老人ホーム睡眠薬殺人 控訴審で差し戻し判決

一審判決を控訴審(高等裁判所)で差し戻すというケースを何度も目にします
高等裁判所の裁判官にすれば、地方裁判所の裁判官の欠陥だらけの判決を添削し、指導している気分なのでしょうか?
差し戻しの理由はさまざまです。争点に関して審議が不十分であるとか、量刑判断に誤りがあるとか、被告の責任能力について検討が尽くされていないとか
他方で、一審となる地方裁判所に裁判員制度を導入しても、二審でひっくり返されるようでは裁判員制度が空疎化しているとの批判もあります
しかし、高等裁判所の裁判官たちにすれば、素人が判決に口出しをする裁判員制度を尊重する気はさらさらないのでしょう
さて、千葉県印西市の老人ホームに務めていた准看護師の波多野愛子被告の控訴審で、東京高等裁判所は一審判決を破棄し、差し戻す決定を下しています
一審では波多野被告によって睡眠導入剤入りのお茶を飲まされた老人ホーム職員が交通事故を起こし、事故に巻き込まれた被害者に対しても未必の殺意があったと認定し、懲役24年を言い渡していました
東京高裁は、偶然事故に巻き込まれた被害者に対して殺意は認められず、殺人未遂罪は成立しないと言いたいようです


千葉県印西市の老人ホームで同僚らに睡眠薬を飲ませ、交通事故などで6人を死傷させたとして、殺人・同未遂などの罪に問われた元職員・波田野愛子被告(73)の控訴審判決が17日、東京高裁(朝山芳史裁判長)であった。高裁は事故に巻き込まれた被害者への殺意まで認めて懲役24年(求刑懲役30年)とした一審の裁判員裁判の判決を破棄し、審理を千葉地裁に差し戻した。
この判決が確定すれば裁判員裁判がやり直され、巻き込まれた被害者について被告に対しては殺人未遂罪ではなく傷害罪が適用される可能性がある。
高裁は、被告が同僚らに睡眠薬を飲ませて運転を促したことについて、「死んでもかまわない」という「未必の殺意」を事故に巻き込まれた被害者にまで認めた一審の判断は不当だと指摘。酒を飲ませて運転させただけでも不特定多数に対する殺人罪に問われかねないと批判し、薬を飲ませた後の意識障害の程度など、運転すれば死亡事故に至ると予想できたかを具体的に検討すべきだとした。
その上で、薬を飲まされて事故を起こした3人については殺意を認定できるとしても、事故に巻き込まれた2人に対する殺意までは認められず、傷害罪の成否について審理をし直すべきだと結論づけた。
一審は、波田野被告が2017年2~6月、准看護師として働いていた老人ホームで、同僚ら4人に睡眠薬を混ぜたコーヒーや茶を飲ませて1人の意識を失わせ、3人に交通事故を起こさせて1人を殺害、巻き込まれた2人を含め計4人を殺そうとしたと認定した。
控訴した弁護側は嫌がらせの目的で薬を飲ませたことは認めつつ、交通事故は偶然に左右されるもので、車の運転をするよう仕向けたことをもって殺意まで認定するのは「論理の飛躍だ」と反論。殺人罪の成立を否定し、薬を飲ませて意識を一時失わせた傷害罪にとどまると主張していた。
(朝日新聞の記事から引用)


睡眠導入剤入りのお茶を飲ませた時点で交通事故につながると予見できたはずであり、数人から数十人を巻き込む被害が起こり得る可能性があったと考えるのが当然でしょう。波多野被告は素人ではなく准看護師ですから、睡眠導入剤服用で正常な運転ができなると確信して犯行に至っているのです。「事故は起こすだろうが、死者は出ないはず」だと波多野被告は認識していたのでしょうか?
そう認識していたとするなら、根拠は何でしょうか?
現に老人ホームの職員だった女性が睡眠導入剤の影響で追突事故を起こし、死亡しているのです。負傷者も3人。その事故を意図せざる偶然の産物だとでも言うのでしょうか?
事故に巻き込まれた被害者にすれば、波多野被告と弁護人の主張に怒り心頭のはずです。縁もゆかりもないオバちゃんの悪だくみに巻き込まれ、怪我をさせられたのではたまったものではありません
重要なのは波多野被告が何をどう考え、犯行に踏み切ったかではなく、結果に対して責任を負わせることです。波多野被告が睡眠導入剤入りのお茶を飲ませなければ事故は起きなかったのであり、巻き込まれて怪我をする人も出なかったのですから
睡眠導入剤入りのお茶を飲ませた以上、どのような結果を生じてもすべての責任は波多野被告が負うべきです
殺意の有無とか、計画性とか、形式的な議論に終始して、事件の本質を見失っている東京高等裁判所の判断には呆れます
時間の無駄であり、裁判費用の無駄です

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