「親の愛情不足で発達障害」 大阪市条例案の偏見

何かと物議をかもしている大阪維新の会ですが、今度は大阪市の条例案で「こどもの発達障害は親の愛情不足が原因だ」とする文言を盛り込んだため、批判を浴びる事態になっていると報じられています

愛情不足で発達障害?橋下市長が火消し

「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」と決めつけ、「(親の愛情不足が)虐待、非行、不登校、引きこもりに深く関与している」と断定し、「わが国の伝統的子育てで予防、防止できる」と主張する文言になっているようです
こうした主張は珍しいものではありません
いまだにあちらこちらで、「こどもの発達障害は子育てを間違ったからだ」とか、「親がこどもをちゃんと見ていないからだ」とする偏見が根強く存在します
発達障害やそれに類するさまざまな障害は先天的な原因もあれば、後天的な原因もあるのですが、そうした説明にまったく耳を貸そうともせず、「親が子育てを間違ったからだ」と決めつけ、それ以上検討も検証もしない人が大阪維新の会にも存在するのでしょう
さらに、こうした偏見の持ち主の中には、「日本の伝統的な子育ては正しかった。昔は発達障害なんてなかった」と言い出す人間がいるのでしょう
「昔は発達障害などなかった」とする見識は大間違いであり、発達障害という概念がなかったため、発達障害のこどもたちは認知もされず無視され迫害されてきただけです
発達障害を抱えた児童はさまざまな偏見にさらされ、いじめを受けてきたのですが、その被害すら社会から黙殺されてきたのであって、日本の伝統的な子育てが正しかったわけではありません
さて、大阪維新の会の中で、十分な議論ができるのでしょうか?
世間の批判を浴びても、何を批判されているのかさっぱり理解できない市議会議員もいて、議論にならない気すらします
大阪で幼い2人のこどもがマンションに放置され、餓死をする痛ましい事件が起きたのは記憶に新しいところです。が、あの事件でさえも、「甘やかされて育った人間が親になったから、簡単に育児を放棄してしまう」との偏見を書いたブログをいくつも目にしました
「こんな事件を起こすのは甘やかされて育ち、他者の痛みを理解できない人間に決まっている」との思い込みゆえなのでしょう
こうした思い込みを修正するのはなかなか難しいのです
現在では発達障害などさまざまな症状への対処法も研究されており、根気よく訓練を重ねることで行動の抑制を図ったり、社会への適応能力を高める方法も開発されつつあります。こうした取り組みを社会全体で支援し、障害のあるこどもたちへの理解を広げるためにこそ、大阪市は条例を制定しようとしているのでしょう
その条例に、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」と決めつけ、「(親の愛情不足が)虐待、非行、不登校、引きこもりに深く関与している」などといった偏見を持ち込むのは大きな誤りです

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大阪維新の会「教育基本条例案」何が問題か?
教育開発研究所
市川 昭午

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