全運転管理者を置いていなかったとして、道交法違反の疑いで捜査している。
(千葉日報の記事から引用)


千葉県八街市で6月、飲酒運転のトラックに下校中の小学生がはねられ児童5人が死傷した事故で、県警は25日、安全運転管理者を選任していなかったとして、事故を起こした運転手の勤務先の親会社「南武」(東京都葛飾区)と同社の男性会長(71)を、道路交通法違反容疑で千葉地検に書類送検し、発表した。
県警は「安全運転管理者を選任していれば事故を防げた可能性もあり、事故の重大性と社会への影響を考慮し書類送検した」と説明。「厳重処分」の意見を付けたという。
交通捜査課によると、2014年2月28日から事故発生の今年6月28日にかけて、事故を起こした運転手に配車指示などをしていた南武の支店の「南武千葉工場」(八街市)で、白ナンバーの車を5台以上使用していながら、安全運転管理者を選任していなかった疑いがある。
道交法は、自社の荷物などを運ぶ「白ナンバー」の車を5台以上か、定員11人以上の車を1台以上使う事業者に、社内での交通安全教育などを担う安全運転管理者を選任して警察に届け出るよう義務づけている。安全運転管理者は、運転者の点呼をし、飲酒などで正常な運転ができないおそれがないか確認して、安全運転に必要な指示をする。
事故当時、千葉工場は白ナンバーを8台、運転手の勤務先の「南武運送」(同市)は5台をそれぞれ使用。ただ、南武運送は、法人としての独立性がないとして立件対象には含めなかったという。
(朝日新聞の記事から引用)


梅沢被告は危険運転致死傷罪で起訴されました
当ブログで何度も取り上げているわけですが、検察も裁判所も危険運転致死傷罪の適用に極めて慎重(臆病と言えるほど)で、よほど事故との因果関係がない限り、業務上過失致死傷罪で起訴し、判決を下しています
本件は梅沢被告の飲酒運転が明らかに事故の原因と認められるため、危険運転致死傷罪で起訴したのでしょう
裁判所がこの新たに設けられた「危険運転致死傷罪」の適用に慎重である理由として、「法の公平」という考えがあるとの話は前にも書きました
つまり、従来は業務上過失致死傷罪で裁かれていた事故が、新たに「危険運転致死傷罪」を適用することでより重く罰せられるようになるというのは、「法の公平」さに問題があるとの考えです
しかし、そんな理屈を並べて「危険運転致死傷罪」の適用を見送っていたのでは、いつまでも立法の趣旨が反映されないのであり問題でしょう
飲酒運転を含む危険な運転による事故の被害を防ぐため、より重く罰する趣旨で法を改正したのですから、裁判に反映させるのが当然です

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