福井介護殺人 3人殺害で懲役20年か

世の中には高齢者が高齢者を介護するという、なんとも言い難い現実があります
その結果、介護者が被介護者を殺害する事件や、介護疲れから心中を図る事件、介護を放棄して死亡させる事件など、さまざまな弊害が生じています
福井県敦賀市で起きた事件は、72歳の女性1人で義父母など3人の介護を担っていたものの疲弊し、精神的にも困憊して義父母ら3人を殺害するという痛ましいものです
自分も昨年来、実家で母親の介護にあたっていますので、肉体的・精神的な疲労というのは身につまされるものがあります


福井県敦賀市内の自宅で夫と義父母の3人を殺害したとして、殺人罪に問われた岸本政子被告(72)の裁判員裁判の判決が5日、地裁で言い渡される。検察側は、被告が義父母の介護負担で適応障害を発症していた点を考慮し、懲役20年を求刑。弁護側は心神耗弱状態だったとして執行猶予を付けるよう求めている。専門家は、求刑を「3人の殺害としては異例の軽さ」とみており、介護の負担が判決にどう影響するかが注目される。
「24時間介護をしてきた。消えたいと思った」。岸本被告は12月18日の被告人質問で、介護の日々を振り返り、声を詰まらせた。
検察、弁護側双方の冒頭陳述などによると、義母の志のぶさん(当時95歳)は、歩くのにつえが必要で「要介護1」、義父の芳雄さん(同93歳)は脳梗塞こうそくで左半身にまひが残り「要支援2」。夫の太喜雄さん(同70歳)も脳梗塞などで足が不自由だった。
被告は2016年頃から介護や家事を担った。午前4時頃には朝食の準備や洗濯を始め、義父母の食事や入浴の介助を行い、夫が役員を務める会社で経理もこなした。夜はいつでも介護できるように、義父母のそばのソファで寝た。
負担が限界を超え始めたのは、19年5月頃。義母は腹痛、義父は皮膚のかゆみを頻繁に訴えるようになり、夜中に3~4回起きて介護。被告は自律神経失調症を発症した。当時の心境を「頭がおかしくなった」と述べた。
事件2日前には、周囲の勧めで義父母が1泊2日のショートステイを利用することが決まったが、「1日で変な頭は回復しないと思った」。娘が手伝いを申し出ても断り、「じいちゃんもばあちゃんも、みんな道連れにして死にたい」とこぼした。
事件直前に目が覚め、志のぶさんが「こんなに苦しいなら早くまいりたい」と言っていたのを思い出し、3人の首を次々とタオルで絞めて殺害したという。
検察官、弁護人双方から「誰かを頼れなかったか」と問われると、被告は「娘にも家庭があり、心苦しかった」と説明。施設を利用しなかったのは、「義父母は家が好きだったから」という。
起訴前の精神鑑定で被告を適応障害と診断し、高齢者介護にも詳しい医師は証人出廷し、「行政が介入すべきだった」と証言した。
検察側は完全な刑事責任能力があると主張したが、「経緯には同情の余地がある」として有期刑を求刑。弁護側は「懲役3年、執行猶予5年の判決が妥当だ」と訴えている。
元裁判官の川上拓一・早大名誉教授の話「3人を殺害すれば、求刑で死刑か無期懲役が検討される。検察側が被告の完全な刑事責任能力を主張しながら、有期刑を求刑するのは極めて異例だ。高齢化が進み、介護負担が社会問題化していることも考慮されたのではないか」
(読売新聞の記事から引用)


自分の体験からすると、母親が寝たきりの状態になった時点で介護などまったく見当もつかない状態であり、要介護認定の申請から始めました。同じ時期に父親も意識不明の状態で入院したのですが、そちらは全面的に病院に託しました
幸い、市役所の高齢者福祉支援窓口がさまざまな相談に応じてくれたので、ケアマネジャーを紹介してもらい、介護用品を借りたりできました。その後はケアマネジャーを介して、デイサービス施設を斡旋してもらい、さらに寝たきりで病院へ通院させるのが困難な状況でしたので、訪問診療を実施している医療機関を紹介していただき、助かりました
介護は自分だけでなく家族も関わってくれたので、負担はその分軽減されています。社会的なリソースをあれこれ活用できたのも、大きな利点でした
上記の事件の場合、ケアマネジャーがどこまで状況を把握していたのか、老人ホームへの入所を勧めなかったのか、気になるところです
1人で3人を介護するのは無理があり、義父母を施設に預け負担を減らす選択もあったはずです
「行政が介入スべき」と記事には書かれていますが、被介護者やケアマネジャーが動かないと行政も対処できません。岸本被告が介護保険を利用して、施設に委ねられるところは委ねる、との判断ができたのであれば、このような悲惨な結末は避けられたのではないかと思ってしまいます
判決がどうなろうと、岸本被告には3人を手に掛け命を奪ったという結果がこの先もついてまわるのであり、精神的な重荷になるはずです。どれだけ懸命に介護をしても、命を奪ったのでは無に帰してしまうわけで

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