安倍昭恵の日本主義を批評する中島岳志

奔放な言動で知られた安倍首相夫人が、森友学園との関わりの露呈により政治問題の当事者として注目され、野党は「国会に証人喚問せよ」と迫る事態にまで進展しました
が、国会への証人喚問は自民党の反対で実現せず、森友学園を運営していた篭池夫妻を補助金不正疑惑で逮捕する展開へ移行、刑事責任を問う段階へ至っています
これを疑惑隠しの国策捜査だと糾弾するメディアもあります。しかし、問題の核心は昭恵夫人を抱え込むことで、大阪府や国から補助金を引き出そうとした篭池夫妻の悪だくみであり、それを処罰するのは当然です
もちろん野党と一部のメディアは昭恵夫人が口利きをしたと立証することで、安倍首相を辞任に追い込みたかったのですから、現状には不満でしょう
さて、中日新聞のコラムで東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授(政治学)の中島岳志が安倍昭恵と日本主義、スピリチュアルについて語っていますので紹介します
中島岳志は北海道大学大学院の助教授だと思っていたら、いつの間にやら上記のポストに就いていました


ナチュラルとナショナル 日本主義に傾く危うさ 中島岳志
(前略)
しかし、ここで最大の転機がやってくる。「私らしく自分の人生を生きたい」と考え、新しい世界に飛び込んで行くことを決意する。大学院に入り勉強を始める一方、神社めぐりをきっかけにスピリチュアル(霊的な)カウンセラーや神道関係者、ニューエイジ系の自然主義者と交流し、精神世界への関心を深めた。その延長上で、農業と食に興味を持ち、無農薬・無添加食品にこだわる居酒屋「UZU」を東京に開店した。
スピリチュアルな自然主義者としての活動は、次第に政治性を帯び始める。東日本大震災を契機に脱原発運動へと接近し、行政の防潮堤政策を批判。社会活動家で安倍政権に批判的な三宅洋平と意気投合し、オスプレイ用ヘリパッド建設をめぐって対立が続く沖縄県の高江を訪問した。
一方で、大麻の神秘性と有用性を訴え、「『日本を取り戻す』ことは『大麻を取り戻す』こと」と発言。大麻は日本の神事と深い関係にあると言い、アメリカの占領政策によって大麻栽培が禁止されたと訴える。過疎地で産業用大麻を栽培する活動を支持し、鳥取県智頭町(ちづちょう)を視察したが、その当事者は昨年十月に大麻所持容疑で逮捕された。
スピリチュアルな活動が古来の神秘へと接続し、日本の精神性の称揚へと展開すると、その主張は国粋的な賛美を含むようになる。森友学園が開校を計画した「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長になり、その教育方針を支持した。
石井は言う。「そのベースにあるものは日本を神聖視する、危うさを含んだ、少し幼い思考ではないだろうか」
インターネットサイトBLOGOS(一六年十一月九日)には、社会学者の西田亮介による昭恵夫人へのインタビューが掲載されている。そこでは「日本の精神性が世界をリードしていかないと『地球が終わる』って、本当に信じているんです」と語り、日本の優位性が論じられる。自分が動くと物事が一気に進むのは、超越的な力が働いているからだと言い、霊的な使命感が示唆される。政策内容は異なっても、「日本を取り戻す」というスローガンによって、夫と一体化する。
従来、スピリチュアリティと政治の結びつきは、一九六〇年代後半から七〇年代のヒッピー文化を底流としてきたため、エコロジーやオーガニックという自然志向とともに、左派的な主張につながる傾向にあった。しかし、その近代批判が土着文化への回帰を促し、伝統礼賛論へと傾斜すると、時に「ニッポンすごい」という愛国的・右派的な言説へと合流する。
◆国土と民族性
この傾向は、戦前期の超国家主義者の性質と似ている。人生の煩悶(はんもん)を抱え、自然回帰を志向した農本主義者たちが、次第に日本精神を礼賛し、国体論による世界の統合を志向していったことはよく知られる。かつてナチス・ドイツも有機農業を称揚し、独自のエコロジー思想を打ち出した。ヒトラーは「化学肥料がドイツの土壌を破壊する」と訴え、純粋な民族性と国土のつながりを強調した。
<右派的な権力者・安倍晋三首相>と<スピリチュアルな自然主義者・安倍昭恵夫人>。
この両者の一体化は、危険な超国家主義を生み出しかねない。森友問題の中核は政治・行政による不公正な利益供与問題なのだが、昭恵夫人を媒介とすることで、それ以上に深刻な思想課題を含むことになっている。この点は重要である。
スピリチュアルな志向性が日本主義化する現象は、現代社会の中で広範に見られる。
ナチュラルなものへの共鳴が、ナショナルなものへの礼賛となる現象には注意深くなければならない。
(中日新聞の記事から引用)


エコロジーやらスピリチャル、あるいは自然食など、そんな嗜好に染まるおばさんたちが巷にいるのは知られた事象であり、安倍昭恵もその1人であったと見れば説明がつく話です
不幸なのは彼女が市井の一主婦ではなく、総理大臣の妻、という立場にあったことでしょう
で、昭恵夫人の影響力を利用しようと企む籠池夫妻に取り込まれて、乗せられたわけです
後は御承知のように篭池夫妻の悪あがきで、安倍首相夫妻が黒幕であったかのように、不正な金品の授受があったかのように騒ぎ立て、「自分たちを強制捜査し、刑事責任を問おうとするなら全部ばらすぞ」と脅しにかかったと見受けられます
篭池夫妻は起訴され、公開の法廷で裁かれるのですから、その折には「アベガー、アベガー」と呪文のごとく叫び出すのでしょう

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