福岡女性転落殺人を考える4 人格障害を疑う

精神鑑定は精神科医や心理学者が担当するのですが、それぞれが得意分野や不得意分野があり、鑑定の際に用いる理論も異なります。ゆえに2度、3度と精神鑑定を行えば異なる鑑定結果が2、3通並ぶ場合があります(東京・埼玉で幼女を誘拐し殺害した宮崎勤のケースがこれに該当します)
自分などは3通の鑑定結果を読み比べ、その違いを学べる機会だと歓迎するわけですが、裁判官や裁判員にとっては頭の痛い問題です
さて、福岡県で起きた女性を橋の上から転落させて殺害した事件について、4度目の言及になります
初公判で佐久田なつき被告は事件への関与を明確に否定し、無罪を主張しているのは既に述べたとおりです
それに加えて、解離性同一性障害であるとも主張しています。この点を整理し考えるのが本日の狙いです
初公判の模様を伝える報道は以下のようになっています


起訴状などによると、佐久田被告は15年4月29日未明、同県久留米市やその周辺で、殺意をもって以前同居していた池田麻里さんに睡眠薬を飲ませ、車で八女市上陽町の耳納(みのう)大橋へ連れて行き、橋の上から落として殺害したとされる。同日午後0時55分ごろ、橋の下の沢で池田さんがあおむけで倒れているのを通行人が見つけ、事件が発覚した。
検察側は冒頭陳述で、防犯カメラの映像や目撃証言がない中で、犯行前後の状況を積み重ねて立証する方針を説明。佐久田被告が110番や119番をしておらず、事件後に池田さんの携帯電話を捨てていたことなどを明かした。一方、弁護側は、被告は解離性同一性障害があるいわゆる多重人格者だとし、橋の上で「池田さんが自分で橋の欄干を越えて墜落した」などと主張した。
また、佐久田被告は15年4月4日未明、当時の久留米市の自宅で、交際していた男性の首をひもで絞めて殺害しようとしたとする殺人未遂罪でも起訴内容を否認した。
(毎日新聞の記事から引用)


事件に1ミリも関与していないのなら、そう主張すればよいのであり、解離性同一性障害であるかどうかは本質的には別の問題です
佐久田被告はいわゆる保険をかけるような格好で、「万が一にも事件への関与を裁判所が認めたとしても、自分は解離性同一性障害だから責任能力はない」と主張しているわけです
この法廷戦術が佐久田被告の主導によるものかどうかは不明です。しかし、橋の上から落として自殺あるいは事故に見えかけるという己の発想に執着した佐久田被告ですから、上記のような二段構えの法廷戦術も彼女ならではの執着なのかもしれません。なので、この法廷戦術に難色を示した最初の弁護人を佐久田被告は解任し、あらためて弁護人の選任手続きが行われたものと推測されます
そして7月2日の公判で佐久田被告はこれまでの供述をひっくり返し、池田さんが橋から転落した際、佐久田被告自身が現場に居合わせたと認め、「池田さんが自ら橋の欄干の外にいた」と説明し、その上で助けるために「池田さんの手をつかんでいたが支えきれなくなって手が離れた」と証言し、あらためて殺意を否認しています。また、池田さんが転落した後のことについては「記憶がない」と述べています
当時、記憶がないので警察にも消防にも通報しなかった、という理屈なのでしょうか?
まさに嘘だらけで、佐久田被告の供述は信用できません。検事も裁判官も、さぞ苦い顔をしているのでは
嘘だらけで信用できないと、裁判官や裁判員に思わせ、「精神的な疾患を抱えているから責任能力はない」との結論を誘導するため演技しているのなら大したものです
が、そうではないでしょう
佐久田被告自身、巧妙に立ち回っているつもりなのでしょうが、破綻しています
平気で嘘をつき、罪の意識が欠片もない佐久田被告について、「サイコパスではないか」と指摘する声もあります
臨床心理士の矢幡洋は、「計画性と、長く容疑を否認し続けるタフさはサイコパス的な部分を感じます。ただ、動機をみる限り、衝動的に行動する境界性人格障害ともみられる。惚れっぽい性格で、人を殺しても気にせず、すぐに別の男性と交際するなど、人としての境界をあっさり越えてしまうのが特徴です。相反する2つの障害が併合したタイプなのかもしれません」とコメントしています
7月15日の判決で、裁判官がどのような判断を示すのか、注目しましょう

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