学習塾殺人事件を考える3 こどもとの接し方

京都宇治市で2005年に起きた学習塾での殺人事件について語るシリーズの3回目です
事件のその後として、学習塾を経営していた企業に対する民事訴訟で約9900万円の支払いを決定する判決が出ました
学習塾側の過失が認められた結果と言えます
では、具体的にどのような問題があったのか考えてみましょう
講師として採用する際、どこまで個人情報に踏み込んで調べ、その人物を判断するかは企業としても頭の痛い問題です。本件の萩野受刑者も強盗事件で執行猶予付き判決を受けていた事実や、同志社大学を停学になっていた事実を伏せたまま、塾の講師として採用されています
萩野受刑者の親は息子が学習塾の講師に採用された事実を知っていたはずですが、刑事事件を起こしていた息子がそのような職に就くのことに、何の懸念も抱かなかったのでしょうか?
学習塾では講師として採用された者に数日間、指導方法など研修しただけで、そのまま塾で授業をさせています

学習塾、メンタル面はチェックせず 

もし採用から研修に至る過程で、対人スキルがどれくらいあるのか、さまざまな状況を設定して本人の反応をテストしていたなら、萩野受刑者の立ち振る舞いの異常を発見できた可能性はあります
生徒が講師の言うことをきかない、講師に反発するといった危機的場面に遭遇したなら、萩野受刑者はパニックを起こし、異常な反応を示したでしょう
思い通りにならないとき、想定外の事態が発生したとき、拒絶されたとき萩野受刑者は混乱し、戸惑い、怒りをぶちまけるような行動に出たはずです
こうした書き方をすると、アスペルガー障害や広汎性発達障害のこどもを持つ親御さんは不快な思いをされると推察しますが、あくまでこの事件を読み解くための仮説であり、差別的な意図をもって書いているわけではありません
塾の講師となって報酬を得るからには、アルバイト学生といえども責任が伴います
その責任を塾の側も、萩野受刑者の側もまったく重視していなかったと思われます
萩野受刑者は塾でこどもたち相手に悪ふざけをしたり、異様に長いお説教したり、授業そっちのけで自慢話をしたりと、数々のトラブルを引き起こしています
女の子の体を触ることもあったようで、塾側が講師にどのような研修をしていたのか疑問視されるのは当然です
萩野受刑者はこどもたちとの接し方をどうするか、自覚もなく、ただ同年齢のこどものよに接していたのではないのか、と思われます。一方でプライドだけは高く、学歴自慢もその表れでしょう
こどもっぽさと高いプライドというちぐはぐな萩野受刑者の態度を問題視し、指摘したのが殺害されて被害者だったと思われます
こどもは大人が思う以上によく観察し、大人のウソを見抜き、それを容赦なく指摘する場合があるのです
もとより人との接し方に難があった萩野受刑者ですから、この指摘に上手く対処できるはずはありません
自分の全存在を否定されたかのように感じ、この子を殺さなければ自分は生きていけないと思い詰めるようになったと考えられます
ですが、学習塾側は塾内における萩野受刑者の行動をどう見ていたのでしょうか?
こども相手の塾の講師など誰にでも務まる、と考えているのなら大きな誤りです
また、有名大学の学生だから講師に適しているというわけでもありません
こうした人事管理上の不手際が9900万円の損害賠償という結果に結びついたのです
が、それでもなお、この事件は防ぐことができなかったのかと考えてしまいます

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