殺人死体遺棄で懲役20年と無期懲役判決の凶悪(1)

先日取り上げた今泉成博被告は福岡県内で強姦・強盗事件を繰り返し、懲役16年と懲役25年の判決を受けています。日本の場合、有期刑は30年が上限なので、これを上回る41年の懲役刑の判決は珍しいケースです
ただ、他にも懲役刑が併科されるケースはあります
今回紹介するのはスプラッターホラーのような陰惨な事件なので、こうした話が苦手な方は読まないでください
2013年に岐阜地裁で判決が出された後藤明弘被告の事件で、検察の求刑を上回る懲役20年と求刑通りの無期懲役が言い渡されたものです。通常、検察の求刑に対し、裁判官はなにがしかの情状を汲んで刑をいくらか割り引くわけですが、本件ではまったく情状酌量の余地なしと判断されたのでしょう。まずは判決を伝える記事を引用します


2006年に愛知県音羽町(現豊川市)でベトナム人女性レ・ティー・リーさん=当時(24)=を殺害し、11年には岐阜県高山市のアルバイト店員長瀬まゆみさん=同(44)=を暴行死させたとして、殺人や傷害致死などの罪に問われた無職後藤明弘被告(48)の裁判員裁判で、岐阜地裁は6日、殺人について求刑通り無期懲役、傷害致死は求刑を5年上回る懲役20年の判決を言い渡した。
後藤被告は二つの事件の間に窃盗の有罪判決が確定しているため、併合罪は適用されなかった。
後藤被告はリーさんの殺害は認めたが、長瀬さんの事件では一貫して無罪を主張していた。
(共同通信の記事から引用)


説明すると最初の殺人は2006年で、2件目の殺人は2011年です。その間に後藤被告は別の窃盗事件で懲役刑が確定していますので、2つの殺人事件を別々に扱い、それぞれ独立した事件として求刑し、判決が言い渡されたものです
こうした扱いは被告人にとって不利なのですが、窃盗事件で裁判を受ける前に余罪として最初の殺人を後藤被告が自白していれば、併合罪として一括処理されたわけです。その場合、最初の殺人・死体遺棄と窃盗ですから、懲役25年くらいだったかもしれません
警察官も検事も、取り調べの際には「他にやっていないのか?」と余罪の有無をしつこく問い質します。後でバレて新たに懲役刑が加わるより、そこで自供し併合罪として処理された方が被告にとっては得なのですが、多くの場合、進んで余罪を自供する者はいません
さて問題は後藤被告の殺人事件は、単に殺害して遺体を放置しておくという類ではなく、遺体を切り刻んで弄び、その様子を撮影して残しておくという猟奇殺人だったからです


2011年4月、岐阜県下呂市の山中の道路にこんなメッセージが書かれた三角表示板が置かれていた。それを通勤途中の温泉旅館の仲居が発見したことから、世にも奇怪な事件が幕を開けることになった。
通報を受けた岐阜県警高山署が付近を捜索したところ、ほぼ白骨化した女性の遺体を発見。その遺体は約1カ月前から行方不明になっていた長瀬まゆみさん(44)であることが分かった。
高山署は長瀬さんの交遊関係を捜査するうち、勤務先のコンビニで同僚だった後藤明弘(当時46)を浮上させた。後藤は同署に任意同行を求められたが、その際に契約が切れたもう一台の携帯電話を大事そうにセカンドバッグに入れたところを捜査員は見逃さなかった。
その携帯電話を調べたところ、『死に際』というフォルダがあり、「レ・ティ・リー」というベトナム人女性の名前と共に、遺体を切り開いて内臓を露出させた写真などが見つかった。しかも、その写真には〈寝ている娘の頭めがけて鉄パイプを振り下ろし、首を絞めて殺した〉という犯行の経緯が、小説のように細かく書かれていた。
岐阜県警は2006年7月に発生し、未解決事件になっていた愛知県豊川市のベトナム人女性殺人事件の捜査本部に連絡。後藤はまず、ベトナム人女性のレ・ティ・リーさん(24)に対する殺人容疑で愛知県警豊川署に逮捕された。
死因は首を絞められたことによる窒息死。頭にも鈍器で殴られたような跡があった。だが、問題はここからで、レ・ティ・リーさんの遺体は胸が切り裂かれており、その傷口から血をすすったような跡があった。そこに残されていた唾液のDNAが後藤のものと一致したんです」(捜査関係者)
第一発見者の男性も次のように語る。
「レ・ティ・リーさんは布団に横たわっていたが、何か不自然な感じがした。何で遺体に血がないのか、布団にもシワ一つない。不思議でしょうがなかった」
その後、後藤は長瀬まゆみさんに対する死体遺棄や殺人容疑などでも再逮捕されたが、やはり長瀬さんの遺体についても内臓の写真を撮っているのだ。
「後藤は死体の存在を警察に知らせるどころか、死体の足を開いて性器の写真を撮影したり、裂かれたお腹にも手を差し入れて臓器の写真を撮影している。公判では白黒写真にして開示されましたが、それを見た裁判員の若い女性は気分が悪くなり、自力で立つこともできなくなったため、公判が中止になったこともありました」(岐阜地裁詰め記者)
(週刊実話の記事から引用)


長くなるので記事からの引用はここで区切りとします
後藤被告は殺害自体が目的ではなく、ベトナム人女性の血をすすり、体を切り裂き、臓器を弄び、なおかつそれを勝利の記念として写真に収めるのが目的であったと思われます
そして、遺体を弄んだ快楽が忘れられず2件目の殺人をし、同じように死体をおもちゃにして性的な快楽に浸ったと考えるのが妥当でしょう
非常に稀有なケースですが、ネクロフィリア(屍体愛好者)そのものの事件です
なので、後藤被告は被害者である女性に恨みがあったわけでもなく、憎んでいたのでもなく、ただ死体にして弄びたかったがゆえに殺害したのでしょう
もし、この事件が一括して(2人の殺人と遺体遺棄・損壊)裁かれていたのなら、死刑判決もあり得たはずです
幸か不幸か、別々の事件として扱われたため、後藤被告は死刑を免れたといえます
次回は犯行についての補足と、後藤被告がどのような人間であったのか、取り上げます

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