二重人格をめぐる冒険

映画やテレビドラマ、小説では相変わらず「二重人格」が登場します
よほど日本人の嗜好にあっているのかもしれません
日本家族心理学会年報16「パーソナリティの障害」に収録されている一丸勝太郎の「多重人格性障害と家族」によれば、19世紀末から1920年代まで「多重人格性障害」の報告例は多数あったが、その後激減し、「古典的な精神障害」と言われるようになった、と経緯がまとめられています
その後、1970年代後半から家庭内の虐待や育児放棄によって人格に障害をもつ例の報告が北米で激増した、とあります
虐待を受けて育った少年や少女がさまざまな人格を演じる小説?が注目を集めたりもしました
なお1996年にアメリカ精神医学の診断マニュアルは「多重人格性障害」ではなく、「解離性同一性障害」の呼称を使うようになりました
しかし、上記のように日本では相変わらず「二重人格」との呼称が好んで使われています
先に触れた宮崎勤の事件でも、二度目となる精神鑑定では「多重人格説」が展開されています
この精神鑑定が公判に登場するのは1995年ですから「多重人格性障害」の呼称が使われていないのは不思議ではありません
一丸は上記の論文の中で精神分析が「心的外傷論」から「空想論」へと焦点を移したと問題視しています。つまり実体としての外傷体験を直視するのではなく、幻想や妄想として語られる外傷体験こそが神経症の原因となる、と考えたところに重大な誤りがある、と言いたいのかもしれません(やや強引にまとめました)
実際、幼児が身体への直接的な暴力にさらされ死亡する事件が頻繁に起きているわけですから、その指摘ももっともだと感じます
外傷体験をどう扱うか、についてはまた別の機会に書きます

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