テーマ:小説

村上春樹「一九七三年のピンボール」研究Ⅲ

前回はこの作品を自分がどう読んだのか、概要を書きましたその補足として、「僕」がなぜ直子を求め続けているのか、を考えますご存知のように初期の村上春樹の作品に、繰り返し直子と呼ばれる女性が登場します。あるいは直子とは呼ばれない、直子らしき女性がただ、「一九七三年のピンボール」の直子が「ノルウェイの森」の直子と同一人物であるとは限りません個々…
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村上春樹「一九七三年のピンボール」研究Ⅱ

村上春樹の初期作品の1つにして、芥川賞候補作にも挙げられた「一九七三年のピンボール」を取り上げる第2弾です京都大学小島基洋准教授(論文執筆次は札幌大学講師)の論文「村上春樹『1973年のピンボール』論ーフリッパー、配電盤、ゲーム・ティルト、リプレイあるいは、双子の女の子、直子、くしゃみ、『純粋理性批判』の無効性ー」から引用します ht…
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「風の歌を聴け」 回想あるいは追憶、創作

小説家のデビュー作には、その作家の文学的資質が詰まっている、と評価する向きもあります。もちろん個人差は大きいのであり、すべての作家がデビュー作だけで評価できるとは限りません村上春樹の場合、デビュー作「風の歌を聴け」でいわゆる村上春樹らしいスタイルが完成していると言えるのですが、これまでにも述べたように世の作家や批評家には極めて不評であり…
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「ノルウェイの森」 直子の人物像について

山崎眞紀子札幌大学教授の論文「直子の乾いた声 : 村上春樹『ノルウェイの森』論、『めくらやなぎと眠る女』とともに。」から引用しますこの論文は前段部分と後段部分で異なるテーマが設定されており、読んでいていくつも疑問符が浮かびました 直子の乾いた声 : 村上春樹『ノルウェイの森』論、『めくらやなぎと眠る女』とともに。https://sap…
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作家川上未映子がネットの中傷に賠償求め提訴

インターネット上での誹謗中傷に対し、芸能人や作家が反撃に出るケースが増えていますこれまでは有名税だとして誹謗中傷を受け流す対応が一般的でしたが、悪質な行為には断固として反撃し、損害賠償を求めて民事訴訟を提起するなり、名誉毀損で刑事告訴するなりの法的措置を取るように変化していくのでしょうですから、従来のようにSNSに中傷する内容を書き込ん…
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村上春樹「風の歌を聴け」 自我の語りと沈黙

村上春樹の初期作品をブログで取り上げるため、古くなった文庫本を引っぱり出してきてパラパラと読み返す作業が個人的には随分と楽しい時間に感じられます。同時に懐かしくもあり読み返してまた新たな楽しみを味わえるというのは、何だかとても得をした気分になるもので、だからこそ誰かに伝えたくなるのかもしれません今回は太田鈴子昭和女子大学特任教授による論…
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「海辺のカフカ」を巡る冒険 性と暴力の神話として(2)

遠藤伸治県立広島大教授の論文「村上春樹『海辺のカフカ』論ー性と暴力をめぐる現代の神話ー」を引き続き叩き台にさせてもらいます論文は以下のアドレスからダウンロードできます 村上春樹『海辺のカフカ』論 : 性と暴力をめぐる現代の神話https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/list/creator/Shinji…
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韓国の仮想戦記小説 日本を植民地に

時折、韓国で「日本に勝って支配する」という設定の仮想戦記小説がブームになります古くは金辰明の小説「ムクゲの花が咲きました」が有名です。日本に核ミサイルを撃ち込むというストーリーがウケて、韓国では450万部も売れる大ベストセラーとなり、テレビドラマ化もされました今度はジャーナリストとして東京特派員も経験した人物が書いた「韓日戦争未来小説2…
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村上春樹「一九七三年のピンボール」研究

村上春樹の小説を続けて取り上げています「一九七三年のピンボール」は初期の村上作品の中でも、自分が最も好きな小説です。その理由については以前、当ブログで書きましたので繰り返しませんいつもなら誰かの論文を引き合いにして語るところですが、いくつか検討したものの使うのに適切なものがなかったので断念しますこの小説は昭和55年上期の芥川賞候補に挙げ…
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「風の歌を聴け」 鼠は主人公の影

村上春樹の「風の歌を聴け」を取り上げます。またしても山根由美恵山口大学教育学部准教授の論文から引用させてもらいます。論文は山根准教授が広島大学大学院に在籍中に書いたものですが、自分にとっては驚きや発見がありました既に述べたように村上春樹はこの「風の歌を聴け」と「一九七三年のピンボール」が芥川賞候補に挙げられたものの、受賞は逃していますこ…
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「ノルウェイの森」 直子と緑

