テーマ:村上春樹

村上春樹「一九七三年のピンボール」研究Ⅳ

当ブログの記事、『村上春樹「一九七三年のピンボール」研究Ⅲ』では「僕」と「直子」の関係を考え、思うところを書きました。「僕」と「鼠」との関係は次回に、と書きましたので取り上げますその前に、「風の歌を聴け」を取り上げた研究のうちいくつかが、「鼠」は「僕」の影であり、2人は同一人物のそれぞれの側面を表したものとする見解を述べていると、以前に…
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「海辺のカフカ」 エディプスコンプレックスを巡って

秋めいてきましたのでじっくり読書、と言いたいところですがなかなか思うようには読めません未読の村上春樹の長編小説と短編小説集を買って、ポツポツと読み始めたところです。ブログで取り上げるのはまだ先になります今回は「海辺のカフカ」についての柴田勝二東京外語大教授の論文を取り上げます気になっていた、「海辺のカフカ」におけるオイディプス神話とフロ…
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村上春樹「ハナレイ・ベイ」 深い余韻と波

動画配信サイト「GYAO!」で村上春樹の小説を映画化した「ハナレイ・ベイ」が7月20日までの間、無料公開されています以前から見たいと思っていた映画でしたので、さっそく朝から視聴しました何と言っても主演の吉田羊が圧巻です。残念ながら映画館で公開されたときには話題にもならず、興行結果もいまいちだったのですが原作「ハナレイ・ベイ」は村上春樹の…
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村上春樹とレイモンド・カーヴァー 救済の不在

加藤典洋著「村上春樹論集②」(若草書房刊)に収録されている「異質な眠りの感触」を取り上げます赤文字は加藤典洋の論評からの引用、紫文字は村上春樹の著作からの引用、黒文字は自分の文ですこの加藤典洋の論評「異質な眠りの感触」は村上春樹の短編小説「眠り」を取り上げたものですが、自分の興味はそこではなく、以下の部分にあります (22ページ)村上…
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「風の歌を聴け」 デレク・ハートフィールド考

前回は加藤典洋編「村上春樹イエローページ」(荒地出版)に掲載された論評を手がかりに、「一九七三年のピンボール」について書きました今回は「風の歌を聴け」を取り上げます。とある音楽評論家が「作曲家のデビュー作というのは荒削りではありけれど、その作曲家の最良の部分がつまっている」と述べたように、村上春樹の初期作品はどれも色褪せない魅力がありま…
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村上春樹「一九七三年のピンボール」 不在という存在

荒地出版社から刊行された加藤典洋編「イエローページ 村上春樹」掲載の論評からいくつか取り上げてみようと思いますこれは村上春樹の小説を「井戸を潜ってどこまで行けるか、試してみよう」という意図で編纂された論評で、加藤典洋他32名の論者による共同作業で書かれたものです(メンバーはおそらく明治学院大教授である加藤典洋のゼミナール参加者とその他な…
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村上春樹「納屋を焼く」と映画「バーニング」

村上春樹作品を取り上げた研究者の論文を引用し、好き勝手なことを書いているシリーズです今回は例の、「納屋を焼く」をイ・チャンドン監督が映画化した「バーニング」に言及します。映画「バーニング」を取り上げるのは今回で2度目になります。映画そのものについては前回、思うところを述べたとおりであり、見解は変わりません。肯定的な評価はできなかったのが…
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村上春樹「踊る小人」と南米文学の影響

広島大学の研究紀要に収められた山根由美恵山口大学教育学部准教授の論文「村上春樹『踊る小人』論ーボルヘスの影」を読んで、思うところを書き述べます。先日、ダルミ・カタリン女史の論文「村上春樹と魔術的リアリズム : 『踊る小人』に見る一九八〇年代」を読んで感じたところと重なる部分もありますので、そちらも併せて目を通していただければ幸いです …
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村上春樹「踊る小人」と魔術的リアリズム

村上春樹作品を取り上げるシリーズです。どうしても長編小説が注目され評価されるのですが、短編にも味わい作品があります。深い今回は「蛍・納屋を焼く・その他の短編」に収められている「踊る小人」を取り上げます雑誌「新潮」に「踊る小人」が掲載されたのが1984年ですから、初期の作品です前述の短編集では「ノルウェイの森」の先駆けとなった「蛍」や「納…
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「海辺のカフカ」 迷宮としての物語

村上春樹の小説「海辺のカフカ」について幾度か取り上げています。が、語り尽くしたという気がしません何度言及しようと、語り尽くせない不思議な小説です今日は漠然と「海辺のカフカ」と三島由紀夫の「午後の曳航」について考えていました。少年の暴虐性を描いた作品としては共通した部分がある作品です。いずれは「午後の曳航」と「海辺のカフカ」について論じる…
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村上春樹「アイロンのある風景」と「焚き火」

