多摩川中1殺害事件を考える9 心理鑑定結果

川崎市の多摩川縁で当時、中学1年生だった上村遼太さんが殺害された事件の公判2日目では、弁護側が心理鑑定結果報告を提出しています
事件に関しては検察側がその事実関係を立証するわけですが、弁護側は情状に訴えるため心理鑑定を実施し、事件に至るまでの経緯と被告の心理的な力動や生育環境による影響を明らかにして、裁判官及び裁判員にアピールしたかったのでしょう
ただし、心理鑑定結果を重視するかどうかはあくまで裁判官と裁判員にかかっており、判決に及ぼす影響は微妙なところです


小5から「不良文化に接近」…でも下級生からの因縁で「弱さ直面」 臨床心理士が心理鑑定結果報告
臨床心理士は被告や家族から聞き取りを行うなどして鑑定を実施。「(発達障害など)大きな先天的なものは認められない」とした上で、小学校入学後、集中力に欠ける傾向が強まり、教諭から注意を受けたり、父親から体罰を受けることが多くなったと指摘。小学5年のころから、ゲームセンターに通い、万引や喫煙を行うようになったとし、「不良文化への接近が伺える」と分析した。
一方、中学校入学後には下級生に因縁をつけられるなどし、「自分の弱さに直面する事態」に陥ったとしている。その上で鑑定時の被告の心理状態などについて「自己中心性が見られ、精神発達は未熟だが、自分を受け入れてほしいとの欲求もある」などとした。
動機については、上村さんに加えた暴行が、知人に漏れたことを逆恨みしたことや、知人から報復されるかもしれないとする「追い詰められた心境」に起因すると指摘。
弁護人からの質問に答える形で「被告の親はルールを守らせる上で言語上のやりとりは少なく、(父親は)厳しく接した。(外国出身の)母親も日本語があまり上手でない中で言語のやりとりが成立していなかったのではないか」との分析を示した。
一方、検察側は昨年3~5月に行われた少年審判で被告が事件の責任について「3割は被害者にある」という趣旨の発言をしていたことを指摘。これに対して臨床心理士は「『よく考えると責任はないのでは』と発言するなど、変化が見られる」と話した。
(産経新聞の記事から引用)


横浜家庭裁判所で行われた少年審判の内容は非公開です。しかし、上記の記事によれば、「事件の責任の3割は上村君の側にある」と船橋被告が述べていたのが分かります。つまり、「あいつがチクったからこうなった」と船橋被告は考えており、自分ばかりが悪者扱いされるのを不満に思っていたのでしょう
しかし、時間の経過とともに考えも変化したようで、自らの責任を直視する方向へ移っていると心理鑑定では指摘しているようです
別の報道によると公判初日、船橋被告は上村さんの両親に対し、「死刑も覚悟している」と述べたと伝えられています
が、これが反省の結果としての覚悟であるかは疑わしく、裁判にかけられ世間の注目を浴びているとの実感からくる誤ったヒロイズム(英雄気取り)の結果ではないのかと勘ぐりたくなります。要するに格好をつけ、体裁を取り繕おうとする言動であり、自己顕示欲の反映です
現時点で船橋被告が死刑判決の重みや、刑罰に対してリアルな認識を持っているようには思えないのです
朝に時点でこのブログを書いています。今日が公判の3日目であり、最終陳述があって結審となります
船橋被告が何を語るのか、弁護側が最後に何を持ち出すのか、注目しましょう

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