裁判員制度で初の死刑求刑

2009年8月、東京の「みみかき店」勤務江尻美保さん(21歳、事件時)と祖母を殺害した林貢二被告に対する論告求刑で、検察側は「結果は重大で、真摯な反省の態度はない」と死刑を求刑した、と報じられています
裁判員制度が始まって以来、初の死刑求刑になるそうです


こうした裁判のニュースがあると、「裁判員に選ばれた一般市民が死刑の判断を下せるのか?」という議論を始める人や人権団体が登場します
しかし、個別の事件と「裁判員が死刑の判断を下せるのかどうか」という問題をごちゃ混ぜにして論じるべきではありません
そもそも死刑廃止を主張する人権団体はどのような事件であれ、どのような事由であれ死刑を批判し、反対を唱えるわけですから議論にすらなりません
人権団体は、「もし冤罪だったら、死刑判決を支持した裁判員はどう責任を取るのか?」といった主張まで持ち出し、死刑の責任を裁判員である一般市民にも押し付けようとする論法に出ます
ですが、今回の事件のように被告が殺人を認めているケースも数多くあり、すべての殺人事件が冤罪というわけではありません
犯行を否認している殺人事件なら裁判員の参加する一審(地方裁判所)の判断だjけで死刑が確定するケースはなく、二審の高等裁判所へ持ち込まれます
ですから裁判員の判断が死刑を確定させ、被告の命を奪う殺人行為であるかのように宣伝するのは間違いですし、こじつけです
この事件は裁判員制度でなくても死刑が求刑されたであろうと思われる、実に身勝手な犯行でした
その事件の中身ですが、「耳かき店」という聞きなれない風俗店が登場して注目を集めました。女性の膝枕で耳掃除をしてもらいながらあれこれ会話をし、料金を支払うシステムのようです
林被告はその店の女性店員に執着し、通いつめ、ストーカー行為をした挙句に殺害したのですが、公判では被害者を殺害した事実は認めているものの、「恋愛感情を抱いていなかった」と否認しています
これが「「被告は動機をきちんと語らず、自分のしたことに正面から向き合っていない」と批判される理由の1つです
世の中にはキャバクラ嬢に惚れ込み店に通いつめる男性もいたりします。初老の男性がスナックでアルバイトをしている若い女性に熱を上げ、せっせと通ったりする例もあります
しかし、そこにあるのは商売上の客とホステスの関係であり、恋愛関係ではありません
それを勘違いし、相思相愛だと勝手に思い込む人間は「野暮」と言われます
遊びと割り切り、店の女性に執着したり干渉したりつきまとったりせず、嫌われないよう振る舞うのが「粋」とされます
林被告はつきまとった挙句に殺害してしまったのですから、「野暮」の極みです
しかし、ストーカー行為をする人間の中には「自分はストーカーではない」と自分の行為を否認する人は珍しくありません。林被告の場合もそのようです
この事件については後日、取り上げたいと思います

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日本評論社
藥師寺 幸二

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