村上春樹の短編小説集「神の子どもたちはみな踊る」の中から、「アイロンのある風景」を取り上げました登場人物である関西弁をしゃべるおっちゃん三宅が描いている絵は「アイロンのある風景」と題されており、それがアイロンを使う妻の不在を描いたもの、という私見を述べたところです今回は「アイロンのある風景」でもとりわけ印象深い「焚き火」について言及しま…
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「風の歌を聴け」 デレク・ハートフィールド讃

村上春樹の小説「風の歌を聴け」の中で特別異彩を放っているのは、デレク・ハートフィールドに対する熱烈な賛辞です。もちろん、デレク・ハートフィールドは村上による想像上の人物であり、実在しません。この実在しない作家を全面に出し、「僕は文章についての多くをデレク・ハートフィールドに学んだ」と表明するところから物語が始まる、何とも不思議な構成にな…
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村上春樹「アイロンのある風景」を眺めて

村上春樹の短編集「神の子どもたちはみな踊る」の中から、「アイロンのある風景」を取り上げます以前にもこの短編集は取り上げたところですが、言い足りない部分があって気になっていました今回は山口大学人文学部の研究紀要に掲載された平野芳信山口大学人文学部教授の論文「村上春樹『アイロンのある風景』論 : 身代わりとしての物語」から一部、引用させてい…
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村上春樹が世界の読者に刺さる理由

心に響くという意味の表現が昨今では「刺さる」と表記されるようになりました。いつからなのでしょう?ライトノベル「涼宮ハルヒ」シリーズへの言及は一区切りとして、久しぶりに村上春樹を巡る旅を再開させます。経済誌「東洋経済」掲載の記事で、村上作品の英訳を数多くこなしているハーバード大名誉教授ジェイ・ルービンがインタビューに応じたものです2015…
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村上春樹 井戸と異界の物語

村上春樹の作品にはしばしば異世界(異界)が登場します。また、井戸が異世界との通路としても使われますその点について考えるべく、いくつかの論文を読み込んできました今回取り上げるのは井坂康志の論文です井坂康志はピーター・ドラッカーの研究者で、ドラッカー学会の事務局長の他、いくつもの職を兼ねている人物のようです。詳しいことは分かりません(調べて…
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村上春樹「一九七三年のピンボール」研究Ⅲ

前回はこの作品を自分がどう読んだのか、概要を書きましたその補足として、「僕」がなぜ直子を求め続けているのか、を考えますご存知のように初期の村上春樹の作品に、繰り返し直子と呼ばれる女性が登場します。あるいは直子とは呼ばれない、直子らしき女性がただ、「一九七三年のピンボール」の直子が「ノルウェイの森」の直子と同一人物であるとは限りません個々…
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村上春樹「一九七三年のピンボール」研究Ⅱ

村上春樹の初期作品の1つにして、芥川賞候補作にも挙げられた「一九七三年のピンボール」を取り上げる第2弾です京都大学小島基洋准教授(論文執筆次は札幌大学講師)の論文「村上春樹『1973年のピンボール』論ーフリッパー、配電盤、ゲーム・ティルト、リプレイあるいは、双子の女の子、直子、くしゃみ、『純粋理性批判』の無効性ー」から引用します ht…
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「風の歌を聴け」 回想あるいは追憶、創作

小説家のデビュー作には、その作家の文学的資質が詰まっている、と評価する向きもあります。もちろん個人差は大きいのであり、すべての作家がデビュー作だけで評価できるとは限りません村上春樹の場合、デビュー作「風の歌を聴け」でいわゆる村上春樹らしいスタイルが完成していると言えるのですが、これまでにも述べたように世の作家や批評家には極めて不評であり…
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「ノルウェイの森」 直子の人物像について

山崎眞紀子札幌大学教授の論文「直子の乾いた声 : 村上春樹『ノルウェイの森』論、『めくらやなぎと眠る女』とともに。」から引用しますこの論文は前段部分と後段部分で異なるテーマが設定されており、読んでいていくつも疑問符が浮かびました 直子の乾いた声 : 村上春樹『ノルウェイの森』論、『めくらやなぎと眠る女』とともに。https://sap…
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村上春樹「風の歌を聴け」 自我の語りと沈黙

村上春樹の初期作品をブログで取り上げるため、古くなった文庫本を引っぱり出してきてパラパラと読み返す作業が個人的には随分と楽しい時間に感じられます。同時に懐かしくもあり読み返してまた新たな楽しみを味わえるというのは、何だかとても得をした気分になるもので、だからこそ誰かに伝えたくなるのかもしれません今回は太田鈴子昭和女子大学特任教授による論…
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「海辺のカフカ」を巡る冒険 性と暴力の神話として(2)