昨日に続いて、山根由美恵山口大学教育学部准教授の論文を叩き台に、「ノルウェイの森」について書きます。今回は後半部分、直子と緑について触れます 「村上春樹『ノルウェイの森』論ー緑への手記ー」https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/00015885おわりにー「緑への手記」ー三十七歳まで「僕」は、「キズキ」の…
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「ノルウェイの森」 直子の自死について

「ノルウェイの森」を読んだのは職場から離れ、半年ほど東京に滞在していたときでした。欅の並木が色づき、秋の気配が濃くなる中、「ノルウェイの森」をひたすら読んでいた、と記憶していますそんな回顧に浸り、過去を懐かしんで…というつもりでもないのですが、「ノルウェイの森」について、まだまだ話したいことが多くありますので取り上げます今回は山根由美恵…
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「海辺のカフカ」 自己愛の行方

甲南大学紀要143巻(2006年)に掲載された田中雅史教授の論文「内部と外部を重ねる選択 : 村上春樹『海辺のカフカ』に見られる自己愛的イメージと退行的倫理」を叩き台にして、「海辺のカフカ」の主人公である少年の自己愛について考えます単に自己愛と書くと、漠然とした概念であり、あれもこれも自己愛、となりかねません例えば昨日取り上げた、妻の連…
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「海辺のカフカ」を巡る冒険 性と暴力の神話として

今回は遠藤伸治広島県立大学教授の「村上春樹『海辺のカフカ』論ー性と暴力をめぐる現代の神話」を手がかりに、作品を読み解く冒険へ踏み出します以下のページからPDFファイルがダウンロードできます 村上春樹『海辺のカフカ』論 : 性と暴力をめぐる現代の神話https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/list/cre…
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中国は「ノルウェイの森」をどう読んだのか2

前回に参考にした許翠微による別の論文「村上春樹の 『ノルウェイの森』 と衛慧の 『上海ベイビー』 の比較考察」を取り上げます「上海ベイビー」は一時期話題になった小説ですが、現在ではほとんど話題にもならず、ブックオフで1冊100円で売られています。自分はそれを購入して読みました。東京辺りの女子大を出た学生が風俗嬢として働きながら小説を書い…
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中国は「ノルウェイの森」をどう読んだのか

以前、村上春樹の作品が韓国や中国でどう読まれているか、取り上げました今回はその延長で、村上春樹の個々の作品に対する「読み」を少しだけ掘り下げてみようと思いますただ、作品をどう読むか人それぞれであり、日本だろうと中国だろうと読み手によって大きな違いが生じるのは言うまでもありませんであるものの、実際に中国の研究者による論文を読んでみると、い…
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「涼宮ハルヒの憂鬱」批評を巡って

「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズの小説やアニメーションについて、何かまとまったものを書いておきたいとは思ったものの、放置して数年が経過しています。殺人事件やいじめ問題の話題は脇に置いて、今回は「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズを取り上げます原作小説に絞って語るべきか、京都アニメーションの優れた作画と演出によるアニメーションを語るべきかは悩むところ…
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「村上春樹ブーム」は虚構であり幻想と書く評論家

村上春樹をめぐる言説を不定期で取り上げています。今回は山田高明という人物です。どのような人物であるか、よく知りません。Bingで検索をかけた際、たまたま上位にヒットしたページを読んでみたところ、笑ってしまうほどお粗末な内容でしたので、あえて取り上げることのしました。もちろん、村上春樹の作品について何を言うのも自由ですが、批判の内容が「爆…
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「ノルウェイの森」をセカイ系だと批評する東浩紀

少し古くなりましたが、2016年9月から10月にかけて、評論家東浩紀がツイッターに書き込んだ、村上春樹の「ノルウェイの森」と新海誠の「君の名は。」をセカイ系の作品として語ろうとする試みについて取り上げますこれも一連のセカイ系と呼ばれるアニメーション作品について考えるシリーズの一環です東浩紀のツイッターから、関係する部分をコピペして繋げた…
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東出昌大 村上春樹作品映画を降板

不倫で叩かれまくっている東出昌大の近況です。村上春樹の短編小説を映画化する企画があり、東出昌大も起用される予定であったものの、不倫騒動が祟って降板に追い込まれた、と週刊誌が取り上げています 国民的女優を見事射止めて築き上げた「よき夫、よきパパ」のイメージが瓦解して、はや1カ月半。不倫報道以降、俳優・東出昌大(32)を取り巻く状況は…
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ベストセラー作家湊かなえ 直木賞逃す(4度目)

