映画「桜の園」の感想など

桜の季節ではありませんが、横浜・相鉄本多劇場25周年記念公演として「櫻の園」が7月から上演されるとのニュースを見かけました。横浜まで舞台を観に行く機会はありませんので、映画「桜の園」について語ろうと思います
「櫻の園」といえばアントン・チェーホフの作品ですが、自分が取り上げるのは吉田秋生原作のマンガを映画化したものです
女子高の創立記念日に演劇部の生徒がチェーホフの「桜の園」を上演するという、劇中劇の形をとっています

櫻の園 予告


少女漫画の世界が映画として鑑賞にたえられるのか、という疑問を自分は抱いていたのですが、それがつまらない偏見だと思い知らされた作品でした
さて、物語はさほど複雑な構造ではありません
学校の創立記念日に「櫻の園」が上演される予定だったのですが、演劇部員の喫煙事件が発覚して職員会議となり、上演されるかどうか宙ぶらりんの状態になります
そこで高校生活の最後の思い出として舞台への意気込みを語る部員や、開演前のプレッシャーからいっそのこと中止になった方がよいと思いつめる部員など、さまざまに心が揺れ動きます
そんな演劇部員たちの心のゆらぎや葛藤を丁寧に映像化しています
映画のラストシーンで舞台の幕がいよいよ上がるのですが、燭台を手に小間使い役の中島ひろ子が凛とした表情で観客の前へ歩みだします。観客を前に上がったり、気後れする様子もなく歩を進める姿を見れば、彼女が演劇部の部長に選ばれた理由が理解できます。さらには女主人であるラネフスカヤ役ではなく、小間使いのドゥニャーシャ役に抜擢されたのも納得できるでしょう
真っ先に舞台に出てセリフを口にする小間使い役がこの舞台の要であり、その役をこなせる人間だからこそ、顧問の教師は彼女を演劇部の部長にし、小間使い役に起用したのだ、と
この「櫻の園」は日本アカデミー賞優秀作品賞など、実に21もの映画賞を受賞しました。それだけの評価が与えられて然るべき秀作だと思います

amazonのレビューを参考までに貼っておきます

邦画の最高傑作の一つ
今後どれだけ名作映画が作られようと、必ず自分の中のベスト3に止めておきたい作品。青春映画の金字塔だ。4話構成だった吉田秋生の原作を、うまく一つにまとめ上げ、原作を越える深さを作り出している。
この映画の中で重要なのは、起きている事件の顛末ではなく、演劇部を構成する少女達の動き。高校生の頃、誰もが感じただろう将来への期待や不安、現在の自分との葛藤、それぞれの少女達の姿を通して、誰もが持つ「記憶の匂い」を呼び覚ましてくれる。
ただ一つ惜しいのは、冒頭部において、2年生部員城丸と、その彼氏らしきしょぼい男の演技が最低なこと。その直後に登場する、部長役の中島ひろ子の神業的な演技と、その他の少女達の自然な演技により映画は復活するので、冒頭だけを見て見切りをつけるようなことが無いようにしていただきたい。
(仕切屋っぽい生意気な女子高生役の役作りも少しクドいが、まあ許せる範囲)

その後、2008年に福田沙紀やAKB48の大島優子らのキャストによりリメイクされた「櫻の園」でしたが、興行成績は振るわず大コケに終わりました(脚本は別人)
ちなみに7月から相鉄本多劇場で上演される「櫻の園」は、映画の脚本を手がけたじんのひろあきによるバージョンなので期待できます

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