遠藤伸治県立広島大教授の論文「村上春樹『海辺のカフカ』論ー性と暴力をめぐる現代の神話ー」を引き続き叩き台にさせてもらいます論文は以下のアドレスからダウンロードできます 村上春樹『海辺のカフカ』論 : 性と暴力をめぐる現代の神話https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/list/creator/Shinji…
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村上春樹「一九七三年のピンボール」研究

村上春樹の小説を続けて取り上げています「一九七三年のピンボール」は初期の村上作品の中でも、自分が最も好きな小説です。その理由については以前、当ブログで書きましたので繰り返しませんいつもなら誰かの論文を引き合いにして語るところですが、いくつか検討したものの使うのに適切なものがなかったので断念しますこの小説は昭和55年上期の芥川賞候補に挙げ…
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「風の歌を聴け」 鼠は主人公の影

村上春樹の「風の歌を聴け」を取り上げます。またしても山根由美恵山口大学教育学部准教授の論文から引用させてもらいます。論文は山根准教授が広島大学大学院に在籍中に書いたものですが、自分にとっては驚きや発見がありました既に述べたように村上春樹はこの「風の歌を聴け」と「一九七三年のピンボール」が芥川賞候補に挙げられたものの、受賞は逃していますこ…
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「ノルウェイの森」 直子と緑

昨日に続いて、山根由美恵山口大学教育学部准教授の論文を叩き台に、「ノルウェイの森」について書きます。今回は後半部分、直子と緑について触れます 「村上春樹『ノルウェイの森』論ー緑への手記ー」https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/00015885おわりにー「緑への手記」ー三十七歳まで「僕」は、「キズキ」の…
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「ノルウェイの森」 直子の自死について

「ノルウェイの森」を読んだのは職場から離れ、半年ほど東京に滞在していたときでした。欅の並木が色づき、秋の気配が濃くなる中、「ノルウェイの森」をひたすら読んでいた、と記憶していますそんな回顧に浸り、過去を懐かしんで…というつもりでもないのですが、「ノルウェイの森」について、まだまだ話したいことが多くありますので取り上げます今回は山根由美恵…
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「海辺のカフカ」 自己愛の行方

甲南大学紀要143巻(2006年)に掲載された田中雅史教授の論文「内部と外部を重ねる選択 : 村上春樹『海辺のカフカ』に見られる自己愛的イメージと退行的倫理」を叩き台にして、「海辺のカフカ」の主人公である少年の自己愛について考えます単に自己愛と書くと、漠然とした概念であり、あれもこれも自己愛、となりかねません例えば昨日取り上げた、妻の連…
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「海辺のカフカ」を巡る冒険 性と暴力の神話として

今回は遠藤伸治広島県立大学教授の「村上春樹『海辺のカフカ』論ー性と暴力をめぐる現代の神話」を手がかりに、作品を読み解く冒険へ踏み出します以下のページからPDFファイルがダウンロードできます 村上春樹『海辺のカフカ』論 : 性と暴力をめぐる現代の神話https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/list/cre…
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中国は「ノルウェイの森」をどう読んだのか2

前回に参考にした許翠微による別の論文「村上春樹の 『ノルウェイの森』 と衛慧の 『上海ベイビー』 の比較考察」を取り上げます「上海ベイビー」は一時期話題になった小説ですが、現在ではほとんど話題にもならず、ブックオフで1冊100円で売られています。自分はそれを購入して読みました。東京辺りの女子大を出た学生が風俗嬢として働きながら小説を書い…
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中国は「ノルウェイの森」をどう読んだのか

以前、村上春樹の作品が韓国や中国でどう読まれているか、取り上げました今回はその延長で、村上春樹の個々の作品に対する「読み」を少しだけ掘り下げてみようと思いますただ、作品をどう読むか人それぞれであり、日本だろうと中国だろうと読み手によって大きな違いが生じるのは言うまでもありませんであるものの、実際に中国の研究者による論文を読んでみると、い…
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「村上春樹ブーム」は虚構であり幻想と書く評論家

村上春樹をめぐる言説を不定期で取り上げています。今回は山田高明という人物です。どのような人物であるか、よく知りません。Bingで検索をかけた際、たまたま上位にヒットしたページを読んでみたところ、笑ってしまうほどお粗末な内容でしたので、あえて取り上げることのしました。もちろん、村上春樹の作品について何を言うのも自由ですが、批判の内容が「爆…
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