英国女性殺害 市橋容疑者の黙秘

リンゼイ・アン・ホーカー殺害事件で逮捕された市橋容疑者ですが、死体遺棄容疑についても黙秘しているようです


前回はこのブログで千葉県警が尋問役に、市橋容疑者についてのプロファイリングを担当し市橋容疑者を知り抜いている警部補を充てている、との報道を取り上げて言及しました


プロファイリングで容疑者の人格や行動様式をシミュレーションしたとしても、それは仮説にすぎません。ですから、仮想「市橋容疑者」を知っているだけであり、本人と対峙してみてようやくプロファイリングで描き出した人物像が妥当であったかどうか、が分かるのです
そして繰り返しになりますが、人格や行動様式を把握できたとしても供述を引き出せるかどうかは別の問題です
報知スポーツの記事には検察官が「死刑になるぞ」と市橋容疑者を恫喝したとありますが、これは検察官の焦りというより常套手段なのでしょう
「最初に一発、ガツンとかませれば吐く」と思い込んでいるに違いまりません
しかし、市橋容疑者は意地になって逃亡を続けたように頑固な性格であり、取調べでも「一切沈黙してやる」と決めてかかっていると思われます
犯行を自供したり被害者遺族に反省の弁を述べたりは絶対しないぞ、と決意を固めているのです
根底には医学部受験に失敗し浪人を繰り返した挫折経験があり、親や他人への恨みつらみで歪んでしまい、殺人を犯しても「オレは絶対に反省などするものか」と開き直ることで自分をたもっていると推測されます
世間一般では沈黙は拒絶であり、何も語ろうとしない行為です
しかし、精神分析では沈黙も一つの意思表示であり、人の振る舞いであり、そこにはかならず意味があると考えます
何度も述べてきましたが、精神分析は「人の行為の意味」を問う試みなのです
ですから市橋容疑者は黙秘をいう行為を貫くことで、彼なりの意思を表明し続けていると解釈されます
とはいえ現時点ではメディアの報道以外に判断材料はありませんので、市橋容疑者の内面を推し量るのは困難です
せめて市橋容疑者が描いたとされる絵でもあれば、そこからさまざまな情報が読み取れるのですが
こどもの分析をする際、こどもは自身の中にある怒り、悲しみ、恐れ、憧れなどを言葉で十分に表現できない場合があるため絵を描かせたり、粘土細工をさせたり、人形遊びなどを用いてその内面を表現させる方法をとります
稚拙に見えるこどもの絵からも実に多くの情報が読み取れますし、人形遊び中には彼なり彼女なりの心の動きが投影されます
市橋容疑者相手に人形遊びをしろ、とは言いませんが、刑事ドラマのように机を叩いて怒鳴りつけるだけでは何も得られません
犯行現場となった市橋容疑者のマンションに残された遺留品を警察は押収しているのでしょう
分析家ならばその中にある絵画やメモなどを本人の前に出し、さまざまな解釈を提示します。当然、市橋容疑者はそんな解釈を無視し、沈黙を続けるでしょうが、それでも表情の変化、視線の動き、指先の位置などに必ず反応が示されます
あるいは幼児期のエピソード、小中学生の頃の同級生の証言などなど本人の成育史に沿って解釈すべき材料は山ほどあります
結果的に市橋容疑者が口を開き何らかの供述をするかどうかは不明ですが、しかし「死刑にしてやる」と恫喝するより、多くの反応・情報を引き出せると思います
ただし、精神分析は「行為の意味」を問うものであり、この場合は「犯罪という行為の意味」を考察しようとするものです
ですから「犯罪の原因」や「犯罪の動機」や「犯罪の理由」を解明しようとする警察の営為とは別物です
警察は「犯罪の原因」を解き明かして立証する必要がありますが、精神分析に立証責任はなく、「犯罪の意味」が事実であるかどうかは問題になりません
事実であろうとなかろうと分析家の提示した解釈に、被疑者が自分の内にある欲動を見出し、「そうであったかもしれない」と受け入れ腑に落ちるかが重視されます

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