甲府放火殺人 少年A(19歳)の生き様

事件報道にあたっては加害者、被害者の何をどこまで報道するかが問題になります
甲府放火殺人では週刊新潮が逮捕された容疑者の氏名を「遠藤裕喜」であると報じ、顔写真の掲載しています
少年法第61条では付審判少年、犯罪少年については氏名、容貌等の出版、報道を禁止しています。禁止はしていますが、罰則はありません
ただし、出版物に掲載した場合、民事訴訟の対象とされ当該少年または親族から損害賠償を請求される可能性があります
また、この少年法は報道、出版を規制の対象としており、個人のブログは報道でも出版でもないので対象外となります。少年法制定当時はブログやツイッターのない時代ですから、最初から想定されていないのです
何のための、誰のための報道規制か
少年法が実名報道を禁じているのは、一般に少年を保護するためとされます。非行少年であれ犯罪少年であれ、未成年者として保護する必要があるとの立場です。それを怪しむつもりはないのですが、甲府放火殺人のような重大事件とシンナー吸引事件を同一に扱う必要があるのか、と言いたくなります
本件のように死刑が求刑される可能性のある重大事件については、19歳であろうと15歳であろうと氏名を秘匿するのはいかがなものかと思うのです
遠藤裕喜の生い立ち
幾つかの週刊誌の報道にある遠藤裕喜容疑者の生い立ちに触れたものをまとめておきます
遠藤容疑者が小学生だった頃、電気工事関係の会社に勤務していた父親が窃盗で逮捕されており、両親は離婚します。よその会社の資材置場にあった中古の家庭用給水器2台を盗んだという犯行です。本件だけなら微罪扱いで、執行猶予付き判決が出て刑務所に収監されなかったと思うのですが、他に余罪があったのかどうか?
ともあれ、小学生だった遠藤容疑者にとっては突然の出来事であり、父親がいなくなって生活も苦しくなったのでしょう。新聞に父親の名前が出たため学校ではいじめられ、円形脱毛症になったとも報じられています。学校に行かず、家の前で呆然と立ち尽くす姿が近隣の住民に目撃されたのだとか。おそらく父が帰ってくるのを期待し、家の外に立っていたものと思われます
その後、母親が再婚し新たな家庭を築いたものの、遠藤容疑者は人見知りで疑い深く、他人と交流するのを苦手な少年のままだったようです
中学1年の夏休み明けから不登校となり、その状態が続いたようです。中学卒業後は、山梨県立中央高校定時制に入学し、被害者である井上夫妻の長女と出会うわけです
犯行までの経緯
遠藤容疑者は生徒会長に立候補し、選出されます。井上さんの長女も生徒会の役員をしています。そこで2人がどのような出会いをし、遠藤容疑者が一方的に惚れ込んだか、詳細は明らかになっていません。遠藤容疑者から聴取し、さらに井上さんの長女からも事情を聞いているはずですが、おそらく2人の話は噛み合わないのではないか、と想像します
遠藤容疑者が思い描いていた恋愛劇と、井上さん長女が感じたつきまとい被害は真逆でしょうから、合致するはずがありません
遠藤容疑者なら、「彼女はそっけないフリをしていたが、自分のことを愛していたはずだ」とか、「二人の出会いは運命だった」など虚実まぜた話をするのでしょう
遠藤容疑者の生い立ちに同情する余地はあれど、自分が不幸な生い立ちだからといって他人を不幸に巻き込むような真似をするのは大間違いです
さて、犯罪少年の氏名の特定が事件を解き明かすのに資するのであれば、それは必要だと自分は考えます。事件を解き明かすのに必要でないなら匿名で構わないでしょう
本件の場合、遠藤容疑者の生い立ちそのものが事件を解き明かす鍵となっていますので、実名報道は必要だったと思います。日弁連は怒り狂うでしょうが

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