大口病院不審死 3人殺害しても無期懲役判決

入院患者の点滴に消毒薬を混入させ3人を殺害したとして起訴された久保木愛弓被告の判決公判があり、横浜地裁は無期懲役の判決を言い渡しています。主文の読み上げを後回しにしていたので、死刑判決が下されるのかと思っていました(死刑判決の場合、主文の読み上げを後回しにするのが慣例です。最初に主文「死刑」を言い渡してしまうと、被告人が判決理由を読み上げても冷静に聞いていられないため、との理由)
担当検事はさぞ苦い顔をしていたのではないでしょうか?
久保木被告は高齢の入院患者ばかり40人以上を殺害したものと推測され、日本の犯罪史上例を見ないほどの凶悪犯罪です。立件し、起訴できたのは3人の殺害と殺人予備でしたが、それでも3人を殺害して無期懲役というのは異例の判決です
老人福祉施設で高齢者3人ベランダから投げ落として殺害した今井死刑囚の犯行と比べて、久保木被告に特段配慮すべき事由があったとは思えないのであり、3人殺害しても死刑にはならないという悪しき前例を残したのではないか、と思います
終末医療を担当する病院での勤務が精神的に辛いのであれば、他の医療機関に転職する選択肢はあったわけです。転職もせず、そのまま勤務し続け、40人以上の命を奪うなど医療従事者としてどうか、と言いたくなるわけで
以下、東京新聞の記事から引用します


横浜市の旧大口病院(現横浜はじめ病院・休診中)で2016年9月、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して中毒死させたとして、殺人罪などに問われた元看護師久保木愛弓被告(34)の裁判員裁判の判決公判が9日午後1時半から、横浜地裁(家令和典裁判長)であり、無期懲役の判決を言い渡した。裁判長は「死刑を選択することにはちゅうちょを感じざるをえず、死刑を科するのことがやむをえないとまでは言えない」と述べた。
被告は起訴内容を認めており、犯行当時の刑事責任能力の程度が争点だった。死刑を求刑した検察側に対し、弁護側は無期懲役が相当だと主張していた。
家令裁判長は主文を後回しに判決理由の朗読から始めた。この中で被告の精神状態について「(発達障害の一種である)自閉スペクトラム症(ASD)の特性があり、うつ病の状態ではあったが、ほかのものは認められない。被告人には責任能力があると認められる。弁護側の主張は採用できない」と指摘した。
また裁判長は、3人が亡くなった結果を「極めて重大」とし、犯行の内容も「計画性があり、生命軽視の度合いが強い悪質な物と評価する以外にない」と言及、「動機も身勝手極まりないものでくむべき点はみあたりません」とも語った。
その上で、動機の形成過程を検討。自閉スペクトラム症(ASD)の特性があり、臨機応変な対応が必要な看護師の資質に恵まれていないことや、久保木被告が「自分でも務まる」と考えていた大口病院の勤務内容が事前に聞いていたことと違っていた点、うつ状態だったことなどを「被告人の努力ではいかんともし難い事情が色濃く影響」と刑を軽くする理由として評価。
久保木被告が法廷で自分に不利益な事情も素直に語ったことや、償い方が分からないと言っていたのに「死んで償いたい」と述べるに至った点から「更生可能性も認められます」と判断した。
一連の裁判で、被告は動機について、以前に患者家族から責められた経験を挙げ「責められるのが怖かった。私の勤務中に亡くなるのを避けたかった」と説明。最終意見陳述では「かけがえのない命を奪ってしまって申し訳なく思っています。死んで償いたいと思っています」と述べていた。
検察側は起訴前の精神鑑定に基づき、被告には完全責任能力があったと主張した。「自閉スペクトラム症(ASD)」の特性から、患者の家族への対応に不安を抱え続け、動機を形成する遠因になったが、犯行自体への影響は極めて小さいと指摘。「社会的弱者である患者を守るべき立場にありながら、自己の都合のみを考えた身勝手な動機で、酌量の余地はない」として、「極刑はやむを得ない」と主張した。
弁護側は、犯行時にうつ病を発症し、統合失調症の前兆症状の可能性があったとする起訴後の精神鑑定を基に、心神耗弱状態にあったと主張し、極刑を回避するよう求めた。「患者家族への対応を避けたいという目的を達成するため、根本的な解決にならない殺人を選んだ」として、統合失調症の影響を挙げた。被告は素早く状況判断する能力が低いとした上で「自己肯定感の低さから看護師を辞められず、追い詰められていた」とも指摘した。
起訴状によると、久保木被告は2016年9月15~19日ごろ、いずれも入院患者の興津朝江さん=当時(78)=と西川惣蔵さん=同(88)、八巻信雄さん=同(88)=の点滴に消毒液を混入して同16~20日ごろに殺害したほか、さらに殺害目的で同18~19日ごろ、点滴袋5個に消毒液を入れたとされる。
(東京新聞の記事から引用)


検察は控訴し、争うべきでしょう
これでは殺害された方(起訴されなかった殺人の被害者も含め)は納得できないはずです
過去の記事でも引用しましたが、点滴に混入された消毒薬によってどの患者も多大な苦痛を味わって亡くなっているのであり、安楽死などといえたものではありません。高齢者にとっては酷すぎる死です
検察側の被告人質問で、「他にも(起訴された3件の殺人以外にも)やったのか?」と訊かれた久保木被告は回答を拒否しており、自分の罪と本当に向き合っているようには思えません
裁判官がなぜそうまで久保木被告に同情したのか、自分には理解不能です

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