佐世保高1女子殺害事件を考える7 父親の自殺

佐世保市で同級生の女子高生を殺害した容疑で逮捕された生徒については、現在、精神鑑定が実施されています
彼女の父親である弁護士は10月5日に首をつって自殺をしており、精神鑑定にも影響を及ぼす懸念があります
父親の自殺については、以下のように報じられています


今年7月に起きた長崎県佐世保市の高1女子生徒殺害事件で、5日に首を吊った状態で見つかった加害者A子の父親の自宅からは遺書は見つからなかったという。
県警は自殺とみているというが、事件の最重要人物がいなくなったことで、真相解明は難しくなった。
父親は事件後、表に出ることはなく、自宅にもほとんど帰らなかったという。
「事件後、父親の自宅やA子のマンションは観光地のようになっていました。ただ、電気がついているところを見たことがない。どうやら福岡の方に身を寄せていたようです。弁護士だった父親は県内最大の弁護士事務所を構えていましたが、いつの間にか弁護士事務所の名前も変わっていて、本人もほとんど顔を出していなかったそうです」(地元タクシー運転手)
■被害者が有利に
父親は「どんな理由や原因でも娘の行為は決して許されるものではない」と謝罪する書面を公表し、遺族に対して補償の意向を示していた。「慰謝料は1億円近くになる」との話も出ていたが、父親が死亡したことで被害者への慰謝料はどうなるのか。
弁護士の紀藤正樹氏は言う。
「損害賠償に関していえば、被害者に有利になると思います。A子は16歳だったので、責任能力が発生する。親に損害賠償を請求しても勝てるかどうかは五分五分でした。A子が遺産を相続すれば、A子に直接、請求することが可能になります。とはいえ、こういったケースで被害者が求めるのは事件の真相解明です。慰謝料は二の次。被害者の遺族としてはやるせないでしょう」
遺族の悲しみは深くなるばかりだ。
(日刊ゲンダイの記事より引用)


別の報道では、佐世保市の教育委員会が取りまとめた報告書(小学生時に給食へ異物混入を繰り返して問題になったものの、親の反対によってカウンセリングが2回しか実施されなかった、と証したもの)に対して、父親は強い不満を抱いていたとあります
娘の異常な行動を親が匿い、有耶無耶にしてきたと決めつけられたことへの反発があったのでしょう
いわゆるメディア・スクラムと呼ばれる現象があって、各メディアが親の養育態度が間違っていたとか、娘の変容をよそに再婚に浮かれていたなどの記事を一斉に掲載したため、父親を追い詰めたと指摘する声もあります
が、しかし、本当のところは分かりません
たとえ各メディアが上記のように両親の養育態度を批判したにせよ、父親が反論をしたいのなら取材をしようというメディアもあったはずです
それができないほど追い詰められていたと表現もできますが、果たしてそうだったのでしょうか?
「被害者遺族に死んでわびる」ための行動だったのか、自身へのバッシングから逃れたいがゆえの行動だったのか、あるいは幾つもの要因から「もう死ぬ以外に途はない」と思い極めた上での行動だったのか?
そして本事件の犯人である娘は、父親の死をどのように受け止めたのでしょうか?
父親を自死に追いやった結果に満足したのかもしれません(かつで金属バットで父親を殴り殺そうとして果たせなかったのですから)
彼女が抱え込んでいた殺人への衝動が、父親殺しを目論むものであった可能性も否定できません。本人に質してみなければ分からないのですが、精神分析の側からすれば近親相姦願望とそれを断念するための父親殺しの幻想は決して奇異なものではなく、むしろ古典的なケースと言えます

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