4人を射殺した永山則夫を聖人視するメディア

琉球新報のコラムが裁判員制度について、「究極の判断を、裁判員は迫られる」と死刑判断の難しさを指摘しています
しかし、そこには4人を射殺した永山則夫を聖人であるかのように見る、歪んだ価値観が感じられます

▼元死刑囚は赤貧、極寒、無知と劣悪な環境で育った。母親にも置き去りにされた。二審はそれを酌んで無期懲役。だが、最高裁で差し戻された。人を裁くことは自らも裁かれることだ。あの判断は正しかったかと反(はん)芻(すう)する作業が生涯続く
▼13年前、絞首台に消えた元死刑囚は社会に二つのものを“残した”。死刑の「永山基準」はよく知られる。それとあまり知られないが「本の印税を貧しい子どもたちに」との遺志に基づく永山子ども基金。「連続射殺魔」とは遠い別の顔が見える。


これは永山の生い立ちのエピソードの一部分を切り取ったものであり、永山を賛美しようとする意図が濃厚です
永山則夫事件とは何であったのか、もう一度よく吟味する必要があります。長文のファイルですが是非、読んでいただきたいと思います

永山則夫連続射殺魔事件

永山が子どもの頃、青森の実家に帰る母親に捨てられたのは事実ですが、その後母親の許に引き取られて、一緒に生活しています
家出を繰り返す則夫を引き取るため母親は遠方まで出かけていますし、盗みをした則夫を見捨てず引き取ってもいます
「赤貧、極寒、無知と劣悪な環境で育った」と琉球新報は書いていますが、それは永山と彼を賛美する人たちの宣伝文句です
兄たちは貧しいながらもその中で成長し就職し、自立しており、殺人事件など起こしていません。則夫だけが道を踏み外したのであり、それを「無知と劣悪な環境」のせいにはできません
中学卒業後(中学時代はほとんど不登校)、上京した則夫は就職し、まっとうな生活を送る機会はあったのです
しかし、勝手な理由で仕事をやめ、転職を繰り返すうちに転落していきます
それでも兄が就職の世話をしたりと、周囲の人は彼に手を差し伸べていました
「無知だったから、貧しかったから」と口実にするのはどうか、と思ってしまいます
無知だったから米軍基地に忍び込み、拳銃を盗む必要があったのでしょうか?
前にも書きましたが、永山によって射殺された4人の被害者遺族の中にはその後、悲惨な運命をたどった人たちもいます
著書「無知の涙」などなどの印税を被害者への賠償に充てたり、「永山子ども基金」設立を美談であるかのように扱うのは間違いでしょう

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