白金高輪駅硫酸男 妄想性人格障害か?

花森容疑者の過去の特異な行動が、周囲にいた人たちの証言で浮かび上がっているわけですが、異常な行動が過去にあったから異常な犯罪に踏み切ると単純に決めつけるわけにはいきません
花森容疑者の過去の異常な行動は何らかの病理による症状の発現、と考え、その病理がさらには知人の勤務先を突き止め、待ち伏せして硫酸をかける行為に至らしめた、と考えるのが妥当です
片田珠美医師は花森容疑者を妄想性人格障害、とする仮説を書いています


硫酸事件:花森容疑者、妄想性パーソナリティ障害・統合失調症の可能性…些細な言動に恨み抱く
(前略:大学の後輩からタメ口で話しかけられたのを長年恨みに思っている異常性の説明)
このように自分が受けたと感じる侮辱に過敏で、攻撃的になりやすいうえ、その恨みが長期間にわたって持続する人は、アメリカ精神医学会が作成した診断基準DSM-5に従えば、「妄想性パーソナリティ障害(Paranoid Personality Disorder)」と診断される。花森容疑者も、この診断基準に該当するように見える。
花森容疑者は、琉球大学在学中は周囲と距離を置いて行動していたし、静岡大学に編入後も、実家で1人暮らしで、いつも1人で行動していたという。両親とも他界した影響もあるとは思うが、孤独を深めていた印象を受ける。こうした傾向は、「妄想性パーソナリティ障害」の人にしばしば認められる。
なぜかといえば、猜疑心と警戒心が強く、友人や仲間の誠実さを不当に疑うため、なかなか、うちとけられないからだ。おまけに、十分な根拠もないのに、他人が自分を利用するのではないか、危害を加えるのではないか、あるいはだますのではないかという疑惑にさいなまれていることも少なくない。
「妄想性パーソナリティ障害」の人は、他人が悪意を持って自分を迫害してくるように感じる傾向が強いため、危険が差し迫っているという不合理な恐怖を抱きやすい。そのうえ、屈辱や侮辱を受けたと本人が思い込んでいる過去の体験を繰り返し思い返しては憤慨するので、年月を経ても燃えたぎるような怒りと恨みがまったく衰えない。むしろ増幅される。その結果、他人に対する激しい憎悪と復讐願望が醸成されるが、「やられたのだから、やり返してもいい」と自らの復讐を正当化しがちである。
ちなみに、2001年に大阪教育大池田小事件を起こした宅間守元死刑囚(2004年死刑執行)も、精神鑑定で「妄想性パーソナリティ障害」と診断されている。検察側の冒頭陳述で、「自らは被害者的に物事を考え、都合の悪いことは他人のせいにし、かつ、過去の物事に対して後悔を繰り返しては憤まんを募らせ、これを他人に転嫁する傾向を有していた」と指摘されたのは、「妄想性パーソナリティ障害」の人が他責的になりやすいからだろう。
(以下、略)


「妄想型人格障害」との推論を述べつつ、省略部分では統合失調症の可能性にも言及しています
もう40年くらい前ですが、刑事裁判では統合失調症=刑事責任を問えない、との図式があり、統合失調症だから不起訴だの、統合失調症だから無罪だのという事件処理があった気がします。統計に基づく指摘ではなく、あくまでも事件報道をウォッチしていた自分の感想です
ただ、現在では統合失調症であっても刑事責任能力が失われていないのであれば、有罪判決を下す…というのが裁判の傾向です
そうした事情を考えない人は、不起訴となった事件の報道を見てヤフーニュースのコメント欄に「なぜ起訴しないんだ。犯罪者を野放しにするな」などと書き込んだりします
何度も書いていますが、不起訴処分=野放しではなく、精神保健福祉法により措置入院(いわゆる強制入院)の手続きがとられるのが一般的です
措置入院には一般人による通報(精神保健福祉法23条)、警察官による通報(同法24条)、検察官による通報(同法25条)があり、「精神疾患があって、そのために自傷行為や他害行為をしてしまったか、あるいは今後する危険がかなり高い」と都道府県の指定医2人が診察し、判断した上で行われるものです
一般の方はこうした実務に関わる機会はまずないので(たとえば家族が深刻な精神障害を抱え、なおかつ入院に本人が同意しない場合に措置入院の手続きをとる場合があります)、「強制入院」という文言は耳にしたことがあっても、実態はわからないと思います
自分は少年鑑別所勤務時代、被収容少年が深刻な精神障害の症状を呈していたため、家庭裁判所と連携して措置入院の手続きに関与した経験が数回あります
花森容疑者については、起訴前に精神鑑定が実施されるはずで、そこで何らかの判断が示されるのでしょう
ただ、犯行の前後を見ても新幹線を利用したり、飛行機で沖縄へ飛んだりと、支離滅裂で見当識が失われているようには感じられませんので、精神障害を抱えてはいても責任能力が失われていたとは考えにくいわけです

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