誘惑・挑発・拒絶

心理臨床の場ではクライアントからのさまざまな働きかけに直面します

タイトルにもある誘惑もその一つです

「どちらに住んでいるんですか」とか「お子さんはいるんですか」などの質問がクライアント

から出ます

そこからさらに質問は私的な領域へとじわじわ踏み込んできます

クライアントのプライベートな話を聞きだす見返りとして、私的な話を打ち明けるべきでは

ないと耳にタコができるくらいやかましく指導されるのですが、クライアントとの関係を壊さ

ないために自分の家族の話などをするカウンセラーもいます

クライアントはカウンセラーが信用できるかどうか試すため、さまざまな要求を出してくる

のです

中にはクライアントを励ますために、あるいは開けっぴろげに自己を語るよう促すために

自分自身について延々と語る人もいますが、こうした方法は危険だと言われます

根底には「クライアントに拒絶されたくない」との不安があり、ついつい相手の誘惑に応じ

てしまったり、機嫌を伺うような態度に出てしまうのです。それでも自分がしっかりと主導

権を握っているから大丈夫と思うのですが、実際はクライアントに主導権を握られてしま

い、クライアントのペースに押し切られていまって失敗するケースもあります

または、「何かあったらいつでも電話してきなさい」と自分の携帯電話の番号をクライア

ントに伝えているカウンセラーもいます。安心感を与えるための措置だろうと思いますが、

ときには夜中でも朝方でも電話をかけてくるクライアントがいて、その後の対応に苦慮す

る場合もあります

頻繁に接触を重ねるうち、仕事場以外でもクライアントの「相談に乗る」ようになり、つい

には男女の関係に陥る例も皆無ではありません。そうならないよう、周囲の人間から何

度も忠告されるのですが、「自分は大丈夫。ちゃんとコントロールできているから」との過

信が一線を踏み越えてしまう結果になります

訓練を重ねた心理職の人間でもこうした起こるのです

学校の教師や教会の牧師といった仕事についている人が教え子や信者に手を出して問

題になったニュースを目にします。「自分だけは大丈夫」という過信は禁物です

えらそーな口調で書いていますが、「本当に自分は大丈夫か」と自問してみると、ちょっと

不安です