熊本大女性研究員殺害事件 懲役18年判決

2020年9月、熊本大学のヒトレトロウイルス学共同研究センターで特定事業研究員を勤めていた楢原知里さん(当時35)を殺害し遺体を遺棄したとして起訴されている無職熊谷和洋被告(68)に対する判決があり、熊本地裁は懲役18年の実刑判決(求刑は懲役20年)を言い渡しています
論告求刑を報じる記事と判決を伝える記事の2つを貼ります


熊本市で昨年9月、熊本大学の特定事業研究員の女性(当時35)を殺害したなどとして殺人と死体遺棄の罪に問われた住所不定、無職熊谷和洋被告(68)の裁判員裁判が6日、熊本地裁(平島正道裁判長)であり、検察側は懲役20年を求刑した。判決は8日に言い渡される。
(中略)
検察側は論告で、首を絞められた遺体の状況から「強い殺意があった」と指摘。熊谷被告が被告人質問で「口をふさごうとした」と話したことについては「口やほおにひもでしめられた痕がなかった」と反論し、これまでの熊谷被告の供述についても「不合理で信用できない点が多く、真摯な反省が認められない。犯行に至る経緯、動機に全く同情の余地はない」と述べた。
弁護側は起訴内容について「争わない」と改めて認め、「マスクを開発して寄付したいので、デザインを考えてほしい」といった被告のうそが発覚したことで女性から非難されたため、「黙らせるために無我夢中で犯行に及んだのであり、人の命を軽視したわけではない」と主張。謝罪と反省をしており、「とっさの犯行」で計画性がないとして、「懲役15年が相当」と述べた。
女性の母親も被害者参加制度を利用して出廷した。女性は熊谷被告からマスク開発などの話を持ちかけられていると、家族に伝えていたという。一人娘だったといい、「小さいころからアメリカでウイルスの研究がしたいと夢見て、研究員としての道を歩み始めたというのに。なぜ殺されなければならなかったのか」「娘はこれから親孝行すると言っていました。そんな娘を返してください。犯人には死刑を望みます」と語った。
熊谷被告は閉廷まで姿勢を変えず、目を閉じていた。最終陳述で「本当に申し訳ないです。これから償っていきたいと思います」と小さな声で話した。
(朝日新聞の記事から引用)


熊本市で昨年9月、熊本大学の特定事業研究員の女性(当時35)を殺害したなどとして殺人と死体遺棄の罪に問われた住所不定、無職熊谷和洋被告(68)の裁判員裁判が8日、熊本地裁であり、平島正道裁判長は懲役18年(求刑懲役20年)の判決を言い渡した。
判決によると、熊谷被告は昨年9月6日、当時住んでいた熊本市中央区の集合住宅の出入り口付近で、女性の首をひものようなもので絞めて殺害し、両足を引っ張るなどして近くの堀に遺体を遺棄した。
被告は女性が住んでいたマンションの元清掃員で、昨年4月から資産家のふりをして寄付や支援をにおわせ、女性に近づいた。しかし犯行当日にうそがばれ、女性から非難されたことから逆に腹を立て、「殺害して黙らせてやろう」などと考えて犯行に及んだ、と判決は認定した。
平島裁判長は「原因はあくまでもうそをついてだまし続けた被告にある。被害者に落ち度はなく、被告に同情できる点はまったくない」と非難。被告側が公判で「(女性の)口をふさごうと思った」などと主張した点についても、「少なくとも3分以上にわたって(首を)絞め続けた。被害者を確実に殺害しようとしたもので、強い殺意に基づく悪質な犯行」として退けた。
判決後、裁判員が記者会見に応じた。50代の男性は「動機や現場の状況がわかりづらい裁判だった」と振り返った。
(朝日新聞の記事から引用)


最終陳述で「これから償っていきたい」と述べた熊谷被告ですが、何をどう償うつもりなのでしょうか?
犯行についての熊谷被告の供述を検察は、「不合理で信用できない点が多く、真摯な反省が認められない」と検事は批判しています
まったくその通りで、裁判員を務めた男性が「動機や現場の状況がわかりづらい裁判」と言うのも頷けます。熊谷被告側が検察の論告をそのまま受け入れ事実関係を争わなかったため、殺害の方法など問題にならなかったという事情があります
熊谷被告がどんな人生を歩んだ人物かは不明ながらも、そうやって本質にかかわらない部分で物分り良さげに振る舞い、外面だけ立派な人物なのでしょう。要は中身がないのです
追加情報として、熊谷被告は2007年5月に寸借詐欺で逮捕された前科が明らかになっています。当時の報道を貼っておきます


熊本北署は9日、芸能プロダクションの名刺を使って金をだまし取ったとして、住所不定、無職、熊谷和洋容疑者(54)を詐欺容疑で逮捕した。
調べでは、熊谷容疑者は1月8日午後2時ごろ、熊本市の百貨店で販売員の女性(39)に「財布をなくしたので、3000円貸して下さい。必ず4時10分までに返しに来ます」とうそをいい、3000円をだまし取った疑い。熊谷容疑者が東京の大手芸能プロダクションの名刺を差し出したため、女性はすっかり信用してしまったという。
同署管内では1月以降、同様の寸借詐欺が数件起きており、余罪についても追及する。
(毎日新聞の記事から引用)

