中国アニメ「羅小黒戦記」 ジブリの向こう側へ

アニ録ブログさんの記事で取り上げられた中国の劇場版アニメ「羅小黒戦記」について言及します
この作品はアニ録ブログさんの解説によると、2011年からフラッシュアニメとしてインターネット上で公開され、徐々に人気を高めて劇場版の制作に至ったそうです。中国での興行収入は48億円となっています。日本でも2019年に公開されたましたが、興行収入は不明です
黒猫の妖精が主人公で、その「カワイイ」が詰まったキャラ、動きが魅力であると説明されています

アニ録ブログ
2019年12月15日付けの記事から引用させていただきます。このほかにも、読みどころのある記事が掲載されていますので、関心のある方は目を通してください。記事を勝手に引用させていただきました。不都合があれば指摘願います
(前略)
Web版では,ほのぼのとした愛らしさが背景美術を含めた画面の端から端までを覆い尽くしており,どちらかと言えば「日常系」のカテゴリーに入る作風となっていることがわかる。よりアドベンチャー要素を濃厚にした劇場版でも,その〈かわいい〉要素がほぼ希釈されることなく表現されている。
前述したとおり,これらの〈かわいい〉コードはもっぱら日本のアニメ文化の中で培養されてきたものと言ってよい。しかしだからと言って,『羅小黒戦記』が“日本アニメの模倣”のレベルに留まっているかと言うとそうでもない。映画を観ればすぐにわかることだが,独自の効果音の使用やリズム感とも相まって,日本アニメにはない間合いでコードを使いこなしている感がある。そもそも,表現のコードはその効果が普遍的であればあるほど容易に国境を越え,多様な文化の中に根付く力を持っている。
(中略)
ジブリ”の向こう側へ
これだけ魅力的な『羅小黒戦記』だが,何から何まで諸手を挙げて賞賛できるかと言えばそうでもない。多くの物語に触れてきた人にとっては,ややテーマ設定の面で物足りなさを感じてしまうところがある。
終盤,かつて家族のように慕っていた風息が,自分の力を利用して人間から力づくで世界を取り戻そうとしていることを知った小黒は,逆にかつて敵として憎んでいた無限と力を合わせ,風息と対峙することになる。風息は二人によって倒され,再び人と妖精との共生が図られる。
このプロットはそれ自体魅力的であり,ラストで小黒が風息を「師匠!」と呼んで抱きつくシーンは,この作品のテーマである「共生」の達成を象徴しているかのようでもあり,観客の涙を誘わずにはいない。
しかし,これを現代の日本アニメの複雑な物語構成と比較してしまうと,どうしても“無難な”路線を選択したという印象がぬぐえないのだ。 特に「人と精霊(自然)との対立と共生」というテーマは,『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)や『もののけ姫』(1997年)といったジブリアニメの反復に他ならず,むしろ『羅小黒戦記』からは高畑勲や宮﨑駿のような毒気やアクが抜かれている分,乳児向けの流動食のような物足りなさを感じずにはおれない。
もちろんここには中国独自の事情がある。この国では,どんなに優れた技術と潤沢な資金があったとしても,共産党当局に睨まれてしまえば国内での作品発表の場を持つことは難しい。自然,“歴史戦記”や“環境問題”など,当たり障りのない無難路線でテーマ設定をせざるを得なくなる。“表現の自由”からは程遠い現実が,この国のアニメの表現の幅を狭めてしまっている。
しかしサブカルチャーに貪欲になった現代の中国人たちが,いつまでもこの状況に甘んじているとは考えにくい。今後,彼らはアイディアを絞り,規制の範囲内で極上のコンテンツを生み出してくるかもしれない。*2 あるいは,共産党当局自体が規制を緩和する可能性も否定できない。そうなれば,彼らは豊富な人材を武器に多用な物語を生産してくることだろう。そもそも,ジブリの呪縛から逃れ得ず,暗中模索の状態に陥っているのは当の日本アニメも変わらない。
言うまでもなく,もはや“中国アニメが日本アニメを後追いしている”という状況ではない。かつてのように,ささやかな優越感に浸っていてよい時代ではないのだ。
とは言え,僕個人としては「中国アニメが日本アニメに追いついた/追い越した」というような話題には興味がない。ただそこに,日本アニメにはないテイストを持つ高品質なアニメがあるという事実が大事なのだ。

<羅小黒戦記>日本予告編


近年(1990年代から最近)の傾向として漫画、美少女キャラのイラストでは目が小さく描かれる傾向がある、と指摘されます。以前、日本の少女漫画については、欧米で「目が大きすぎて気持ち悪い」と言われたものでした
そうした嗜好の変化を考慮すれば、小黒の目は大きすぎるのであり、「カワイイ」の集大成であるかは疑問です
日本の漫画やアニメの「カワイイ」というフォーマットを取り入れたキャラであるのは確かであるものの、好みの分かれるところでしょう
ストーリー展開については上記のブログで指摘されているように、平凡すぎて見どころを欠いているように感じます
そしてこの作品がジブリの向こう側へ到達する可能性を示唆するものであるとは、残念ながら思えません。確かに上記のブログで言うところの、日本のアニメに追いつくとか追い越すなどどうでもよいのであり、中国ならではの突き抜けた作品が登場するのを待ちたいところですが、現時点ではその可能性は見いだせないと自分は感じます
さらに付け加えると、日本のアニメはジブリの呪縛とは無縁であり、誰かが宮崎駿風や高畑勲風の作品を作ろう足掻いている風には感じられないのであり、相変わらず深夜時間帯の萌えアニメを量産しているのが現状でしょう
異世界、幼馴染、メイド、ツンデレ、女子高生、ケモナー、妖怪など、見飽きた記号をとっかえひっかえ使い回しているのであり、安定した停滞期にあるのでは?
次に世界を震撼させるような作品が日本から生まれるのか、中国から生まれるのか、いつになるかは分かりませんが待ちましょう

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「中国の巨大なアニメ市場」という記事
https://05448081.at.webry.info/202011/article_47.html
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