豊川引き篭もり殺人を考える5 インターネット依存という誤解

愛知県豊川市で起きたひきこもりの青年による殺人事件について考えるシリーズの5回目です
いくつかのニュースサイト、個人のブログなど見て回ったのですが、事件の衝撃に戸惑への戸惑い覚えたままそれをどう表現してよいのか困惑している論調が目立つように思います
中には、「ひきこもりの若者を施設に隔離し、軍隊式の生活で強制労働させるべき」との過激な主張を展開しているブログもありますが
しかし、過激な発言をして世間の耳目を集め、単に己の見識をアピールしているだけのようにしか見えません。自分を顕示するだけでは何の解決にもなりません
日頃からインターネットを敵視する毎日新聞は、インターネットの仮想空間こそが諸悪の根源である、と言いたげな記事を書いています


記事の中で大学教授のコメントを引用し、読者にインターネットが悪いと印象付けようとする意図が見えます
江口昇勇・日本福祉大教授(臨床心理学)は「対人関係を作るのが困難で引きこもった人には、ネットの世界は親子や兄弟関係よりリアリティーがあり、自分がこの世に生きる場となっている」と指摘する。「ネットを止めることは、彼の理解を超える行為だった」

ひきこもり状態にある人にとって、インターネットが唯一の社会との接点であるとさまざまな人が指摘しているのですが、だからといってひきこもりの若者が「仮想空間」に逃避していると決めつけるのは疑問です
インターネット依存がひきこもりの原因ではありません。ひきこもっているからインターネットの使用頻度、依存が高まっているわけで、認識が逆ではないでしょうか?
もちろん江口教授も、ひきこもりの若者がインターネットの仮想空間に逃避していると断言しているわけではありません。毎日新聞があたかもそうであるかのような記事の書き方をしている、と指摘したいのです
情緒的な機微の理解を苦手とする広汎性発達障害などの負因を抱えた人は、対人関係をうまく保てないため、職場や学校、家庭という場は苦手なのでしょう
ゆえに情緒的な繋がりが薄い、間接的な対人コミュニケーションの手段であるインターネットの利用頻度が高くなるのは無理からぬ理由があるのです
毎日新聞はただ単に、「ひきこもり」→「インターネット」→「仮想空間への逃避」という乱暴な構図に事件を無理やり押し込めているように見えます
事件を起こした若者がインターネットでの買い物を繰り返したのはなぜか、前にも述べました。しかし毎日新聞は、インターネットでの買い物にどっぷりはまったのは、彼がリアリティ(現実検討能力)を失い仮想空間へ逃げ込んでしまった結果だと言いたいようです
インターネットを見ているうち、あれもこれも欲しくなり手当たり次第に買ってしまうのは、現実検討能力を失ったためだ、と
届いた品物に手をつけずに放置していたのは、その品々が彼の本当に求めていたものではなく関心の対象外であったためだ、と自分は考えます。彼は自分が何を求めているのか、自覚していなかったのでしょう。ただ彼の無意識だけが何かを求めて止まず、その衝動が買い物という行動へ走らせたのです
その衝動が何であったのか解明し、行動の意味を問うことこそ、この事件の様相を明らかにするのだと思います
仮想空間への逃避云々はまったく別な次元の話であり、本件とは直接関係ありません
インターネットの利用に警鐘を鳴らそうとするのが毎日新聞の立場のようですが、時代に逆行した主張と言わざるを得ません
インターネットを規制したからといってひきこもり問題は解決しないのですから

(関連記事)
豊川引き篭もり殺人を考える1 対処法の問題
豊川引き篭もり殺人を考える2 なぜ15年間放置されたか
豊川引き篭もり殺人を考える3 殺人事件はまれなケース
豊川引き篭もり殺人を考える4 殺人未遂のケースは多発?
豊川引き篭もり殺人を考える6 引き篭もりは精神病?
豊川引き篭もり殺人を考える7 責任能力で論争
豊川引き篭もり殺人を考える8 懲役30年の判決
神戸5人殺傷事件を考える 逮捕後は黙秘
神戸5人殺傷事件を考える 2度連続の精神鑑定
鹿児島5人殺害事件を考える 岩倉知広容疑者とは
鹿児島5人殺害事件を考える 岩倉被告起訴も初公判はまだ
今も存在する戸塚ヨットスクール
突撃おばさん
突撃おばさん その2
元農水事務次官 ひきこもりの息子殺害で逮捕
元農水事務次官 息子のいじめと家庭内暴力
元農水事務次官 息子殺害で懲役8年求刑
元農水事務次官 息子殺害で懲役6年の実刑判決
宝塚ボーガン殺人 家族3人殺害


インターネット怖い話 パソコン中毒から逃れるために (朝日文庫 お 54-1)
朝日新聞社
岡崎 博之

ユーザレビュー:
よく知られた話のなか ...
周知のことばかり読み ...
ネチケットを勉強しな ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る