名張毒ぶどう酒事件 再審請求認めず

5月25日、名古屋高等裁判所はいわゆる名張毒ぶどう酒事件で死刑判決が確定している奥西勝元被告(86)の再審開始を認めない決定をした、と報じられています
7度目の再審請求でした


再審認めず 開始決定取り消す 奥西元被告、特別抗告へ 名古屋高裁


この事件では奥西死刑囚に応援団がついており、冤罪の扱いで報じるメディアも増えています
ただ、本当に冤罪なのか、じっくりと吟味し検討する必要があると自分は考えます
「事件とは無関係の善良な市民がいきなり逮捕され、死刑囚にされた」かのような感情論で、冤罪だと決めつけるのは大間違いだからです
事件は1961年に起きており、田舎の警察が捜査したので、物証を押さえるよりも怪しい人間を引っ張ってきて自白させるという捜査手法が取られました
事件の経過と裁判の展開については、以下のサイトを参照願います


名張毒ぶどう酒事件


さて、上記のまとめサイトでは言及されていないのですが、事件が起きた名張市葛尾地区は18世帯の小さな集落でありながら、おそよ十数組の不倫カップルが存在していたのが警察の捜査で明らかになっています
つまりそれぞれの夫婦が他の夫婦と不倫関係を持ち、複雑極まりない愛憎関係が存在していたわけです
不倫関係を清算しようとする動機なら、奥西死刑囚以外の人間にもあったと考えられます。しかし、だからといって奥西死刑囚が無罪だという根拠にはなりません
ぶどう酒に毒を入れれば、それを10人以上の集会参加者が飲むと分かっていたのですから、無差別大量殺人になるのは明らかです。そこまでして不倫関係を清算する必要に追い詰められていたかどうか、考える必要があります
また、毒殺という方法なら男性の犯行とは限りません。女性でも可能です。毒入りのぶどう酒に口をつけ、飲まずに吐き出せばよいのですから。動機は「自分の夫と不倫をしている女性を殺し、排除しようとした」で説明できます
「ぶどう酒の王冠を歯で開栓した」という奥西死刑囚の供述に対し、王冠を再鑑定した結果、「歯で開けたとは考えられない」との指摘されています。これも女性が犯人であるなら自宅にあった栓抜きを持参して使った、と説明できます。女性なら最初から自分の歯で王冠を開けようとは考えず、栓抜きを使うはずです
が、しかし、警察はそんな可能性は考えず、奥西死刑囚を容疑者として抑え、犯行を自供させて一件落着と思ったのでしょう
事件当時、十分な補充捜査をしていればもっと多くの証拠を押さえられたはずです
上記の女性犯人説も自分の思いつきを書いただけであり、奥西死刑囚の無実を証すものではありません
結局、「犯人が奥西死刑囚でないのなら誰が真犯人か?」という根源的な部分を解決しないと、再審実現は難しいのでしょうか?
原判決に合理的な疑いを投げかけるだけの事実があれば再審を認めてもよいのではないか、と自分は思います
もちろん再審決定=無罪ではなく、再審の場で検察側・弁護側があらためて主張をぶつけ合い、審議をするのが筋でしょう
ただし、「疑わしきは被告人の利益に」という法理を当てはめるのは大反対で、被告人の側も積極的に無罪を立証すべきだと考えます

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