マンション杭データ偽装事件 危機意識の欠如

三井不動産レジデンシャルが分譲したマンションで、基礎杭の施工データに偽装があり、建物が傾く被害が発生しています
杭打ち工事を請け負っていた旭化成グループの子会社、旭化成建材が施工時のデータを偽装し、岩盤に届いていない杭を岩盤まで打ち込んだようにごまかしていたと発覚しています
旭化成はこの問題発覚を受け謝罪会見を開いていますが、そこでの応対もしどろもどろで、かえって不信感を増すだけになってしまいました
なにせ問題が横浜のマンションにとどまらず、過去に施工を請け負った全国各地の3040件にも偽装の可能性が浮上したのであり、これらの改修、建て替えなど費用負担が旭化成に重くのしかかってきたのですから、社長ら経営陣が動転するのは分かります


22日になって、旭化成は、国土交通省に旭化成建材が杭打ち工事を担当した3040件のデータを報告。同日午後6時から国交省で、旭化成の柿沢信行執行役員と旭化成建材の堺正光常務が会見を行った。
データには件数のほか、集合住宅、学校、医療・福祉施設などの用途が明記されていたが、具体的な物件・施設の名称はなし。なぜ物件名は明かせないのか。記者団から繰り返し質問が飛んだが、「いたずらに怖さをあおることはできない」というばかり。田中氏は「現時点で言えないのなら、その(具体的な)理由を提示すべきだった」と疑問を呈した。
そもそも旭化成グループは、謝罪会見の意味を理解していないと田中氏は言う。
「謝罪会見というのは、自分たちに対する被害者の疑心暗鬼を取り除き、安心、安全と感じてもらうためにするもの。どれだけ相手の痛みを理解しているか表明する場所だ。まずはマンションの住民をはじめ、不安を抱えた人々に対して、自分たちがどれだけの“罪”を犯したのか、出席者同士が意識を共有することが大切だった」
3040件の調査が終われば、物件がセーフかアウトか、旭化成側は再び会見を開かざるを得なくなる。その際、これまでと同様、即答できないケースが出てくるのは想像に難くない。
(産経新聞の記事より引用)


三井不動産レジデンシャルは横浜のマンションについて、建て替えの方針を示しています。もちろん、住民の引越しや仮住居の家賃など、もろもろの費用は旭化成に全額負担させる気なのでしょう(ニュースへのコメントの中には、「さすが大手財閥系の不動産会社だ。対応がしっかりしている」と称賛するものがあります。しかし、この対応は旭化成に責任を丸投げしているだけで、褒められたものではありません)
ヘーベルハウスのブランドで企業イメージを確立した旭化成ですが、新たな偽装が発覚してさらなる建て替え工事を必要とされるケースが数百棟にも及びのなら、倒産の危機に瀕するかもしれません
なぜ杭打ちデータの偽装が繰り返し行われていたのか、会社側がこれに気がつかなかったのか、考えるのも虚しい気はするものの、考えてみましょう
おそらくは杭打ち工事を担当する少人数の専門家にすべて任せきりにし、旭化成建材の役員や部長、課長といった人たちは現場に足を運ぶこともなく、決められた手順どおりに作業が行われているか、施工のデータが正確に採取・記録されているか、点検もしていなかったのでしょう
つまりは自分たちが請け負っている工事の重要性を認識しておらず、施工不良により建物の建て替え云々という危機を意識していなかったと思われます
旭化成建材の部長や課長は本社でデスクワークをするだけが自分の仕事、と決めつけており、現場の監督を怠ったのはあまりに怠慢です
部長や課長がボーナスの一部を返上したり、給与カットに応じたくらいではマンションの建て替え費用も賄えません
もちろん、杭打ち工事を担当していた社員を解雇し退職金を不払いにしたところで、何の足しにもならないは言うまでもないことです
旭化成グループはこの先、10年~20年かけてこのツケを支払い続けるわけで、わずか数人の不心得な従業員による怠慢が、とてつもなく大きな債務になってしまいました

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