元厚生次官殺害事件を考える6 人格障害と発達障害

元厚生省事務次官とその妻を襲撃して死傷させた事件で先日、さいたま地裁から死刑判決を受けた小泉被告について、産経新聞系メディアが取り上げています
いささかも反省の色を見せず、法廷で被害者とその家族を罵倒しまくる異常さについて、心理学者のコメントを載せたものです

死刑判決の小泉毅被告 心の中を推測すると… 専門家に聞く

当ブログでも、小泉被告がしきりに強調している「愛犬の敵討ち」はメタファーであり、本当の動機ではないと指摘しました
「自身の挫折や失敗を社会のせいにする」小泉被告の思考パターンは心理学者の指摘通りです。が、なぜそのような人格が形成されたのかについては踏み込んでいないので物足りない気がします
「かつては社会からはみ出しがちな人間も地域社会が受容していたが、いまはそうではない」との指摘も根拠としては薄いように思われます
本当に昔は小泉被告のような身勝手で粗暴な人物を地域社会が受容していたのでしょうか?
昔は村八分とか、特定の人物を地域から排除する仕組みが公然と存在していたのではないでしょうか?
そうした事実を無視して、「昔は受容していた」と断定するのはいかがなものか、と思います
もちろん、実際に面接も心理テストもしていない小泉被告について踏み込んだモノの言い方をするのは危険であり、学問的には正しくない態度であるわけで、遠回しな言い方になってしまうのは止むを得ないのですが
過去に報道された小泉被告の言動を見る限り、人格障害を疑うべきだと個人的には思います
前に取り上げた佐世保市の小学校で6年生の女子児童が同級生を殺害した事件では、精神鑑定の結果「現時点で精神障害や発達障害とは言えない」とされ、責任能力に問題はないとされました
その後、児童自立支援施設へ収容された女子児童は「広汎性発達障害」と診断されています。これは診察した医師の所見ですから、精神鑑定時と異なる結果が出ても不思議ではありませんし、長期にわたる観察の結果「広汎性発達障害」と診断するに足りるだけの情報を得られたとも考えられます
思春期のこどもたちは成長とともに変容が激しく、症状が急速に悪化したり、新たな症状を発したりしますので、長期的な経過観察が重要とされます
一方大人の場合は人格もほぼ固まっており、短期間で大きな変動はないとされます
結果として、時間の経過とともに小泉被告の精神状態が大きく変化するとは考えにくいのです
被告の弁護人は一審判決を不服として控訴していますので、高等裁判所での二審で再度の精神鑑定を要求するものと思われます。弁護人側の望む結論(犯行時心神耗弱で責任は問えない、とする鑑定結果)が出るまで何度でも精神鑑定を要求するつもりなのでしょう
鑑定を実施する精神科医や心理学者が拠り所とする理論によって鑑定結果にばらつきが生じる件については、以前にも言及しました
ですが、本件のように本人が明確な殺意をもって周到に計画を立て実行している以上、犯行時責任能力はなかったと断言する精神科医や心理学者はいないでしょう
それでもなお精神鑑定を求めるメリットがあるのか、疑問です。それで何を明らかにできるのでしょうか?
上記のように、単に被告人に有利な鑑定結果を求めるだけの法廷戦術としてこれを利用すなど論外であり、税金の無駄遣いです

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