ここ最近、直木賞への関心が薄れたので言及してきませんでした。今回の直木賞は「告白」などのベストセラー作品で知られる湊かなえが4度目のノミネートとなり、さすがに受賞するだろうと思い込んでいましたが、またしても選に漏れたのであり、意外な感があります。そこでスポーツ報知の記事を引用し、考えてみることにします 4度目の“落選”湊かなえさん…
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「日本のラノベは時代遅れ」と批判する中国

それぞれの国に独自の文化があります。他方で、漫画やアニメのように国を超えて流通するコンテンツもあります。しかし、日本のさまざまなジャンルの漫画やアニメすべてが、他国で歓迎されるはずはなく、ウケるものウケないものに分かれるのは当然です以前、中国のアニメ「一人之下」を紹介しました。中国では圧倒的な人気を誇るウェッブマンガを原作にしたアニメで…
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中国は村上春樹をどう読んだのか3

「日本の文化が外国でどのように理解され、受け入れられているのか」が自分の関心事の1つであるため、たびたび「村上春樹がどのように読まれているか」について取り上げています筑波大学の大学院に留学していた中国人女性のブログ「雨天の書」は、質の高い論評です。「無断転載を禁じる」と断り書きがあるため引用するかどうか、躊躇してきました。ブログ主は20…
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映画「ドリーミング村上春樹」

デンマーク人の翻訳家メッテ・ホルムは村上春樹の作品を始め、日本の文学作品をデンマーク語に翻訳して紹介してきた人物です現在は群馬県に住んでおり、日本の小説を訳すには日本の文化に直接触れるべきだとの考えを実践しているのだとかそのためゲームセンターに足を運んでピンボールをプレーしたり、キャバクラへ行っておねえさんたちの仕事ぶりに接したるするな…
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韓国は村上春樹をどのように読んだのか2

以前にも取り上げたテーマで、その第2弾のつもりです村上春樹の「ノルウェイの森」が韓国で翻訳、出版され一大ブームを巻き起こしたのですが、読者層はいわゆる「386世代」(1990年代に30歳代で、1980年代の民主化運動に関わった11960年代生まれの者)であり、この世代は上の世代と価値観もライフスタイルにも大きな違いがあるとされます当時、…
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中国は村上春樹をどう読んだのか2

「中国は村上春樹をどう読んだのか」の第2弾です前回は村上春樹作品の翻訳を数多く手掛けている林小華の「総序 村上春樹の小説の世界と芸術の魅力」を含め、紹介しました中国における村上春樹研究の第一人者として名前の挙げられる林小華ですが、彼の翻訳にはさまざまな問題があると指摘するブログがありましたので、取り上げます 『ノルウェイの森』の中国語…
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中国は村上春樹をどう読んだのか

馮英華の論文「中国における村上春樹文学の受容」を紹介します。中国では村上春樹の作品のほとんどが翻訳・出版されており、広く読者を獲得するだけでなく、研究も盛んだと馮英華は書いていますどのような読み方をするのも自由だと言いたいところですが、思想や言論を厳しく統制する中国にあっては、作品を自由に解釈するなどあり得ない話なのでしょう。それがこの…
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盗作騒動「美しい顔」 小説家北条裕子のその後

北条裕子の小説「美しい顔」は群像新人文学賞を受賞し、芥川賞候補にも挙げられて注目を集めました。他方で、作品の中に東北震災を題材にしたドキュメンタリーの文章からの無断引用が多数指摘され、バッシングを受ける事態になりました上記のドキュメンタリーを出版していた新潮社が抗議したのに対し、講談社は「盗作に当たらない」と北条裕子を全面的に庇い、参考…
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「韓国文学がブーム」と煽るメディア

「韓国文学などに価値はない」と腐す狙いはありません朝日新聞や東洋経済、共同通信など複数のメディアが、示し合わせたかのように「韓国文学がブームだ」とする記事を掲載しており、本当にそうなのかと思ったわけです朝日新聞の記事は有料扱いなので、東洋経済オンラインの記事を引用します 日韓不和なのに空前の「韓国文学ブーム」のなぜhttps://…
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韓国は村上春樹をどのように読んだのか

ノーベル文学賞候補と言われるようになって久しい村上春樹ですから、文芸雑誌を手掛ける出版社は「受賞記念号」に向け、評論家などによる予定原稿を集め準備を終えているのでしょういつまでも受賞できないため、予定原稿が古びてしまい、世相との間にギャップが広がっている可能性も懸念されます。令和の時代にはまた、新たな評価もあるわけで…さて、今回は韓国で…
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