54歳で無職というのは、別の事件で服役していた刑務所から出てきたばかりだったのかもしれません
そして寸借詐欺だからというのではありませんが、熊谷被告の公判での言い分には疑いが拭いきれません取り調べでの供述も、おそらく真実とはかけ離れた自己弁護山盛りで、被害者である楢原さんに責任を押し付けるような言い分に終始したのではないか、と推測されます
しかし、そこを掘り返し、熊谷被告の人間性を分析し断罪するのが裁判の目的ではありません。検察の立件を受け入れるか、受け入れないかを争う場です。裁判を、「真実を明らかにする場」などと形容する報道がしばしば見られますが、間違いです
本件のように真実はそっちのけで、ただ殺害を認めた被告に判決が言い渡されるだけの場であり、何も明からにされないのです
何とも虚しい裁判ですが、おそらく熊谷被告は控訴しないのでしょうからこれで決着となります
追記:熊谷被告は判決を不服として控訴したものの、その後取り下げています

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岡山女児殺害事件を考える 初公判で否認

岡山県津山市で2004年9月、小学3年生の女児が刺し殺された事件で起訴された勝田州彦被告の裁判が始まりました
本件への関与が浮上し、取り調べを受け始めた時点で、別の少女への傷害事件で有罪となり、刑務所に服役中でした
つまり、少女や女児を狙った犯行をこれまでに何回となく繰り返してきた人物です


岡山県津山市で平成16年9月、小学3年の女児=当時(9)=を殺害したとして殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた無職、勝田州彦被告(42)の裁判員裁判の初公判が6日、岡山地裁で開かれた。
物証に乏しいこの事件の公判では、捜査段階の「自白」の信用性が最大の争点だ。検察側は勝田被告が殺害を認めた取り調べの映像について、供述内容を文字化した「反訳書」を証拠提出し岡山地裁に採用された。一方の弁護側は弁護人不在時の供述だとして証拠価値を認めず、「自白」の信用性だけでなく任意性も否定。可視化(録音・録画)された取り調べをめぐっても、双方が激しい攻防を繰り広げている。
刑事司法において、密室での取り調べは長く「冤罪(えんざい)の温床」と批判され、弁護人の立ち会いに代わる手段として日本弁護士連合会などを中心に可視化が求められてきた。現在は裁判員裁判と検察の独自捜査事件について、取り調べの全過程の録音・録画が義務化されている。
だが制度が浸透するにつれ、録音・録画は弁護側にとって〝もろ刃の剣(つるぎ)〟であることが顕在化する。被告が一度犯行を認めてしまうと、後にそれを覆しても、映像の強い訴求力をぬぐい去れないからだ。
最高検は平成27年に映像を有罪立証のために積極活用する方針を打ち出し、裁判では検察側が相次いで証拠請求。これに弁護側が反対するケースが目立つようになった。
被告も撮影されていることが分かった上で供述しているのに、なぜ証拠の採否が問題になるのか。実は自発的に語っているように見えても、取調官に迎合したり、自暴自棄になって虚偽供述に及んだりするケースがあるからだ。
(中略)
裁判所が取り調べ映像の証拠使用に警鐘を鳴らしたのが、17年の栃木小1女児殺害事件の公判だった。同じく捜査段階での「自白」が争点となり、1審の宇都宮地裁では7時間以上にわたり録音・録画の記録を法廷で再生。地裁は28年に「実際に体験した者でなければ語ることのできない内容だ」と無期懲役を言い渡した。
しかし、東京高裁は30年の控訴審判決で、無期懲役を維持しつつ、録音・録画で犯罪事実を直接的に認定したのは違法と判断。「自発的であっても虚偽供述の可能性が見落とされる危険性がある」とした。
今回、岡山地裁がまず反訳書を証拠採用したのも、映像が裁判員に与える直接的な影響を踏まえたものとみられる。
これに対し、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「映像は表情や語り方など非言語的要素もくみ取ることができるベストエビデンス」とした上で、「なぜあえて文字化して情報量を少なくするのか。全ての証拠を提示した上で裁判員に判断を委ねるべきだ」と疑問を呈した。
(産経新聞の記事から引用)


心証として勝田被告は限りなく黒であり、犯人の可能性が高いわけです。ただ、犯行当時は防犯カメラやドライブレコーダーも普及しておらず、証拠となるものは多くありません。犯行当時、勝田被告は兵庫県の自宅から日本海方面へドライブに出かけ、その途中で津山市内を走っている時に被害者を見かけ、後をつけ自宅に押し入ったとされます
しかし、勝田被告は事件当時、津山市には行ってないと否定しているわけで、ここを検察が立証しなければなりません。これまでの報道では明らかにされていない「隠し球」のような証拠、証言があるのでしょうか?
犯行の形態そのものはいかにも勝田被告の手口と思われる、性犯罪者による行動です
元々勝田被告は、TVアニメで主人公の少女が腹を刺され苦悶するシーンを見て、被虐的な快感に目覚めたとされます。その後、刃物で繰り返し自分の腹を刺し、性的快感を味わっていたのですが、医者からこれ以上自傷行為を繰り返すのは命の危険があると止められました。自傷行為ができなくなった勝田被告は、性的な快感を味わうため少女や女児の腹を刃物で刺したり、殴りつけるようになった…という経緯があります
そのため、勝田被告の側もどこまで積極的に無罪を立証できるか注目されます。「やっていない」とか、「現場に行ってない」というだけの主張では弱いわけで
いずれにせよ、裁判の展開を注意深く見守りましょう

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